真剣で私に恋しなさい!~川神の血闘術士~   作:ザルバ

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 大和がいつも通り朝のトレーニングを行っているとクリスが大和に話しかけてきた。

「大和、こんな朝からトレーニングか?」

「ん?ああ、クリスか。まあ向こうでもやっていた習慣だからな。」

「そうか。大和、少しいいか?」

「構わないよ。」

 大和はクリスの話を聞いた。金曜集会に招かれた時に自分が金曜集会自体を否定したことを話した。その時はキャップが治めてくれて事なきを得た。

「キャップが“大和ならこうしていた”と言ってな。その時自分の不甲斐なさを実感した。」

「仕方ない。人間は失敗からでしか学ぶことが出来ない生き物だ。」

「その言葉を聞くと大和もあるのか?」

「ま・・・・な。」

 大和の表情は何処か暗そうだったのでクリスはそれ以上言及はしなかった。

「なあ、大和。少し頼みを聞いてもらってもいいか?」

「なんだ?」

「私と・・・・訓練でいいから勝負してくれ。」

「何故?」

「自分が今どれほどの強さがあるのか知りたいんだ。」

「う~ん・・・・・・・・わかった。で、強さを知ったらどうする?」

「上を目指す。そして自分が今越えたい壁を越えて新しい目標に向かう。」

 クリスの迷いの無いまっすぐな目を見て大和は微笑んだ。

「いいだろう。武器は?」

「ここにある。」

 クリスはレイピアを出した。

「騎士との戦いには騎士とだな。」

 大和はそう言うと指輪を取り出し刃で指を切ると血のレイピアを作る。

「我流血闘術、血のレイピア(レイブ)」

 クリスは驚きを隠せなかった。

「驚いた・・・・・大和もそんな武器を使うのか?」

「まあ場所や目的によってな。鎌ばかりの戦いじゃダメだから器用貧乏にいろんな武器を使って戦うんだ。でもやっぱ得意分野は鎌だ。」

「そうか。だが私も負けられんな、騎士の誇りに掛けて。」

「その活きだ!」

 クリスは剣を抜刀し構えると大和も構える。

「来い!」

「はぁ!」

 クリスはレイピアを突いてくるがそれを大和は剣でなぎ払うとクリスの頭目掛けて横に振る。クリスは咄嗟にしゃがむと大和に脚払いをするが大和は前宙して回避する。

(あの状況からの機転は上手い。だが・・・・)

 大和は身体全体を使ってレイピアで突いていく。クリスはギリギリで交わしながらも追い詰められ、ついには壁に背を付けてしまった。

「しまっ!」

 クリスの顔にレイピアを突きつける大和。クリスは剣を下ろす。

「参った。私の負けだ。」

「ああ。」

 大和は身体に血を戻す。クリスも剣を収めた。

「クリス、最初のときの機転はよかった。だがな、クリスは剣を使うものとしての基本的な部分が掛けていた。」

「基本的な部分?」

「クリスはレイピアを突くとき何処を最初に動かすんだ?」

「手だが・・・・・何か間違っているか?」

「うん。最初に身体で行っていない部分が間違いだ。」

「どういう事だ?」

 クリスは大和が言っていることをわかっていなかった。

「ちょっと拳を前に出してみ。」

「こうか?」

 クリスは拳を前に出す。

「じゃあ俺が掌で腕だけで押すとこうなる。」

 クリスの腕が曲がる。

「うむ。間接で曲がるな。」

「これがクリスの腕だけの場合。そして身体を使ってだと・・・」

 大和は体を前に出した後に腕を出す。クリスは身体全体が押された。

「うおっ!」

「わかったか?」

「あ、ああ。身体全体だと威力も上がるな。」

「そうだ。それと同時に動きも取りやすくなる。腕だけだと動きづらいこと無かったか?」

「確かにあるな。マルさんと戦うときは次の行動に移すのに力が必要だった。」

「でもマルさんは教えなかったろ。それはクリス自身に気付いてもらいたかったからだ。なにも正解を教えるだけが勉強じゃない。時に黙って、本人が考えることで問題点を改良するのも一種の勉強だ。」

