麦わらの副船長   作:深山 雅

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第107話 バケモノ

  ……何で俺は顔が痛いんだろう。頭じゃなくて、顔が。

 

 どうやら眠っていたらしい。というよりむしろ、気絶していた。そして目覚めてみれば、何故か両頬が痛い……うん、まず間違いなくルフィのせいだな。きっと『寝るな』とか言って、起こすためにぶっ叩いたんだろう。

 

 

 

 

 眠っている間に、俺たちはドラム城にまで辿り着いていたようだ。

 周囲を見渡してみれば解る。ここは明らかに城の中だ。俺ってば随分と長い間落ちていたんだな。

 ふと気付いたけど、体調も少し戻ってきてる。まだ全身はダルいし熱もあるみたいだけど、起き上がれないほどじゃないな。

 よし、ちょっと起きる……か……

 

 「………………」

 

 「………………」

 

 寝かせられていたらしいベッドから身を起こすと、部屋の入口からこっちをじ~~~~っと見てくる生物と目があった。ああ、そうか。

 

 「なんだタヌキか」

 

 「おれはトナカイだッ!!」

 

 うん知ってる。ごめん、からかった。

 そう、今そこにいるのは青ッ鼻トナカイことトニートニー・チョッパーである。壁の後ろに顔の半分を隠しつつ体を晒しながら俺を見るチョッパー。めっちゃビクビクしてるけど、でもそれ以上に……ツッコまずにはいられない。

 

 「逆だろ、それ」

 

 俺のツッコミにチョッパーはハッとしたかと思うと、いそいそと体の向きを入れ替える……コイツ、今のを無かったことにする気だ!

 ……ま、いっか。そこまで重要なこととも思えないし。

 

 「で、お前トナカイなのか?」

 

 重ねて尋ねると、またもやチョッパーはビクッと震えた。何にそんなに怯えてるんだ?

 

 「う、うるせぇ! 人間ッ!! ……お前、熱大丈夫か?」

 

 このチョッパーの発言で、1つだけ解ったことがある。

 

 ツンデレだ! チョッパーはツンデレだったんだ!

 

 いや、それは置いといて。

 

 「まぁ、大丈夫なんじゃないか? さっきよりはマシだな……って、どうした?」

 

 質問されたから答えたのに、チョッパーは変なモノを見るかのような目で俺を見てきた。

 

 「お、お前……おれが喋ってるの、気にならないのか?」

 

 へ?

 

 「何で?」

 

 ……むしろそれより、さっさと壁の陰から出てきて欲しい。何となく面倒くさい。

 

 「おれ……トナカイなのに2本足で立ってるし、喋るし……」

 

 いやいやいや。

 

 「トナカイが喋るぐらいで一々驚いてたら身が持たないって」

 

 って、冷静に考えたら十分驚く出来事なのかな。

 

 「でも! みんなおれのこと、バケモノって言うぞ!」

 

 何だ、その言い方だとまるで自分はバケモノだぞ! って言ってるみたいだぞ。

 でもな。

 

 「ふ……それぐらいでバケモノだなんて……片腹痛い」

 

 ヤバい、思い出して遠い目になってしまった……真のバケモノを。

 

 「俺に言わせりゃ、悪魔の実の能力者でもないのに素手で砲弾を飛ばすような人間の方がよっぽどバケモノだよ」

 

 あ、何だろう寒気が……ルフィほどじゃないけど、俺だってあれらの出来事はトラウマになってる。

 

 「それより、さっきから聞いてるけど。お前はトナカイで間違いないんだな?」

 

 祖父ちゃんというバケモノの記憶は強引に脳内から締め出し、俺はチョッパーに向き直る。

 

 「あ、あァ……」

 

 頷くチョッパーはまだビクビクと震えて……よし、からかおう。

 

 「そうか! やったな、トナカイ肉は初めてだ……やっぱりステーキかな」

 

 意味深にそう呟くと、聞きとがめたチョッパーは更にビクゥッと震えた。

 

 「お前、おれをステーキにして食う気か!?」

 

 荒らげられたその声は、震えていた。体だけじゃなく、声まで震えていた。

 

 「いや冗談だ、ステーキになんてしないって」

 

 努めて明るい調子で否定すると、チョッパーはあからさまにホッとしていた……ふふふ、まだからかいは続いているぞ?

