仮面ライダードライブ〜サプライズ・ラビット〜 作:Purazuma
「やっぱりここにいたんだ。」
ラビットハウスの前で突っ立っていると後ろから声をかけられた。
ショコラの声だ。
後ろを振り向くと意外と近くにショコラが立っていて少し驚いた。
「お前、まだ避難してなかったのか?」
「うん、する気も無いけどね。」
「…………いやしろよ。」
「やーだー!」
何を考えてるんだこいつは。まさかロイミュードの軍勢に生身で戦うつもりじゃないよな…………?
「私にだって………できることくらいあるよ。」
「わかったよ………好きにしてくれ、止めても無駄そうだし。」
俺がそう言うとショコラはにかっと笑いその場で嬉しそうにジャンプした。
「でも………………こっちはそうも行かないな。」
ラビットハウスの扉を開け、カウンターに視線を向ける。
そこには茶髪の女の子が一人立っていた。いつもは明るい彼女も、今は怖いくらい静かだ。
「ココア…………早く避難しろよ。」
「リョウタ君……………」
ココアはこっちを見た後、すぐに俯いた。
さっきからずっとこんな調子だ。…………もうすぐ蛮野が攻めてくるタイムリミットだってのに………
「あのね……………私もここに残っ「ダメだ。」……………」
急にカウンターから離れたココアは早足で俺に近づいてきた。
「どうしてリョウタ君はいつもそうなの!?いっつも…………自分を犠牲にしようと……………私は!最後までそばにいたいの!!」
「…………………………………………」
俺だって。
俺だって、そうだよ……………!!
こんな所で死にたくない……………!
「おい、もうすぐタイムリミットだぞ、早く…………ってココア?」
玄関には流星とチェイスが立っていた。
「時間だココア、行かなきゃ。」
「……………いや。」
………………仕方ない。
俺はココアの背中に手を回し、体をこっちに抱き寄せた。
「リョウタ君……………!?」
ココアは少しの間戸惑っていたが、しばらくすると俺の胸に顔を埋めて泣き出した。
「大丈夫だ…………必ず帰る。」
そうだ………………必ず生きて帰ってみせる。
「リョウタく……………っ!!」
ココアは少し体を震わせた後、力なく俺に倒れこんできた。
……………つまり気絶させたのだ。
俺はココアに押し付けていた物を離した。
「ごめんドクター………こんな嫌な役やらせちゃって………」
シフトマッドドクターは俺の手のひらの上で「気にするな」と言うように回った。
さて……………
ココアを背負い、流星とチェイスと一緒にラビットハウスを出た。
するとそこには見知った顔が揃っていた。
「みんな…………」
そこには千夜、リゼ、シャロ、チノがいたのだ。
「ココアさんが避難所にいなかったので…………やっぱり、ここにいましたか。」
「そっか、悪いけどココア連れて行ってくれ。」
「あ、私が………」
ココアは千夜が背負い、避難所に連れて行くことになった。
「リョウタさん………………」
チノが何か言おうとするがすぐに口を閉じる、恐らく止めようとしたのだろうが、言っても無駄だと確信したのだろう。
「そうだリゼ、これを。避難所に着いたら開けてくれ。」
チェイスはリゼに一枚の封筒を渡した。
「これは………?」
「必ずあっちに着くまで開けるなよ。……………さすがに恥ずかしいからな。」
「それはどういう…………?」
リゼに質問させる暇もなくチェイスは後ろを向いてスタスタと歩いてどこかへ行ってしまった。
「そうだリョウタ!ショコラを見なかった!?」
シャロは身を乗り出し、早口で聞いてくる。
すまないシャロ……………
「ショコラなら別の避難所に向かったよ。」
「そ、そう…………もう、あんな手紙じゃなくて一言言ってくれればよかったのに。」
隠れているショコラに「これでいいんだな?」と合図するとゆっくりと頷いた。
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「本当に…………お前達はしないのか?」
リゼは小さな声でそう聞いてきた。
「ばーか、俺達が戦わないでどうするんだよ。」
「そうそう、大丈夫だって!正義は勝つんだから!!」
「…………………リョウタ君、流星君、チェイス君。………………必ず帰ってきてね。」
ココアを背負った千夜が途切れ途切れに言った。
