King's Souls ~二人の王子の物語~   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 これにてシースとのバトルは終了。

 でもギーラと違ってシースってあんまり竜っぽくない外見なんですよね。

 とりあえずモンハンの方の話と合わせてキングスの二大ドラゴンを出しましたし、これから先の私の小説でドラゴンが出てくることはもうないかな。

 あと書いてないドラゴンで書きたいのなんて「ぷよぷよ」のドラコとか亜人系しかいませんし。




第十二話:竜の最期

~闇の白竜シース~

 

 この世のすべてを破滅に導こうとする大昔の神の分身。

 

 大地の神ヴァラドより分裂して生まれた存在。

 

 その姿は人のように四肢があり、二本の足で歩行をするがその動きは人間など比べもにならない。

 

 白く輝く体。背中にはまるで天使のような羽を生やしているがその正体は天使などとは程遠い、破壊の権化と言っても過言ではないだろう。

 

 

 

 そのシースのいる部屋に入った瞬間三人は誰からともなく体が硬直し、その後襲ってくる圧倒的なまでの恐怖に体は自然と震えだした。

 

 

「な……んだよこれは。

 これが俺達が倒すべき存在なのか?」

 

 

 ライルはそう言ったがそれは強がりからではなく。その圧倒的な存在感にのまれているだけなのだろう。

 

 

「どうやったらここまで人の心を不安にさせることができるの……

 これはもう人がかかわるべき存在じゃないわ」

 

 

 しんがりを務めていたミーナは手にしていた弓を落してしまい。奥にいる神の化身とでも表現できそうな竜の姿をまともに見ることが出来ずに視線を逸らす。

 

 

「……それでも戦わなくては駄目なんだ。

 勝たなくちゃ駄目なんだ。

 負けられない理由があるんだから……」

 

 

 アリオナも身体の震えは止まらないし出来ることなら今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られる。

 

 だがそれでも踏みとどまっているのはここで逃げたとしてもこの目の前の存在を放置してしまえばこの大陸そのものが滅んでしまうのが簡単に予測出来たからだ。

 

 たとえ逃げても目の前のこの竜はこの世の全てを破滅に導くのだから。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 

 

 その竜の叫び声は絶望。

 

 覚悟を決めようとも、その決意がどれほど固いものだったとしても、避けたくなる。

 

 逃げようとしてしまう。

 

 なのに三人は逃げなかった。

 

 それは勇気からでも義務感からでもない。ましてや子どもの英雄願望なんかでもない。

 

 それぞれが魂で感じたのだ。

 

 これは自分たちが立ち向かうべき宿命なのだと。

 

 

「相手が強いってのは諦める理由にはならない!」

 

 

 先陣を切ったのはライル。

 

 育ての親、レオン・ショアによって作られた愛剣エクセレクターを握り、父親の無二の親友アレフ・ガルーシャ・レグナスと、その父の師匠にして自身の祖父の友人でもある騎士グレイン・アスの三人から託された思いを受け取って鍛え上げた剣と魔法の融合技、魔法剣を放つ。

 

 

 シースは避けるのが面倒だったからなのか敢えてライルの魔法剣を受けた。

 

 ダメージこそは大したことはないようだが、それでもライルの全力を受けたからかその動きには若干の鈍さがあった。

 

 

「攻撃を続けていれば必ず隙が出来るはずよ!

 私も負けない、逃げない、諦めない!

 だから私たちは必ず勝つ!」

 

 

 ミーナはライルの魔法剣で動きが止まったところを狙って闇の白竜シースの関節部分を狙撃した。

 

 この攻撃も痛手を負わせることもなく、間接部位に当たっただけで刺さることもなく地面に落ちた。

 

 だがミーナの矢はただの矢ではない。

 

 エルフの長年にわたって積み重ねられてきた知識と技術の集大成による一撃は確実に間接部位の内側の筋組織にダメージは与えたはずだ。

 

 

「この戦いが避けられない宿命なら、僕はその宿命に則ってお前を倒す!」

 

 

 アリオナは二人の攻撃が完全に決まった状態のシースめがけて飛びかかり、その胸にイシリウスの加護を得た剣を突き立てようとした。

 

 だが……その一撃が届くことはなかった。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 

 

 シースはライルとミーナの攻撃を正面から食らって微動だにしなかったのは何の痛痒もないために、避ける必要がなかったからに他ならない。

 

 もちろん全くダメージを与えなかった訳ではないだろうが、シースにとっては三人の攻撃は児戯に等しいものなのだろう。

 

 自分の意思で動かなかっただけなのだから飛びかかってくるアリオナの動きも手に取るように分かっていた。

 

 

ガキィン

 

 

「なっ!? 僕のイシリウスの加護を受けた一撃をつかみ取ったというのか!?」

 

 

 アリオナの一撃は完全に見切られていたためにシースによって止められてしまった。

 

 そしてそのままシースは剣を握ったままのアリオナを投げ飛ばし、壁に叩きつける。

 

 

「ぐぁぁっ!」

 

 

「アリオナ! しっかりしろ!

