仮面ライダードライブ〜サプライズ・ラビット〜 作:Purazuma
すこーしヘビーな回
「じゃあ、行ってくる。」
「………気をつけてね?」
「怪我の無いようにしてくださいね。」
「ああ。」
「チェイスも気をつけてな。」
「わかっている、リゼ。」
「流星君、ちゃんとハンカチは持った?」
「いや、いらねえよ………」
「は、ハートも、何か忘れ物はないの?」
「ここには何も置いてないからな。」
今俺達はラビットハウスを出て、ハート達と共に蛮野の第二の隠れ家へと向かおうとしている。流石に今回はココア達は連れて行けない。
………あいつが1500体ものロイミュードを量産している、とベルトさんが言っていたのだ。ほっとくわけにはいけない。
倒す事は出来なくても………せめて奴らの戦力の把握ぐらいはしとかないとな。
『よし、行こうか…………出発だ!』
「おお!!!」
トライドロンには俺とハート、ライドマッハーには流星とブレン、ライドチェイサーにはチェイスとメディックが乗り、出発する。
『しかし……………今回もルパン頼りか?』
「ああ。」
そう、なぜ奴らの場所がわかったというと、ベルトさんやシフトカーの力もあるが、ルパンから正確な位置が書いてある地図が送られてきたからなのだ。
「怪盗アルティメットルパンか………確か、お前達が倒したはずじゃ?」
「そのはずなんだけど………あいつ、お前達のバイラルコアを盗んでたらしくてさ。」
「なに?」
ハートは眉間にしわを寄せ、考え込んだ。
『ザザッ……………気をつけろよーお前ら、近くにいるぞ。』
トライドロンの通信で車内に声が響く。この声は父さんだ。
「あれ?父さんどっから通信して…………って!近くにいるって!?」
チェイスや流星達の方にも通信が来たのか、二人はバイクをトライドロンに近づけ、俺達は固まって全方位に注意を向ける事ができるようにする。
「!来たぞ!!」
一番先に気づいたのはチェイス。
上空から三体の下級ロイミュード達が襲ってきた。
『タイヤフエール!!!』
ベルトさんがそう叫ぶと、トライドロンの全てのタイヤからシフトカー達の力を纏ったタイヤが射出され、下級ロイミュード達を全て貫き、撃破した。
「ふう…………これ、変身しといたほうがいいな。」
『そのようだね。』
窓越しに流星とブレン、チェイスとメディックに視線を向けると、全員が頷いた。
「よし。」
「「「変身!!!」」」
『ドライブ!!!タイプ!!!スピード!!!』
《シグナルバイク!!!ライダー!!!マッハ/チェイサー!!!》
俺達が変身するのと同時に、ハート達もロイミュードの姿へと変身した。
「それで父さん?どこから通信してるんだ?」
『ああ…………真上。』
「まうえ?」
トライドロンのディスプレイを見ると、俺達の上空の様子が映し出された。
「なんだこれ!?」
写っていたのは赤いライドブースターと…………なんか、白くて、マッハに似てるスーツを纏った人。
「この仮面ライダーもどきが父さんか?」
『もどき言うな!!…………まあ、その通りだ。''量産型マッハ''だ。』
量産型のマッハ!?!?
いつの間にそんなもん作って……………
父さんの言葉に流星が反応する。
『博士!マッハはもっとかっこいいです!!』
『いや、特徴はよく捉えられていると思うが?』
まあ、確かに少しだけそれっぽい。
「ん?てことは…………父さんも戦うのか?」
『いいやまさか。念の為だ。』
そっすか。
「…………そろそろだな。」
ルパンが送ってきた地図に載っていた場所。
この木組みの街を出て、少し進んだ先にある廃工場だ。
ーーーーーーーーーーー
「来たか。」
廃工場の入り口には既にルパンがいた。
「本当にここで合っていますの?」
メディックはルパンを怪しそうに睨む。
「もちろんさ。」
………こいつはいっつもニヤニヤしてるな。
「入りましょう。」
「え?ああ………」
ブレンが先に工場の中へと入って行った。
それに続いて俺達も中へと入る。
工場の中は窓が少なく、太陽の光があまり入ってきていない。
つまり、暗い。
『気をつけろ………奴が………蛮野が近くにいるぞ。』
ベルトさんの言葉で全員が息を飲んだ。
全員で背中を合わせ、構える。
…………来るか?
