島津寮での始めての朝、大和は身体を起こそうとしたが上手く身体が動かせなかった。
「ん?」
大和は自分の上に何かが乗っかっていることを感じ見て見ると京が大和の上で寝ていた。
「・・・・・・・・積極的というかなんと言うか・・・・・・・てかなにやってんだ、京?」
大和は呆れながらもするりと抜け、京に毛布を被せた。
「さてと、やっておくか。」
大和は着替えトレーニングを外で始める。
「ふ、ふ、ふ、ふ!」
いつも通りのトレーニングを行う。そんな光景を陰ながら見ている人物がいた。
まゆっちと松風である。
「なーまゆっち、アイツドンだけ人間離れした鍛え方してんだ?」
「そうですね、松風。あんなトレーニング私でもバテます。それでも大和さんは当たり前の様にやってのけています。正直手合わせをしたいって思います。」
そんな光景を見ている二人の気配を大和は感じていた。
(な~んか二つの気配を感じるな。でも片っぽは知らないな。)
大和はそんなことを思いながらトレーニングを終え、ランニングを始めた。
大和は川神の町を走る。
「変わんないなー、ここいら。」
大和は走りながら町の風景を見ていた。走っているとふと足を止めた。
「川神院・・・・・・・か。そういや姉さん修行しているんだっけ。」
そう呟くと再び走り始めた。
(師匠、俺を日本に派遣してくれてありがとうございます。正直里帰り気分です。結構こういう生活を望んでいたのかもしれませんね。)
そう思いながらランニングを続けた。
大和は島津寮に戻ると玄関で眼帯を付けた長髪で赤い髪の軍人の女性がいた。
(お客さん?)
大和はそう思いながら声を掛ける。
「すみません、何か御用でしょうか?」
「ん、君は?」
「わたくし直江大和と申します。以後お見知りおきを。」
大和はそういいながら名刺を差し出す。
「これはご丁寧にどうも。」
女性はそれを受け取る。
「私の名はマルギッテ・エーベルバッハだ。覚えなさい。」
「命令口調ということは年上と認識してよろしいでしょうか?」
「ええ。ですがクリスお嬢様と同じ学年で二年S組です。」
「S組ですか。さぞ人間性の苦労があるのではないでしょうか?」
「あながち間違っていませんね。個性的というより紙一重の人が多いので。」
「成程。」
大和は少しばかり同情する。HLにも個性が強い異界の住人がいたからである。
「わかるのですか?」
「ええ。HLに住んでいたので。」
「っ!?あの今後千年の覇権が掛かった場所にですか!」
「ええ。ですが何処の国もあの場所の覇権を握ることは出来ないでしょう。常識どおりに考えて行動しては命がいくつあっても足りません。」
「それほどまでの場所と言うことですか。貴重なお話ありがとうございます。」
マルギッテは頭を下げる。
「いえいえ、こちらもお話をさせていただきありがとうございます。話は大分逸れましたが今日はどのようなご用件で?」
「ええ、クリスお嬢様をお迎えにと思いまして。」
「ああ。でもまだ朝の7時ですよ。」
「速めの行動は三文の徳です。」
「それを言うなら早起きは三文の徳です。」
「そうでしたか。いやはや、日本語は難しいですな。」
「それは少し違うかと。文化が違えば言語や発言が違うのはお分かりですね?そう言った点を見ればなれない言語を言おうとするのは難しいことなんです。何処の国だからというのは少し誤表現です。ですが異国の言葉を、意味を理解し話すということは一種の才能と努力の賜物です。誇りに思ってください。」
「そこまで言われるとは、恐縮です。」
そんな話をしているとクリスがマルギッテに会いに来た。
「マルさん!それに大和も!」
「おはようございます、クリスお嬢様。」
「おはよ、クリス。」
クリスは二人が揃っていることに疑問を抱いた。
「二人ともなんで玄関に突っ立っているのだ?」
「先程直江大和と話をしていました。意気投合して結構な時間を過ごしたようです。」
「そうか。」
クリスはマルギッテの話を聞いて納得した。
「じゃあ俺は一旦着替えてくるわ。」
「ああ。」
「ではまた。」
大和は風呂に入り着替えると島津寮のメンバーと一緒に食事を取った。
通学路を登校していると百代とワン子と合流した。
「みんなおっはよー。」
「おーす。」
百代とワン子が挨拶すると各々挨拶をする。
「ん!マルギッテさんも一緒とは珍しいな。」
「川神百代、彼方とは今度戦いたいものだ。」
「だったら今ここでするか?」
一触即発の状態。そんな状況を大和が阻止する。
「はいはい、朝から物騒なこと言わないの。」
二人の間に大和は入る。その場にいた武に携わる者にはその凄さがわかった。
(一瞬で入っただと!)
(一連の動作に無駄が無い!)
(あの二人は互いに渡り合える実力よ!)
(なのに平然とやってのけている!)
(相当な実力!)
(すごい!)
そんな大和は何食わぬ顔で歩き始める。
「ん?早く行こうよ。」
「おー、大和今のスッゲーな!」
「キャップ、あんがと。」
キャップはただ純粋に大和のことをすごいと思った。
(大和、やはり私は――――)
(直江大和、私は――――)
((貴様/お前と戦いたい!))