 俺達の攻撃を避けなかったシースがアリオナの攻撃だけ掴んで止めたということはその剣による攻撃はシースにも有効な証拠だ!」

 

 

 ライルの発言は的を射ていた。

 

 シースはアリオナの剣の力を分かっているからこそ受け止めたのだ。

 

 だが、だからと言って渾身の一撃を見切り、なおかつ受け止めるだけの強さを持ったシースに一撃をぶつけることが出来るかどうかという問題は残るのだ。

 

 シースは最初はゆっくりとした動きだったが三人が攻撃の手を止めたことで今度は自分から動きだした。

 

 

シュン

 

 

 あっという間に距離を埋めたシースは最初に一番近くにいたライルの背後に回り込みその神に等しい人間とは比べものにならない魔力を打ち出してきた。

 

 

「ぐぉぉぉっ!」

 

 

「「ライルっ!」」

 

 

 ライルはその一撃で大きく吹き飛び、アリオナ同様に壁に叩きつけられる。

 

 アリオナとミーナは同時に叫びおれぞれに体を硬直させるが、すぐに立ち直りシースに向かって攻撃を再開した。

 

 だがその二人の攻撃もシースは予知しているかのように軽く避ける。

 

 自然な動きで滑らかに。

 

 

「この野郎!」

 

 

 シースの攻撃を受けて倒れたライルだが、どうやら打ち所が良かったのか、攻撃を受けた背中部分の鎧が僅かにシースの膨大な魔力による焦げ跡が付いているだけだった。

 

 そしてアリオナとミーナの攻撃を避けてたを体勢少し崩していたところにライルの剣がぶつかり、今度はシースが派手に吹き飛ばされその体に見た目で分かるほどの傷をつける。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」

 

 

 それは怒声。

 

 圧倒的なまでの存在感、殺意、見る者を恐怖の虜(とりこ)にする自身に傷をつけたライルに対する怒りであった。

 

 

「へっ、さすがは神様の片割れだな。

 あの程度じゃたいしたダメージもなさそうだ」

 

 

「でも少しだとしても確実にダメージは与えたよ。

 必ず僕らは勝てる!」

 

 

 ライルの一撃が決まったことは小さなものかもしれないがそれは圧倒的な力を振りかざすシースの発する恐怖によって折れかけていた心を支えるだけのものがあった。

 

 

「……でもライル。あなた今の攻撃でもう立っているのもやっとなんじゃないの?」

 

 

 しかし現実は甘くない。

 

 ミーナは気づいていた。

 

 

「……やっぱミーナにはばれちまったか。

 ろっ骨の骨折と、それに内臓はグチャグチャに掻きまわされたような感じだぜ。

 正直いま倒れたら立ち上がれる気がしない」

 

 

 ライルも自分で分かっていた。

 

 もうこれ以上の戦闘が不可能だと。

 

 それでも立ち上がり、シースに一撃を与えることが出来たのは仲間を守るため、国を守るため、そして運命に対して自分の生き方を真っ直ぐに貫くためだったからだ。

 

 

「ライル……」

 

 

「心配するなアリオナ。

 俺はこの程度で死んだりはしない。

 ここで諦めたら俺にとっては身体が無事だったとしても心が死んでしまうからな」

 

 

 額にあぶら汗をにじませながらも笑顔で応えるライル。

 

 そしてすぐに真剣な顔でいまだ正面に居座り続けるこの国を滅ぼした元凶を見つめる。

 

 

「俺に策がある。

 アリオナ、ミーナ、ここから先は何があっても俺を信じてくれ」

 

 

 ライルが背中に受けた魔法による怪我は内部の破壊を目的としたものだったらしく、軽く見た感じには出血もなく、鎧についた跡も大したことはないように見えるがその実、内臓への損傷は確実にライルの命にかかわるものだった。