 けどまだ、部屋の向こうまで行くのはキツそうだな。あっちからここまで来てもらうか。

 

 「よ……っと」

 

 俺がベッドから立ち上がろうとすると、チョッパーは慌てた様子で壁の陰から出て来た。

 

 「お前、起きちゃダメだ! まだ治ってないんだぞ!」

 

 ち、出て来るだけじゃ足りないんだよ。

 

 「……」

 

 チョッパーの注意を無視してさらに歩こうとして、次の瞬間には崩れ落ちてみせる。

 

 「見ろ! だから寝てろって」

 

 「捕まえた」

 

 「へ?」

 

 倒れた俺患者を心配して駆け寄って来たチョッパー医者の体を、両手でわしっと掴む。そして、ニッと笑いかけた。

 

 「ステーキになんてしない……雪国ならやっぱり、鍋かシチューだよな」

 

 「ギャーーーーーーーーーー!!!」

 

 「うるっさいよ、チョッパー!」

 

 真っ青になったチョッパーの絶叫を耳にしたのか、奥からDrくれはがやって来た……からかわれた被害者なのに叱られたチョッパー、哀れ。

 

 

 

 

 やりすぎました。チョッパーにガチで怯えられてしまいました……反省。

 本当にからかっただけだからな? 実はトナカイの肉は食べてみたかったなァ、だなんてことはちょっとしか……コホン。ちょっとも思ってないからな?

 ガタガタ震え、壁の陰から警戒するチョッパー……マジでゴメン。

 

 「お、おれは食い物じゃないぞ!」

 

 うん、解った。解ったからそんなに震えないでくれ。まるで俺が極悪人みたいじゃないか。あ、海賊だから悪人で間違いは無いのか。

 

 「ヒーッヒッヒッヒッヒ! 熱は多少引いたようだね、小僧!」

 

 チョッパーは取りあえず置いといて、今はやって来たDr.くれはと病状について話し合おう。Dr.くれはは酒瓶を片手にツカツカとベッドサイドにまで来ると、その酒をラッパ飲みしながらもう片方の手で俺の額に触れた。

 

 「37度2分……お前さん、どうなってんだい? あっさりと熱が引いちまったよ」

 

 あ、そうなの? ってか37度2分って、かなり微熱だな。やっぱ俺って丈夫なんだろうか。そこでふと疑問に思ったことがあって、俺はDr.くれはを見上げた。

 

 「もう1人、病人がいたはずだけど……そっちはどうなった?」

 

 ナミも診てもらったはずだよな。

 

 「死にゃあしないよ。あの小娘はあたしが診た時点ではもう快方に向かっていた……今となっちゃ、お前さんの方が熱は低いがね」

 

 マジか。本当にどうなってんだろ、この身体。祖父ちゃんのようなバケモノの遺伝子の賜物か? ……まさかね。

 って、普通に話してるけど、俺ってばDrくれはとはこれが初対面じゃん。自己紹介しとかないと。

 

 「それはどうも……やっぱり、あなたが『Drくれは』で間違いないんですね?」

 

 敵じゃないんだし(むしろ命の恩人)、年長者だし、やっぱ初めは敬語の方がいいよな。

 

 「ヒッヒッヒッヒ! そうさ、ドクトリーヌと呼びな!」

 

 「解りました、ドクトリーヌ」

 

 俺は出来るだけ殊勝な態度で頷いた。さっきも思ったけど、やっぱり命の恩人だしね。けれどそのDr.くれは……ドクトリーヌはというと。

 

 「若さの秘訣かい!?」

 

 欠片も聞いてないことを言い出した。

 いや聞いてないけど、実際に見てみると気になる。すげェよドクトリーヌ。すっごいピチピチ。大胆なへそ出しルックだけど、腹部の肌の張りもいい。スタイルも抜群だし、顔を見なければ20代って言われても納得できそう。

 確かに気になる。気になるけど、でも今は。

 

 「どうでもいいです」

 

 俺はキッパリと言い切らせてもらった。ドクトリーヌの方もそれほど残念がったりすることもなく、小さく肩を竦めるだけだった。

 

 「それより、俺……というか、俺たちの病気ですけど。やっぱり五日病だったんですか?」

 

 「そうさね。しかし五日病だなんて、お前たちはどこから来たんだい? 太古の密林にでも行ってたのかい?」

 

 おぉ、ドクトリーヌ鋭い。俺は1つ苦笑した。

 

 「リトルガーデンってとこに行ったんです。正に太古の密林でしたよ」

 

 正直に答えると、ドクトリーヌは呆れたように溜息を吐いた。

 

 「まったく……寝といで、まだ完全に治っちゃいないんだ」

 

