AKIRA SIDE
ユキちゃんが再び目を覚ました後、私たちは家に帰ろうとしていました。
「・・・・・ねぇ、本当にうちで暮らすの?」
明らかに不満げな顔をしながら、私に尋ねてきました。
「もちろんです。いつユキちゃんの体調が悪くなったとしても、すぐに私が解決できるように、あなたのそばに一日中二十四時間いなくてはなりません。」
あくまでも笑顔で明るく返事する私。
「あんたがいるだけで精神的にも苦痛になるし、アキ兄さんのほうが看病も上手いから、あんたの存在なんて不要なんだけど。」
・・・・・あからさまに私への嫌悪を表すユキちゃん。それでも私は・・・・
「大丈夫です、いついかなる時でもあなたのメディカル、メンタルケアは私にまかせてください。」
・・・・笑って、やさしい声で返事をする。どうですかユキちゃん?私はちゃんと笑えていますか?あなたの放ったその言葉に心が負けて、涙が出ていませんか?
AT HOME
「・・・・・・ただいま、そしておやすみなさい。」
家に着いて十秒もたたない内にユキちゃんがそのようなことを言ってきました。これは不味いですね。私の「一緒にご飯食べてラブラブ☆作戦~ツンデレっ子を陥落せよ~」がなぜかオープニングの曲すら流れていないのに、最終話をむかえようとしています。
「ユキちゃん、夕飯は食べないと健康と美容にも悪いですよ。」
我ながらすばらしい判断です。わざと私に焦点を当てるのではなく、自分自身のことについて云うことによって、食事する大切さを簡潔に伝えました。
「誰かさんのせいで食欲がわかないんだよ。その人がこの世から微塵も残らずに消えてくれれば今すぐバイキングでおなかいっぱい食べてくるけど?」
・・・・もう何も言えませんでした。いまだに私の名前すら呼んでくれません。どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?
「雪菜、姉さん、ご飯だよ~」
「さっき言ったように食欲無いからもう寝る。おやすみなさい、アキ兄さん。」
「そう?おやすみ、雪菜。姉さんは?」
「え?ええ・・・いただきます・・・」
そうやって、帰国してからはじめての夕食が始まりましたが、私の愛しい人はいませんでした。
~NOW EATING~
なんで今私は弟と食事しているのでしょう?予定ではユキちゃんとあ~んってしながら食べていたはずなのに。
「どうしたの、姉さん?なんか味付け悪かったかな?」
「いえ、そうではないのですアキ君・・・ただ、なぜこんなにもユキちゃんとの間に壁ができてしまったのかと思いまして・・・・
それを言った瞬間、アキ君の動きがピタッと止まり、徐々に怒りを表してきました。
「ねえ、朝も教室でそんなこと言ってたけど、本当にわからないの?」
何をアキ君は言っているのでしょう、一応首を横に振ってみました
「はぁ~、わからないんだったら僕が教えてあげるよ。
そう言って、アキ君は「あの日」のことを私に教えてくれました。
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ガタッ、パリン!
私のせいでまだ食べかけのお皿が落ちて割れてしまった。でも、そんなことなんて気にすることができないほどに、信じられない話・・・・いや、信じたくない話だった。
「う・・・嘘ですよね?私がユキちゃんにたいしてそんなことを言ったなんて・・・」
「残念ながら本当だよ、姉さん。てかなんで覚えてないのさ?」
長年見てきた実の弟の目が私に対して「真実だ」と言っている。なぜ私は覚えてないのでしょう?確かに私はあの日留学当日にそのことを言うのが怖くて気が動転していました。それを気づかれることなく伝えるために、わざとひどい言葉で彼女を突き放してしまったのかもしれません。ではなぜ覚えていないのか?
・・・・・・なるほど、非常に認めたくない話ですがこれしか無いようですね。
つまりは、私は拒絶したのでしょう、あのような酷い事を言った事実を、言われた時のあの彼女の顔を、そして、なにより、その様なことを言って、最愛の人を傷つけた自分自身を。そして、そのショックを忘れるために私の脳がその記憶ごと消去してそまってもおかしくありません。
「・・・・・・で?どうするのさ、姉さん?多分、姉さんが思ってるよりも、雪菜の傷は大きいよ?」
どうするか?そんなの決まってます。伝えに行く。私の気持ちを。今すぐに、一分一秒ともむだにはできません。もうすでに、5年以上の月日を費やしてしまったのですから。
「・・・・・良いよ、早くしなよ、躊躇する時間なんてないんだから。片付けはしとくからさ」
その声が聞こえるよりも早く、私はユキちゃんの部屋に向かいました。
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「ユキちゃん・・・起きてますか?」
返事が返ってきません、大丈夫です予想していたことなのですから。
「入っても良いですか?」
やはり返事は来ません。それが許可を表しているのか、それともやはり寝ているだけなのかはわかりませんが・・・
彼女と向き合うために足を進めました。
~IN YUKINA‘S ROOM~
ユキちゃんは毛布に身をくるませながら震えていました。・・・・・今まで泣いていたのでしょうか?
