真剣で私に恋しなさい!~川神の血闘術士~   作:ザルバ

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「ただいまー。」

「キー。」

「大和―!」

「ほい。」

 大和とライトニングが島津寮に戻ればいつものように京が抱き付いてくるが大和はそれを流した。

「惜しい!」

「惜しくない、何処も惜しくない。」

 大和は当然のような反応をする。

「おー、大和帰ったのか。」

「ただいま、キャップ。」

「キー。」

 ライトニングもキャップに挨拶する。

「おう、ライトニングもお帰り。そういや大和、日本史の麻呂がなんだか依頼してきたぞ。その会合にお前が代表として出てくんね?」

「わかった。何時からだ?」

「今日の放課後。」

「ほーい。」

 

川神学園では生徒同士の問題は『決闘』が行われるが川神学園にはもう一つの特徴がある。依頼である。教師が生徒への依頼をする。その報酬として学食の食券が配給される。今その場に大和もいた。

「さすらえぞ 果たしてついぞ 姿無く 切なさに無く 愛しき者よ。」

 日本史担当の綾小路麻呂が一句詠むと何処か悲しそうな顔をする。

「今回の頼み料、学食の食券五十枚。」

 五十枚だけでも魅力はあるが誰一人として手を上げない。

「どうじゃ?誰かおらぬのか?四十九枚では?四十八枚では?」

 そんな中一人、大和が手を上げて発言する。

「144枚で。」

「なぬ?」

「ウチは人数が多いので144枚でお願いします。」

 その瞬間、衝撃が走った。

 

〈新しい政権は不要な事業や予算を削ることで予算削減の・・・・・〉

テレビを手にしていたクッキーはテレビを切って大和に関心した。

「へぇー、食券144枚とは大盤振る舞いだね。」

「しばらく食費は困らねぇな。これから何を食うか迷っちまうぜ。」

 ガクトが思っていたことを口にする。

 金曜集会の秘密基地では風間ファミリー(キャップを覗く)と大和たちがいた。

「風間ファミリーは全部で九人だから全部で丁度十六枚。」

「こんな時に限って肝心のキャップがいないんだよねー。」

 モロがキャップのことを言うとガクトが聞く。

「そういやキャップ今何処って?」

「名古屋で動けなくなってるって。」

 モロがケータイで確認する。

「そらチャリンコで名古屋まで行ったらクタクタで動けなくならぁ。」

「ううん。身体は元気だけど自転車がパンクしたんだって。」

(それでもすげぇよ。)

