仮面ライダードライブ〜サプライズ・ラビット〜 作:Purazuma
ドライブピット。
「父さん、これは?」
「タイプフォーミュラの負担を少なくするための新兵器さ。」
父さんが青いトレーラーのような物をいじっていた。
「ほら、ここをスライドすると……」
父さんがトレーラーの運転席部分をスライドすると、大砲の様な形になる。
「名前は''トレーラー砲''で決まりだな。」
『そのネーミングセンスはどうにかならないのかね?』
いいじゃないか別に。
「それよりリョウタ、クリム、魔進チェイサーの事だが……お前達はどうしたいんだ?」
「……………流星はチェイスを倒すって言ってた。」
でもやっぱり………
「俺はあいつが元に戻ると信じている。」
「そうか……クリムは?」
『実は私は……流星の意見に賛成だ。』
「な!?本気で言ってるのかベルトさん!?」
『前の魔進チェイサーの様子を見るに、恐らくメディックが彼を改造したのだろう。場合によってはもう人間を守るプログラムは機能しないかもしれない。』
「っ……!でも……!」
『彼が人に手をかける前に………終わらせてしまった方がいいかもしれない。』
「…………リゼも………まだ諦めてない。」
『………』
「俺も最後まで諦めたくない!」
「無駄だよ。」
声のした方を向くと、流星がいた。
流星はピットに入ると、止めてあったライドマッハーに跨り、ヘルメットを被った。
「おい流星、どこに行くんだ?」
「魔進チェイサーを見つけたってシグナルバイクから報告があった、すぐに向かう。」
「おい待て流星!!おい!!」
俺の言葉を無視し、流星は外へ走り去っていった。
「ベルトさん!!俺たちも!」
『リョウタ………』
俺はベルトさんを掴み、トライドロンへ乗り込んだ。
『リョウタ、覚悟を決めた方がいいかもしれない。』
「………!!」
返事をせずにピットから飛び出した。
「二人が違う意見になるなんて………本当に不思議だよ、お前達は………」
「リョウタ………本当は''どっち''なんだ?」
泊エイタは誰もいないピットの中でそう呟いた。
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ココアだよ!
私は今千夜ちゃんと一緒に市場で買い物をしてるんだ!
「お肉やフルーツの匂いでわくわくするねー……あっ!リゼちゃんが買い食いしてる!」
「シャロちゃんが試食してる。」
「ちゃんと買ったわよ!」
スイーツを食べているリゼちゃんとシャロちゃんを見かけた。
「人が多いのによく気づいたな。」
「シャロちゃんから漂うハーブの香りでね。」
「ウソ!?やだっ……そんなに染み付いて!?」
「冗談だから落ち着け。」
「リゼちゃんは硝煙の危険な香りがするから近づくとすぐわかるよ。」
冗談交じりに言ってみる。
するとリゼちゃんはまずい、といった表情で自分の匂いを確認した。
「冗談だから確認しないでいいんだよ!?」
その後はみんなでベンチに座って一緒にスイーツを食べた。
「バイト前はお腹減るから仕方ないよね。」
「いっ、いつもじゃないからね。」
「普段はお仕事で忙しいけど、こうしてみると普通の高校生らしいわね。」
リゼ:親父が軍人で
シャロ:カフェインハイテンション
千夜:教科書じゃなくてお品書き持ってきちゃった
………………
「私達バイトしてなくても普通じゃないよ?」
「「「え!?」」」
ーーーーーーーーーーー
「リョウタ君と流星君も来ればよかったのに。」
ドライブピットにはよく行ってるけど……
「なんか最近二人の様子がおかしいと思うの。」
「千夜ちゃんもそう思う?喧嘩でもしたのかなー………」
私は最近リョウタ君と流星君が心配だ。
よく疲れてる様な表情をするし、日数を増すごとに生傷が増えている気がする。
先日から二人の様子も少しおかしい。前よりも無口になった気がする。
「前は私とよく''どちらがチノちゃんの姉/兄に相応しいか対決''してたのに。」
「ち、チノちゃんも苦労してるのね。」
「まあ……二人とも仮面ライダーとして、怪物と戦っているから……疲れも溜まるわよね。」
千夜ちゃんもやっぱり気にしてたんだね。
「何か私達にしてあげられることはないかな?」
ドオオォォォォオオオオン!!!!
「「「「!?」」」」
爆発!?
