大和が戦った後の夜、川神院で一人鉄心は焚き火に当たりながら考えていた。
「あの少年、直江大和と言ったかの。あの十字・・・・・・・・どこかで見た覚えがあるんじゃが・・・・・ふむぅ・・・」
鉄心は髭を撫でながら考えているとワン子が来た。
「じーちゃーん、ご飯だよー。」
「おー、わかった。ありがとのう、一子。」
鉄心は立ち上がり食事を取りに向かう。
(まあ、あの者からは邪念などと言ったものは何にも感じられんかったから大丈夫じゃろう。何より、戦う理由がアレでは余程のバカじゃなかろうか・・・・・・・・・いや、バカだからこそいいのかもしれのう。)
高笑いをしながら食事を取りに向かう鉄心であった。
恋をすれば変わるものがある。
生活習慣、食事、服装、etc・・・。
HLにある一つのアパートでチェインはベッドに仰向けに寝ていた。
「はぁ・・・・・・・・・疲れた。大和今どうしているだろう?」
チェインはそう呟き目を閉じる。
私が大和に出会ったのは今から二年と半年くらい前のことだった。まだ人狼局からライブラNY支部に派遣されて少し慣れた頃に新しい仲間として彼が来た。
「直江大和です。今日からこちらでお世話になります。」
律儀に頭を下げて挨拶をした時はエテモンキーに爪の赤を煎じて注射してやろうと思いました。最初は興味は無かった。でもクラウスさんの弟子と聞くと少し興味が湧いた。
それからは何気なく任務をこなしたりしていた。彼は純粋に優しかった。クラウスさんのように紳士で、時に獣のような本能と力を持ってた。
ある日彼が私がライブラに財布を忘れたと言って部屋に来た。当時の私の部屋は一言で言うとずぼら屋敷、つまりごみ部屋だ。軽蔑されると思った。けど彼はこう言った。
「部屋掃除、手伝いましょうか?」
彼がそう言うと私は何故かお願いと言っていた。彼の仕事の効率は早く、私が一日やれば綺麗になるであろう部屋を三時間足らずで綺麗にした。私は彼にどうして手伝おうと思ったのかと尋ねると彼はこう答えた。
「なんとなく、困っている感じだったからでしょうか。」
何故かその日から彼のことが気になり始めた。K.Kさんや同じ人狼局の仲間に聞くとなんと言うか・・・・・・・・・温かい目で見られた。その日以降、彼とは買出しの時とかで一緒に行動を取るようになった。暇な時は彼の子供時代にどんな日常を過ごしていたのかを聞いたりした。積極的に彼に抱きついてきたりする子の話を聞くとなんかこう・・・・・・心の奥底からこみ上げてくる感情があった。
そんな日常を過ごしていたある日のことだった。私がギルベルトさんに頼まれて買い物に行っていると突然道に大きなキメラが現れた。突然のことだったが私の不可視でその場から脱却し情報をスティーブンさんに伝えようとした。それが通常での判断だがふと女の子の鳴く声が聞こえた。私は声のする方を見ると女の子が地面に座って泣いていた。その瞬間私の身体は勝手に動いた。
考え無しに、ただ女の子を守ろうと思い抱き抱えた瞬間、キメラが私の方に口を大きく開けたて向かって来た。私に恐怖が走り動けなかった。
死ぬのだと思った。
「はぁあああああ!」
突然聞こえてきた男の怒号、その声には聞き覚えがあった。気付くとキメラは私から大分遠くに飛ばされていた。
「大丈夫ですか、チェインさん!」
助けてきてくれてのは大和君だった。汗だくで息を荒くしてここまできてくれた。彼の師匠、クラウスさんからの受け売りなのかもしれないけど私にとってその行為は嬉しいものだった。彼は私を助けにここまでしてくれたんだと思って。彼にとって当然の行為でも、私にとっては特別だった。キメラは後から来たクラウスさんとスティーブンさんと共闘して倒した。
その日の夜私は今まで抱いていた感情に気付いた。
彼を好きになってたんだと。その時私は笑った。
その日から私は彼にさりげなく積極的に行動した。でも彼は普通の男性の反応を示さなかった。朴念仁?と言うのか分からないがとにかくそういう人物であった。それでも私は彼が好きである。
「っ!?」
チェインは目を開き身体を起こす。
「・・・・・・・・夢の中で顧みてたんだ・・・・・・・・でもあの日のこと見れたからいいよね。」
チェインの顔はその時微笑んでいた。