「成程。ありがとう大和。」

「いいっていいって。さ、早く着替えて飯を食おう。」

「そうだな。」

 

 風間ファミリーと登校していると大和はふと回りを見る。九鬼財閥の食品メーカー、機械、音楽などと言ったものが町にはあった。

「日本には九鬼財閥のが多いんだな。」

「あれ?大和が住んでいたHLには無かったの?」

 ワン子が尋ねる。

「多分展開出来なかったんだと思うぞ。あそこ辺境の極みだからな。」

「それって直訳すると危険すぎて利益よりも損害が多いってことじゃないの。」

「モロ、よく分かったな。」

「そりゃ向こうでの日常を聞いたらね。そういや向こうにはどんな人がいるの?」

「論より証拠。てわけで写真見せるわ。」

 大和は携帯をいじり始めると後ろの方から物音が聞こえてきた。

「ん、車か?」

 大和は後ろを振り向くと目に写ったのは人力車に乗っている額に十字の傷がある黄色いスーツを着た男と人力車を引くメイドであった。

「あずみ、一子殿の近くで止めてくれ。」

「わかりました英雄様!」

 あずみと呼ばれるメイドはその言葉通りに止める。

「おはよう、皆の衆!」

「おはよう英雄君。」

「うむ!朝から一子殿の挨拶を聞けるとは嬉しいわ!」

 黄色いスーツを着た英雄と呼ばれる者は一人元気に言っていた。

「すみません、私はこちらに着たばかりでまだあなた方の名を知らないのですがお名前を教えていただけますか?私直江大和と言います。以後お見知りおきを。」

 大和はそう言うと二人に丁寧に名刺を渡す。

「ん!誰かと思えば昨日、我がS組の不死川と間接的に決闘したものではないか。」

「ええ、確かに決闘をしました。しかしそんな自慢できることではありません。」

「そう謙遜するな!我が名は九鬼英雄だ!」

「メイドの忍足あずみです。」

「ところでその携帯に映っているのはなんなのだ?」

「え?ああ、これですか。」

 大和は携帯の画面を見る。

「向こうでの大切な仲間です。」

「向こう?それは何処だ?」

「HLです。」

 その瞬間二人は驚きを隠せなかった。

「そのような辺境の地で過ごしていたのか!?」

「ええ。ですが私の実力など師匠やその関係者に比べれば足元にも及びません。」

「ほう・・・・ではその人物の写真はあるか?」

「ええ。あ、中に半漁人がいますけど気にしないで下さい。」

 大和はそう言うとツェドの写真を見せた。

「向こうにはこんなのがいるのか!」

「ええ。HLでは常識を非常識、非常識を常識です。折れるより曲がったほうが正解です。曲がっても折れる人はいますけど。」

「成程のう。納得したわ。では皆の衆、さらばだ。あずみ、頼むぞ。」

「はい英雄様!」

 あずみは英雄を乗せ、再び人力車を走らせた。

「ワン子、なんだかお前しか見てなかった気がするけど気のせいか?」

「大和の読みは当たってるよ。」

「どういう事だ京?」

「あの人ワン子のことが好き。」

「へー。」

「でもワン子は暑苦しすぎて逆に好きじゃない。」

「本人がこの場にいなくて良かったと思う。」

 大和のその言葉に一同頷いた。

「じゃ、行こうか。」

 風間ファミリーは再び学校を目指し歩く。

「そういやワン子、あの英雄君って昔怪我したのか?」

「え、何でそう思ったの?」

「片肘だけ庇っているように動いてたからな。ちょっと気になって。」

「うん・・・・・・・実はね、昔事故で怪我したって。その怪我のせいで野球の夢を絶たれたんだって。」

「そうか・・・・(どの程度か分からないけどもしかしたら・・・・・・・・・いや、本人の意思と覚悟が必要だから無闇に言わない方がいいか)。」

「どうかしたの?」

「ううん、なんでもない。」

 大和はそう言うと考えるのを止めた。

 