半ば無理やりだが、みんなが避難所に向かったのを確認し、俺達は残りの時間をラビットハウスで過ごすことにした。
「ふう…………………………」
俺と流星とチェイスはそれぞれ向かい合うようにテーブルを囲んで座った。
「………………誰かなんか言えよ。」
「お前こそ。」
沈黙。
ああ、くそ。最後になるかもしれないのに、こんな雰囲気で終わりたくないんだがな…………
…………最後、か。生きて帰るって約束したのにどうしても弱気になっちゃうな。
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避難所。
「ココアーーーーーーーーー!!!」
「も、モカさん!!来てたんですか!?」
「心配で飛んできたのよ!!!…………あれ?ココア寝ちゃってるの?」
リゼは「はい」とだけ言って床にココアを寝かせた。
ココアのお母さんもいたので、どうやら家族は全員来ているみたいだ。
「もうすぐ時間ね…………」
千夜がそう言った瞬間。時計の針がタイムリミットを指し、避難所中にゴーン、ゴーンと時間を知らせる音が鳴り響いた。
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「泊リョウタ。」
「ああハートか…………いけるか?」
「いつでも…………時間だな。」
「たぶんこれで……………最後の戦い、だよな?」
流星がそう言うと、全員が息を飲むのがわかった。
そういえばショコラがいない。
あいつ………………一体どこに行きやがった。無事ならいいが……………
「結局…………ベルトさん無しで迎えちゃったな。」
チェイスから預かっているマッハドライバーを握りしめた。
しばらく立っていると、急にチェイスとハートが何かに反応するように顔を前に向けた。
「…………………来るぞ。」
ハートがそう言うと、俺と流星はマッハドライバーを腰に装着し、チェイスはブレイクガンナーを取り出した。
足音が聞こえる。
天気も悪くなってきてますます不穏な空気が漂ってきた。
「まずいね、これ。」
そうだな流星、確かにこれは想像以上だ。
俺は奥に見える灰色の集団に目を背けたくなるのを我慢して睨んだ。
「あれが……………蛮野が作り上げたロイミュードの軍勢……………!!」
ついに、来てしまった。奴らだ。
数えるのも嫌になるほどの下級ロイミュード達が歩くスピードを揃えてこちらに近づいてくる。
中心に見えるのは……………006か?
どうやら006が下級ロイミュードを従えているみたいだ。
「………………行くぞ!!!」
一斉に身構える。
《シグナルバイクシフトカー!!!ライダー!!!超!!!デッドヒート!!!》
《シグナルバイクシフトカー!!!ライダー!!!デッドヒート!!!》
《ブレイク………!!!アップ……!!!》
仮面ライダー超デッドヒートドライブ。
仮面ライダーデッドヒートマッハ。
魔進チェイサー。
そしてハートロイミュード超進化態。
横に並んだ俺達はロイミュードの軍勢が到達するまでその場に留まっていた。
奴らが近づいてくると、中心にいる006が浮き上がり、俺らに視線を向けた。
「ほう……………逃げなかったようだな。」
「ごちゃごちゃ喋ってねえで……………さっさと来いよ。蹴散らしてやるぜ。」
006はふん、と鼻で笑い、地上に降り立った。
そしてしばらく両者が黙り込む。
「やれ。」
006が指で俺達を示すと、下級ロイミュード達が一斉に俺達に襲いかかってきた。
「行くぞみんな!!!」
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
俺達は奴らの中に突っ込んだ。
《ヒッサツ!!!バースト!!!フルスロットル!!!デッドヒート!!!》
流星はいきなり必殺技を発動し、下級ロイミュードを一気に吹き飛ばす。
そこに道のように空洞ができる。
「はあっ!!」
下級ロイミュードを殴っているうちに、俺は違和感に気付いた。
「蛮野が……………いない?」
そう、蛮野………ゴルドドライブの姿がどこにもないのだ。
「一体どこに…………!?」
「ふっ…………蛮野なら、別の仕事をしている。」
「なに!?」
006は俺達が戦っているのを見物しながらそう言った。
「何か…………嫌な予感がする!!」
くそ!!!
蛮野を探すにしても下級ロイミュードが邪魔で先に進めない!!!