 大和はそう思った。そんな時ワン子が大和に質問をする。

「ねえねえ、キャップが来なかったらどうするの?」

「よく言うだろ。働かざる物食うべからずって。さて問題です。144枚の食券を八人で割ったらなんぼだ?」

「え、えっと・・・」

「紙に書け。」

「うん。」

 ワン子は大和の言葉に従い計算する。

「18枚。」

「正解。」

「でも大和、よくそんな高値で競り落とせたね。」

 京が改めて大和を関心する。

「まあちゃんと理由を言ったからな。向こうも納得してくれたし。」

「大和は交渉上手だな。将来政治家なんてなれるのではないか?」

「いや、流石にやめとく。今の政治界は何かとうごめいてるから。」

 クリスの勧めを大和は断る。

「でもまぁ、たまには小遣い稼ぐくらいいいじゃない。まゆっちもそう思うでしょ?」

「え、えぇ!!め、滅相もありません。私なんかが生意気に意見をするなどとんでもない―――」

 ワン子の言葉にまゆっちは冷や汗を流しながら否定する。

「でも食券は欲しいでしょ?」

「んぉ、おれっち的には欲しいけど大和に手作り弁当作るチャンスが減りそうでハラハラドキドキ、and食券にジェラシーってとこじゃねー。」

「っ!な、なんてことを松風!私は決してそんなことは――――」

 自分の相棒に驚くまゆっち。相棒には何かと本音を見抜かれてしまうのである。

「ま、こんなんでもおいしい話だから問題ないでしょ。」

「いいや大和、私は問題があるぞ。」

 そう言って百代は自分の胸に大和の後ろ頭を挟み両腕で大和の首を絞める。

「お前昨日の夜私が呼び出したのに来なかったな。」

「昨日帰ったばっかだから。それに依頼が―――」

「寂しかったぞ大和。せっかくの姉の誘いをほったらかしにして。」

 百代は更に締める。心なしか百代は自分の胸に大和の顔を埋めようとしている。

「それで姉さん、呼び出しって?」

「決まってるだろ。暇だったからお前を呼び出して遊びたかったんだ!」

 百代は思いっきり締める。

「ぐぎゅ!姉さん苦しいから放して!」

「まだ早い。私を倒したからには象が踏んでも壊れないとか百人乗っても頑丈じゃないとな。」

「確かにモモ先輩がジャレつくと象が踏むくらいの破壊力があるな。」

「何処の筆箱と車庫!てか筆箱は人が乗ったときは壊れたから!」

『なんだと!』

 ガクトと百代は驚いた。

「あれって筆箱に掛かるNに対して面積が大きかったから壊れなかっただけで、実際人の足を乗っけたら掛かるNの単位違うからね。」

「それは驚いたな。でもまあ合法的に暴れられる依頼を持って来てくれたんだ。許してやるか。」

「非合法だと思うよ。裏の仕事だから。」

 京が冷静にツッコミを入れる。

 百代は大和を解放する。

「姉さん、誰が戦うって言った。」

「へ?」

 

「っ・・・・・・・!」

 街中で百代は依頼の内容を知ると額に血管を浮かべていた。

「依頼の内容が尋ね犬ってなんだよ!」

「仕方ないでしょ。逃げちゃったんだから。」

「これって歴史の麻呂の犬なんだよな。」

「個性的だな。特に服と眉が。」

 大和が手に持っている紙には歴史の麻呂の犬の写真が張られていた。

「どんな大事件かと思ったら公私混同だね。」

「緊急招集を掛けるほど大事にしているペットなんですよね。」

 京が呆れ、まゆっちが同情する。

「とにかく今は情報収集が必用だから。モロとガクトにはネットでの情報と目撃情報を呼びかけてもらっているし。その間俺たちは足で探すってわけ。情報と行動をミックスさせて早期解決をする。」

「オッケー、ジャンジャンいきましょ。」

「しかしこれしかなかったのか、写真は?」

「ああ。これしかないから困っているんだ。」

 写真はピンボケをしていてよく分かりにくいが特徴だけははっきり分かっていた。

「でも流石にこの特徴の犬は世界中を探しても指で数えるほどしかいないだろ。」

『確かに。』

 大和の言葉に皆納得した。

「おい犬、お前なら犬同士何かわかるんじゃないのか?」

「失礼ね。いくらアタシだってこんな写真じゃわからないわよ。匂いだってしないし。」

 クリスの言葉に対しそう言ってワン子は紙の匂いを嗅ぐ。

「あれー?匂いでわかんのかよー。」

 松風は疑う。

「あ、いた。」

『え?』

 ワン子が向く方向には麻呂の犬がいた。特徴も服装も合致していた。

「ここは任せて。」

 そう言うと京は矢を弦に掛ける。

「おい!処理している矢でも危ないだろ!」

「お尋ね者は生死を問わず賞金!」

「生死を問うわ!」

「冗談だよ、大和。これ学園のレプリカだから当たっても気絶するだけ。凄く痛いけどね。」

 京のその言葉に恐怖したのか麻呂の犬は逃げ出す。

「あっ!逃げた!」

「追うぞ!」

 ワン子がありのまま起こったことを言い、大和は皆に指示を出す。

 麻呂の犬は街中、川神院前、商店街の中を逃走し裏路地に入ると角材で塞がれた道の隙間をくぐり抜ける。

「なんの!」

 大和は拳でそれを破壊する。そんな時クリスが声を掛ける。

「おい大和、ライトニングはどうした?」

「今日は散歩していて今はいない。」

「こんな時に限っていないな!」

 その後大和たちは麻呂の犬を追いかけるも軽々と逃げていっていた。時にはビルとビルとの間を蹴って上に逃げていっていた。

「わぉ、すげぇな。」

「あれ絶対特殊訓練受けるね。」

「誰もやろうとしなかった理由がこれなのかな?」

 大和たちは麻呂の犬に感心していた。

 

