King's Souls ~二人の王子の物語~   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 ライル登場!

 なんか自分で思っていたイメージとは違う形になっちゃいましたがアリオナとは違うキャラにするならこんな感じでもありかもな~、と思っています。



第六話:二人の王子の友情

 グーリンとミーナが部屋を出て行ったあとアリオナは考えていた。

 

 自分が修行の旅に選んだこの国で自分がするべきこととは今この国に蔓延っている魔物を退治するだけでなくこの国を救うことにこそあるんじゃないかと。

 

 

「それにしてもビヨールからもらった暗月草の回復力は凄いな。

 この分なら夜までに動けるようにはなりそうだ」

 

 

 自身の身体の状態を確認し、結果的に怪我はしたもののミーナを救い自分も死なずに済んだのだから今回の戦いはそれほど悪くない成果だったのだろう。

 

 アリオナは強さの比較が規格外の人間の中で育ったため自分の強さに気づいていないのだろうがガランリザードは最強と呼ばれるだけの魔物なのだ。

 

 それを仕留めたことでアリオナはさらに大きく成長し、その経験は今後の戦いでも彼を助けることとなるだろう。

 

 

 そんな事を考えながらも今は傷を癒やすことを第一に考えベッドにもぐり眠りにつく。

 

 

「……父上、今日僕は異国の地であっても次期ボーレタリア王国の王として恥じない行いをし、一人の女性の命を救えました。

 次に会う時には必ずや一回りも二回りも成長していることを約束します」

 

 

 ポツリと独り言のように、だが遠く離れたボーレタリアの地にいるオーラント王に届けるかのようにアリオナ。

 

 だがその少女趣味にも似た行いを少しだけ恥ずかしく思い、毛布を頭から被るとそのまますぐに眠りについた。

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 そして夜になるとアリオナの身体のすっかり回復し、看病に来たミーナも驚くほどのものだった。

 

 

「かなり深い傷もあったのにこんなに早く治るなんてすごいですね。

 せっかくですし夕食はみんなで食べましょう。

 部屋に閉じこもっていては気が滅入ってしまいますし」

 

 

「そうだね。

 僕もお腹空いたよ。

 この薬草も国を出る時に僕の恩師がくれたんだけど効果はすごいみたいだね。

 僕の恩師は修行の時はとても厳しく鍛えてくれたけどものすごく過保護だったからこの修行の旅に出ることを決めた時も最後まで説得するのには苦労した人なんだ。

 だけどこんな高価な薬草まで持たせてくれるなんてそれだけ僕のことを想っていてくれたんだ……」

 

 

 アリオナはビヨールのことを思い出す。

 

 ビヨールは不器用な男だったが彼は彼なりにアリオナの事を何よりも大切に思っていたのだ。

 

 アリオナの修行の旅は生まれた時から王家の決まりとして決まっていたので、ビヨールはついて行く事が出来ない分修行には力を入れていたのだ。

 

 

 事情を知らない者が見れば幼い頃のアリオナに対するビヨールの修行はあまりにも厳しすぎるものだったがその修行をやり遂げるアリオナも修行をつけるビヨールもお互いに言葉を必要としないくらいに繋がっていたのだ。

 

 事実こうしてガランリザードとの戦いに見事生き残ったことがビヨールの思いやりによるものだったのだから。

 

 

「さぁ、食事にしましょう。

 上でグーリンさんもお腹を減らして待ってますよ」

 

 

 そうしてグーリンの元へと向かい食卓を囲んで質素ながらも暖かな食事が始まる。

 

 アリオナはこれまで王族として実の父親とすら食事を共にしたことがなかったので誰かと一緒に食べる食事の美味しさに新しい発見をした気がした。

 

 

「誰かとの食事ってこんなに温かいものだったんだな……」

 

 

 アリオナは独り言のつもりだった。

 

 だが食卓を囲む二人には聞こえていたようだ。

 

 

「アリオナ君は誰かと食事をしたことがないのかい?」

 

 

 少し聞きづらい風に言ってくるグーリン。

 

 そしてそれに耳を澄ませるミーナ。

 

 

「ええ……僕はこれまで厳しく育てられてきたので食事もずっと一人だったんです。

 母は幼い頃に死に別れてしまいました。

 ですが仕事に忙しい父も周りの人たちも僕のことを愛してくれていたので僕は幸せでしたよ」

 

 

 そうアリオナははっきりと言った。

 

 みんなに愛されて今日まで生きてきて、今日もまたビヨールの渡してくれた薬草が、父のくれた剣と盾が大きな支えになっていることを改めて感じたのだ。

 

 

 と、そんな事をアリオナが考えていると家の扉が勢いよく開かれ青ざめた顔の一人の青年が入ってきた。

 

 

「ミーナ!無事か!?」

 

 

「あ、ライル君だ。

 どうしたの突然?」

 

 

 ライルという青年は息を切らし、随分と急いでここまでやってきたのだろう。

 

 だが、ライルはミーナを見ると最初の緊迫感の漂う雰囲気を崩し、その場に座り込んで安堵の表情を浮かべる。

 

 

「……宿屋で君がガラン渓谷に向かったことを聞いて急いで駆け付けたんだ。

 どうやらまだ洞窟の中には入っていなかったんだね。

 君が死んだら俺はどうしたらいいのかわからなくなってしまうじゃないか」

 

 

 どうやらライルはミーナを心配して駆け付けたようだ。

 