「邪魔だ!!どけええええええっ!!」
《ヒッサツ!!!バースト!!!フルスロットル!!!超!!!デッドヒート!!!》
「うおおおおおおおお!!!」
右手に力を込め、ロイミュード共を殴り飛ばしながら走り抜ける。
「よし!もうすぐ抜け……………っ!?」
「行かせねえよ。」
あと少しでロイミュードの大群の中を抜けると思った矢先、006が俺の前に立ちはだかった。
「邪魔だ………!!」
俺は拳を握りしめ、構わず006に走って行ったが…………
「「はあっ!!」」
マッハとチェイサー………流星とチェイスが006を押さえ込み、動きを封じた。
そしてハートが006にパンチを打ち込む。
「ここは俺達で引き受ける!!リョウタは蛮野の所に向かえ!!!」
流星……………!!
「すまない!!!頼む!!!」
《バースト!!!キュウニ!!!超!!!デッドヒート!!!》
ブーストイグナイターを連打し、高速移動でその場から立ち去った。
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「はあ…………お前達だけでこの大群に立ち向かうって?はっ!笑わせる…………」
「そうか、ならすぐに笑えなくしてやるよ。」
……………とは言ったものの。
チェイスとハートと俺、か……………
006は超進化態だ。能力は…………確か「略奪」だっけ?
恐らくはかなり手強い相手だろう。
「足引っ張るなよお前ら。」
「そっちもな。」
「問題ない…………お前は俺が守る。」
さあ…………行くぜ!!!!
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やけに静かだ。
流星達の元を離れてからロイミュードに一体も会ってない。
「向こうにいるので全員って事か……………」
まずは蛮野だ。
一体どこで何をしようと…………………
『ネクスト!!!』
「っ!?!?!?」
横から飛んできた斬撃を躱しきれずに直撃してしまった。
走っていた勢いもあり、地面につかずに建物まで吹き飛ばされた。
「ぐっ…………………!!」
「お前一人だけ、か。」
意識が飛びそうになるのを抑え、目の前の敵を睨む。
「お前……………004……………!!!」
「蛮野様の所には行かせない……………この場で死ね、泊リョウタ。」
ベルトさんはまだ意識がないのか。いや………あいつが意図的に意識を消しているだけか。
俺がベルトさんを取り戻さない限り、ベルトさんの意識は戻らない……………
『ネクスト!!!』
今度はエネルギー弾を連射してきた。
「くっっっそ!!!」
素早く前転をし、回避する。
あの拳銃…………!!あれのせいで全然近づけねえ…………!!
今はベルトさんがいないけど………………物は試し、か。
「来い!!ハンドル剣!!ドア銃!!」
ダメ元で呼んだのだが、いい意味で予想を裏切ってくれた。これは別にベルトさんの意思で飛んできているわけじゃないって事か。
遠くから飛んできたハンドル剣とドア銃を手に取り、建物の陰に隠れる。
どうやって接近するか………………
俺らしくもない。少し吹き出してしまう。
「考えるより行動だ!!!」
片手でドア銃を連射しながらダークドライブに接近する。
できるだけ光弾は回避し、当たりそうな所だけをハンドル剣で守りながら接近した。
(今だ………!!)
ハンドル剣を奴の装甲目掛けて振り上げる。
「ふん。」
「くっ……………!!」
しかしその一撃は奴の剣で受け止められ、そのまま発射された光弾で俺の体が吹き飛んだ。
「ちくしょう…………!!!」
煙に紛れて再び建物の陰に身を隠す。
やっぱり超デッドヒートドライブじゃあ奴には敵わないのか……………!?
「作戦変更だ。」
まずはベルトさんの奪還をメインに奴に接近しよう。
でもどうやって………………!?
「ん…………………?あ!!あいつ……………!!!」
いつの間にあそこに……………!?
