King's Souls ~二人の王子の物語~   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 なんかキングスの記憶があいまいになったので設定をあまりいじらないで済むように書いてたら余計凄いことになってしまったかも。

 とりあえずこんな話もアリだろうと思ってくださいw




第九話;託す想い、受け継ぐ魂

~祈りの丘~

 

 

 その名は、アルフレッド王が王妃と共に平和を願い、祈りを捧げたことに由来する。

 

 だが王妃ノエルは病に倒れ、聖王は正気を失った。

 

 今や祈りを捧げているのは、墓に宿る思念のみである。

 

 

 

 

 

「ここでアレフさんは城を封印して死んだんだな……」

 

 

 ライル、ミーナ、アリオナはいま、この城を封印したアルフレッド王のかつての友、アレフ・ガルーシャ・レグナスの墓の前にいる。

 

 そしてその墓にはすでに使い物にならないであろうが光の力を秘めた剣『ムーンライトソード』が半ばから折れた状態で突き刺さっている。

 

 

「とりあえずこの剣はもう使い物にならないと思うけど一応持っていってみれば?

 何かに使えるかもしれないし」

 

 

 折れた剣を見ていたミーナはその剣を引き抜くとライルに渡す。

 

 

「そうだな、アレフさんが側についてくれるような気がするぜ」

 

 

 ムーンライトソードを背中に背負った鞄に詰めるとヴァーダイト城の前に立つ。

 

 

「ここからはアリオナの出番だ。

 頼むぜ」

 

 

「任せてくれ」

 

 

 短く答えたアリオナが一歩前に出てレオン・ショアに強化してもらった自身の愛剣『イシリウスルーンソード』を翳(かざ)す。

 

 するとまるで入る勇気があるのなら入って来いと挑発的な、入るのをためらわせるような雰囲気を辺りに発しながらゆっくりと門は開いた。

 

 

「ついにここまで来たか……」

 

 

 ライルはぽつりとつぶやいたがその一言は自然とその場の全員の胸に響いた。

 

 暗雲漂う不気味な場所ヴァーダイト城。

 

 かつてライルが幼い頃を過ごした地。

 

 

「さぁ、早く城の中に入ろう。

 アルフレッド王を……父さんを殺すために!」

 

 

 ライルは父を殺すことをすでに決めているようだがアリオナはまだ迷っていた。

 

 本当に殺すしかないのだろうか? と。

 

 

「あ、待ってライル。

 その前にしておきたいことがあるんだけど」

 

 

 門をくぐろうとしたところで羅いるはミーナに止められた。

 

 ミーナが城に入る前にしたいこと、それはかつてこの城ごとアルフレッド王を封印したアレフ・ガルーシャ・レグナスに会うというものだった。

 

 

「ミーナさん、確かアレフさんという人はすでに死んでいるのでは?」

 

 

「そうだぜミーナ、アレフさんはこの城と父さんを封印するために死んじまったじゃねえか」

 

 

「うん、だけどアレフさんは最後に会ったときに自分が死ぬことを知っていたみたいなんだ。

 だから自分が死んだあとライルの助けになれば、って言ってこの指輪を渡してくれたの」

 

 

 ミーナが取り出したのは何の変哲もない指輪。

 

 

「この指輪を城の前にある『竜の泉』に投げ込めばわかるって言ってたわ。

 だから城に入る前にこの指輪でアレフさんに会っておきたかったのよ」

 

 

 そう言って泉に指輪を投げ入れるミーナ。

 

 そして……出てきた。

 

 それはもう残留思念と呼ばれる類のものだろう、アレフはそんな状態としてだが三人の前に姿を現したのだった。

 

 

『……久し振りだねライル、それにミーナ。

 そっちの彼は知らないけど二人の協力者かい?』

 

 

「始めまして、僕はボーレタリアのアリオナと申します」

 

 

 アリオナは自己紹介した。

 

 そこでアレフは、ふむ、とうなずき語り始める。

 

 

「君たちはずいぶんと強い絆で結ばれているみたいだね。

 これなら私には出来なかったがアルフレッドの奴を正気に戻すことができるかもしれないな」

 

 

 その発言に三人は驚く。

 

