ザップとツェッドが血の眷属と時間稼ぎの戦闘をしている中、風間ファミリーはクラウスたちの登場に驚きを隠せなかった。
「な、なんなんだあの人たちは?いきなり出てきたと思ったらあの血の眷属を燃やしてるし。普通に戦っているし・・・・・・・・・・・や、大和の側にいるあの人物も誰なのだ?」
百代は風間ファミリーの誰もが思っていることを口にした。そんな百代の疑問にある人物が答えた。
「大丈夫ですよ。クラウスさんにザップさん、ツェッドさんも皆仲間です。」
『っ!?』
百代たちの側でスマホに字を打ち込んでいるレオナルドがいた。
「お前は・・・」
「あ、僕レオナルド・ウォッチって言います。あっちの白の人がザップさんで、半漁人の人がツェッドさん。そして大和君の側にいるのが師匠のクラウスさんです。」
「あの人が・・・・・」
百代たちはクラウスの方を見る。
「大和君、大丈夫かね?」
「ええ。まだ生きています。」
大和はクラウスに支えられながらも立ち上がる。
「師匠、俺はまだ戦えます。」
「無理を言うな!君の身体は―――」
「気で全身を強化すれば15秒普通の状態のように戦えます。それに・・・・・・・・ずっと後ろに付いて行くのではなく、隣に並びたいのです。」
大和の覚悟ある目を見るとクラウスは諦めた。
「仕方ない・・・・・・・・・レオナルド君。」
「こーなると思ってましたよ。」
レオナルドはそう言うと送信のボタンを押す。すると二人の携帯にメールが届いた。
「お、おい。さっき何を送ったんだ?」
「コレですよ。」
レオナルドは百代たちにメール内容を見せる。しかしそこに書いている文字は一般人には読めない文字であった。
「いくよ、大和君。」
「はい、師匠!」
大和とクラウスは籠手と十字のメリケンを装備すると構える。
「クラウス・V・ラインヘルツ。」
「直江大和。」
「「ブレングリード流血闘術、推して参る!」」
二人のブレングリード流が陰と陽の如く十字のメリケンを構える。
「おっと、下るぞ魚類!」
「言われなくても!」
二人は先程まで戦っていた血の眷族から距離を取る。
「ちょっ!何であいつらあいつから離れたんだ!」
百代は驚きを隠せなかったがその理由をレオナルドが簡潔に言った。
「簡単ですよ。あの二人が行う戦闘は巻き込まれる程度じゃ済まないからです。」
レオナルドの言った言葉の意味はすぐに分かった。
二人は同時に血の眷属に向かい接近し拳を突くが血の眷属は拳に変化させた髪の毛と自身の拳で相殺する。その拳は強く、速かった。双方共に劣らない強さを持ちながら戦っていた。その影響で周りの道路は壊れ始めていた。
「普通の戦闘じゃない・・・・・」
「ていうか、壊れてるよね。」
「うん・・・・・」
「正直、勝てる気がしない。」
「モモ先輩に勝った理由が分かります。」
百代たちは大和とクラウスの戦闘を見て驚いていた。しかし状況に変化は無く、打ち合いが続いていた。このまま行ったとしても血の眷族の方が有利になるのは陽の目を見るよりも明らかであった。
(きっかけを作る!)