でも、これで勝機が見えた。
俺は奥の建物に隠れているある人物に合図をし、建物の陰から飛び出した。
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「ぐっ…………………!!」
「弱え。」
「ぐはっ!?」
「弱え。」
「がっ…………!?」
「弱すぎる。」
006に立ち向かった俺達だが……………やはり部が悪すぎる。
下級ロイミュードの方はハートが抑えているが…………そう長くは保たないはずだ。
「俺は右から行く、流星は左から奴を!!!」
「俺に命令するんじゃ…………ねええええええ!!!」
《バースト!!!キュウニ!!!デッドヒート!!!》
チェイスの指示通り左から回り込み、006にゼンリンシューターで攻撃を仕掛ける。
《シューター!!!》
しかし奴は腕を前に構えると、俺の放った光弾を吸収した。
「こんなんどうしようも…………!!」
「返すよ。」
006は俺に向かって吸収した光弾を増幅して放った。
「ぐあああっ!!」
《チューン……!!!チェイサー……!!!スパイダー!!!》
吹き飛ぶ俺と入れ替わるようにチェイスがファングスパイディーで006に斬りかかる。
だが006はそれをも難なく受け止め、チェイスに蹴りを放ち、吹き飛ばした。
「ぐうっ……!!」
006は黄金の光を出しながら俺達に近づいてくる。
「うっ……………くそおっ!!!」
《ヒッサツ!!!バースト!!!フルスロットル!!!デッドヒート!!!》
《ゼンリン!!!》
「はあああああああああっ!!!」
006にゼンリンシューターで殴りかかった。
これで決める…………………!!!
「っ…………なに……………!?」
006が、消え………………………
「がっ………………はっ………………あ''………………!!」
いつの間にか006は俺に接近し、黄金のオーラを纏った拳を俺の腹部に打ち込んでいた。
「ふん!!!」
「があああああああああっ!!」
体が宙に浮き、建物に激突した。
変身が解け、シグナルマッハが近くに落ちた。
「っ……………!!……………!」
声が出ない。
………………内臓がいくつか、やられた。
骨も何本か……………!!
「ふっふっふっ………………!!」
「流星!!!」
チェイスが006に突撃し、ファングスパイディーで突きを繰り出す。
「ぐあっ!!」
006はチェイスに膝蹴りをし、その後に回し蹴りで遠くに吹き飛ばした。
「つっ…………………!!」
「まずは、一人。」
006が俺に近づき、右手に力を込め、黄金のオーラが集まってくる。
「醜く、死ね。」
そしてその拳を振り上げた。
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避難所。
「そうだ……………」
チェイスからもらった手紙…………何が書いてあるんだろう……………
もう避難所に着いたし、開けてもいいよな?
私はポケットから手紙を取り出し、ゆっくりとそれを開いた。
「………………………え……………………」
あいしている。
「チェイス………………」
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「流星!!!」
……………!!!!
チェイスが立ち上がり、こっちに物凄い勢いで走ってきた。
馬鹿野郎…………!!来るんじゃ………………!!!!
「チェイ……………!!!!」
006の繰り出した拳は、俺を貫くことはなかったが………………
「ぐっ…………あ……………!!!」
006の腕は、魔進チェイサーの装甲を貫いていた。
「ははははははははは!!!」
006はそれを引き抜き、追撃しようとする。
「うあああっ!!!!」
「なに!?」
しかしチェイスは咄嗟にブレイクガンナーを突き出し、006を吹き飛ばした。
「う………………あ…………………」
変身が解け、チェイスが俺の方に倒れこんでくる。
「チェイス………!!お前…………!!何やって…………!!馬鹿野郎!!!」
倒れるチェイスを受け止め、体を揺らす。
「……………これでいいんだ、流星。」
「…………!!」
「リゼ達を…………人間を守れるなら……………………本望だ。」
「チェイス………………」
くそが………………!!
そんな守り方しても…………誰も嬉しくなんかねえんだよ!!!
チェイスはポケットから黒と紫のレザーウォレットとシグナルチェイサーを取り出し、俺の手に握らせた。
「人間が俺にくれた…………宝物だ。」
「っ…………!!」
「俺とお前はダチではないが……………持っていてくれ……燃えてしまうと……勿体無い。」
燃えてしまうとって………………まさか……………!!!
チェイスは俺を振り払い、立ち上がった。
そしてそのまま006に特攻を仕掛けた。
「あっ…………!!」
「てめえ………!!離せぇ!!!!!」
チェイスは006にしがみつくと、そのまま離すことなく。
自爆した。
爆音が頭に鳴り響いてくる。
嘘だろ……………………?
「っ…………チェイスーーーーーーーーーっ!!!!!」
チェイスの最期は原作通りやろう、と決めていましたが…………書いててあのシーン思い出して泣けてきました。