King's Souls ~二人の王子の物語~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
闇の白竜シースと光の黒竜ギーラとは世界を支える神、大地の神ヴァラドが分裂して誕生し、世界を混沌へと導く存在。
大地の神ヴァラドは弟子(?) としてル=ア=イシリウスにその事を伝える。
さらにその後、ル=ア=イシリウスは弟子にとった(?)大魔導師オルラディンにヴァラドから聞いた話を伝える。(「イシリウスから全ての力を受け継ぐことにもなったオルラディンは絶望のふちに立たされた」という説明文があるので本当に師弟関係かどうかなどの詳しい事は不明)
さらにさらにオルラディンは二人の弟子、ツェデックとシュドムにもその事を教える。
しかしその後、オルラディンの弟子二人は死んでしまいその事を誰にも語らなかったために知る者はいなくなった。
という流れらしいですけど調べても詳しくはどうにもわかりませんね。
キングスは調べても調べても分からないところが多すぎるw
なので何か作中でおかしな点があったらドシドシ言ってきてください。
とりあえず今回はついにアルフレッド王とライル達三人の戦いです。
アルフレッド王の放った一撃は人間の魔力で出来たとは思えないほどの大きさだった。
ライルもミーナもその一撃を目の当たりにし、一瞬だがその迫力にのまれ、自らの死を覚悟するほどだった。
そのため避けることも叶わぬほどにアルフレッド王の放った魔法との距離は縮まり、あと少しで直撃するというところまで迫ったのだが、ここにいるのはライルとミーナだけではない。
本来なら関わるはずのないイレギュラーな存在。
三人の中でアリオナだけは、唯一この状況にのまれていなかった。
「はぁっ!!」
素早く一歩前に出て、イシリウスの加護を得たイシリウスルーンシールドを構えることでアルフレッド王の一撃を防ぎきったのだ。
「……我の魔法を防ぐことが出来る者がいるとはな。
お前の名前を聞いてやろう?」
アルフレッド王は驚いているでもなく、恐怖しているわけでもなく、ただただアリオナに興味を持った。
この観察能力こそアルフレッド王が賢王たる所以である。
意識を乗っ取られている状態であっても名実ともに最強と呼ばれるに足る、賢王の風格は今だに衰えを見せていない。
「僕の名はアリオナ。
ボーレタリアのアリオナだ。
ライルとの友情のためにあなたを助けに来た」
「ほほう、我を助けるとは随分な物言いじゃないか。
我は現状に満足しておる。
お前のような小僧が我に勝てるとでもおもっとるのか?」
その瞬間アルフレッド王は先程までがお遊びであったと言わんばかりに圧倒的なまでの殺気と魔力を放つ。
「こ、これがアルフレッド王なの!?
もう完全に人間をやめてるじゃない!」
「確かに。これは人間とは思えない。
やはり父さんを救うことはもうできないのか!」
あまりの気迫に気圧されたミーナとライルの心は絶望に包まれてしまった。
もうこのまま死んでしまうのではないかと。
アリオナでさえ、これほどの実力差があるとは思っていなかった。
必死に正面を見据えてレオンに強化してもらった剣と盾を握りながら、グーリンに強化してもらった兜の下で滝のように流れる汗をかく。
だが、
「勝てないからって諦めることはできないよ!
ライル! ミーナ! 僕らは全てを救うために戦ってきたんじゃないか!
アルフレッド王が強くても諦めるという選択肢が無いんだから戦うしかない!
勝てなくてもいい、救うんだ!」
元より相当の実力者を相手に殺さずに勝つことを目的にしていたのだから自分が死ぬことも覚悟の上だ。
それでも守りたいものがあるからこの場にいる。
それを思い出した故にアリオナは自らが率先して活路を開くことにした。
「はぁぁぁぁぁぁー!」
「ぬぅぅぅん!」
アリオナとアルフレッド王の剣がぶつかり合い、火花を散らす。
すぐさま剣を引いて二撃、三撃、四撃と剣で切りつけるアリオナ。
アルフレッド王もそれに応戦して二撃、三撃、四撃と受けて、いなして、回避する。
「(考えるんだ。
なにかしら方法はあるはず。
アルフレッド王は何者かに操られているだけなんだ)」
「アリオナ!
くそっ、ミーナ俺達も突っ込むぞ!」
「ええ、必ず勝つわよ!」
アリオナの勇気はライルとミーナの心に再び火をつけた。
だがそれだけで勝てる相手ではなかった。
確かにアルフレッド王はかつては人並み外れた『知』によって賢王と呼ばれていた。
しかしその名の由来は政(まつりごと)だけでなく、剣の腕でも国で随一という文武両道で極めているからなのだ。
そのため実力で劣るアリオナ達は三対一だというのにその体に小さいながらも徐々に傷を増やし、段々と動きも悪くなってくる。
「ふはははは!
まさか我を相手にするのがこの程度の若造とはな!
……三対一で我を打倒し得ないようでは我の上におるお方には勝てやしないぞ」
ポツリと。
そんな風にアルフレッド王は言った。
まるで自分に勝ってほしいかのように。
「ライル、聞こえたか?」
「ああ、聞こえた」
その言葉は自分の意思で話すことすら出来なくなっているアルフレッド王の最後の自分の意思による叫びだったのかもしれない。
「二人とも!
