ドラセナの残したもの 作:歩実
今まで自分はいち平凡な子供だと、そう思っていた。
ただ、村で幸せに暮らしていればよかった。
けれど時はそれを許さず、村は焼かれ、幸せは奪われてしまった。
運命は残酷なもの。
・・・イヅキの友達は言っていた。
その通りだな。一番幸せだった頃のまま、時が止まってくれればいいのにと、何度も願った時もある。
それはいつも叶えられないまま。
イヅキの国、ドラセナ。
先ほど、村が焼かれたにもかかわらず、思い出だけは失いたくなかったイヅキは、自分でも知らない不思議な力を使って村を守った。
そのあと、それを見たドラセナの騎士が自分は皇族だ、と言う。
初めは信じられなかった。
自分が皇族だなんて。
けれど、だんだん真剣に自分のことを見つめ、答えを待っているドラセナの騎士を見ていると、嘘を言っているようにも思えなかった。
「あなたたちの目は、嘘はありません。今は、信じます。・・・けれど、なぜ自分が皇族だと、お分かりになったのですか?」
イヅキは確証が欲しかった。
自分が皇族だという証が。
「・・・さきほども言いましたように、まず皇族の証の証拠の一つは、イヅキ様が飛翔型を倒された力・・・・竜の力です。あの力は、まず皇族でないと目覚めません。皇族であっても、その力が覚醒するのは珍しいのです。」
村を襲おうとしたあの飛翔型を倒した竜の力。
それが皇族であることの証。竜の力は、この国を守る赤竜にその心を認められない限りは覚醒しない。
つまり、イヅキはその精神を赤竜に認められたのだ。
「証拠の一つは、とおっしゃりましたよね?もうひとつあるのですか?」
イヅキがそう言うと、騎士は頷いた。
「確かに、証拠はもうひとつあります。・・・けれど、それは皇帝陛下から固く禁じられております。
申し訳ありません。」
「皇帝・・・」
ドラセナの皇帝。
イヅキはあったことも見たこともない。
今さっき知らされたのだ。自分の父親がドラセナの皇帝だと。
当然意識するはずもない。
「わかりました。今すぐにでもボクは皇帝陛下に謁見をしましょう。」
「・・・・・!!!わかりました。皇帝陛下にお伝えします。イヅキ様は少し待っていてください。」
そう言って騎士達は皇宮の方に急ぎ走って行ってしまった。
「ようやく時は動き始めた。私の望むままに動いてくれるかしら?きっとあなたは心も体も強いのでしょうね。ああ・・・・・あなたを する時が今から楽しみだわ。」
「大丈夫よ。心配なさんな。あの子はきっとここまで来るわ。かつて父上がたどり着いたように。」