 崩れ落ちて涙を流すライルと近寄るミーナを見ればその関係もうかがえるというものだろう。

 

 

「ふむ、君がミーナのお友達のライル君じゃな。

 ワシはここで鍛冶屋をしているグーリン・ホドルブじゃ。

 それとミーナはすでに洞窟に入って死にかけたがこのオストラヴァ君という青年が命がけで助けてくれたんじゃよ」

 

 

 ライルの視線がオストラヴァに向く。

 

 

「はじめましてオストラヴァと言います。

 グーリンさんは僕がミーナさんを助けたと言いますけど結局は僕も怪我をして大した活躍は出来なかったんですけどね」

 

 

 そんな控え目な態度のアリオナを見るライルは一瞬驚いて何かを言おうとしたが、そのまま黙った。

 

 

「それでもミーナを助けてくれてありがとう。

 俺はライル。

 このヴァーダイト王国の王子にして魔物がはびこる原因となった父、アルフレッド王を倒すためにイシリウスの鍵を探しているんだ」

 

 

「ねぇねぇライルもそんな堅苦しい挨拶なんか終わりにして一緒に夕飯を食べましょ。

 その様子からするとまだ食べてないんでしょ?」

 

 

 怪我の回復に体力を使ったのでお腹が減っていたミーナの一言により会話はそこで終了。

 

 こうしてライルを交えての4人の食事は賑やかで暖かなものとなりアリオナは食事を終えるとなんとも形容しがたい充足感を感じながらベッドに潜り眠りにつく。

 

 

「人との食事がこんなに楽しいなら僕が王になったらその辺は変えていこうかな……」

 

 

 ベッドに横になりながら一人考えるアリオナ。

 

 そんな事を考えていると夜も深くなってきたのでアリオナは枕もとの蝋燭を吹き消し静かに眠り始めた。

 

 だがそこでアリオナの借りた部屋の扉がゆっくりと開かれた。

 

 

「オストラヴァさん、起きてますか?」

 

 

 声をかけてきたのはミーナだが足音は二つ。

 

 

「……ええ、起きてますよ」

 

 

 起き上がって目を凝らして見るとミーナの後ろにいたのはライルだった。

 

 

「すまないな。

 どうにもあんたに確認しておきたいことがあったんでこんな夜中に押し掛けちまったよ」

 

 

 アリオナは話をするために蝋燭に火を灯し、二人に体を向けるとライルが聞きづらそうにしながらもそう言ってきた。

 

 

「なんですか?」

 

 

「実は俺はさっきも言ったようにこのヴァーダイト王国の王子なんだがその時の王族貴族のパーティーの一つであんたを見たんだよ」

 

 

「私もライルに言われるまではまったく気付かなかったけど確かに私もオストラヴァさんには以前に会ったことがあると思うの。

 私はただの商人の家に生まれた町娘でしかないけどこの国の王家とは繋がりも深いからけっこうそういうパーティーには参加していたんだ。

 それにグーリンさんがオストラヴァさんの鎧修理する時に言ってたんだけど、あの鎧ってボーレタリア王家の専属鍛冶師による技術が使われてるって言ってたわよ」

 

 

 アリオナ自身はあまり好きではないのでそういう催しに参加することは少ないが一国の王子としての責務として何度かは参加したことがある。

 

 どうやらそこで見られていたようだ。

 

 

「……知られてしまったのなら隠すのも失礼ですね。

 では改めまして、僕はこの国の北に位置するボーレタリア王国の王子、アリオナというのが本名です。

 僕の国では次期王となる者は修行の旅に出ることが王家の義務として定められているのでこの地を修行場所として無用なトラブルを避けるために本名を隠していたのです」

 

 

 素直に頭を下げるアリオナ。

 

 

「いや、隠していた秘密を聞いてしまって悪かったな。

 会って間もないのにこんなことを言うのは変かもしれないけど、あんたとは本音で語り合える友になりたかったからさ」

 

 照れ隠しなのだろう、ライルは頭を掻くがその表情は真剣だった。

 

 

「僕も君みたいな友人が欲しかったんだ。

 僕は旅の目的としてこの国を救いたかったんだし君たちさえよければ三人でこの国を救わないかい?」

 

 

 アリオナは修行の旅における目的としてこの国を救おうと考えていたが、ライルとはそれを抜きにしても初めて会ったときから友となりたかったのだ。

 

 

「俺もお前とは仲良くやっていけそうだ!

 アリオナ、ミーナ、これから一緒に頑張っていこうぜ!」

 

 

「もう、ライルってば本当に熱くなりやすいんだから。

 アリオナさんもライルの扱いは大変だと思うけどこれからの旅でも一緒にがんばりましょうね」

 

 

「ああ、この国を救って魔物の被害などに苦しむ人々をたくさん助けよう」

 

 

 こうして後の世に語り継がれる賢王と呼ばれる二人の王子が友情を深めたのだった。

 




 キングス3をプレイしていた時はライルの一人称を「僕」と仮定してゲームを進めていたのですがこの物語ではアリオナと被るので「俺」にしました。

 アリオナも「デモンズソウル」では一人称は「私」ですがこの作品では未成年なのであまり固くなるのもどうかと思ったのでアリオナは「僕」、ライルは「俺」でいきます。

 少しぶっきらぼうな感じが目立ちますけどこれはこれで新しいライルな気がします。

 まぁ、ライル個人の性格や話し方といった設定資料は一切ないからどう書こうが自由なんですけどねw
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