King's Souls ~二人の王子の物語~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
今回もありえない……とは言いきれないものの、これは本当にアリだろうか? 的なほどアリオナやライルが強くなりすぎたかもw。
~ヴァーダイト城一階~
そこはかつては他国の貴族や詩人が集う活気あふれる場所だったがその面影は今やどこにもない。
サロンであったその名残は広間のテーブルや醇美(じゅんび)な調度や建築に、わずかにとどまっているにすぎない。
今ではライル達を見つける度にドラゴニュートやドラゴマスターと言った魔物達が光魔法『ライトニングボルト』による爆撃を行う恐ろしい場所である。
モンスターの巣窟と化してしまったこの城はまさにこの世の煉獄なのだ。
「僕はこの城の構造について知らないんだけどこの城のどこを目指せばいいんだい?」
アリオナは初めて入る城の中を見渡すが、調度品もほとんどなく、あっても壊れた物ばかりという場所のため帰り道の目印になりそうなものがないのを気にかける。
「ああ、この城は地下もあるけど構造自体は二階建てなんだ。
だから二階にいけば父さんがいるはずさ」
ライルは歩きながら説明する。
立ち止まっていてはモンスターの巣窟と化したこの場所で生き残ることなど出来ないからだ。
現に先程から魔物達の攻撃が突然襲ってくることも多い。
「そういえば『聖王の鍵』と『回廊の鍵』ってのが必要だったはずだけどそれはどうするの?
さすがに城を封印する時に全ての鍵は掛けられた状態になってるはずだけど」
ミーナもこの旅で随分と逞しくなり、会話をしながらも弓で多くのモンスター達を狙撃していく。
「もちろんこの旅で身につけた力を使うのさ」
最初に現れた『聖王の鍵』で開ける扉の前に立つライル。
その扉は扉とは名ばかりで分厚い石造りの壁のような扉だった。
「うりゃあ!」
ライルの気合一閃。
彼の愛剣である『エクセレクター』を振り抜き、先ほどアレフさんから習ったばかりの魔法剣を発動させた。
「おっし開いた。
それにしても魔法剣ってのは強いんだな」
エクセレクターからは十文字の水晶が続けざまに射出され、その進行方向に存在したものすべてに深い傷を与えた。
「いくら魔法剣でも強すぎだよ!
ライルはここに来るまでにいったい何をしていたの!?」
アリオナも魔法剣はアレフに習っていたがライルのそれは明らかにアレフに習ったものとは違った。
「俺はアレフさんに習う前にもすでにグレインさんって人から魔法剣を習ってたんだ。
わかり易く言えばMOVE1とMOVE2の二種類の魔法剣を習ったことになるんだけどその二種類の魔法剣を混ぜ合わせたら破壊力が飛躍的に上昇したのさ」
グレイン・アスというのはかつてライルがアリオナと出会う前に立ち寄ったカズンの村で石にされているのを助けた人のことである。
その昔ライルの祖父、ハウザー・フォレスターの親友でもあり、もっとも勇敢な騎士でもあった男。
そもそもアレフによって城が封印される直前にライルを連れだしたのはグレインなのだ。
水晶細工師のレオンにライルを預けた後は魔物による被害が特に多いカズンの村にて身寄りのないロナとレシルという姉妹を護るために戦い、石となっていたところをライルに助けられたためにライルに少しの間剣の手ほどきをしていたのだ。
そして身につけたのが魔法剣。
アレフに習った魔法剣と混合することでその威力はこれまでの常識をはるかに超えるものとなったのだ。
「まっ、そんなことはどうでもいいさ。
それよりさっさと先へ進もう」
聖王の鍵を用いる扉を壊して進んだ後、次に現れた回廊の鍵を必要とする扉が現れた。
「今度は僕に任せてくれよ。
僕はグレインさんって人からは魔法剣を習ってはいないけどこれでもボーレタリアでは魔術も教わっていたからね」
