これでこのパートは終わりですね、たぶん!後日談があるかどうかです
ではどぞ!
-六年前-
「あ~くっそいてー!死ねよこのクソ神父、死んで地獄に落ちて、お前の信じてる神様とやらに会うこともなく消えて無くなれ、この屑が」
「お前たちの様な化け物にも痛覚があるのだな、こんな長く生きてるとそんなもの麻痺してるものだと思ったが」
「長らくケガなんてしてなかったから、100年ぶりか?てかその化け物を殺しまくってるお前はいったい何なんだ?英雄にでもなったつもりかよ」
「そんなものになれるわけないだろ。いいところがただの殺人鬼だ。しかし、よくそこまで冷静に話せるものだな、お前以外、妻を含めた全員を俺が殺したのに」
「あいつが死んだら、俺もあと少しでお前が手を下さずとも死んじまうからかな、怒りを通り越したっていうのか?なんかふと冷静になっちまった。それにまだ全員殺してないぞ、俺たちの娘がいるからな」
「全くだ、殺し損ねた。まああの程度いつでも殺せるが」
「けっ、ならあいつが寿命で死ねるまで待っていてやくれませんかねぇ?」
「できぬ相談だ、ここで見逃してはお前たちを殺した理由が見つからないではないか」
「……なら、頼む、あいつが最愛の人を見つけるまでは待ってくれないか?」
「……なんだと?」
「俺もどれくらい生きてるのか忘れるくらいは十分生きたし、妻も見つけられた。正直ここで死んでも特に嫌だとは思わねえんだ。そりゃあ、やっとできた娘だし?あいつの成長をずっと見守ってやりたかったっていう気持ちはあるが、こんな状態じゃそれもかなわないからな。だから、頼むあいつに人生を全うしてくれるというような奴が現れるまであいつを殺さないでくれ、誰かに愛され、愛することがどれだけ素晴らしいのかをちゃんとあいつが知れるまで殺すな!」
「ふん、それを知った後すぐ殺してもいいとは、お前も酷い奴だな」
「俺たちの、この村の子供をなめるなよ、まだ50も生きていない小僧が。あいつは必ずお前の想像を抜くような子に育つ、必ずお前に打ち勝つさ」
「……いいだろう、俺とて子供を殺したいとは思わないからな。だが、あの子が俺に牙を向けたときは俺がこの手で殺す」
「はっ!やれるもんならやってみろ、大量殺人者、俺たちの娘はお前みてぇな奴に負けねえよ」
(生き残れよ、雪菜。頼むから生きてくれ。昔の俺みたいにどっかで好きな人に出会って、恋をして、結ばれるんだ。俺たちみたいにたくさん苦しむだろう、悩むだろうさ。ただちょっと時間が過ぎればそれもまた良かったと思えるから。だから生きるんだ、雪菜。お前だったらあの大馬鹿野郎にだって勝てるし、俺たちがいなくても幸せになれる。……ああ、だけど、お前を嫁にするとかいう奴出てきたらあの世からでも呪っちまうかも、そこは許してくれよな)
とある神父の目の前で一人の吸血鬼が灰となって消えた。もはやこの村には誰もいない、あるのはただむなしく揺れる草の音だけだった
「ねえ、クソ神父」
「なんだ、化け物」
「あんた、もともと殺されるつもりで来たんでしょ?」
彼は何も答えない、ただ私の考えは間違ってないと思う。だってそうじゃないと私と玲が一緒にいるところなんて狙わない、玲がいたら、対人間戦を極めた玲のほうが勝つに決まってるから、こいつはオカルト専門のはずだし。
「まあ殺されてもいいとは思っていた。お前を殺せればこの世から化け物を絶滅させられるし、俺が殺されれば全世界からお前らは敵とみなされいつか殺されるだろうからな」
「本当に性根が腐ってるんだね、歪んでるよ」
「ふん、歪んでなければこんなに殺して正気でいれるわけがないだろう」
なんだ、自覚あったのか。なら話が簡単で助かる
「私はあんたを殺さない」
「……」
「殺してやらない、絶対に人間たちの敵になってあげない、お前の言う化け物なんかに絶対になってやるもんか!私が、お前に殺された家族やみんなが化け物なんかじゃなくて、人間と同じ、優しくて誰かを愛することができて、誰かを傷つけることをしないってことを証明し続けてやる。そして、お前は一生苦しむんだ。お前がやってきたのはただの殺人だったんだって、人類を救うとかそんな大それたことじゃなく、ただ自分はたくさんの人を殺した殺人犯なんだってことを自覚して、一生苦しむんだ。」
何の言葉を発さない男を無視して私は話し続ける
「そしてあんたはこのお墓の前で土下座して謝るんだ!自分がしたことは間違いなんだって!誰一人救えず、ただただ人を殺し続けていただけだって心の底から私たちに謝罪するんだ!私は絶対にお前を許さない!だからこそお前の望むことなんて一切してやらない!」
「お前は……殺したくないのか?」
何を言ってるの、そんなわけ……
