仮面ライダードライブ〜サプライズ・ラビット〜 作:Purazuma
「もう帰ってしまうんですね。」
「またフラっと遊びに来るかも。」
今日でモカさんはココアの実家のある……俺が前まで住んでいた街に帰る。
「久しぶりに会えて嬉しかったです、モカさん。」
「私もみんなの元気な姿が見られてよかったよ。」
「元気でねー」
ココアがにへら〜とした表情で手を振る、それにつられて俺も軽く右手を上げ振った。
「ココアもたまには帰ってきなさい!」
「でもチノちゃんが寂しがるから………」
「わっ私を引き合いに出さないでください!」
「ほんとは私が寂しいの!」
ココアが涙目になりながらチノに抱きつく。
なんだろう、この………ケンカにすらならない姉妹。
「ふふふ………ココアも、もう私の真似じゃなくて、本当のお姉ちゃんなんだね。」
「お姉ちゃんかどうかはわかりませんが………ココアは頑張ってますよ、安心してください。」
そうだ。
ココアは頑張っている、それにとても強い心の持ち主だ。
それに何度助けられた事か。
「リョウタ君が言うなら安心ね。」
モカさんはうふふ、と笑うと踵を返し、ラビットハウスから静かに去っていった。
俺とココアとチノはその後ろ姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ドライブピット。
「なあ、チノ、蛮野天十郎について、知ってることを話してくれないか?」
「え?私がですか………?クリムさんに聞いた方が早いと思いますが……」
「いや………それがさ………」
クイ、とベルトさんがいる方を示す。
そこには唸るような声を出し、悩んでいるような表情をディスプレイに表示しているベルトさんがいた。
「最近ずっとこんな調子でさ…………蛮野について聞いてもにごすばかりで教えてくれないんだ。」
奴がロイミュードと人間を支配しようと企んでいるなら……時は一刻を争う。
蛮野の情報がもっと必要だ。
「…………クリムさんと蛮野天十郎は親友だったと聞いています。」
親友…………
「しかし、ある事で言い争いをし、クリムさんは蛮野天十郎の元から離れたと。」
言い争い?
一体何を………
「私にはこのくらいしかわかりません。すみませんリョウタさん………」
「いや、いい、十分すぎる情報だ。」
蛮野………お前は一体何をするつもりだ…………?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし………!もうすぐ着く!!!」
待っててねお父さん………!!
しばらく続いていた水色の渦の先に、ついに太陽の光らしきものが見えた。
「やった!ついた…………いてっ!?」
タイムロードを抜けた。
繋がった場所は街の……路地裏?
「いてててて…………」
お尻ぶつけちゃったよ……………
ぶつけた所を摩り、立ち上がる。
「あ!そうだ!ケース……ケース………あった!よかった〜!」
アタッシュケースを落とさないよう大事に抱えた。
これがないと話にならない。
「そうだ、早くこれをお父さんの所に………!あ、でも。」
私…………この時代のお父さんの顔…………知らなかった…………
「どうしよーーーー!!!!」
いや、落ち着いて私!確か流星さんはこう言ってた…………!!!
''あいつは喫茶店で働いていた''
「よーし!まずはお父さんを探すぞーーー!」
ーーーーーーーーーーーーー
………この時代の人達は…………紙と金属でお買い物するのかな?
ていうかさっきからジロジロ見られてるし……………
服装も変わってるなぁ…………あ、もしかして……………
私の服装がこの時代に合ってなかったのか……………
この時代でいう''ジャージ''っていう物に近いかな………でも近いって言ってもこんな変わった形状のジャージなんかないだろうし……不信がられるのも当然か。
「うーん……目立ちたくはないけど……お金もないし……服なんてどうやって………」
は!そういうば!
お金がないということは食べ物も……………あれ、私もしかしてDieピンチ?
「そうだ!流星さんが持たせてくれた物の中に何かあるかも!」
私はポケットから小さな巾着袋を取り出した。
中身を取り出してみるが……………
「絆創膏………これだけ?」
入っていたのは大量の絆創膏。
いや、あのですね、怪我の心配をしてくれるのはありがたいのですが、はい。
「もうーーー!!流星さんのバカーーーーーっ!!!」
と巾着袋を床に叩きつけた時。
ヒラヒラと絆創膏ではない物が巾着袋から出てきた。それをキャッチし、よく見てみると………
「えーと………''おれ、うさぎ、あまい''…………?」
????
何かのお店?
「タダ券って書いてある。」
タダ券…………もしこのお店が飲食店なら食べ物にありつけるかも!
「よし!目的一時変更!この''おれ、うさぎ、あまい''を探そう!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
街の広場までやって来た。
「それにしてもこの街………綺麗で…………かわいい………!!」
もしここに住んでたら………それは楽しい暮らしができたんだろうなぁ………!