 綾小路麻呂は自宅の縁側で正座をしながら茶を飲んでいた。

「さて、綾小路専属ブリーダーが育てた高貴なる犬、あやつらに連れ戻せるか、の。」

 

 大和たちは麻呂の犬を追いかけるがことごとく撒かれたり、店に入っては迷惑をかけさせられたりした。

 時刻は夕方となっても捕まえられず、麻呂の犬に上手く逃げられてしまっていた。時を同じくして川辺では顔に包帯を巻いた男が夕日を眺め、九鬼財閥の地下では揚羽があるものを見ていた。

「我が川上大戦を赴いた留守を狙って行動するとはな。その後の情報は?」

「今だ何も。詳細は調査中です。目下全力を挙げ、被験者の行方を全力で追っています。」

「無駄だ。ひとたび身を隠したキャツはそう易々と見つけることは出来ぬ。だが、狙いがあっての行動。今後、必ず何らかの動きがあるはず。網を張って警戒しろ。すぐに出られるよう部隊を待機だ。」

「はっ!」

 揚羽の言葉にあずみは答えた。揚げ羽が目を向けている先にはまるで殴られたかのような破損をしている戦車があった。上部の装甲がそれを物語っていた。

 

 島津寮の風呂。今の時間帯は女子が全員入っていた。

「もー、すばしっこいったらありゃしない。」

「犬の脚力と張り合うとは犬もなかなかやるな。犬にしておくには惜しいぞ犬!」

「何言ってんだかわかんねーよ。」

 ワン子は文句を言うとクリスは麻呂の犬を褒める。だがワン子のことも犬と言ってるのでどっちの犬を褒めているのか分からない。そんなクリスにアヒルに乗った松風がツッコミを入れる。

「うん、惜しいよね。」

「通じちゃったよ!」

「やっと苦労して見つけたのになぁ。」

「苦労はしてないんじゃねぇ。」

 松風は百代にツッコミを入れる。確かにすぐ見つかったから苦労はしていない。追いかける方に苦労をしていた。

「まんまと見失っちゃったね。今度はどうやって探そう?」

「おびき寄せるのはどうだろう?犬の好きなものはなんだ?」

 京の発言にクリスが案を出す。するとワン子が自分のことと思い意見をする。

「アタシ、骨付き肉。」

「和子さんじゃねーよー。」

「せっかく大和が食券落札してくれたんだもの。なんとか任務成功させたいよねー。」

「そうだな。大和の労にも報いるためにも捕まえないとな。」

「大和さんでも追いつけていませんでしたし。」

「捕まえたら大和、褒めてくれるかな?」

 百代以外の全員が大和のことを話していることに百代は気付き、発言する。

「なんだかお前ら大和のことばっかり話してないか?」

『っ・・・・・!』

 改めてそのことに気付き沈黙になるがそれはすぐになくなった。アヒルの下から麻呂の犬が姿を表した。

『え?』

 麻呂の犬は何事も無かったかのように浴槽から上がると身体を振るい水気を切る。百代たちはただそれを呆然と見ていた。麻呂の犬はいい物を見たかのような目をする。その瞬間一同我に返った。百代たちが悲鳴を上げると麻呂の犬は寮の中を逃げ回り始める。百代たちは麻呂の犬を一同追いかける。

「コラー!」

「逃がさないわよ!」

「待ちなさい!」

「狩る!容赦しない!」

 京は矢を射る。麻呂の犬はそれを走りながらきりもみ回転で回避する。二矢、三矢と射るが同じように避けられる。

「出来る。まさか武道の心得が!」

「面白い!武道に手を染めた者なら犬だろうと手加減無しだ!」

 麻呂の犬は通路に沿って左に曲がる。

「しめた!そっちは行き止まりだ。」

 麻呂が空いている部屋に入ると女子一同麻呂の犬に跳びついて捕まえる。

「確保!」

「やった!捕まえたわよ!」

 ワン子は喜ぶがあることに気付いた。この部屋のことである。部屋の家主の姿を見るとそこには大和とライトニングの姿があった。 大和は口を開けたまま、ありのままの光景を整理した。捕まえられている麻呂の犬、そして風間ファミリーの女子一同の裸姿。それに気付いた女子一同悲鳴を上げながら大和に攻撃をした。大和はその時理不尽と思った。そして麻呂の犬は逃げた。

