国会議事堂の前には国会議事堂を守る自衛隊と総理の政策に反対する暴徒集団、そして釈迦堂一味が対立していた。
暴徒集団の一人の男性が自衛隊の落とした武器を手に取ろうとした時、竜兵が止める。
「おい、手に取んな!銃を持ったら撃たれっぞ!数じゃこっちが上だ!肉弾戦で打ちのめせ!」
男性は舌打ちをし、渋い顔で立ち上がると何処からか声が聞こえてくる。
「肉弾戦なら俺様の出番だぜ!」
竜兵が声のする方向を向いた瞬間、暴徒の集団が一気に蹴散らされた。
「なんだテメェら?」
竜兵の問いにキャップが答える。
「風間ファミリー、参上!」
「めんどくせぇ。とっとと終わらせてかえっぞ。」
ゲンさんが相手にするのをメンドくさがる。
「生意気な野郎だ。潰されて泣くなよ!」
「おいおい、俺の顔も忘れてねえよな。」
「なっ!テメェは!」
大和の顔を見て竜兵は驚いた。
「大和、こいつは俺様が相手するぜ!」
「ほざけ!」
ガクトと竜兵の拳がぶつかろうとした瞬間、天使がゴルフクラブを持って跳んで来た。
「ヒャッホ!ウチも暴れるぜ!」
天使がゴルフクラブを振りかざそうとした瞬間、ワン子の薙刀が天使の攻撃を防ぐ。
「ゴルフクラブで攻撃なんて野暮な女ね!」
「なんだ!」
「川上一子よ!」
「小賢しい。いくよ!」
亜巳が棒をワン子に振ろうとするがクリスが防ぐ。
「なんだ!」
「クリスティアーネ・フリードリヒ、参上!貴様の相手は私になる!」
「よーし、あたしもやるー。」
辰子は近くにあった標識の根元をけると標識のコンクリートを粉々にし武器として持った。
「そーれそーれ!」
辰子が参戦しようとしたとき無数の矢が飛んでくる。辰子はそれを全て打ち落とした。
「おっと!」
「流石に反応はいいようだね。椎名京、相手になるよ。」
「なんでえ、折角楽させてもらえると思ったのに俺も出なきゃいけねぇのか。」
タバコを吸っていた釈迦堂はタバコを放り投げた瞬間、タバコは真っ二つに斬られる。
「っ!」
「千代田区は歩きタバコ禁止だぜ。」
「黛由紀江、見参!」
釈迦堂にまゆっちが立ち向かう。
「おいおい、こいつはちっと骨が折れそうだな。」
釈迦堂は骨を鳴らす。
一方自衛隊の装甲車が突然破壊された。爆煙の中からは橘天衣が現れた。
「おい。」
「!」
橘が振り向くとそこには大和の姿があった。
「俺の名は直江大和。アンタを止めに来た。」
「君はあの時の・・・・・・・・悪いが君の相手をしている暇はなっ!」
橘が続きを言おうとした瞬間大和は躊躇いも無く拳を突く。橘はそれに気付き回避し、距離を取る。
「悪いがアンタに纏わり付いてるもん、お祓いさせてもらうぜ!」
大和は仕込み指輪を両人差し指に嵌める親指を切る。
「我流血闘術、血の鎌(サイブデス)」
「ほう、百代はどうした?」
「百代姉さんにはあそこの暴徒の撲滅運動をしてもらってっから。」
「君が私に勝てるとでも?」
「アンタと同じように、俺も仲間がいるんでね。遠慮も手加減もしない。血闘術士・直江大和、推して参る!」
大和は橘に向かい跳び、左の血の鎌を振り下ろす。橘は身体を左に反らすと大和に左裏拳を喰らわせようとするが大和は右腕で受け止める。
「やるな。」
「そっちも。」
二人は同時に距離を取ると構え直す。
「ふっ!」
大和は血の鎌の刃をいくつも飛ばす。
「くっ!」
橘は防御を取るが義手義足に傷は付かない。
「硬い・・・・・」
「当たり前だ!伊達に元四天王であったわけではない!」
橘はそう言うと大和に急接近する。
『足元にトラップです!』
紗姫からの通信が入り橘は上に跳ぶ。大和とすれ違い様に見た者は簡単に足を引っ掛けるもの。だがもし引っかかれば血の鎌の刃によって足が斬られていた。
「小癪な真似を!」
「ちぃ!やっぱバックがいるといないとじゃ形勢が違う!ライトニング!頼むぞ!」
