「よっと。」
大和は校門の前まで来ると着地する。
「予定時間に間に合ったな。いくぞ、ライトニング。」
「キキィ!」
大和は川神学園の校門に入ると髭を生やしたおじさんが声を掛けてくる。
「おーい、ちょっといいかい?」
「はい?」
「君は今日編入してくる直江大和君かい?」
「はい。わたくし直江大和と言います。以後お見知りおきを。」
大和は丁寧に名刺を差し出す。宇佐美はそれを受け取る。
「これはご丁寧にどうも。おじさんの名前は宇佐美巨人だ。よろしく。」
宇佐美は手を差し出す。すると大和は手を握る。その瞬間宇佐美は小声で言った。
「放課後に一回の空き教室でまた会おう。ようこそ日本へ、HLのライブラ工作員。」
「っ!?・・・・・・・・・ええ。」
大和は微笑みながらそう答えた。
「ではまた。」
「おーう。」
宇佐美は適当に手を振って去って行った。
「諜報活動している人がいるって聞いたけどあの人か・・・・・・・・驚くね。」
大和はそう言うと職員室に向かった。
「失礼します、今日からここ川神学園でお世話になる直江大和です。」
「ん!来たか。」
大和の元に女性の教員が歩み寄ってくる。
「直江大和君だね?」
「はい、以後お見知りおきを。」
大和は丁寧に名刺を出す。
「これはご丁寧にどうも。」
女性教員はそれを受け取る。
「私の名は小島梅子。君の担任だ。」
「小島先生、よろしくお願いします。」
大和は頭を下げる。
「ふむ、社会人としてのマナーは出来ているようだな。誰かの教えかな?」
「ええ、私の師匠からの受け売りです。」
「余程良い師匠だったようだな。」
「ええ、向こうで一番と言っても過言ではないほどの人物でしたから。」
「そうか。では行くとしよう。」
「はい。」
大和は梅子の後に着いて行く。
「しかし驚いたな。」
「と言いますと?」
「君は三年間HLにいたのだろう?生きているのが不思議と周りからは言われないかい?」
「むしろ普通にいること自体がおかしいといわれます。」
「成程、向こうでは常識では考えられないことばかり起こるからか。」
「ええ、でも私の知っている人物で一般人と何一つ変わらない反応する人はいます。いい加減に適応したらと思うことも有りますけど。」
「それはそれで大変そうだな。と、着いたぞ。」
二人は二年F組の前まで来た。
「私が呼んだら入ってくるように。」
「はい。」
梅子が入ると騒がしかった教室が静かになった。
「入って来い。」
梅子がそう促すと大和は教室に入る。
大和の目に入ったのはワン子、ガクト、京、モロ、クリスの姿であった。
(あいつら同じクラスだったんか。F組を選んで正解だったな。)
HLから旅立つ前のこと
『え、S組じゃなくてF組!?』
『ええ、お願いします。』
スティーブンは大和の言葉に驚いていた。
『何でまた?』
『集めてもらった情報を整理するとS組はF組を見下している傾向がありますね。でも俺は・・・・・』
『そういう事か。分かったよ。こちらからも頼んでおくよ。諜報員の人が何かと手を回してくれるから心配しなくていい。』
『ありがとうございます。』
「では自己紹介を。」
「はい。HLから来た直江大和です。平和な日常自体に今も驚いていますがよろしくお願いします。後質問は三つまでお願いします。」
大和は頭を下げ挨拶をする。
「おお、紳士な対応するな。」
「そんな大和も好き!」
周りからはいろんな声が聞こえてくる。
(向こうと対して変わんないかな、川神は。)
大和がそう思っているとF組の委員長、甘粕真与が挙手をして質問をする。
「いいでしょうか?」
「ええ。なんでしょう?」
「その肩に乗っている猿は?」
「ああ、ペットのライトニングです。ライトニング、挨拶。」
「キキィ!」
ライトニングは手を上げて挨拶をする。
「向こうでは音速猿として知られてます。」
「なるほど。ん?音速猿?」
「速いんですよ、コイツ。」
大和はそう言うとライトニングの頭を撫でる。ライトニングは嬉しそうな顔をする。
「はい!」
ワン子が元気よく挙手をする。
「なんか武道はやっているの?」
「武道じゃないけど格闘術は習ったよ。向こうで生きる術で身につけたのもいくつかある。」
「じゃあアタシと決闘してくれる!」
「う~ん・・・・・・・・・・考えさせて。」
「えー。」
ワン子は不満の声を上げる。
「犬、向こうには向こうの都合があるんだ。自重しろ。」
「う~ん、クリがそういうんなら・・・」
クリスがワン子を注意しその場を収めた。
「では自分からもいいか?」
「今朝の子と聞きたいんだったらノーコメントで。」
「な、何故分かった!」
「なんとなく目がそう言ってたからかな?」
大和は苦笑いしながらそう答えた。
「んじゃ俺様が。向こうでの日常ってどんなの?」
「う~ん、あっちの方に住み慣れてるいつもの光景だと・・・・・・・・死人が出たり、車が落ちて来たり、銃撃戦があったり、超魔道的な物が隕石に当たったり、路上での販売があったり、ケガ人が出たりと・・・・・・・・まあ普通かな。」
『普通じゃないだろ!』
「うおっ!」
「キィッ!」
クラス全員声に大和もライトニングも驚いた。
昼休みになると大和は購買に買い物に行こうとていた。
「じゃあ行くか、ライトニング。」
「キィ!」
「大和―!」
「ほい。」
大和は声のするほうに手を出すとそこに吸い込まれるかのように京が飛んできた。
「むぅぅ・・・・・・・惜しい!」
「何処も惜しくないから。てか今日で二回目だ。自重してくれ。」
「そうやって私の闘志を燃やさせるのね。」
「何処をどうやったらそんな解釈出来るのかは知らないが違うから。」
大和は慣れた感じで流す。
「おーい、大和―。」
「ガクト。それにモロにワン子に・・・・・・・スマン、そこの人の名前は知らない。」
大和はクリスに謝罪する。
「いや、構わない。自分はクリスティアーネ・フリードリヒと言うものだ。気軽にクリスと呼んでくれ。」
「わかったよ、クリス。改めて直江大和だ、よろしく。」
「ああ、こちらこそよろしくな。」
二人は互いに握手をする。その光景を見ていた京は頬を膨らましていた。
(む~、やっぱり油断出来ないんだ!)
「ん?どうした京、そんな顔して?」
「なんでもないよ、大和。」
先程とは一転して笑顔で答える京。モロとガクトはその光景に恐怖していた。
(こ、恐~~~~~~~~~~~~~っ!)
(正直子の場にいるだけで京が恐いぜ!)
「それはそうと購買って何処?」
「ああ、一階の食堂にあるぞ。」
大和の問いにクリスが答える。
「ねえ大和、一緒に行こうよ。」
「ん、ああいいぞ。」
大和は席から立ち上がり一緒に購買に向かった。途中百代に絡まれたが何とかやり過ごした。