 大和はボコボコになりながらも麻呂の犬を百代たちと共に追いかけて行っていた。

 麻呂の犬は人気のない廃校場に逃げ込んで行った。

「ここに逃げ込んだか。」

「廃工場みたいだね。」

「手間取ったな。捕まえたらお仕置きしてやる!」

 百代はそう言いながら指を鳴らす。そんなときに大和は「百代姉さんが犬にそんなことしたら普通に死ぬから。」と思った。

「おらぁ!」

 百代は廃工場の扉を殴り、無理やりこじ開けた。その時黒い全身タイツにみを包んでいる集団がいたが気付かなかった。

 廃工場内は物置のようにされていて死角だらけであった。

「ここから探し出すのは厄介だな。」

「なに、それなら向こうから出てくるように炙り出せばいい。」

 そう言うと百代は工場内を暴れる。

「そらそら!出て来い!」

 百代によって残骸へと変えられた物がある場所に落ちると麻呂の犬が姿を表した。

「いた!」

 それにクリスが気付き京が矢を数本射る。矢は麻呂の犬の動きを封じるように壁に刺さった。麻呂の犬には当たっていない。

「逃げても次は当てる。」

「でかしたぞ、京!」

「これで一件落着だな。」

「やった!食券ゲット!」

 大和が京を褒め、クリスが事件解決を言うとワン子は喜んだ。大和は麻呂の犬に近づこうとした瞬間足元にあったものを見つけた。

「これは・・・・・」

 大和はおい地ていた銃弾を拾う。

「ん?自分は軍人の家系だから分かるぞ。それは7.62mmNATO弾。」

「実弾か?」

「ああ。」

「じゃあこれは?」

 京が手榴弾を見せる。

「MK3A2手榴弾だ。」

「ではこれは?」

 ワン子が機関銃を見せる。

「M60軽機関銃だ。」

「じゃあこれは?」

 まゆっちが銃を見せる。

「ああ。M134ミニガンだ。」

「おい待て。それって・・・・・・」

 大和はふと、この場が危ない場所だと思ったが時既に遅しであった。

「ここは武器の販売店なんだろ?」

「クリス、日本では銃刀法違反でこんなもの持ち込めないんだ。」

「なんだと!ではこれは・・・」

「ああ、密輸品だな。コレだけ揃っててほんのちょっとなんて話は無い。」

その刹那、何人もの黒服の男たちが大和たちを取り囲んでいた。

「どうやらどえらい歓迎だな。」

 大和は右袖に隠していた十字のメリケンを手に取り、構える。

「ブレングリード流血闘術、推して参る!」

 黒服の男が銃を向けた瞬間大和は目にも止まらぬ速さで急接近し黒服の男を吹っ飛ばした。

「銃を向けたということは敵対する意思があると判断し、あなた方を倒させてもらう。」

 大和が拳を構えると百代たちもそれに便乗する。

「おもしろい。退屈な依頼と思ったがこんな暴れられるとはな!」

「あたしもやるわ!」

「自分も正義を実行するために参戦する!」

「微力ながら私も参戦します。」

 大和たちは一斉に黒服の男たちに戦いを挑んだ。

「おらおらおらおら!どうしたどうした!もっと私を楽しませろ!」

 百代は面白そうにに黒服の男たちに拳を振るう。

「うりゃ!」

 ワン子は薙刀と蹴り、拳の三つを組み合わせて黒服の男達をなぎ倒していく。

「ふ、ふっ!」

 京は黒服たちの眉間に矢を射り、気絶させていく。

「はぁあ!」

 クリスはレイピアで黒服たちを倒していく。

「はっ!」

 まゆっちは黒服たちの銃を真っ二つに斬ると峰で気絶させる。

「ふん!」

 大和は黒服の男達を拳で次々と倒していく。

 しばらく時間が経つと黒服の男達は全滅していた。

「ふぅ、終わったな。」

「案外あっけなかったね。」

