仮面ライダードライブ〜サプライズ・ラビット〜 作:Purazuma
The・日 常 回
『ドライブ!!!タイプ!!!トライドロン!!!』
以前一度は期待の情熱が冷めた事を試してみる。
「………………なんか変わった?」
『いや、全然だね。いつもと同じだ。』
「うーん…………」
俺と、ベルトさんに父さん、そしてショコラを加えたメンバーでドライブピットに集まり、オーバーシステムとやらの実験を行っていた。
シフトトライドロンにシステムを搭載できたのはいいが………使い方まではショコラも知らなかったみたいで、俺達は色々と試行錯誤していた。
「大体これってシフトトライドロンに搭載する物なのか?」
「私はそう聞いたんだけど………」
ショコラは地面に顔を向け、しょぼんとした表情を作る。
「確かにシフトトライドロンに搭載出来るような設計になっているが………」
どうやらこれには父さんもお手上げのようだ。なにせ今の時代には存在しない技術だ。
『シフトトライドロンから私に送られている信号もいつもと変わらないね………』
「ていうかこのシステムは誰が作ったんだ?」
変身を解き、ショコラにそう聞くとパッと表を上げて答えた。
「おじいちゃんだよ、私の。ほら、目の前に………」
と言ってショコラは父さんを指で示す。
『まあ…………予想はしていたがね。』
「他にいないしな………ていうかその時代でも生きてたか(ボソッ」
「リョウタ?」
「なんでもないっす。」
未来の父さん………つまりショコラのおじいさんが作った…………か。
「もうだいぶ試したし、続きはまた今度にしないか?」
不意に父さんが体を伸ばしながら言った。
それには全員が首を縦に振った。
俺もさっきからずっと変身→解除→変身の連続で疲れた…………
「じゃ……俺はバイトの続きか………」
「あ、私も。」
俺はベルトさんを父さんの机に置き、ショコラと一緒にドライブピットを出た。
「なあ、ショコラ。」
「んー?」
階段を上がる途中に声をかけた。少し気になったことがあったのだ。
「未来ではこの街はどうなっているんだ?」
ショコラはその言葉に少し反応するように体を震わせる。
しまった、まずい事を聞いたか。
「この街は………とっても綺麗で、かわいくて………この時代とそんなに変わらない、私の故郷''だった''の。」
''だった''……………?
「私達もね、この街でお母さんと、お父さんと、私と………それから妹の四人家族で暮らしてたんだ。」
「へえ!子供は二人かぁ………楽しみだな……!」
しまった、つい。
ショコラは目をこすり、続ける。
「でもね、この街はロイミュードの本拠地にされちゃうの。……………邪魔な建物は全部消えたよ、人も………」
「ショコラ、ごめん。もういい。変な事を聞いた。」
「ううん。」
ショコラは首を横に振るが、その目元には涙が溜まっていた。
「ほら、行こ?バイト遅れるとリゼさんに怒られるよ?」
「あ、ああ…………」
顔を上げると、地上に出る扉まで着いてしまっていた。
ーーーーーーーーーーーーー
「あ、ショコラちゃん、リョウタ君、おかえり。」
「お………じゃなかった、ココアさんただいまです。」
お?…………まいっか。
ショコラはシャロに紹介されて、ラビットハウスのメンバーと千夜、それとチェイス、流星とすぐに仲良くなった。
流星を見た時は少し様子がおかしかったが……………
もちろん未来から来た、とか。そういう事は話していない。
ココアとは随分気が合うようで、この前は一緒にパン作りなんかもしていた。
時折悲しそうな表情をするのが気になるが。
「ほらリョウタ、戻ったなら仕事仕事ー!」
「鬼教官め…………」
「褒め言葉だ。」
リゼに言われて渋々カウンターに向かう。
「………………ん?」
チノとすれ違った。
…………のだが、ここにも違和感。
「背が…………高くなってる?」
いつものチノよりも少し身長が伸びてるのだ。
「こ、ココア、チノって何か悪い物でも食べた?」
「へ?どうし…………ああ!背が高い!?」
気づいてなかったのか…………
それにしてもどうし……………て………こらこら、チノ、爪先立ちじゃないか。
そんな体制で仕事してたら転んじゃうぞ。
「チノ、なんで爪先立ちなんだ?見栄を張りたい年頃なのか?」
「違います。」
説明してくれたのはリゼだ。
「バレエを始めるんだってさ。」
「へえ。」
バレエか。いいね女の子らしくて…………女の子らしい………のかな?