どこからか階段を降りるような足音が聞こえてくる。
全員がその音の方に視線を向けた時、奴は姿を現した。
「蛮野……………!」
「やあ、揃っているな…………」
暗闇に光る109のナンバー、間違いなく蛮野天十郎だ。
「ははは………!どうやら人間と手を組まなければならないくらい追い詰められているようだね。ハート。」
「………………他のロイミュードはどこにいる。」
「他の?ああ…………私が操っていた駒達か。」
駒、だと?
こいつは…………こいつにとっては…………何もかもが道具だって言うのか………!?
「そいつらなら………もういない。」
「なんだと!?」
蛮野のその言葉にはハート達だけでなく、俺やベルトさん達までもが驚愕する。
「どういうことだ?もういないって……………」
「簡単なことさ、俺が吸収した。」
今度は蛮野とは違う声が鳴り響いた。
「…………006か。」
チェイスがぽつり、と呟く。
一桁台………てことは幹部ロイミュードか。
「どういう事だ?吸収したって………」
「006の能力は''略奪''………力を吸収し、奪う事ができるんだ。」
ハートは握り拳に力を込めた。
「今存在しているロイミュードは………君達を除いては、操る必要も無く、忠実に私に従うロイミュードばかりさ。」
蛮野はそう言うと上を向いて大笑いした。
…………許せねえ。
こいつだけは絶対に!!
「ああそれと、周りには気をつけたほうがいいぞ。」
「なんだと!?……………っ!?」
その瞬間、俺の変身が解けた。
「そんな…………どうして!?」
腰に巻かれていたはずのベルトさんがいなくなっている。
「ふふふふ……………」
「お前…………!?」
前にはベルトさんを持ち、不敵な笑みを浮かべているルパン。
『どういう事だルパン!?』
「馬鹿だねえ…………本当にルパンが生きていたと思ってたなんて…………」
「何を言って…………!?」
奴は一瞬にして姿を変えた。
スパイダー型の下級ロイミュード…………胸のナンバーは008。
「まさか…………偽物………!?」
「そうさ、本物のルパンはお前達によって消滅させられている。運良くルパンガンナーが残っていたのはラッキーだったよ。」
最初から罠だったって事か………!!
くそ!!こんな手に引っかかるなんて!!!
『私をどうする気だ!!!』
ベルトさんが008の手の中でもがく。
「君には少し…………眠っていてもらおう。」
そう言うと008はベルトさんに電撃を走らせた。
『うっ………!?』
「クリム!!!」
「ベルトさん!!!」
008は蛮野の所へ行き、動かなくなったベルトさんを渡した。
「これでもう君達に用は無い。…………やれ。」
「了解っと。」
006と008が同時に降り立ち、俺達の方へ接近してきた。
008はルパンガンナーを構えている。
《ルパン!!!》
仮面ライダールパンとプランドラーロイミュード。
二体が光弾を発射し、牽制してきた。
「リョウタ逃げろ!クリムがいなければ戦えない!!」
父さんは呆然と立ち尽くす俺の腕を引っ張り、廃工場の外へ連れ出した。
「待てよ………!ベルトさんを……!ベルトさんを取り返さないと!!!」
「馬鹿か!!今は無理だ!!!」
「いやだ………ダメなんだ…………これは……!!」
これじゃ…………まるで……………!!!
ドライブドライバー………クリムさんが蛮野に奪われるの。
ショコラが言っていた事と同じじゃないか…………!!!