「ていうか弱い。」

「どうせ武器を持つだけで強く慣れたと思ってたのだろう。」

「素人ですね。」

 百代、ワン子、京、クリス、まゆっちの順に話す。その時大和は別の敵の気配を感じた。

「来るぞ!」

『っ!?』

 大和の言葉に一同警戒をする。その瞬間、黒タイツとマスクした三人が襲ってきた。百代は青い髪、大和はオレンジの髪、ワン子、京、クリス、まゆっちはワインレッドの髪の女性を相手にする。

 青い髪の女性は百代と対等に渡り合う。

「コイツ・・・・川神流の技を使っている!川神竜は門外不出の筈だぞ!」

 百代は驚きながらも拳を交える。

「ふ・・・・ふっ・・・」

 オレンジの髪の女性は大和にゴルフクラブを振るが大和は左腕で受け流す。

(やっぱ女性は傷付けられない。)

 紳士な対応をする大和だが状況に変化は無かった。

 ワインレッドの女性と戦っている四人は連携を取っていても苦戦していた。

「強い・・・!」

「とても慣れてる!」

「実戦を積んでいるな。」

「出来ますね。」

 そんな時大和はあることに気づいた。

(なんだこの違和感・・・・・・・・・戦い方がまるで本気じゃない。別の目的があるんじゃ・・・・・)

 大和はそう思うと視線を目の前の対象から逸らした。大和はあることに気付いた。先程まで倒れていた黒服の男達の姿が無かった。更に大和は廃工場から最後の黒服の男性を担いでいる全身タイツの男がいた。

『しまった!』

 大和たちが声を上げた瞬間、女性三人はその場から離脱すると同時にMK3A2手榴弾が安全ピンを外された状態で大和たちの元に放り込まれた。

「ふざけるな!」

 大和は拳を地面に向け突く。

「ブレングリード流血闘術62式、十字柱(クロイファーチェ)」

 十字の柱が手榴弾を空に上げ廃工場の上で爆発した。

「皆大丈夫か!」

「ああ。」

「なんとかね。」

「ありがとう、大和。」

「助かりました。」

「感謝します。」

 それぞれ大和に礼を言った。しかしそれと同時に敵と麻呂の犬を見失った。

 

「あーあ、折角捕まえたと思ったのに。」

「文句を言うな犬。だが依頼を達成出来ないのは悔しいな。」

 ワン子が文句をこぼすとクリスが注意するが、本人も悔しがっていた。

「まあまあ。案外キャップの側にいるかもよ。」

「あはは、まさか。」

 ワン子が大和の冗談を否定したすぐ後だった。

「おー、よしよしいい子だー。お前、歴史の麻呂にそっくりだなー。」

 麻呂の犬に餌を与えているキャップの姿があった。側には前輪がパンクした自転車が転がっていた。

「おっ!?皆、今帰りか?いやー、参ったぜー。パンク修理しようとしたら接着剤がチューブの中で騒いじゃってさー。しょうがないから自転車担いで帰ってきちゃったぜー。」

 そんな光景に百代たちは開いた口が塞がらなかった。

「あれ?みんなどうしたの?」

 そんな中、百代は気がかりなことがあった。

(あの刺客・・・・・・・・川神流の技を使っていた。一体誰が・・・・・)

 

 大和たちが去った廃工場では一人の男が7.62mmNATO弾を手にしていた。

「全く、あのガキ共が取引現場に来るなんてついてねぇ。お前ら、ご苦労だったな。オメーもよく回収したな。」

 男は後ろにいる女性三人と男に礼を言う。

「だが注文にはまだちょっと足りねぇな。もちっと仕入れてきますか、お客さん?」

 男の言葉に陰で微笑む者がいた。

 

 

 

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