「い、今のは!?」
「み、みんな!あれ!」
シャロちゃんが指を指した先には、黒と紫の色をしたジャンクパーツの寄せ集めの様な怪物がいた。
「チェイス………!」
「え?」
リゼちゃんが怪物を見てボソッと言った。
怪物は持っている拳銃で無差別に建物などを破壊しているようだった。
「は、早く逃げないと!!」
「!?リゼちゃん!?」
リゼちゃんが怪物のいる方へ走って行った。
「リゼちゃん!危ないよ!!」
私が追いかけたのを千夜ちゃんとシャロちゃんもついてくる。
「チェイス!やめてくれ!!」
リゼちゃんが必死に怪物に呼びかけるも、全く反応がない様子だった。
「あ………!リゼ先輩!!ココア!!」
「え………」
リゼちゃんと私の上から大きな瓦礫が降ってきた。
「だめぇ!!!」
「千夜ちゃん!?」
千夜ちゃんがリゼちゃんと私を突き飛ばした。
しかし直撃はしなかったものの、別の瓦礫が千夜ちゃんの頭に当たってしまった。
「千夜ちゃ………!!」
千夜ちゃんは頭から血を流して気絶していた。
「千夜ちゃん!!千夜ちゃん!!!」
「千夜!!起きてよ!!!千夜ってば!!!」
全員で必死に起こしても気がつかない。
怪物が近づいてくる。
怖い……!
リョウタ君………!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドオオォォォォオオオオン!!!!
「!?今のは………!?」
ライドマッハーでチェイスを追跡してると、遠くから爆発音が聞こえてきた。
「間に合わなかったか!!!」
ライドマッハーのスピードを上げる。
「なんだあれ!?」
俺を追いかけてきたリョウタのトライドロンが横に並んだ。
「チェイスだよ、奴が破壊活動をしてるんだ。」
「そんな………!」
「考えてる暇はないぞリョウタ!!」
「………くそっ!!」
リョウタもトライドロンのスピードを上げた。
遠くの方にチェイスが見える。
「やっぱりあいつか!!」
《シグナルバイク!!!ライダー!!!マッハ!!!》
「マッハで撲滅する!!!」
「待て流星!!くそ!!変身!!!」
『ドライブ!!!タイプ!!!スピード!!!』
「急げ………!急げ………!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふんっ!!!」
「きゃあああああ!!!」
今まさにブレイクガンナーがココア達に振りかぶられた瞬間。
《ゼンリン!!!》
「なに!?」
白い仮面ライダーによってそれは防がれた。
「流星君!?」
「大丈夫かみんな!?」
マッハは魔進チェイサーに蹴りを入れ、ココア達から離した。
「…………!?千夜!?大丈夫か!?」
「千夜ちゃんに瓦礫が当たって………!それで………!!」
「っ………!!!…………ドクター、頼む。」
マッハはシフトマッドドクターを取り出し、千夜を治療させた。
「もう許さねえぜ…………魔進チェイサー…………!!!」
「ふん………」
ゼンリンシューターとブレイクガンナーがぶつかり合う。
「みんな!!大丈夫か!?」
「リョウタ君!!」
ドライブに変身したリョウタもココア達に駆け寄る。
「リョウタ……千夜が………チェイスに………」
リゼが目をそらしながら言った。
「なんだって………!?」
チェイスが……………
「本当に………死神になっちまったのか………?」
グローバルフリーズをベルトさんと共に戦った、初代仮面ライダー…………プロトドライブ。
人に手をかける前に終わらせてしまった方がいいかもしれない。
「………っ!!」
『リョウタ………』
チェイスが……本当に殺人を犯す前に…………
「すまない………チェイス………」
『やるのか、リョウタ?』
「ああ………リゼ、いいな?」
リゼも少し間を置き、悔しそうな表情で涙を浮かべた後にコクン、と頷いた。
「よし………ベルトさん、ひとっ走り付き合えよ………!!」
そう言って俺はハンドル剣を受け取り、魔進チェイサーとマッハの所へ走った。
《シグナルバイクシフトカー!!!ライダー!!!デッドヒート!!!!》
「はああっ!!!」
魔進チェイサーにマッハがゼンリンシューターで殴りかかろうとすると………
ズン………!!!