 大和が昼休憩していると宇佐美からメールが来た。

「ん?」

 メールを開くと指定時間と場所が示されていた。

「必需品にバイク・・・・・・・どうやら日本でも穏やかな仕事じゃなさそうだな。」

 大和はそう言うと小梅先生に早退すると言い、島津寮のフェニックスを取りに走り出した。

 

 指定された場所、とある研究所に大和は赤のラインが入ったライダースーツに赤いヘルメットをかぶって待っていた。

「君がライブラの者かい?」

 研究所の方から白衣を着た人が現れた。

「私は――」

 その人は名乗ろうとした瞬間大和は手を出し静止させる。

「この場で互いに名を知っておくのは止めておきましょう。もし再開したときに今回のことを口にしてはいけないので。」

「そ、そうだな。」

「それで内容は?」

「ああ、コレだ。」

 男はアタッシュケースを取り出すと中身を見せる。中身には水晶体のものが入っていた。

「A―po1、こんな小さいがエネルギー量は原子力発電所一日分の発電量分のエネルギーがある。これをこの場所に持っていってくれないか?」

男は地図を見せる。

「結構山奥ですね。」

「ああ。面積は小さいがそれは表面上で地下が大きく広い。人気の無いこの場所で無いと取り扱えないんだ。」

「わかりました。しかし何故私達にコレを?」

「これはまだ試作段階だ。だが研究員が金欲しさに情報を売った。」

「それがテロリストに?」

 大和がそう言うと男は頷いた。

「研究員は用済みのようで殺された。」

「そうですか・・・・・・・分かりました。コレを責任持って届けます。」

「ああ、頼んだよ。これは私からの紹介状だ。コレをゲートで見せたら後は大丈夫だ。」

「分かりました。」

 大和は男からケースを受け取るとフェニックスの座席下の収納に入れロックを掛け、フェニックスのエンジンを起こす。

「気をつけてな。」

「ええ。ではさようなら。」

 大和はバイクを走らせる。

 

 人気の無い道路を大和はフェニックスを走らせていた。

「今のところ敵は・・・・・・・・・来たな。」

 大和がそう言った瞬間、山の中を荒い運転で道路に飛び出すジープが来た。

「さっそくか。」

 大和はバイクの速度を上げる。ジープから人が身を乗り出すとAK-47を乱射してくる。

「当たるか!」

 大和はジグザグ運転し、回避する。すると前からもジープが出てきた。

「ちいっ!仕方ないか!ちょっと後始末大変だけど!」

 大和は左手のグローブを外すと指輪の仕込み刃を出し、手を握る。

 手から血が噴出すと血の鎌(サイブデス)を作ると前のジープに血の糸(フィディザグ)と付けた鎌の刃を飛ばし、ジープに刺すとそのままバイクをきりもみ回転させる。ジープは振り回され後ろのジープにぶつけられる。

「喰らえ!我流血闘術、血の不死鳥(フォネニックデュブラ)」

 大和はぶつかったジープの方を向くと、フェニックス全体を覆うように血でコーティングした装甲を作り一気に加速しジープを突き抜けた。突き抜けられたジープは漏れた燃料奴婢花が発生し引火し爆発した。大和はブレーキ跡を残しながらバイクを横にして静止すると血の不死鳥を解き、ジープの方を見た。

「・・・・・・・・」

 大和は右の拳を自分の胸の前で握り祈りを捧げた。

「憎み給え、赦し給え、諦め給え。人界を守りし我が蛮行を。」

 大和は祈りを捧げるとバイクを走らせ、荷物を届けた。

 

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