大和の叫びは紗姫の方にまで聞こえていた。
「ライトニング?っ!」
ゴスロリ服に銃剣付きの機関銃を持っていた紗姫は気配に気付き、その方向に剣を突くが銃剣と何かがぶつかる音が響いた。
「なにが・・・・・・・・・・・て、猿!?」
「キー!」
砂姫の目の前に現れたのはアルデライト製のメリケンを装備したライトニングの姿であった。
「猿とは言えどこの闘気、出来ると見た!」
「キー!」
ライトニングは音速猿の異名の如く音速に動く。
「速い!」
義眼でも追いつけない速さに紗姫は戸惑う。
「おい、どうした紗姫、紗姫!」
「無駄だ。アッチには俺の仲間が相手をしている。」
「・・・・・・・・・・そうか。ならば私自身の力で貴様を倒すまでだ!」
砂姫は右拳を放ってくるが大和は両手の血の鎌を十字に組み防ぐ。拳と鎌の鍔迫り合いの中、大和は橘に問う。
「なあ、あんたはこれでいいのか!」
「何を言っている!」
「アンタ達は人を殺すつもりなんて無い!分かってんだ!」
「餓鬼が生意気を言うな!」
橘は大和から距離を取るとミサイルを発射するが大和は血の鎌の刃を飛ばし、打ち落とす。
「ほんとは目に見えない敵の脅威を自衛隊に教えるためにこんなことしてんだろ!」
「黙れ!」
橘はCQCで大和に攻撃するが、大和はそれを防御する。
「国を、家族を、人を守りたい。」
「っ!」
「あんたが最初に叶えようとした夢だろ。」
「なんでお前が・・・・・」
「知り合いの人の多くに、最初はそう思っている人がいるんでね!でも、人尾を守りたい気持ちは俺にもわかる!」
「黙れ!裏切られたことも無いのに偉そうな口をいうな!」
「ああ、そうだ!裏切られたことなんて無い!俺に周りには、いつも支えてくれる人がいた。優しく、時に厳しくしてくれる。その中にある平和を、笑顔を守りたいって思うようになった!」
「現実はそうはいかない!」
「知ってるさ!」
大和は橘に蹴りを放つ。橘は腕を十字に組み防ぐが両脚から土煙を立てながら後ろに下げられる。
「三年前のあの日、俺は守れなかった!自分の無力さを憎み、ひたすら修行をした。けどそんな俺に師匠は現場に出させた!師匠は言った。“ただ力に溺れては大事なものを見失う”ってな。その意味がようやく分かった。アンタは俺だ、昔の俺なんだ!もしかしたらアンタのように俺もなっていたかもしれない。けどな、それじゃダメなんだよ!」
大和は血の鎌の柄の部分から血の糸(フィデュサグ)を伸ばすと、その血の糸を掴み血の鎌を橘に絡み付ける。
「でも、アンタは人を殺さない。いや、アンタには人を殺せない。」
「何のことだ?」
「戦車の上部を狙ったとき、人は死んでなかった。その前の戦闘でもだ。アンタは人を殺せない。」
「黙れ!」
橘は左の義手の拘束を力技で解き、銃火器に変形させ大和に向ける。
「死ねと言われてどれほど辛いかお前にわかるか?部下を危険にさらす気持ちが分かるか?」
「・・・・・・・わかんねぇよ。でもな!」
大和は左腕を横に引っ張る。橘は血の糸に引かれるがその際に銃火器を放つ。大和はそれを転がりながら避ける。
「どんな時だって、生きたいって思うんだよ、人は!」
「貴様になにが分かる!絶望的状況に現れたあの悪魔が、仲間を殺していった。楽しそうに、まるでゲーム感覚だった!私と砂姫は奴に情けを掛けられた!今だって生きているのが辛い!」
橘は右腕の拘束持ちから技で解くと大和に急接近し、大和の胸ぐらを掴み両脚の義手のブースターを点火させ上昇する。
「そいつは情けなんて掛けていない。ただの気まぐれで生かしたんだ!」
「・・・・・言いたいことはそれだけか?ならば・・・・・堕ちろ!」
橘は大和から手を離した。大和は地面に向かい真っ逆さまに堕ちて行く。
戦闘中だった風間ファミリーもそれに気付く。