「!?」
赤いオーラが行く手を阻んだ。
「ハート………!?」
「ふんっ!!!」
ハートがマッハにアッパー攻撃を繰り出し、マッハは吹き飛んだ。
「くっ………!」
「チェイス、お前は泊リョウタを。俺はこの白い仮面ライダーをやる!!!」
「わかった…………うおおおおお!!」
魔進チェイサーがブレイクガンナーを地面に叩きつけると、紫色のオーラと同時に重加速が起こった。
しかしただの重加速ではない。
「変身してるのに………体が動かない………!!」
「くっ………!!」
ドライブは完全に静止し、マッハは動きが鈍くなった。
「ははは………メディックが俺達に与えてくれた………新しい力、超重加速だ!!」
『重加速よりもさらに強力なプレッシャーだと!?』
「デッドヒートでも動くのが精一杯とはね…………!!!」
マッハはハートの攻撃を防御することしかできず、次第に押されて行った。
「くっ………そ………!!」
ドライブも動けないまま、魔進チェイサーの攻撃を受けることしかできない。
「ベルトさん!!何か手はあるか!?」
『フォーミュラ以外にありえない状況だが………無理はするな、どこまで君の体が耐えられるかは私にもわからない。』
「やるしかないだろ!!!来い!!!フォーミュラああああああ!!!!」
そう叫ぶと、魔進チェイサーに何発かの光弾が当たった。
「誰だ………邪魔をするのは!!!」
魔進チェイサーは光弾が発射された方向にブレイクガンナーから巨大なエネルギーの塊を放った。
爆発が起こり、その煙から出てきたのは。
「来たか、トレーラー砲!!」
トレーラー砲のコンテナが開き、中からシフトフォーミュラが出される。
「ぐっ………!?」
魔進チェイサーを牽制した後、俺の手に飛び込んできた。
「やるぞ、ベルトさん!!!」
『OK!!スタート・ユア・エンジン!!!』
ベルトさんのキーを回し、シフトブレスにシフトフォーミュラを装填する。
『ドライブ!!!タイプ!!!フォーミュラ!!!』
風を放ちながらタイプフォーミュラへと変身した。
「さあ………いく………ぜっ!!!」
ヒュン、という音と共にドライブの姿が消えた。
「なに………!?ぐっ………!!!」
チェイサーは見えない敵に攻撃されている様にひるみ、ガクッと腰を下ろした。
ヒュン、という音と共に再びドライブの姿が現れる。
『OK!フォーミュラを完全に乗りこなしている!!』
「まだまだ!!!」
『フォ!!!フォ!!!フォーミュラ!!!!』
魔進チェイサーに一気に接近し、連続パンチをし、打ち上げる。
「トレーラー砲はマイペースだなおい!!!」
『この超重加速の中で動けるだけすごいパワーだ!』
トレーラー砲の元に駆け寄り、持ち手をスライドさせる。
『フィニッシュだ!!!』
「ああ!!!」
シフトフォーミュラをトレーラー砲にセットする。
『フォーミュラ砲!!!』
そしてコンテナにシフトスピード、ワイルドを装填した。
『ヒッサーツ!!!フルフルフォーミュラ大砲!!!!』
「トリプルチューン…………!!!!」
トレーラー砲から発射された青いエネルギー弾とブレイクガンナーから発射された紫のエネルギー弾がぶつかる。
「おおおおおおおお…………!!!」
「う……ああああああああああ!!!!」
徐々にチェイサーが押され始めた。
「ぐああああああああ!!!!」
そしてついにチェイサーにトレーラー砲の一撃が直撃し、魔進チェイサーは爆発した。
リゼはそれを悲しげな表情で眺めていた。
「チェイス………!?」
「よそ見すんな!!!」
《ヒッサツ!!!バースト!!!フルスロットル!!!デッドヒート!!!!》
赤い雷撃を纏い、マッハはハートに飛び蹴りを繰り出した。
「ぐっ………!」
マッハの動きが鈍くなっていたせいか、掠っただけで済んだが、ハートは退却した。
《オツカーレ!!》
流星が変身を解いた。
「………チェイス、倒したみたいだな、リョウタ。」
「……………ああ。」
『ナイスドライブ、と言いたいが…………嫌な気分だね………』
「………残念だったよ、本当に。」
チェイス…………お前が味方だったら………どんなに心強かったか…………
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「じゃあまた明日な。」
「お疲れ様です、リゼさん。」
「ああ、気をつけてなリゼ。」
「じゃあねリゼちゃん!」
今日のバイトも終わった。
リゼは平気な顔してるけど、大分落ち込んでいるみたいだった。
「結局無理でしたか………」
「ごめんチノ、俺の力不足だ。」
「そんなことないよ、リョウタ君はよくやったよ!千夜ちゃんの怪我も大した事じゃなくてよかったし!!」
「……………そうだな。」
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リゼは雨の中、傘をさして歩いていた足を止め、思い出していた。半年前のあの日の事を。
自分を助けてくれたヒーローの事を。
「チェイス………」
気がつくとそう呟いていた。
ブンブンと顔を振った。
「……もう忘れよう。」
そう思い、再び足を動かすと、あるものが目に止まった。
「チェイス………?」
そこにはボロボロで気絶して倒れているチェイスの姿があった。
ドライブをレンタルして見直してますが、振り返って見てみるとかなり興味深いシーンが何回かあります。結構見直すのもオヌヌメです。