大和は左の拳に気を集め、血の眷属に放った。血の眷属が大和の左拳を受けた瞬間、血の眷族の身体の半分が弾けた。
「なっ!?」
「いきますよ、師匠!」
「うむ!」
二人は十字のメリケンを血の眷属の身体に押し当てる。
「「エル・ムラーシャルヘ・ルトオルリ・ヌルレ・ホル・フェム・シャイファエーテ!」」
「何故私の名を・・・・・!」
「「貴行を密封する!憎み給え、赦し給え、諦め給え!人界を守る我が蛮行を!ブレングリード流血闘術999式、久遠棺封縛獄(エーヴィヒカイトゲフェングニス)」」
その瞬間、血の眷属・エル・ムラーシャルヘ・ルトオルリ・ヌルレ・ホル・フェム・シャイファエーテは血により密封され、一つの小さな十字架になった。それを大和は手に取る。
「よくやったね、大和君。」
「ええ・・・・・・・・・ありがとうございま・・・・」
大和は最後まで言い終える前に力が尽き、後ろに倒れそうになった。
「大和君!」
チェインが速く行動を起こし大和を支える。大和は気持ちいい顔で寝ていた。
「おつかれ、大和君。」
同時刻のHLでは裸獣汁衛賎厳がオルトロスを全て倒し、K.Kたちが後始末をしていた。
「ったく、あの日とやるべきことしたらすぐいなくなるんだから。でも、助かったから感謝しないとね。」
大和が目を覚ますとそこは見慣れた病院の天井であった。
「病院の天井・・・・・・・・・・そっか、またか。」
大和が身体を起こした瞬間百代たちとチェインが入って来た。
『大和(さん/君)!』
「ちょっ!」
六人は一斉に大和に飛びついてくる。が、大和の身体は戦闘によってボロボロとなっており、今それを受けると―――――
ポキッ
「あ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――っ!?」
大和の悲鳴が病院内に響き渡った。
薄暗い地下の研究室で一人、レディナ=オーレルは大和を襲撃しようと準備をしていた。
「よーしお前ら、コイツを殺してくるんだぞー。他の奴も殺していいからなー。」
「生憎だけど、そうはさせないよ。」
「誰だ!」
誰にも知られているはずの無い研究室にスティーブンがいた。
「君の敵とだけ言っておこう。それ以上は口を開く気は無い。」
「たった一人で生意気な・・・・・・・・殺れ、お前たち!」
レディナの指示でオルトロスたちは動こうとするが、その前にスティーブンが行動を起こした。
「エスメラルダ式血凍道、アヴィオンデルセロアブソルート(絶対零度の地平)」
その瞬間オルトロスたちは凍り、砕け散った。レディナは足だけが凍らされていた。
「こ、凍っただと!そうか・・・・・・・・・・・・お前らが“牙狩り”か・・・・・・・」
「まあそんなとこだ。君の罪はこんなものじゃない。仲間を傷付けた報いを受けてもらおう。」
スティーブンはそう言うとゆっくりとレディナに近づく。
「や、止めろ・・・・・・・・・!く、来るな・・・・・・・・!」
レディナは動きたくても動けず、徐々に迫り来るスティーブンに恐怖していた。そしてスティーブンは片足をレディナの胸に当てる。
「エスメラルダ式血凍道、ランサデルソルアブソルート(絶対零度の槍)」
一瞬にして凍らされたレディナは砕け散った。
スティーブンは足を下ろすと白い息を吐く。そしてケータイを取り出し電話を掛ける。
「もしもし、宇佐美君。後始末を頼むと。」
『了解です。相変わらずシャーベットは得意ですね。』
「まあね。君も戦闘員に戻ったら?」
『俺は結婚したいのでそっちからは手を引かせてもらいます。』
「K.Kの様にかい?」
『ま、そーっすね。姐さんの様に一生を一緒に添い遂げたいっす。』
「健闘を祈るよ。」
スティーブンはそう言うと携帯を切った。
「こういうのは僕の専門ってことだよね。」
大和がいる病室ではクラウス、大和、百代、揚羽、橘、サヒ紗姫の六人がいた。
「さて、橘さん。貴方が起こした行動は血の眷属によって起こされたとは言えど、許されるものではない。それはおわかりですね?」
「無論だ。」
クラウスの問いに橘は答えた。
「しかし貴方を我々は助けたい。故に、あの時あの場にいたのは貴方ではなかったと言うことに世間では報じられます。」
『なっ!?』
百代たち四人は驚きを隠せなかった。それを証明するかの様に大和はテレビを付ける。
《次のニュースです。新総理を襲った元四天王の橘天衣さんと元自衛官の水守紗姫さんと思われる人物は、全く別の人物であることが分かりました。警察の調べによると二人と思われる人物の合成皮膚が付近にあったことから別の女性と男性のDNAが検出され、二人は無実の罪を着せられたとのことです。コレを企てたのは新総理であり、現在警察は新総理を国際指名手配するように要請をしています。》
大和はテレビを切る。
「一応、完了に警察関係者にはそう言って事を収めさせてもらいました。」
「聞いておきたいのだが・・・・・・・・・・これはどうやってやったのだ?」
