姉と百合と吸血姫   作:ほうとう

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最新話です!

本当に戦闘描写とかって難しいですよね!これを書くのが好きな人とかっているのでしょうか?

ではどぞ!


合理的矛盾

ある日その男は現れた。人間がどんなに探そうと見つからないはずの山奥に突如異様な神父服を着て現れた。突然の来訪に皆驚いたが、最高齢の村長が日よけのための傘を持ちながらその男のもとへ行った。

 

「何用だ、人間?ここはお主らが簡単に入れる場所では無い」

「貴様らが吸血鬼だな?」

「ああ、そうだ。君たちとは違うただの生き物だよ」

「それを聞いて安心した。化け物を殺すなとは聖典も書かれていないからな」

 

言葉を言い切るや否や、男は突然村長の傘を奪い、村長は灰と消えた。その光景を見たほかの吸血鬼達も一斉に神父を叩き潰そうと襲い掛かる。しかし、今は雲一つない青空が広がる真昼間。彼らの能力が使えるはずもなく、恐ろしいほどの力を持ったその神父にただ灰にされるだけ

 

彼らの腕が飛んでいく。彼らの頭がつぶれていく。足がちぎれていく。目が、内臓が、骨が、心臓が、忌々しい光を浴びて消えていく。

 

彼ら一人一人のための墓などない、全て灰となり消えたのだから

 

・……………………………

 

「なんでお前がここにいるんだクソ神父!!」

 

5年ぶりに見たその顔、あの時と何も変わってない。こいつの顔を見ただけであの時の光景が目に浮かんでくる。そして、全てが終わって目を開けたとき何もかもが消えたときの喪失感と孤独感に襲われる。体が震えて力が入らなくなると同時にいつも感じている暖かさに包まれた

 

「大丈夫です、雪菜。落ち着いて」

「……ありがとう、玲」

 

あんなに震えていたのに、もう治っちゃった。やっぱり玲はすごい、玲さえいれば私は生きていける。だからお願い、貴女だけは私の前から消えないで

 

「女のパートナーをみつけたか……同性同士とは、やはり俺に殺されたいと見える」

「ならあの時私のことも殺しておけばよかったでしょ!」

「ふん……確かにその通りだがな、子供を殺すのは心が痛むと言えばいいか?」

「あんなに殺しておいて何をほざいてるのよ!この殺人鬼が!」

 

私があいつのことを殴りに行こうと力を込めると、玲が道をふさぐ

 

「雪菜、貴女では分が悪すぎます。私に任せてください」

「玲!でももし玲が負けちゃったら私耐えられないよ」

「大丈夫です、あの時も言ったでしょ?私を信じてと。悪者が私が倒してあげます」

 

彼女が私に首元を近づける。そして私はその首に牙を突き立てる。これは儀式だ。日々彼女の血を吸い続け私の命を保ち、彼女を私と同じ存在にさせていく儀式。まだ十分の一しか吸血鬼化はしないけれど、遠い未来に玲も完全な吸血鬼になるだろう

 

「けがわらしい物を見せおって、いい加減殺させてくれないかね?」

「雪菜の敵は徹底的に叩き潰します」

 

神父が玲に向かってくるのと同時に玲が口を開けた

 

「あなたはすでに負けているのですよ」

「………なに?」

「文月学園の教師には一つの特権があります。それは、試験召喚をするためのフィールドを各担当の教科に応じて発生させるためのものです。ちなみに、以前までは出現させる場所は学園内にのみ制限されていたのですが、学園長の努力により、どこでもできる様になりました」

「貴様、何が言いたい?」

「言ったでしょ?すでに負けていると。アウェイクン」

 

一面に不可視のドーム状のものが展開される、学校で見慣れた試験召喚フィールドだ。そして玲は担当科目は無く、召喚できるのは総合得点の召喚獣

 

吉井玲 10000点

 

相変わらずおかしな数字だ、そしてあの召喚獣の能力は

 

「生徒でもなく、正式な教師でもない私にはもともと戦争に参加する資格は例外を除きありません。この召喚獣の目的はほかにあります」

「……なんだ?」

「雪菜に害を与える者への制裁です。能力の名はJudgement、この私の私による雪菜のための法典に従い、あなたへの罰を執行します。もちろん今回は死刑です」

「ふん……俺も文月学園については調べたが、その召喚獣にしか攻撃できんのだろう?生身の俺に何かすることなど……ウグッ!?」

 

突然現れたギロチンに拘束され、神父が初めて苦しそうな顔をする

 

「私たち教職員は雑用を効率的にこなすため、召喚獣が物体や第三者へ触れることができるようになっています。そして、私の召喚獣は能力を生身の人間へと使うこともできるのですよ」

「こ、この悪魔に魂を売ったあばずれが!」

「言うことかいてあばずれとは、体を許したのは雪菜だけなのですが。あと悪魔に魂なんて売ってはいません。ただ心と身体を雪菜にささげているだけです」

 

多分この神父が言いたいことはそうじゃない。

 

「さて、あなたは竹下教頭のように孤児院を経営していますね?子供たちの数は約600だとか。大したものです。今は投獄中なので、直属の部下に経営を任せているはずですが。ああ、嘘は意味ないですよ?明確な資料もありますし、何より雪菜に血を吸ってもらったおかげで体内の血の動きで嘘をついているかどうかわかりますから」

「あいつらに何をするつもりだ」

「そうですね、あなたの目の前でその子たちを殺しましょう」

 

……え?