「そんなわけないでしょ!できることならこの手で、みんなにしたようにお前の体を引きちぎって、殺してやりたいよ!!そうすれば、少しはすっきりして、堂々と人間たちの敵になれて、私たちの好きな人しか生きていない世界が作れるかもしれない!お前たちみたいに、私に死んでほしいと思ってる私の敵がいなくなって、もっと幸せに生きられるかもしれない!でもそれじゃダメなんだ!誰もがみんな家族とかがいて、大切な人がいて、それをお前に目の前で奪われた私がお前と一緒のことをしちゃダメなんだよ!!そして、お前は経営してる孤児院の子たちを育てて、幸せにするんだ!みんなが立派に育ったとき、自分のやってきたことを思い返してみろ!その後は自分で償い方を見つけるんだ!お前が殺してきた数より何倍も、何十倍も、何百倍もの人を幸せにしていくんだ!こんなに人を不幸にできて、誰一人幸せにできませんとか言わせねえからな!!!」
一息で言い切ると、過呼吸気味になり、頭に酸素が行かなくなって、ふらつきそうになるのを玲が受け止めてくれる
「ありがとう、玲」
「よく頑張りました、雪菜。よくその決断をしてくれました、私は貴女のことを誇りに思います」
玲がこんなことを言ってくれる、でも本当にこれで良かったのかな、もしかしたらもっといい方法があったんじゃないかな、そう思ってしまう
「大丈夫です、雪菜。そうですね……もしこれが何か裏目に出て後悔したら」
「……したら?」
「その時は、私がこうやってギューっと抱きしめて雪菜が泣き止むまでずっと一緒にいてあげます。」
「な、泣いてないもん!」
そ、そりゃあ確かに今玲の服はちょっとぬれちゃってるけど、それは別に私が泣いてたからとかじゃないし!全然違うし!
「おい、いい加減そんな見苦しいものを私に見せるな。同性同士の絡みを見せられるなんて何という拷問だ」
「よくそんなギロチンに拘束された滑稽な格好で軽口をたたけますね、私なら羞恥で死んでしまいそうですが」
いや、たぶん玲に羞恥心の概念は存在しない、言わないけど
「しかし、これはいったいなんだ?どんだけ力を込めてもびくともしないのだが」
「もともと、最低でもゴリラ以上の力を持つ召喚獣を拘束するためのものですし、私の点数なら、おそらくは地球上の人間すべてで外そうとしてもできないでしょうね」
「いつから文月学園は、学校の皮をかぶった兵器開発施設になったのだ?」
それは私も思う、FFF団とか下手な軍隊よりも利統率力あるし、どっかの精鋭部隊と武器の開発所みたいにはなってるかも
「そういえば、去年まで定期的にあった花はあなたが送ったものではないですか?」
「は?そんなわけないでしょ」
「ああ、まあ俺の代理だがな」
な、なんで?こいつが少しでも罪悪感を感じてるっていうの?
「罪悪感などは無い、ただ死んだものにはなんでもある程度敬意を表すだけだ」
「それ、殺した本人が言うことじゃないよ」
「それを言われると何も言えないがな、それに約束のこともある」
そういえば、最高司教が言ってたっけ、手紙で約束は守ったって言ってたと
「お前の父親との約束だ。お前とその愛するものが結ばれるまでは殺すなと、人と恋して愛し愛される喜びを知るまでは殺してやるなと死ぬ間際に言われてはな」
「お父さんが」
「自分の娘は必ず俺に打ち勝つとも言ってたな、全くこんなことを言ってくるとは、何も打つ手は無くなった、完全に俺の負けだ。しかも結ばれた相手が女とは、全くもって忌々しい、やはりあの時殺しておくべきだった」
「残念でした、お前を少しでもイラつかせられただけでも十分だよ」
「ああ、本当に俺に喧嘩を売ってくる、子供とは本当に忌々しい」
「孤児院なんてやってるのに?」
「元々は司教からの命令だったのだ、しかし…そうだな、お前を切ろうとしたとき、あいつらの顔が浮かんで、一瞬手を止めてしまった。こんな大罪人の俺に無邪気な顔を向けてくるあいつらが浮かんで来たら、殺すことなどできなかった………」
これまで代理の人が持ってきてくれた花をこの神父が持ってきていない理由はただ一つ。懺悔や粛罪の意味を持つ花は何一つない、なぜならそれらは直接言葉で伝えなくてはいけないから、ただそれだけ
時折、雪菜の口が悪いのはお父さんの影響です、いや、まあ今回の雪菜はずっと口悪いし、結構内心で毒づいてますけど、そこはご愛敬で
今回のお花のシーン、当初は
お墓に添えられていた花の名は○○、花言葉は粛罪
みたいな感じにやりたかったのですが、調べてみたら本文に書いてあるように無いんですね、初めて知りました
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