 内心ではライルの父であるアルフレッド王を救うことは諦めていたのだがまだ救うチャンスがあるかもしれないというからだ。

 

 

「かつての私は剣も魔法も極めていた。

 それでもアルフレッドを倒せなかったから封印という手段を選んだんだ。

 だけどアリオナ君を見て確信した。

 かつての私は殺せなかったのではなく殺さなかったのだと」

 

 

 そしてアレフは三人を見て、

 

 

「だが今のままではアルフレッドには勝てないし救えないだろう。

 だから私はライルとアリオナ君に剣を用いた魔法『魔法剣』を教えよう」

 

 

「魔法剣?」

 

 

 アリオナにとっては聞きなれない単語。

 

 それもそのはず、ボーレタリアには魔術を武器に付与する魔法はあっても『魔法剣』という魔法自体は存在しないのだから。

 

 

「あのねアリオナ君。

 『魔法剣』ってのは特別な魔力をこめて作られた剣に自らの魔力を込めることでその剣の象徴的な魔法を発動させることが出来る魔法なの」

 

 

 物によっては延長線上を薙ぎ払う斬撃の魔法剣や光球を造り出し相手にぶつける魔法剣などバリエーションに富んでいる非常に使い勝手のいい魔法である。

 

 それから少しの間アレフに教わり、意外とあっさりアリオナとライルは魔法剣を身につけることが出来た。

 

 そうして二人が魔法剣を体得したのを見ると安心したようにアレフの体は霧となって消えていく。

 

 

「あぁ……これでようやく私は役目を完全に終える。

 アリオナ君、できることならライルだけでなくアルフレッドも助けてやってくれ。

 あいつも被害者なんだ。

 この国がこうなってしまった黒幕は他にいる」

 

 

「アレフさん、それはどういうことですか!?

 この国が滅びの一途をたどるのは父さんが乱心したからじゃないんですか!?」

 

 

 ライルは父の友であり、自身にとっても恩人とも言えるアレフに詰め寄る。

 

 アリオナもアルフレッド王の乱心というのはずっと疑問に思っていたが確信が持てていなかった。

 

 だがアレフが言うのならば間違いはないだろう。

 

 これでアルフレッド王を救うことに専念できる。

 

 

「ライル、これはむしろ僥倖だ。

 アルフレッド王が自分の意思でこの国を滅ぼしたのでなければ殺すかどうかで悩む必要はなくなった。

 ただ救えばいいんだ」

 

 

 アリオナの顔には迷いはなかった。

 

 救うと決めた以上、『殺さなければならないのではないか?』と言ったことを考えなくても済むからだ。

 

 ライルもその意味にようやく気付き、アレフはそんな二人を目を細めて見る。

 

 

「それではお別れだ。

 ミーナもこの二人……アリオナ君はともかくライルには苦労するかもしれないが仲良くしてやってくれ。

 友情を大切に出来ている内は決して人間は一人ではない」

 

 

 かつてのアルフレッドがそうだったように、そう言い残してアレフは完全に消えた。

 

 

「アレフさん……アレフさんが父さんを殺せなかったように父さんにもアレフさんは殺せなかったんだと思います。

 どんなに変わってしまっても友情だけは変わってなかったからなんですね」

 

 

 ライルはかつて父から自慢げに語られた話を思い出していた。

 

 

『私にとってアレフが一番の友であるようにアレフにとっても私が一番の友なのだ。

 だからお前もどんな時でも助けあえる真の友を見つけるのだぞ』

 

 

 それが幼かった頃のライルが唯一父から教わったことだった。

 

 

「ライル、僕は君の友として君のお父さんを必ず助けるよ。

 だから君も父さんを助けることを諦めないでくれ」

 

 

 アリオナは殺さない覚悟を。

 

 ライルは友を信じ、父を助けて国を救う信念を。

 

 そしてミーナはそんな二人を見守り、二人のことを大切に想う。

 

 そして三人はヴァーダイト城に入って行った。

 




 ムーンライトソードは無視しますw

 確か墓の中に入ってメレル・ウルを倒して折れたムーンライトソードを妖精に直してもらうという設定があった気がしますがその辺記憶があいまいなので矛盾が出ないように切り捨てちゃいますw
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