「我々の活動には政府関係者から依託されるのもあります。麻薬工場だけでなく海上での核の密輸入、殺戮兵器等と言ったのも我々の対処。表立って政府が対応出来ないものは我々が対処し、報酬を貰います。Win winの関係です。」
「君たちの組織は恐いものだな。」
揚羽が驚き、一周回って冷静になっていた。
「で、ここまでしたのには理由があるのだろう?」
「ええ。橘さん、紗姫さん。あなた方二人にご提案があります。」
「なんだ?」
橘は大和に問う。
「お二人とも、我々の仲間になって頂けませんか?」
『なっ!?』
一同驚きを隠せなかった。昨日まで敵であった人物を味方に引き入れようなど、常識の範囲では考えられないものであった。
「・・・・・・・何故だ?」
「理由は簡単です。この日本を守るためです。」
「どういうことですか?」
紗姫は疑問を抱く。
「我々ライブラの日本支部は、先日血の眷属との戦いによって戦闘員は壊滅、私一人日本にいて事実上の危険な状態です。」
「ですが貴方は元とはいえ四天王。そんな貴方がいてくれれば今後起きるであろう日本の危機を未然に回避できるのです。」
「それに私は、いつも闘えるってわけじゃありません。学校もあったり、生活があったりと個人の時間もあります。」
大和とクラウスの言葉を聞くと橘は納得した。
「成程・・・・・・・・だが裏で動くばかりで表ではどうするのだ?」
「ええ。そこに関しては揚羽さんと話をしています。」
大和が揚羽の方を見る。」
「ああ。大和君からの要請で学校用務員として働いてもらうことになった。非正規雇用と言うことで副業も可能だ。」
「公務員は出来ないのでは?」
「公務員は出来ないが、校務員は公務員ではないので出来ますよ。で。副業先はスポンサーでもある九鬼財閥です。」
「大和君との話しでライブラの活動では消耗品が激しいときいた。まあ、あの戦闘を見れば一目瞭然なのだがな。」
「成程・・・・・・・・・一応聞くが活動費の手当ては?」
「出ますよ。私も貰っていますし。」
「そうか・・・・・・・・・紗姫、お前はどうする?」
「橘さんに付いて行きます。」
「そうか・・・・・・・・大和君、クラウスさん。その話、受けさせてもらいます。」
大和とクラウスはそのことばを聞いて微笑んだ。
「よかった。正直断られたらどうしようかと・・・」
「しかしこうして仲間になってもらったのだ。良しとしよう。」
大和とクラウスが話していると揚羽が話し掛ける。
「二人とも、よろしいかな?」
「「なんでしょうか?」」
「今回のことで君たちには恩が再び出来た。出来れば食事に招きたいのだが・・・・・・・そちら世界にある名料理屋店で食事をしたいのだが。」
「「っ!?」
揚羽の言葉に二人は反応した。
「ど、どうしたのだ?」
百代が問うと大和は口を開いた。
「揚羽さん、もしやそこはヌーベルキュイジーヌアウデラーデ(新異界料理の店)モルツォグァッツァでは?」
「ああ。」
「大和、なんだその・・・」
「モルツォグァッツァ。現世と異界の料理を選りすぐりの料理人が調理した、正にこの世のものと思えない美味しさを奏でる料理店。」
「ほー。そんなところにお前が行くのか。いいなー。」
「安心しろ百代。今回の騒動珍札に貢献したお前たち風間ファミリーも招待する予定だ。そもそも、彼らの存在を知った時点で関係者だがな。」
「本当ですか!」
百代は嬉しく、声を上げるが大和は不安があった。
(この中で狂う人出ないといいな・・・・)
美味すぎるあまり狂わせてしまうモルツォグァッツァの料理への楽しみと、百代たちのことに心配する大和であった。
数日後、大和は退院した。
釈迦堂たちはライブラと協力関係を築き、三姉妹は川神に、釈迦堂は武器の入手、竜兵は放浪しながらも仕事を行った。
通学路にはいつものメンバーに加え、橘と紗姫も加わっていた。
「しっかし大和ってホント身体頑丈だよなー。」
「頑丈と言うより回復力が速いほうだがな。」
キャップが大和に感心し、大和はそれに答えた。
「でもよ、お前でも誰かの助けっているのか?」
「いるよ。レオナルドさんだったり師匠だったりチェインさんだったK.Kさんだったり・・・・俺一人じゃどうしようも出来ないよ。」
「ふーん。じゃあ俺たち風間ファミリーも、お前にとっての助けってことだな。」
「あはは・・・・・本当は巻き込みたくなかったんだけど。」
「いいじゃねーかよー。てか、この中の一人でも大和の今年ってたらそれこそ夫婦(めおと)になってたんじゃね?」
キャップの言葉に百代たちはある人のことを思い浮かべた。チェインである。
彼女は大和と触れ合う機会が多い。故に彼女の方が有利であった。
「それでも足りないかな。俺の手ってさ、ここまでしか届かないんだ。」
大和は皆の方を向き両手を広げた。
「一人の手じゃ高が知れてる。でも、多くの仲間がいればこの手を伸ばせる。俺はその手を何処までも伸ばしたいよ。」
大和はそう言うと前を向き歩き始めた。
届かない思いを届けたい彼女達は大和に声を書ける。
『大和(さん)!』
「ん?」
大和は後ろを振り向くと彼女達は一斉に言った。
『真剣で私に恋しなさい!』