 

「なっ……」

「何を驚いているのです?当然でしょう、雪菜は目の前で家族をあなたに殺されているのです、同じ苦しみを味わってもらうのは当然でしょう?もちろん6年の利子付きで返していただかないと。そうですね、600人すべて違う方法で殺していきましょう。一人目は右目をくりぬいて、次は左目、次の子は片耳を引きちぎり、一人は内臓を、足を、骨を、脳を、体のありとあらゆるモノをちぎり、切り裂き、抜き、600のパーツがそろったら一つの人間の形にしてあなたにプレゼントしましょう。もちろんすべての解体ショーはあなたに見てもらいますよ?」

「ふざけるな!この悪魔め!!あいつらには全く罪はないだろう!」

「雪菜の家族にも罪などなかったのですよ」

 

そういうと、玲は私のほうに向かって歩き、私を軽く抱きしめた。その顔は今さっきあんなことを言ったとは思えないほどやさしくて、体はいつもと同じように温かかった

 

「あ、玲……さっきの本気?」

「さっき言ったのは最悪のケースです。私だって600人もましてや子供なんて殺したくありません、ただね、雪菜、私はあなたの意志に従います」

「……え?」

「雪菜が望めば、どんな人材、食物、武器、動物、薬品なんでも世界から取り揃えます。必要なものはすべて私が持ってきます。ただそれを使うのはあなたなんです。いいですか、雪菜。残念ながら私はこのことについては当事者ではありません。このことを清算できるのは私でも、罪を犯したあの人でもなく、被害者の中で唯一生き残った貴女しかいないのです。」

「どうすればいいの?どうすれば後悔しないの?教えてよ!」

「このような大きな決断は必ず後悔します、彼を殺すなら、殺さなければよかった、殺さ中たら、やっぱり殺しておけばよかったと思うときが必ず来ます。多分許せないでしょうし、許してもいけないのです。貴女が決めなさい。どんなことだとしても私は貴女の意志を尊重し、貴女と共にあり続けます」

 

そういうと玲は私から離れた。私が決めなきゃいけない、何が最善で正しいのかなんて何一つわからないけど、それでも私が決めなくちゃいけない。でも、決める前に聞きたいことがある

 

「ねえ」

「……何だ?」

「なんで、私の家族を殺したの?」

「貴様らが吸血鬼だからだ」

 

それだけ?それだけで私の家族はこいつに殺されたの?

 

「お前たちには人を一瞬のうちに全滅させられる力が一人ひとりにある。それだけで殺す理由になりえるだろう」

「私たちがそんなことするはずない!私たちはこんな力誰一人いらなかった!普通の人間になって、みんなと同じように日光や流水を怖がらずに生きていきたかった!こんな長すぎる寿命なんていらない!誰一人簡単に人を殺せる力なんて欲しくなかった!使う気なんてひとかけらもなかったんだ!」

「黙れ!!」

 

思わず彼の大声にひるんでしまう、こんな一つ間違えばすぐに死ぬ場面でも何の恐怖のそぶりも見せない

 

「口では何とでもいえる、しかし貴様ら百人のうち一人でもふと人間を滅ぼそうと思ったらどうなる?貴様にはわからないだろうな、俺たちが寝ている間に次々と人が死んでいき、二度と自分も目を開けなくなるかもしれないという恐怖!ああ、確かに貴様らは善良な生き物なのだろう、誰も傷つけることはしないだろう。しかし!お前たちは世界を滅ぼす力を生まれながらに持っているのだ!どんなに優しくても、どんなに謙虚でも、どんなに人間が好きでも!お前らはその力を持っている!言うなれば存在が罪であり、人類の敵なのだ!そいつらを殺さない理由を探す方が難しい!!」

 

こいつの言っていることが正しいなんて思わない、ただ、こいつにも明確な自分の意志があって、誰にも命令されることなく、ただ自分の正義に基づいて行動したんだ。なら私だって自分の気持ちを伝える。これが正しいとか、後悔しないなんて全然わからない。だけどここで何もしないわけにはいかない。なら、私の答えは―――

 




戦闘描写あると思った?ほうとうが苦手な戦闘描写書くと思った?ねぇねぇ?

ということで、いつもと同じように、感想や評価、その他各キャラクター又は作者への質問など募集中です!
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