アリオナは剣を正眼に構えてジッと扉を見つめる。
そして振り抜いた。
ザシュ、ジュクジュク
「うぅ~ん、イメージとは違う形になったけどこれも魔法だし問題ないか」
アリオナの斬撃、もとい魔法剣によって切られた扉は完全に腐食していた。
さすがに石の扉を切るではなく、腐らせるというアリオナの魔法剣にはライルもミーナも驚いたようだ。
「アリオナだってすっげーじゃん。
俺は石を腐らせるなんて発想はなかったぜ」
「これ人間相手に使ったらえげつない事になりそうね」
ライルとミーナの二人は切断面を眺めていたがその断面は石であったために腐って土のようにもろくなってはいるがそれでも悪臭が漂うということはなかった。
「これは僕の国にある『酸の雲』という魔法と混ぜた技だよ。
イシリウスの鍵を取り込んだ僕のルーンソードとルーンシールドは魔法の触媒としても使えるみたいだったからさっきアレフさんに習った魔法剣の発動手順の中にボーレタリアの魔術を混ぜただけなんだけどこの分なら他の魔法との融合も可能みたいだね」
自身でもあまりの威力に若干驚きながらも説明するアリオナ。
ボーレタリアにも元々武器に付与する魔法は存在するのでそれの応用みたいなものだとも語る。
こうして二階へと進む道は完成し、三人は進むことにした。
……
…………
………………
~ヴァーダイト城二階~
階段を上がった三人はライルの案内により迷うことなく一直線に王の広間へと進むことにした。
途中でエンペラーガードと呼ばれるかつて王の側近だった騎士の魔物に道を阻まれながらもこの国とアルフレッド王を救うために、諸悪の根源である真の黒幕を倒すために三人は迷わず立ち向かう。
「くそっ、さすがに王の広間へ向かう最後の通路だけあって出てくる魔物も手ごわいな」
「危ないライル!」
一瞬の隙が命取りとなるこの状況でライルはエンペラーガードの背後からの攻撃をまともに受けてしまった。
ミーナの注意のおかげでかろうじて反応することはできたが魔法と剣の両方を使いこなすエンペラーガードの攻撃は掠っただけでもとんでもない威力を秘めていた。
「よくもライルを!」
アリオナは奇跡『反魔法領域』を発動することでエンペラーガードの魔法による攻撃を止めた。
「サンキュー、アリオナ。
このまま勢いに任せて血路を開くぜ!」
ライルが剣で切り裂き、アリオナはその隙に奇跡『神の怒り』を発動させ、大半を吹き飛ばす。
そして討ち漏らした敵をミーナが狙撃する。
そのコンビネーションは何年も一緒に過ごしてきたかのような息の合いようだった。
「はぁはぁ、どうやら最後の王の広間についたみたいだな……」
ライルが後ろを振り返るとアリオナとミーナも多少の疲れを感じさせてはいるが最後の戦いだということに対する緊張の方が勝っているようだ。
「それじゃ開けるぞ。
アリオナ、ミーナ、これが最後の戦いだ!」
ライルが押すと、王の広間の扉はゆっくりと開いた。
そこはアルフレッド王がいる場所。
かつてアルフレッド王がまともだったある日、この場所で王は何者かと戦っていたそうだ。
だがその戦いが終わり、みなの前に姿を現した王はすでに生気を失っていたという。
これは神ならぬシースとギーラによって翻弄され続けた王の宿命だったのかもしれないが、ライル達三人の手によってその決着がついに着こうとしていた。
ヴァーダイトの時間を取り戻すために、最後の聖戦が幕を開ける。
「よく来たな息子よ。
封印が解けたことで我も復活出来たのだからお前にも感謝してやろう。
だがすぐに我に殺されることになるのだがな」
アルフレッド王はそう言うと魔力を集め、それを一気に解放し、ライル達に向けて放った……
聖王の鍵や回廊の鍵の入手経路を今更書くのもどうかと思ったので省略しました。
というかどうやって取ったのかあんまり覚えてないですw