艦これMAXスピンオフ? 「兼業提督の浮かない日誌」 作:かちゅーしゃ
あの大作戦からしばらく経った頃。
ここ、囲炉裏城司令部は戦中と変わらない喧騒と静けさを保っている。
大作戦での被害は多くはないが少なくもない。
だが、轟沈を出さない方針で運営していた囲炉裏城司令部としては、轟沈する艦娘を出してしまった事が何よりの被害であった。
そして、司令部も少なからず被害を受けている。
大作戦が終わってしばらく経った今でも、一般開放されている空港の滑走路の一部が修復中である事が、被害の甚大さを物語っているだろう。
天龍率いる遠征部隊は資材を集めるのをやめて、呉鎮守府近海の安全を守るために遠征部隊としてではなく出動している。
それまで遠征部隊が集めていた資材は呉鎮守府から給付される分だけでまかなうようにしているため、司令部の修復がなかなか進まないのだ。
だが、司令部にいる艦娘総出で近海の安全を守るために出動しているのが功を成しているのか、現状の司令部の艦娘に被害は殆どないとされている。
戦艦を主導とした艦隊は規模の大きめな深海棲艦や機怪群の残党を掃討するために、重巡を主導とした艦隊は中規模の残党を掃討するために、軽巡や駆逐艦中心の艦隊は近海の安全保持や潜水艦の深海棲艦の掃討のために、予備として司令部に待機している艦娘は司令部での仕事を処理してたりと、かなりと言うわけではないがそれなりに忙しくしている。
そんな、戦中とは違った日常を過ごしている司令部だが、今日の秘書艦である吹雪はいつもと違うようだ。
司令部の入り口に立ち、誰かを待ちわびているようにソワソワワクワクしている。
その絶妙な落ち着きのなさは、事情を知っている憲兵でも怪しい目で見てしまうほど。
軍用車を見るたびに期待に満ちた目で見て、違うようだったらシュンと落ち込むのを数度繰り返す。
その司令部の入り口に軍用車が近づき、入り口前で止まる。
助手席のドアが開き、一人の男が下りてくる。
その姿を見て吹雪は満面の笑みを浮かべ、喜びの声を上げる。
「おかえりなさい! 司令官!」
ED03
深海棲艦と機怪群との決着をつけるための戦いは熾烈を極め、(多分)戦場とは関係のない囲炉裏城司令部も少なくない被害を出していた。
多くとは言わないが減ってしまった司令部の艦娘の補充として当てられた新任艦娘たちに、せいが出るほどではないが己が知っている事を教える在任の艦娘たち。
『ここでは、艦娘としての職務以外にこなす事もたくさんある』と教えられ、戸惑うところを見せる新任艦娘を見て、ある者は静かに、ある者は大きく笑う在任艦娘たち。
戦いが終わり、少しだけ、だが大きく変わった囲炉裏城司令部は、戦中と変わりなく粛々と営みが続いていく。
ところかわり、場所は囲炉裏城司令部が在住している島にある飛行場の裏。
綺麗な草原に、大理石であろう綺麗な石が規則正しく並べられている。
それはまるで亡き人が静かに眠る場所のようなそこに、一人の艦娘が歩いている。
手には花束を、しかして足取りは軽く、口元には小さな微笑を浮かべて。
その軽やかな足取りは一つの石の前で止まる。
艦娘は石の上に花束を乗せ、手を合わせ、目を閉じ、祈るかのように静かにたたずむ。
祈りのようなのが終わり、合わせていた手を解き、目を開き、花束が乗せられた石をじっと見つめる。
小さな微笑を苦笑に変え、艦娘は一言ぽつりと言った。
「終わりましたよ・・・ 提督・・・」
ED02想定:提督生存又は行方不明・鎮守府の被害中
ED03想定:提督行方不明又は死亡・鎮守府の被害大