よくわからん。そういうのには疎いもんで。
「なぜにバレエ?」
「今度授業で創作ダンスをするのですが、マヤさんとメグさんの三人でバレエの動きを取り入れようという話になって……」
創作ダンスかあ…………踊るだけでも恥ずかしいのに自分で振り付け考えるっていうアレね。
うん、いい思い出がない。
でもバレエの動きか、案外いい感じになるかも。
「もしもし千夜ちゃん!?チノちゃんの身長が急に伸びたの……ううん、何も悪いモノは食べてないと思うけど………」
ココアは本当に身長が伸びたと思って千夜に相談しちゃってるし。
「バレエかあ………私も小さい頃やってたなぁ。」
ショコラがしみじみとした表情で天井を見上げた。
「ショコラがバレエ………」
なぜだろうか。上手くやれてるイメージが浮かばない。
「あんまり上手にできなかったけど………」
あ、やっぱり。
ーーーーーーーーーーーーー
さて、今日でチノがバレエを始めて数日経ったわけだが………
「どれほどのモノになったかな?」
「楽しみだね♪」
ココアと二人で差し入れを持っていく事にした。
ラビットハウスを出て、バレエ教室への道を歩いていると、何やら見覚えのある後ろ姿が二つ。
「あれ、ハートとメディックか?」
俺の声に反応し二人が後ろを向く。やっぱり二人で間違いないみたいだ。
「泊リョウタか。」
おおう………メディックが''デートを邪魔された''、といったような表情で睨んできたぞ。怖い。
「何か用か?」
「私達はたまたま通りかかっただけだよー」
「ああ、バレエ教室に向かう途中なんだ。」
「バレエ?」
メディックが何か反応するように表情を変えた。
「うん、バレエ。」
「……………私達も行きましょう、ハート様。」
「「え?」」
俺とハートの声が重なる。ココアは目を輝かせて「是非!」といった顔だ。
………メディックもバレエに興味が?
「さあ、早く案内しなさい。そのバレエ教室とやらに。」
「なんでそんなに偉そうなんだ………」
ハートの顔をチラッと見ると、「仕方ない」といった表情で肩をすくめた。
はぁ…………問題だけは起こさないでほしいな。
「そういえばブレンは?」
「ああ、俺は連れて行こうとしたんだが…………」
「邪魔なので置いてきましたわ。」
どうやらメディックとブレンの仲はそんなに良くないらしい。……………今だけはお前に同情するよブレン。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「あら、チノちゃんのお友達?是非見学していってね。」
「い、いいんですか!?」
「おいココア……少しは遠慮して………」
「いいのいいの。」
メグちゃんのお母さんはめちゃくちゃいい人だった。
しかし見学かあ………
「よし、行こうみんな!」
「行きましょうハート様。」
俺はココアに、ハートはメディックに手を引っ張られて、強制的に連れてかれてしまった。
教室に向かうと、既にマヤちゃん、メグちゃん、チノの三人がバレエの練習をしている最中だった。
「お〜やってるやってる。」
「少し真似してみようかな!」
「…………」
あれ?来たがってたわりにはメディックのテンションが低い。
「…………ダメですわ。」
だめ?
「休憩しましょ〜」
メグちゃんのお母さんが三人に声をかける。
チノはこっちを見てかなり驚いている様子。
「なぜここに!?」
「最近すごく頑張ってるから差し入れだよ!メグちゃんのお母さんが是非見学してって言ってくれたの。」
「あー………横の赤い人と黒い人も見学でね。」
一時的な協力関係とはいえ、チノはハートとメディックをまだ少し警戒しているようだ。
「…………で?ココアはなんでそんな体制を?」
気がつくとココアは俺の隣で横になり、片足を上げていた。
「真似してたら足つっちゃって…………」
てっきりすげーくつろいでるのかと。
その後は三人に差し入れを渡し、俺達は引き続き見学をする事に。
と、何かダンスの振り付けが閃いたようだ。
「ダンスのテーマを喫茶店にするのは?」
発言したのはマヤちゃん。これまた斬新な………
「こうかな?コーヒー豆が挽かれているさま!」
メグちゃんがくるくると綺麗に回転して見せた。
おお、さすがにバレエをやっていただけあって綺麗だ。
「コーヒーを淹れるさま。」
チノとマヤちゃんが何やら不思議な動きを…………これがテーマ喫茶店というものか…………
「お客様にコーヒーをお出しするさま!」
最後に三人同時にお辞儀をするように何かを差し出すポーズ。
これはなんか………もう…………
「「生贄を捧げる儀式かな?」」
俺とココアが同時に突っ込んだ。
「まったく!全然なってませんわ!」
「!?」
いきなり立ち上がったのはメディック。
ハートも隣でいきなり立たれてびっくりしてるよほら。
「お、おいメディック、何する気だ?」
「見ていなさい。」
はいぃ?