「放せよ!!!」
「おいリョウタ!!!」
父さんの腕を振りほどき、流星達と006、008が戦っている中へと突っ込んだ。
「リョウタ!?何やって………!?」
「蛮野おおおおおおお!!!」
そして蛮野が立っている階段へと飛び移り、接近する。
俺の中にある………ロイミュードの力を…………今こそ!!!
「うおおおおおおお!!!」
コアドライビアの力を身体強化に回す。
そして蛮野に殴りかかった。
しかし…………
「ぐっ…………は……………!?」
何者かが俺の顔に蹴りを入れ、俺は階段の下へと落ちていった。
「がは!!っげほ!!っげほ!!!」
「下等生物が………蛮野様に殴りかかるなど………」
「てめぇ………!0……0………4!!」
004………ドライブロイミュードが蛮野を守るように立っていた。
「消えろ。」
「っ…………!?」
…………俺は馬鹿だ。
何にも成し遂げられずに………こんなところで……………
ズブ
「……………え?」
顔にかかった赤い液体で我に返った。
目の前には…………腹を貫かれ、血まみれになった父さんの姿が。
父さんは俺の方にゆっくりと倒れ込んだ。
「父さん…………?」
「生きろ……………リョウタ…………!!」
ーーーーーーーーーーーーー
「なあ父さん、''リョウタ''って名前はさ、元々は父さんの助手だった人の名前なんだよな?」
「ああそうだ、リョウタの体のコピー元だな。''早瀬リョウタ''。」
「漢字は無いのか?」
「え?」
「気づいたんだよこの前。なんで俺の名前はカタカナなんだろうって。」
「ああ………別に大した意味はない。実はな、早瀬の方のリョウタにはちゃんと漢字があるんだよ。」
「そうなのか?」
「ああ、ほら、ややこしいだろ?だからお前と区別できるようにお前の名前はカタカナ表記にしたんだ。………嫌だったか?」
「いや、別に嫌じゃないけど……………じゃあさ、漢字ではなんて書くんだ?」
「漢字か?''良多''だよ。」
「良多?」
「ああ、多分……そのまんまだけど、''良いことを沢山成し遂げるように''みたいな、そんな意味だと思う。」
「ふーん………シンプルだな。」
「まあ………私が名付けたわけではないから詳しくは知らんが。」
「…………良いことを沢山、か。じゃあ、その名前に恥じないような事をしないとな。」
「そうだな…………」
ーーーーーーーーーーーーーーー
なんでだ。
なんでこんな時に、こんな事を思い出す?
「父さん…………」
父さんはもう二度と動かない。もういない。帰ってこない。
ーーーー馬鹿親父!!!時差を考えろ!!!
ーーーーすまんって。
もうこんな。
ーーーーああ、それ、戦闘が長引くと暴走するから。
ーーーー先に言え!!!
言葉を交わすこともできない。
「ーーーーーっ!!!!」
咆哮が響く。
何がなんだかわからないまま、俺はただただ目の前の敵を攻撃していた。
「なんだ………!?こいつにこんな力が………!?」
胸が熱い。
中でエンジンがかかっている。
《オー…………ァ……!!………ル…………ジン!!!》
頭にそんな音が響いてきた。
「蛮野様!これ以上ここにいる必要はありません!!」
「そうだな…………泊リョウタのその力には興味をそそられるが…………今は引こうか。」
蛮野達は廃工場の天井を光線で突き破り、外へと逃げていった。
「リョウタ!!しっかりしろ!!!」
…………流星達の声が聞こえる。
だが、その声をかき消すように。
俺の頭の中で、車の走行音のような音が鳴り響いていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ついに……………手に入れたぞ……………はははははははははは!!!!」
「これで計画は………………」
「ああ、最終段階だ。」
「この力で仮面ライダー共を消し去り、そして……………」
「人類全ての……………データ化だ。」
「ハート達はどうする?」
「あいつらは………006に任せよう。」
「そりゃ''ありがたい''。」
奪われてしまったベルトさん。
そして息絶えた泊エイタ。
その苦境の中で………リョウタ達はどう蛮野に立ち向かうのか!?