時間は過ぎて夏休みとなったある日、とある山にある旅館の女風呂、そこを誰かが覗こうとしていたがすぐに吹っ飛ばされた。
「な、なんだ今のは!覗きか!」
「大和だったら私全身くまなく見せてあげる!」
クリスは警戒し京は爆弾発言をする。
「安心しろお前ら。私がこれで追い払ってやった。」
百代は風呂に浸かりながら水鉄砲をする。
「ハンパねーなうぉい!」
松風がツッコミを入れる。
「そう言えば改めて思うがお前って本当に付喪神だったんだな。」
百代の言葉にまゆっち以外全員が頷いた。
「うぉい!友達の話はSHI N JI RO YO!」
(さっきの気配ってやっぱり・・・)
まゆっちは気配に覚えがあった。
「ん!ワン子、その痣どうした?」
百代がワン子の腕の痣に気づく。
「これ?大和と修行中に出来たんだよね。大和に色々指導されて私も成長しなきゃって思うんだよねー。」
「ほーう、つまり大和は相当出来るのだな。」
「確かに大和は鎌だけじゃなく剣も使えるな。自分も問題点を指摘された。」
そんな話を聞いている京は嫉妬していた。
(ぐぬぬ、大和と一緒に楽しむ時間があるなんて・・・・・・・・・油断出来ないんだ!)
翌日の朝、ごつごつとした石の足場で風間ファミリーは集まっていた。
「と!いうわけで!」
キャップがノリノリで言い出す。
「来たぜ!風間ファミリー山ごもり夏合宿!」
『イエー!』
キャップの言葉に風間ファミリーは歓声を上げる。だがそんな風間ファミリーでひと際怪我をしているガクトとモロが目立った。
「最近どうにもS組と勝負することが増えてきたし、この夏でちょいと気合を入れなおそうって算段だ!さあ!気ィ引き締めていけよ、おまえらっ!」
そうは言っているキャップだが釣竿に虫網、虫かごクーラーボックスにサッカーボールと遊ぶ気満々である。
「言葉と行動が逆だぞ、キャップ。」
「まー実際旅行だけどなー。」
大和の言葉に松風が相槌を打つ。そんな時ゲンさんが舌打ちをした。
「ったく、何で俺まで来なきゃいけねぇんだ。」
「まあまあ、そんなこと言ってるわりに来てるでしょ。ワン子のことも心配でしょうがないお兄ちゃんなんだし。」
「そんなんじゃねえよ。」
「じゃあアタシ山走ってくる。」
「おい一子、これを持ってけ。」
ゲンさんはスポーツドリンクをワン子に投げ渡す。
「ありがと、ゲンちゃん。」
「ワン子、コレもだ。」
大和は鈴を渡した。
「鈴?」
「獣避けに必用だ。少し鳴らしてみろ。」
「うん。」
ワン子は大和の言葉に従い鈴を鳴らす。
――――リリリ―――――――――ンッ!
何処までも遠くに響く澄んだ音が鳴り響く。
「すっごい!」
「向こうでちょっとした防犯グッズだ(まあ対象が頻繁に出る肉食魔族獣だけどな)。」
「へー、ありがと大和。じゃ、行ってきまーす。」
ワン子は鈴を鳴らしながら走りに行った。
「熊に遭遇したら教えた通り対処しろよー。」
「はーい。」
ワン子の姿が見えなくなるとゲンさんは大和に話し掛ける。
「おいお前一子になんて教えたんだ?」
「普通に闘おうとせずに目を合わせたまま後ろに下がるとか小熊がいたらすぐにその場から逃げるようにするとか色々です。」
「ま、アイツは熊にも挑もうとするがな。ま、心配してねーけど。」
ゲンさんは頭を掻きながらそう言った。
(何かと仲間思いのところもある人なんだね。ゲンさんはなんかクラウスさんのような性格でザップさんみたいな態度を・・・・・・・・・・1%取る人だ。残りはザップさんの汚点だから入れないと。)
ザップに関しては白い目で見てしまう・・・・・・・・・・否、見るしか無い大和であった。
ワン子が山に入ってしばらく時間が経った。大和は日課のトレーニングを行う。
「おい大和、お前いっつもそんなトレーニングしてんのか?」
「ん?まあな。」
腕立て伏せをしている大和にガクトが話し掛ける。
「いやよ、さっきから思ったんだがそれ何回するんだ?」
「3000回。」
「ありえないだろ!てかなんでそんなにすんだよ!」