『大和(さん)!』
大和は足に気を集中させ着地する。が、その衝撃は殺すことが出来ずに片膝を付く。
その時大和の後ろから暴徒が襲ってくる。大和は反転して応戦しようとしたときであった。
「この卑怯者が!」
「その面洗って出直して来い!」
英雄とあずみが大和に向かってくる暴徒を蹴散らした。
「英雄君、あずみさん!」
「九鬼英雄、出陣である!まっこと不愉快極まりない!全くお前たち風間ファミリーは王たる我を置いて活躍しようとする!」
「その通りです英雄様!〆ちゃいますか?」
「戯け!より良き世を創る上で大切なのは誰がやるかではない。何をやるかだ!大和、この九鬼英雄、全力を持って支援しよう!」
「流石で英雄様!名誉を捨てて民に尽くすとは王の中の王!このあずみ、感動しました!」
刹那、九鬼メイド部隊、マルギッテ、冬馬たちも暴徒を蹴散らしてゆく。
「・・・・・・ふっ。」
大和は微笑んだ。
「む!どうしたのだ?」
「こんなにも仲間がいるのが嬉しいんだ。今まで出会ってきた人たちとの絆がこんなにも大きくなるなんて思わなかったんだ。」
大和は橘を見る。
「英雄君、ちょっと離れてて。大きい技使うから!」
大和は両手の平を陰陽の如く重ね、手の平を仕込み刃出来る。溢れた血で大きな鎌が形成される。
「我流血闘術、断罪の血鎌(ファウキュウレデュサグディラコンダネーション)」
その光景に橘は驚く。
「いくぜ!」
大和は頭上で数回鎌を回すと刃を地面に突き立て、叫ぶ。
「我流血闘術、赦されざる血の柱(レコロンネデュサングクイネッストパスパーミス)」
地面からいくつの血の柱が現れる。それは橘がいる位置までの高さがあった。大和はそれに血の糸を張り巡らせ、足場を作ると糸の上に跳ぶ。
「なんだこれは?まさかこれで私が倒せるとでも?」
「ああ。ここは俺専用の闘技場。熟知しているからこそ出来る戦いを教えてやる!」
大和は糸をトランポリンのように撓らせると反動を利用して一直線に橘に襲い掛かる。橘は避けるが体に血の糸が絡められていた。
(すれ違い様に!)
大和は血の糸を張り巡らせた血の糸に掛ける形で下に降りる。
「くっ!」
橘は脚部のブースターの威力を上げ抗う。大和は血の糸を切る。ブースターの出力を殺すことが出来ない橘はそのまま上昇する。
「掛かった!」
大和は橘の真下から血の糸をバネに上に跳ぶ。
「バカめ!みえみえの戦法など・・・・・・っ!」
橘はそこから先の言葉を出す前に気付いた。数回しか見ていない血の糸よりも細い血の糸が自分の身体に纏わり付いていた。
「下に下がりまーす!」
「ぬぅ!」
橘は下に引っ張られ体勢を崩す。大和は橘より上に位置すると断罪の血鎌を振り下ろした。
「ぐぁっ!」
橘は地面に叩き付けられる。大和は断罪の血鎌に付けていた細い血の糸を解くと赦されざる血の柱に張り巡らされせいた血の糸の上に立つ。
「出来れば降伏していただけ無いでしょうか?」
「ここまで来て・・・・・・・出来るか!」
「・・・・・・・・・そうですか。ならばこちらも力技で貴方を倒させていただきす!」
大和はそう言うと、赦されざる血の柱の伝いながら下に下りる。橘は大和にミサイルを放つが大和はそこから跳び回避すると断罪の血鎌を振る。
「くっ!」
橘は左に避けるが鎌の先が掠り、右の技手の動きが鈍る。
「ちぃ!」
橘は大和同様血の糸をバネの様に使おうとしたが血の糸は撓らなかった。
「なに!」
橘は驚きを隠せなかった。
「はぁああああああああああ!」
大和は橘に接近すると断罪の血鎌と蹴りを組み合わせ攻撃する。
(何なんだこの場所は!さっきからあいつは何処からとも無く武器を・・・・・・・・・ちょっと待て。あいつは武器を出す前に必ず手を切っていた。何故?・・・・・・・・・・・まさかこれは全て奴の血!)