「あ!あれってもしかしてお母さんがよく言ってた…………''野良うさぎ''!?」
周りをよく見ると多くのうさぎ達がぴょんぴょん飛び跳ねていたり、じゃれていたりした。
「かわいい………!」
あ!ううん!私はこんな事のためにこの時代に来たわけじゃ………!そうだよ!ダメだショコラ!ここで負けたら………!
首をブンブン振って邪念を払おうとする。
「…………やっぱりちょっとだけモフモフしちゃおっかな。」
そばにいた白いうさぎを抱きかかえる。
「も………!も………!」
モフモフ天国だーーーーーっ!!!
気持ちいいよ!気持ちよすぎだよ!
「はあぁ〜〜〜〜!」
「うさぎが好きなの?」
「うわわ!?」
後ろから声をかけられ、びっくりしてうさぎを手放してしまう。
どうする?この時代の人達とのコンタクトはできるだけ避けたいけど…………
無視するわけにもいかない………かな。
くるり、と声のした方へ振り向く。
そこには緑色の和服のような服を着た和風美人な女の子だった。
「は、はい…………私、うさぎ大好きなんです!」
「そうなの!私の友達にも、うさぎが大好きな子がいるの!」
女の子はそう言うとズイッと顔を近づけてきた。
「え?あ、あの……………」
そんなに近いと照れちゃいます……………
「あなた、似てるわね、私の友達に。」
「へ?」
間抜けな声が出てしまう。
だっていきなり出会ったばっかの人に''私の友達に似てる''とか言われても。
「私は千夜っていうの。あなたは?」
「え?わ、私は……………」
名乗ってもいいのかな?
「し、ショコラ……………」
「ショコラちゃん。美味しそうな名前ね。」
「わ、私は食べても美味しくありません!」
と、その時、私のお腹から空腹を知らせる音が漏れた。
「うふふ………お腹空いてたのね。」
「うぅぅ…………」
なんてこった…………初対面の人にお腹が鳴った音を聞かれるなんて〜〜〜……………
あ、そうだ。
「千夜さん、このお店知ってますか?」
私はさっきのタダ券に書いてある店名を指差し、言った。
「これって………甘兎庵のタダ券じゃない。ええ、知ってるわ。」
「ほ、本当ですか!?できれば案内とか……その…………していただければ…………と。」
「いいわよ、私の家だし。」
「ありがとうございます!…………へ?今なんて………?」
「私の家なの、このお店。」
…………………へ?
「ええええええええ!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お待たせしました、''兵どもが夢の跡''よ。」
「す、すごい!まるで本物の戦場ですね!」
出てきたのはお団子やアイス、色々なスイーツや和菓子が乗っけてある物だった。
「おいしい!」
「気に入っていただけて嬉しいわ。」
千夜さんは頬に手を当てて微笑む。
店内を見渡すが、父さんらしき人どころか男の人さえいない。
「あの、千夜さん。この辺に喫茶店ってありますか?」
「喫茶店?知ってるわよ。私の友達がアルバイトしてるのが二つ。」
「そ、そのお店!教えていただけませんか!?」
身を乗り出して言ったので、千夜さんもびっくりしている。
「い、いいわよ。」
「ありがとうございます!」
このどちらかの店に…………お父さんが………
ーーーーーーーーーーーー
「まずはこの…………''フルール・ド・ラパン''って所から行ってみようかな。」
あ………お金ないの忘れてた。
「仕方ないか………窓から覗いて…………」
窓から店内の様子を見る。
うさ耳を付けた店員が複数名。
「なんか……いかがわしい制服…………ん?」
金髪の店員の子と目があった。
「え?こっちにく…………」
その子は私を見るとすぐに玄関の方へ向かい、外にいる私に近づいてきた。
「ココア、あんた何やってるのよ。」
「へ?」
「え!?まさか人違い…………!す、すみません!間違えましたーーー!!」
その子は慌ててそう言うと逃げるように店内へ戻って行った。
「ココアって………………まさか……………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ラビットハウス。
ここが千夜さんに聞いたもう一つの喫茶店。
「さすがにここのタダ券も…………無いか。」
巾着袋を漁るも、タダ券はさっきの甘兎庵の一枚だけだったらしい。
「………………ここも窓から覗くしかないかな……………」
そう思い、窓の方向へ回ろうとした時。
「じゃあちょっと買い出し行って来る。店番頼んだぞみんなー!」
玄関のドアが開かれ、一人の男の子が出てきた。
その男の子は私にチラッと少しだけ視線を送った後、そのまま通り過ぎて行った。
「今のが……………」
私はもう一度その店の看板を見据える。
「ラビットハウス……………」
気がつくとそう口に出していた。