「まあ身体を鍛えたいからってのが理由だな。師匠は5000回するぞ。」
「お前の師匠何者!」
「HLで一番紳士で獣のような強さを持つ人物です。」
「わかんねー!」
ガクトが叫んでいるとモロがワン子を気に掛ける。
「そういえばワン子大丈夫かな?」
「どうしたんだモロ?熊避けの鈴は渡したぞ。」
「いや、そっちじゃなくて女将さんが言ってたんだけど最近イノシシが出て困るんだって。」
「イノシシか・・・・・・・・鍋だな。」
「いや、料理の話じゃないから。」
そんな話をしていると山の方から鈴の音が聞こえてきた。
「ん?山頂に上ってから帰るまでまだ時間があるはずだが・・・・・」
大和は山への入り道を見るとそこにはイノシシに追いかけられているワン子の姿があった。
「ワン子!こっちにそいつを引き寄せろ!後は何とかするから!」
「う、うん!」
ワン子は大和のほうにイノシシを誘導する。
「二人とも、離れてろ。とばっちりは自己責任で回避だ。」
「わ、わかった。」
「そこは守るって言ってくれよ。」
「無理!」
「即答すんな!」
ガクトと大和の漫才をしている最中でもイノシシは大和に向かってくる。大和は拳を構える。
「ふー。」
大和は全身の力を抜く。
「なんだアレは、力を抜いているのか?」
クリスは大和の行動が分からなかった。」
「アレは脱力だね。」
「脱力?京、何なんだそれは?」
「文字通り力を抜くこと。そうすることで身体の余分な力を抜いて技の威力を上げる。脱力の時間が長ければ長いほど威力は上がるといわれてる。けれどこれはまゆっちみたいに剣を使う人がよく使うと聞く。」
京が分かり訳す解説をする。
イノシシが大和に接近した瞬間大和は素早く前方足を一歩踏み出し拳を突いた。拳がイノシシのは何当たった瞬間、衝撃は頭蓋骨から脊椎、尾骨へと一直線に伝わり、衝撃が逆行、前後の衝撃でイノシシの頭蓋骨が割れた。イノシシは足をもたつきながらも歩き、そして倒れた。
大和は胸の前で拳を握り祈りを捧げた。
「ガクト、すまないがコレを旅館に運んでくれないか?」
「何で俺なんだよ。」
「もしイノシシを運んだら女性なら惚れるよな。」
「よっし!運んでやるぜ!」
ガクトは大和の口車に乗せられイノシシを旅館に運んだ。
「大和、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だモロ。あのイノシシ、結構強かったな。」
「そ、そうなの?」
「ああ。少なくとも車で80km/hの衝撃はあったぞ。」
「何で分かるの!」
「いや、HLじゃそのくらい普通だぞ。」
「おかしいから!」
夜になると一同遊び疲れていた。
「――――――て、修行も何もしてねー!」
キャップが今さら気付いた。
「まあ修行してたのは精々大和かワン子だけだったもんね。」
京がキャップの言葉に相槌を打つ。
「ふむ、こういう時のためのセカンドベストがあるんだがいいかな?」
「あ、なんだ大和なんかあるのか?」
大和の言葉にキャップが食いつく。
「肝試しはどうだろうか?夏といえば肝試しは定番だろ。精神面での修行って意味で提案するんだが。」
「おお、やるやる!墓場まで行くんだろ!」
「いや、ここの山に縄を結んだ大木がある。何でもご神木らしいからそこがゴールだ。」
「えー、なんでだよー。」
キャップは不満の声を上げる。
「墓場とは本来死者が眠る場所。そこに無闇やたらに入るのは失礼と言うものだ。」
「ふーん。ま、肝試しを楽しめりゃいいけどな。」
「皆もそれでいいかな?」
大和がそう尋ねると一同賛成した。
「じゃあこのくじを引いて。二人一組が五組出来るから。」
「よっしゃ!俺様のクジ運を発揮するぜ!」
「ガクト、そう言ってるやつに限って大抵本人の希望とは反対の結果になるぜ。」
「うるせぇキャップ!俺はそんなもんを壊してやる!」
クジの結果
大和・百代ペア、ゲンさん・ワン子ペア、モロ・ガクトペア、キャップ・京ペア、クリス・まゆっちペアとなった。モロとガクトとはショックのあまり床に手を付いた。