なんと次の瞬間。メディックがまるでプロのように(俺から見て)流れるような動きで技を決めて見せた。
「なんでできるんだよ!!」
思わず突っ込んでしまうほど上手い。
するとハートが俺に説明してくれた。
「メディックはバレエが得意な人間をコピーしたらしいな。」
「あ…………」
そうか、どうりでいつも踊ってるわけだ。
「わ、私も負けないよ!!!」
ココアが負けじとメディックの真似をするが、バランスを崩して転ぶ。
「……………無理するなココア。」
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次の日。
今日もなぜか俺とハートはバレエ教室に見学してるのだが…………
「チマメ隊!今日は私が差し入れだぞー!」
入ってきたのはリゼだ。手にはケーキの箱を持っている。
「ってココアとメディック!?」
そう、なぜ俺とハートが今日もいるのかというと、ココアとメディックの付き添い。
なぜか二人も練習に参加する事になったのだ。
リゼは俺に視線を向けて「なんで?」と聞きたそうに首を傾げる。
俺はただ首を振るしかなかった。
ハートはさっきからみんなの練習する姿を見てポカーンとしてるし…………俺もだけど。
「……………すまないな泊リョウタ。」
「…………大変なのはお互い様だよ。」
って…………今度はリゼもいつの間にかレオタード着てるし…………やっぱり女の子はバレエに興味あるもんなのかな?
そして思いもよらぬ事態に。
なんと千夜とシャロ、ショコラまで見学に来たのだ。
「ココアちゃんに見学に誘われて……」
「バレエにはちょっと興味あるし。」
「私ももう一回やってみたくなって…………」
結局いつものメンバーが集結してしまった。これにチェイスと流星がいればもう完璧だ。
「それにしても…………」
リゼとシャロの上達がすごいのなんのって…………
メグちゃんとリゼとシャロとメディックの四人がずば抜けている。
ハートと俺はもう座って拍手するしかなかった。
「………すごいな人間は。」
「………お前んとこのお嬢さんもな。」
なんか俺達だけすごいアウェイ感。
「こっちの高校の先輩もいいとこ見せてよ!」
「そ、そうですよ!」
「合点承知よ!」
「最高のパ・ド・ドゥをお見せするよ!」
マヤちゃんとショコラに言われて手本を見せようとする千夜とココアだが…………
「フラグにしか聞こえないな。」
「奇遇だな、俺もだ。」
ここ最近でハートとかなり親睦が深められた気がするぞ俺…………
「どっこいしょー!」
と、二人が技を決めようとしたがココアが地面に頭を思いっきりぶつけた。
「「見てられない!!」」
ていうか大丈夫なのかあれ…………
「ああ…………」
「?」
ハートが何かに気づいたかと思えば、なにやら声を漏らす。
「あんなに楽しそうなメディックは初めて見たよ。」
「へ?」
メディックを見ると、メグちゃん達と一緒に笑いながらバレエを楽しんでる。
「共存って………こういう事を言うのかな。」
「……………そうかもな。」
お、否定しないぞ。
ハートめ、メディックには弱いなー………
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バレエ教室はもう終わったらしく、俺達はいつものようにラビットハウスで働いていた。
「ティッピーが泣いてる。」
「バレエでしばらく離れてたからなー……ていうか泣くなよおじいさん(ボソッ」
なんだかんだ言って俺もバレエを見学して楽しんでたかもな。
「見て見てー!私ピルエットできるようになったんだよー!」
と言いながら回転して柱に激突するココア。
だから無理するな。
『やっと終わったかい…………』
「ベルトさん。」
シフトカー達に運ばれてくるベルトさんをキャッチする。
なんだ、寂しかったのか?
『リョウタ………落ち着いて聞いてほしい。』
「ん?何かあったの?」
ベルトさんはいつもより声を低くして言った。
『シフトカー達に蛮野の手がかりを探索させていたんだが…………』
「ああ。」
まさか蛮野の居場所がわかったとか!?
『実は………凄まじい数の重加速反応を見つけてな……………ロイミュードが………………さらに量産されてる事が発覚した。』
「なっ……………!?」
俺は少し…………考えが甘かったのかもしれない。
108体のロイミュードと………蛮野を倒す。
それでこの戦いは終わると思っていた……………でも…………
蛮野は、そう簡単には終わらせてくれない。
俺はまだ、蛮野天十郎という怪物の本質を知らなかったのだ。
もはや戦いはロイミュードVS人間ではない……………