「許可してないんだけど・・・・・?」
顔も見せずに「出て行け」と伝えられました。でもここで逃げたらいけません。どんなに後悔しようとも、私の謝罪と気持ちを伝えると決めたのですから。
「ユキちゃん、本当にごめんなさい。今さっき、アキ君に伝えられてやっと思い出しました。あの日、どれだけあなたを傷つけてしまったのかを・・・・・」
「・・・・・それが何?どうしろって言うの?これからは気をつけます、だから昔のような可愛くて、都合の良い妹になりなさいってこと?」
布団から身を出して、ユキちゃんが言葉を返してくれました。でも、あのころのユキちゃんがこんなことを私に言うなんて、本当に私はどれだけ彼女を傷つけたのでしょうか?
「違います。私はただ自分の気持ちを伝えたいだけなんです、ユキちゃん。私は・・・・・」
「あなたを愛しています。もちろん恋愛的な意味で」
・・・・伝えた。この私の何十、何百、何千、何万、何億、何京年たったとしても、彼女にしか伝えない気持ちを。ただ彼女にこの想いは届かない。
「何言ってるの?意味がわからない。そんな言葉で私の気持ちが揺らぐとでも?」
「そうではありません、ユキちゃん。本当に私はあなたを・・・」
「そうじゃねえんだよ!!そんな言葉いらねえんだよ!!何が「愛しています」だ、調子に乗るんじゃねえ!!そういう言葉はな、相手を幸せにする覚悟を持って言うモノだろうが。てめえにはそんな覚悟なんてねえだろうが!!」
この娘の気持ちが痛いほど伝わってきます。私にはこの娘を愛する資格すら無いのでしょうか?この子は私に愛されることすらも苦痛なのでしょうか?
「愛してるからなんなんだよ!!私に何して欲しいんだよ!!どうせあんたの言う「好き」や「愛してる」になんて大した気持ちはないくせに!!わたしがキスされれば良いのか!?私が裸で抱かれれば良いのか?そうしたいんだったらされてやるよ!!その代わり、もう二度と私に近づかないで!!」
・・・・・ユキちゃんが激しく呼吸を繰り返しています。そんな彼女を見たくなくて・・・・・・・
私は彼女を抱きしめました。
「は、離せよ!!」
ユキちゃんが必死に抵抗しています。でもそんなことなんてお構い無しに私は彼女を抱きしめます。
「ユキちゃん、私はあなたを見つけた時からあなたに惚れてました。いわゆる一目惚れって言うモノです。あの雨の中、見るのも嫌になるほど無残な姿をしていたあなたになぜか心が惹かれました。それから、うちの養子になることが決まって、私の義妹になって、とても嬉しかった。だって、好きな人と24時間共にいられるんですから。私は、女同士だとしてもずっと根気強く告白していけばきっと気持ちは通じると信じて、「好きです」「愛してます」といい続けてきました。・・・・・最後まで、妹としてしか受け取ってくれませんでしたけど。・・・・・ねえ、ユキちゃん、」
「あと何回あなたに「好き」と伝えれば、私の本当の気持ちがあなたに届きますか?」
そう言い終るとすぐにユキちゃんは精一杯の力で私を吹き飛ばしました。やはり、どんなに鍛えたとしても、彼女に力だけじゃ勝てないのかもしれませんね・・・・・
「やめろよ!!私の欲しい言葉はそんなんじゃない!!私は・・・・あの時・・・・あんたに・・ただ・・・・・・・・」
ただ・・・・何ですか?ユキちゃん?私はなにをすればよかったのですか?
「なんでわからないんだよ・・・・もうやだ、なんでこんな人を私は・・・・なんでこの気持ちを拭い切れないんだよ・・・・こんなことなら・・・」
そう言い掛けて、彼女は私を部屋から追い出しました。
「こんなことならあんな人に恋しなければ良かったのに」
幻聴か?と思いましたが、私は確かにこの言葉が聞こえました。
玲さんの言葉遣いが一定しない・・・なんか良い案はありませんかね?
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