橘は戦いながら考え、そして気付いた。
「お前、自分の血を!」
「ああ、それが俺の戦い方だ!」
大和は断罪の血鎌で右の技手を指した。橘は断罪の血鎌を引き抜いたが配線が斬られ、使い物にならなくなっていた。
「くっ!片腕を壊されたか・・・・・・・だが!」
橘は壊れた右の義手をパージすると左の義手で掴み、大和に投げる。そして左の義手に内蔵されたミサイルを放つ。
「甘い!」
大和は断罪の血鎌を振り上げ技手を空に高く上げると、降った勢いを利用してバク宙し、ミサイルを上に蹴り上げる。ミサイルは義手に命中し爆発する。
「一気に決める!」
大和は断罪の血鎌を血に戻し、自分の中に戻すと十字もメリケンと籠手を装着する。
「ブレングリード流血闘術1式、重装密集形(フィンガーグリード)」
大和は一気に橘と距離を詰めると拳を連続して繰り出した。橘は防御を取るが、先程までの大和との戦闘による蓄積ダメージが左の義手にもきていた為、ものの数秒で壊れ、そして自身の身体に大和の拳を刻み込まれた。
(な、なんて思い拳だ・・・・・・・・・こんな拳を私は今まで受けた事が無い・・・・・・・そうか、今の私にはコイツの拳に込めているものがなかった。誰かのために、自分を犠牲にする、その覚悟が。なのに私は復讐と大義の両方を行おうとして、中途半端だった。これが、百代の弟、直江大和か。)
大和が拳を打ち終えると、橘にこう言った。
「赦し給え、憎み給え、諦め給え!」
その言葉を聞くと橘は後ろに倒れそうになるが大和は橘を支えた。
「どう・・・・・・・・・・・して・・・・・・・・?」
「助けるのに理由など要りますか?」
大和のその言葉に橘は微笑んだ。
「紗姫、聞こえるか?」
『・・・・・・・・・ええ。私の方も丁度負けました。』
「そうか・・・・・・・・終わりだ。」
『・・・・・・・・はい。』
数分後、橘と紗姫は風間ファミリーと九鬼たちの元にいた。
「さて、橘さん。お聞きしたいことがあります。」
「なんだね、大和君。」
「あなた方を襲ってきた奴は、鏡に映りましたか?」
「鏡?・・・・・・・・・・・・そういえば薄っすらではあるが銃火器が鏡代わりになって、その際に相手の姿は映ってなかったが・・・・・・・・・・どうした、そんな顔をして。」
橘が見る先には真剣な顔で考えている大和の姿があった。
「・・・・・・・・・・繋がった。」
大和がそう言った瞬間拍手が聞こえてきた。一同拍手がする方を向くとそこには新総理の姿があった。
「いやー、犯罪者を捕まえてくれてありがとう。国民を代表して感謝するよ。」
新総理は感謝の言葉を述べるが橘、砂姫は嫌な顔をし、大和は冷たい目で見ていた。
大和は静かに十字のメリケンを装備すると技名を言った。
「ブレングリード流血闘術22式、散弾連突(シュロートフィッシャー)」
大和は十字の手裏剣を新総理の腕目掛け跳ばす。それにより新総理の腕は切り落とされる。
が、その腕はすぐに再生した。大和は鏡で確認する。すると斬り落とされた総理の腕は鏡には映っていなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・あーあ、バレちゃった。流石“牙狩り”だね。」
「そういうアンタもだな、血の眷属!」
大和はゆっくりとモモヨ達から離れ、移動すると血の眷属も付いて行った。
「何時から?」
「襲われた時にうちのメンバーが気付いた。」
「そ。じゃあコレはいらないか。」
血の眷属はそう言うと全身をビリビリに引き裂いた。
「博士が作ったもの結構良かったんだけどねー。でもバレちゃー仕方ない。みーんな、死んでね。」
血の眷族の周りにはビリビリに引き裂かれた服と人の皮があった。
「ちょっと聞きたいんだけどその皮は死体から?」
「まっさかー。人工皮膚を使ったんだよ。死体の変わって手入れメンドーだからねー。」
「そうか。」
大和は両手の仕込み刃で両天の親指を切る。
「我流血闘術、血の鎌(サイブデス)」
大和は血の鎌を手に構える。
(あの人たちが来るまで・・・・・・・・・時間を稼ぐ!)