ワン子・ゲンさんペア
「おい一子、大丈夫か?」
「だ、だだだだいじょうぶだよタッちゃん!」
ワン子は口ではそういうが内心かなりビビッてた。
「そういうんじゃなくてこの前の決闘で負けた時の話だよ。あん時お前―――」
「大和がね、誇りに思えって言ってくれたんだ。」
「?」
「あの場で泣きたい気持ちを押さえたことを誇りに思えって。それでその後大和の胸で思いっきり泣いたよ。」
「・・・・・・そうか。まあなんだ、頑張れよ。」
「うん!」
モロ・ガクトペア
「たくっ、何で俺がモロなんかと。」
「それ僕も言いたいんだけど。でもガクトと一緒だと幽霊が出そうでも安心っちゃ安心だね。」
「おうよ!俺様の前では俺など霊などもはやギャラリーでしかねぇ。」
「ははは、とはいえ喰らいとやっぱ少し・・・・怖いかな・・・・」
モロは両手の指先を合わせながらそういう姿は少し可憐に見えた。
「・・・・・おまえ、ときどきものすごく色っぽく見えるよな。」
「は?」
モロはガクトの言葉に間抜けな返事をする。
「俺様、おまえの妙に生白い首筋を見てるとこう・・・・・ために変な気を起こしそうに・・・・・」
ガクトとは頬を赤らめながら言う。そんなガクトにモロは恐怖する。
「怖い!幽霊よりガクトが怖い!」
キャップ・京ペア
「なあなあ京、俺的には小豆洗いあたりがでると嬉しいぜ。河童なんかじゃメジャーすぎて逆にウソ臭いもんな。」
「どっちもそんなに変わんないよ。たぶん出ないし。」
その時二人の後ろの茂みからガサゴソと物音がした。
「お?お?なんだッ?」
「何かいる。気配が無いけど。」
「待ちやがれ!」
「えっ・・・・ちょ・・・・・キャップ!」
京の言葉に耳をも傾けずキャップは追いかけて行った。
「・・・・・仕方ない。ひとりでいこう。」
クリス・まゆっちペア
「だ、大丈夫か?ゆ、幽霊は出ないのか?」
「多分大丈夫でしょう。」
「そ-だぜクリ吉。それにおいらだって付喪神っていう幽霊の仲間じゃねーか。」
「ま、松風は別だ。い、イッタンモンメとか人を襲わないか?」
「おーいクリ吉。ちょーっと勘違いがあるぜー。」
「ん、どういうことだ?」
クリスは松風の言っている意味がわからなかった。
「妖怪と幽霊は違うんだよ。妖怪ってのはいたずらをするだけで人を襲わないが幽霊は怨念なんかの奴って輩は襲うんだよ。」
「つまり妖怪は人殺しをしないと?」
「鎌鼬って言ったらわかるだろ。」
「ああ、なるほど。」
松風の言葉にクリスは納得した。
大和・百代ペア
「こうして肝試しをするのもたまにはいいね。」
「ああ、そうだな。」
大和は百代の方を向くと百代の顔は青く、目は若干涙目になっていた。
「・・・・・今なら誰もいないから正直になってもいいんだよ。」
「そ、そうか。」
百代は辺りを見回し誰もいないことを確認すると安堵を吐いた。
「怖い!怖いぞ大和!」
百代は泣きながら大和に抱きついてきた。
「はいはい。」
大和は百代の頭を撫でる。
「百代姉さんは相変わらずこういうのが苦手だね。嫌なら嫌って言えばいいのに。」
「私は仮にも四天王最強だぞ。そんなことが出来るはずがないだろ。」
「無駄なところで意地を張るよね、百代姉さん。自分の弱さを知るのもまた強さってものじゃないの?」
「むっ!それは違うな。力で相手を屈服させることが強さだと私は思うな。」
そんな百代の言葉を聞いて大和は溜息を吐いてしまう。
「やっぱそこは変わらないんだ。」
「当たり前だ。大和、いつか戦うと言っていたな。」
「まあね。でもここでしないよ。」
「ほう・・・・・何故だ?」
「う~ん・・・・・・まだその時じゃない気がするから。」
「なんだよー。いけずー。」
「いいよ、それで。ところで何時までこの状態で?」
「・・・・・・・・・もう少しこのままで。」
「はいはい。」
旅館に帰ってからの一場面
「ところであの時の女の子て誰なんだ?」
『っ!?』