今教室はあり得ない事が起きていた、人が天井にめり込んでいるのだ。原因は拳を上に振り上げた状態で立っている男、平和島静雄だ。普通アッパーカットをしたら通常なら弧を描いて背中から落ちる物だ、だが彼の場合は違った。何処ぞの裸の赤ん坊を連れた不良高校生のパンチの如くめり込んでいるのだ、しかしそれだけでは無い、めり込んだとしても頭か上半身が定番の筈だ.................それでもその考えは違った、今の織斑一夏を見てみると彼の”靴”しか見え無いのだ、もう一度言おう”靴”しか見え無いのだ
「ほら、早く席に着けそろそろ織斑先生の授業が始まるぞ出席簿を受けたいのか?」
俺が皆にそう言うと全員席に着いた、すると廊下から慌ただしい足音が聞こえた
バン!っと勢い良く教室のドアが開いた
「な、何なんですか今の音は⁉︎」
音の主は山田先生だった
「え?別に何もありませんでしたよ?ホラ」
俺は教室の中を見せた
「あ、本当だ何も起きて無い」
山田先生は天井の方は見ずにそのまま教室に入った、すぐ後に織斑先生と姉貴も来たが特に気にせず教室に入った
「ん?織斑はどうした?」
ヤベッ、ここで聞かれたか
「彼奴なら”上”にいますよ」
と答えた、あながち間違いじゃない
「上だと?全く彼奴は授業が始まったというのにーーーー」
「ああそっちの上じゃなくて”教室”の上って事ですよ」
俺がそう言うと3人とも天井を見た、其処には靴しか見え無い織斑一夏がいた。すると山田先生は顔を蒼白にしてバタンと倒れた、織斑先生は固まり、姉貴は顔を俯かせながら体をプルプル震えさせていた
「こんのぉ〜おバカ様‼︎」
何処からともなくハリセンを取り出し俺に飛び掛った、けど俺は避けなかった。だって”痛くないから”
スパァァァァァァァァァァァン‼︎
教室に気味のいい音が鳴り響いた
「何するんだよ」
「何するんだよ、じゃないわよ⁉︎如何して織斑君を天井にめり込ませたのよ⁉︎」
「初対面の歳上にいきなりタメ口で話してきた彼奴が悪い、常識ってもん知らねぇだろ」
チラッと織斑先生の方を見ると何だか申し訳なさそうな顔をしていた
「取り敢えず織斑君を保健室に連れて行きなさい」
「え?保健室に行く途中に更に酷くーーーーーー」
「篠ノ之さん、悪いけど織斑君を保健室に連れて行ってくれない?」
「.................チッ」
惜しい、後少しで織斑を犬神家にしてやったのに
授業後
「ちょっとよろしくて?」
不意に後ろから声を掛けられた、後ろを振り向くと如何にもお嬢様らしい雰囲気を漂わせる生徒が立っていた
「聞いていますの?お返事は?」
この時俺は若干この女に怒りを覚えた、多分アレだ此奴は女尊男卑に染まりきっている屑だ
「なんか用か?悪いが此れから織斑に止めーーゲフンゲフンお見舞いをしに行くところだ後にしてくれ」
「まあ⁉︎何ですのそのお返事は⁉︎平和島先生の弟と聞いて期待しましたが期待外れですわ!」
此奴、殺してぇ
「まあ私は唯一教官を倒したエリートですから、ISの操縦を教えてあげてもよろしくてよ?」
「何だ、お前も教官を倒したのか凄いな」
「な⁉︎貴方も教官を倒したのですか⁉︎」
「そうだが?」
「ま、どうせその教官が手を抜いただけでしょう?」
ああ?此奴今なんて言った?俺の教官《姉貴》が手を抜いただと?見ても無いくせにお前は姉貴を侮辱するのか?
巫山戯るな、お前が、お前如きが姉貴の何が分かるんだ‼︎
「.................るな」
「何かしら?よく聞こえませんわ?」
「.............巫山戯るな」
「巫山戯るなですって?巫山戯るのは貴方の方ではなくて?急に黙り込んで何を言うかと思えば、こんな風に育てた親の顔が見てみたいですわ。どうせその親も碌な人じゃないのでしょう」
ブチッ‼︎俺の親が碌な人じゃないだと?俺が騒動を起こして迷惑を掛けても許してくれる親が碌な人じゃないだと?
「お前に」
「何ですの?まだ何かーーーー」
「お前に俺の親の何が分かるんだ‼︎」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン‼︎
「全く、静雄も色々面倒な事してくれるわ」
「すまない佐紀、私の愚弟が余計な事を」
「いいのよ、千冬が謝る事じゃないわ」
「だがしかしーーーーーー」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン‼︎
「な、なんだ今のは⁉︎」
.................ヤバイ、これ程の音を出すなんて”あの時”以来だわ
「千冬、急いで空いている教員全員にISを装備させて」
「な、何故だ?この音と関係あるのか?」
「..........................静雄が本気で人を殺しに掛かっている‼︎」
あれ?此処は........何処だ?俺は確かHRの後静雄に話し掛けて.....................駄目だ思い出せない、其れに頭がもの凄く痛い。一体どうなってんだ?
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン‼︎
「な、なんだ今の音⁉︎」
爆発⁉︎いや、学園内で爆発なんてあり得ない。取り敢えず教室に行こう!
俺が教室に着いてドアを開けた瞬間、あり得ない光景が映った
「だ、誰が........だずげで」
泣きながら周りに助けを求める女生徒と
「まだ喋るか、口でも潰すか」
恐ろしい程の殺気を出した静雄がいた
「何....やってるんだよ」
「あ”あ”?」
静雄がこちらを見た瞬間俺は心臓を鷲掴みされる錯覚に陥った
「何をやっているかって?見りゃ分かるだろ?家族を罵った奴にお仕置きをしているまでだ」
「お仕置きって........こんなの半殺しじゃないか⁉︎」
彼女を見ると至る所殴られた痕や引き摺られた様な痕が見られる
「止めなさい静雄‼︎」
すると後ろから静雄のお姉さんが教師を引き連れて来た!
「邪魔するなよ姉貴、俺は此奴にお仕置きしなきゃならないんだ」
「落ち着きなさい静雄、一体何があったの?」
「............此奴が、此奴が父さんや母さんを碌な親じゃないとか言ったんだ。俺は其れが許せない」
「............其れでも彼女を傷つけるのは良くないわ、こっちに来なさい、何もしないから」
すると静雄は女生徒を放し、ゆっくりと平和島先生に近づいていった。そして平和島先生が静雄を抱き締めると
「急いでオルコットを保健室へ!他の教師は生徒を落ち着かせろ!」
千冬姉が的確な指示を教師達に言った、俺は静雄の方を見ると
「....ゴメン姉貴、俺、抑え、られなかった。姉貴や、父さんや、母さんを、馬鹿にされて、周りが見えなくなった」
静雄が泣きながら平和島先生に謝っていた
「落ち着いた?確かにオルコットさんに暴力を振るったのはいけない事だけど私や父さん達の為に怒ってくれたんでしょ?ありがとう、嬉しいわ」
その後、2人は教室を出て行きその場には沈黙が訪れた