 

 本当ならアリオナもミーナもライルを連れて引き返し、また日を改めて勝負をするということをしたいのだがここで今行われていることは殺し合い。

 

 人間と竜の譲れぬ殺し合いなのだ。

 

 

「わかったよライル。

 君の策に乗ろう。

 僕は何をすればいいんだい?」

 

 

「アリオナにはあの竜にトドメを刺してほしい。

 人間のような体構造をしているから頭を砕けば一撃のはずだ。

 ふがいない話だが俺にはその力はないからな……」

 

 

 ライルはアリオナと目を合わせることなく、ただシースを睨んだまま話しかける。

 

 すでに内出血が酷いのか、目も霞んできているのだ。

 

 

「私はどうすればいいの?」

 

 

「俺がシースの動きを封じたら奴の手足を撃ち抜いてアリオナがシースの頭部への攻撃に集中できるようにしてやってくれ」

 

 

「ライルはどうやってあいつの動きを封じるんだ?

 あれはそう人間の力で拘束出来るほど弱い存在じゃないよ」

 

 

「そいつはこうやるのさ!」

 

 

 ライルは説明は終わったとばかりに自分の剣を構え、シースを正面に捉える。

 

 

「これから何があっても目を背けるなよ。

 チャンスは一度きり、さっき言った役割をまっとうしてくれよ」

 

 

 そしてライルは魔法剣を放った。

 

 否、確かに魔法剣を放ったのだがその方向はシースとは正反対。

 

 つまり真後ろに放つことでその威力を推進力に変えてシースに特攻をしたのだ。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 

 

 だがもちろんシースも黙ってそんな体当たりを食らうほど間抜けではない。

 

 確かにライルの体当たりの速度は人間なら避けるのが難しいかもしれないが神の力を持つ闇の白竜シースはその動きが完全に見えていたので避けようとした。

 

 そう。避けようとしたのだが、

 

 

「それをさせないために魔法剣をぶつけるのではなく、俺自身が飛んで来たんだよ!」

 

 

 風を切る矢の如き速度で体当たりを行ったライルは避けられたのに気づいた瞬間両手を広げてシースの首に腕を絡め、最後に密着したシースの身体と自分の体に愛剣エクセレクターを突き刺すことで繋ぎ止めたのだった。

 

 すでにライルには剣を使わなければシースを拘束出来るほどの力は残っていなかったのだ。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

 

「いまだー! やれー!!」

 

 

 ライルの腹からはエクセレクターが刺さったことで先ほどのシースの魔法で体内に溜まっていた血が勢いよく流れだし、床を赤く染める。

 

 シースもライルを振りほどこうともがくが、水晶細工師レオン・ショアの作りしエクセレクターによって繋ぎとめられたライルの命がけの拘束を振りほどくには至らない。

 

 

「―――――――――っ!」

 

 

 ミーナはライルがこうするのが分かっていたのか涙を流しながらもその手はしっかりと弓を握り、四本の矢を同時に引いてシースの四肢に突き立てた。

 

 ライルの拘束によるためか今度の一撃はシースの手足を容易く貫通し、動きをさらに鈍らせる。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 シースの絶叫。

 

 最後はアリオナの仕事。

 

 トドメを刺すためにために飛び上がり、先ほどは封じられてしまった当たれば一撃で確実に切り裂けるだけの力を込めた自身最大の一撃を決めた。

 

 

「(シースは一体何を考えていたのだろうか……)」

 

 

 アリオナは最後にそんな事を考えたがその疑問に答えてくれる存在はいない。

 

 そうしてアリオナの一撃を、イシリウスの加護を受けた剣による一撃を受けたシースは先ほどまで放っていた圧倒的なまでの存在感を徐々に薄れさせながら霧のように消えて行った。

 

 それは三人の勝利とともに、この国が救われた瞬間でもあった。

 




 なんかシースを強くしすぎたかも。

 しかもライルが剣で自分とシースの体を抜いとめてアリオナにトドメを刺させるとは強い敵相手によくありがちな倒し方ですし。

 まぁ、この物語で死人が出ることはたぶん無いのでライルは助かります。

 これでキングス編が終わったら次はデモンズ編としてオーラント王を救うための戦いに突入ですね。

 この物語の目的の一つはオーラント王を「読んで楽しむデモンズソウル」の方で救えなかったからでもありますし。

 では次回もお楽しみに♪
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