気を抜いてちゃダメよ!」
ミーナの声で我に返るライルとアリオナ。
二人はさらに気合を入れ直し、激しく剣戟を続けるがアルフレッド王は隙を見せなかった。
そうする内にアリオナの頭の中に、聞き覚えのない声が響いた。
『アリオナ、お前にも協力してほしい』
まるで脳に直接響くような声がだった。
『私はお前の剣と盾に宿ったル=ア=イシリウスだ
お前がこの国に来たことでこの国の運命は大きく変わり、ライルが私の眠る『始まりの地』を訪れなかったためにこうしてお前に話しかけている』
アリオナはアルフレッド王との攻防を続けながら黙って聞く。
『どうやらライルは私の弟子のオルラディンの元にも行っていないようだからな。
私の師匠、大地の神ヴァラドが残した真実をお前に伝える。
心して聞くのだ』
アリオナは心の中で静かに肯く。
ル=ア=イシリウスと言えば大魔導師オルラディンの師匠だというのはどこかで聞いたことがあるがまさか大地の神ヴァラドの教えを受けた者だとは思わなかったのだ。
その人物がどういう訳か剣と盾を通じて話しかけてくるのなら聞く義務が自分にあると思ったのだ。
『我が師、ヴァラドは多くの人々を救いたいがために神として世界の秩序を守っていたのだが、自身から闇の白竜シースと光の黒竜ギーラを誕生させてしまったためにヴァラド自身が消滅してしまったのだ。
そのために残された二頭の竜によって現在の混沌たる状況に陥ってしまった。
だからアリオナ。 お前とお前の仲間に私たちの時代の罪を清算させるのは歴史を築いてきた先人としては口惜しいが助けてほしい。
そのためにお前にはさらなる力を渡そう』
そこで会話が一方的に終わるとアリオナの来ていた鎧が光り輝いていく。
「どうしたアリオナ!?
何か魔法でも食らったのか!?」
先ほどのイシリウスとの会話はライル達には聞こえていなかったようでアリオナの突然の変化に驚いていた。
そして光が収束するとアリオナの纏っていた鎧は、これまで使っていたフリューテッドの鎧ではなく、イシリウスの加護を受けた金と黒の鎧へと変化していたのだった。
「これは……」
アリオナは眼の前のアルフレッド王に向き直ると、今も連続して剣を振ってくるアルフレッド王の剣に自分の剣をぶつけて……砕いた。
「な、何!?
我の剣を砕いただと!?」
突然のことに困惑するアルフレッド王。
だがそれとは反比例にアリオナ当人はいたって冷静だった。
「なるほど。 これがイシリウスの言っていた力か。
これを使ってアルフレッド王を救い、この国の現況、闇の白竜シースを撃ち滅ぼせということか……」
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!
我が負けるはずなどない!
竜の力を得た我の攻撃が通じないはずがない!」
すっかり取り乱してしまったアルフレッド王は醜くうろたえる。
その姿はとても賢王とは呼べない不様なものだった。
操られていなければ、その精神がアルフレッド王のものだったなら、ここまで困惑したりはしなかっただろう。
だが、アリオナの目の前にいるのはアルフレッド王の体を乗っ取っただけの別の存在。
「アリオナ君の力が今完全にアルフレッド王を越えたのね。
それにその鎧の色……もしかしてル=ア=イシリウスと会ったの?」
信じられないという表情だが他に考えられないと言うミーナ。
「ル=ア=イシリウス……まさか実在の人物で、今この状況でアリオナに話しかけていたってのか……」
ライルもあまり詳しくはないようだがさすがにイシリウスの話なら昔話の一つとして聞いたことがあるのだろう。
アリオナの鎧を見てイシリウスの力の一端の凄さを知ったようだ。
そしてアリオナははっきりとした口調で言う。
「そうだよ。
これはル=ア=イシリウスが大地の神ヴァラドから頼まれていた仕事。
後の世に現れる世界を混沌へと導く二匹の竜を殺すための装備だよ」
そして剣を振り上げるアリオナ。
もはや勝負は決まっていた。
「さぁ、アルフレッド王を解放するんだ!
闇の白竜シースを倒して!」
その言葉とともに剣を一振り。
アリオナが振った剣はアルフレッド王ではなくその後ろ。
王の広間の玉座の後ろにかかっていた王家の旗印を切り裂くとその後ろへ通じる道が開かれた。
それと同時にアルフレッド王はそのまま意識を失った。
それはアリオナ達がアルフレッド王との戦いに勝ったということなのか。
はたまたこの先はアルフレッド王を操っていたモノが自身で決着をつけてやるという意思表示なのか。
「行こうライル、ミーナ。
アルフレッド王はもう大丈夫。
この先にいる白き竜を倒してこの国に平和を取り戻すんだ」
だがはっきりと分かるのはアリオナの眼には先ほどまでのアルフレッド王とは対照的に、未来への希望と道を切り開く勇気で明るく輝いているということだ。
まるで空に輝く綺羅星のようにその魂(ソウル)を燃やしながら。
なんか自分らしくないくらいに熱い、というか古臭いセリフや展開のオンパレードですけどこれもいい経験ですね。
次話が闇の白竜シースとの闘いです。
戦闘描写はあまり得意ではないですが熱くシリアスなバトルが展開出来ればと思っています。
あと二話か一話ででヴァーダイト編は終わりだと思います。