 まぁ確かに、微熱とはいえまだ熱があるのなら、完治したとは言えないだろう。

 けれど素直にベッドに身を横たえた俺に対し、言った本人であるドクトリーヌが妙な顔をした。

 

 「おや、素直なもんだ。あの小娘は、先を急ぐと言って起き上がろうとしたのに」

 

 成るほど、ナミか。

 

 「確かに、先は急ぎますけどね……今ここで大人しく数日休んで完治させるか、無理に起き上がってぶり返すか。結果的にはどっちの方が効率がいいかは明らかでしょう? 尤も、ルフィが『すぐに出航するから起きろ』とでも言ったんなら別ですけど」

 

 船長命令には従うよ、うん。まぁそうなった場合は、治るまで航海を手伝う気は無いけどな!

 でもこう言っててもぶっちゃけ、完治するのに数日かからないような予感もするんだよね……こう、サクサクッと治っちゃいそうな。ナミにしても、俺より数日早く薬を射ってるんだから、そう長いことはかからないだろう。

 

 「ふん。素直すぎて面白くないね……チョッパー!」

 

 ドクトリーヌがチラリと視線を寄越しながら名を呼ぶと、チョッパーはまたもやビクッと震えた。

 

 「いつまでそんな風にしてる気だい!? 暇ならあっちの小娘の看病でもしに行きな!」

 

 その言葉に、またもやブルブルと震えだすチョッパー……何故?

 

 「で、でも……あっちには、あいつらがいる……おれ、食われる!」

 

 ………………何だろう、何となく状況が予想できる。

 

 「あの麦わら……おれのこと、肉って呼ぶんだ!」

 

 予想当たった!

 俺の場合は冗談だけど、ルフィの場合は本気だもんなぁ。

 

 「あの金髪は、どうせなら美味く食うべきだ、料理するって!」

 

 サンジ……お前もか。

 

 「長ッ鼻は、腹減ったって!」

 

 ウソップまで。

 なるほど、それでか。チョッパーのこの怯えっぷりは。ただでさえあの3人に食料として見られてたのに、俺にまでそう言われて怖かったんだな。それで多分、ドクトリーヌから離れたくないんだろう。身の危険を感じるせいで。

 しかし、ドクトリーヌは非情だった。

 

 「それがどうした! 患者は待ってくれないよ! さっさと行きな!!」

 

 頼りのドクトリーヌに一喝され、チョッパーは涙目で走り去って行った……哀れな。

 頑張れチョッパー、何とかなるさ……多分。ナミもいるんだし、大丈夫だろう。

 

 「さて」

 

 部屋にはドクトリーヌと俺、2人きりになった。途端にドクトリーヌは真顔になって俺を見下ろしてくる。

 

 「色々と、聞きたいことがあるよ」

 

 あ、やっぱりですか。やっぱりありますか。

 

 「お前の名前はモンキー・D・ユアンでいいんだね?」

 

 はいそうですその通りです。俺はコクリと頷いた。ドクトリーヌはまた1つ溜息を吐くと、ちょっと眉間に皺を寄せた。

 

 「まどろっこしい前置きは無しだ。あたしは昔、その名を聞いたことがあるよ……お前の母親はモンキー・D・ルミナだね」

 

 断定的に言われ、再び頷く俺……場合によっては便利だな、この名前。言わんでも解ってもらえる。

 

 「あの麦わらはお前のことを弟だと言ってたけど、どういう意味だい?」

 

 あ、そこですか。そこってそんなに気になるポイントですか?

 けど、この話題でおちゃらけるつもりは無い。

 

 「その通りの意味ですよ。義兄弟なんです」

 

 「……なるほど。あたしとしては、お前よりもあっちの方がルミナに似てると思ったんだがね」

 

 うん、俺もそう思う。思うから、苦笑しか出て来ない。

 

 「似てても可笑しくは無いですよ。血縁上はルフィと俺は従兄弟……母さんから見れば甥っ子ですから」

 

 おじやおばに似るって、よく言うしね。

 俺の説明にドクトリーヌも納得顔になった。

 

 「あァ。そういえば、兄がいるとか言ってたね」

 

 母さん……どこまで話したんだ? っていうか。

 

 「ルフィには聞かなかったんですか?」

 

 俺は今まで寝てたけど、ルフィは普通に元気だったのに。

 

 「……聞いてもよかったのかい? 人前で、あの嘘が吐けそうにない小僧に」

 

 「嫌ですね」

 

 「そうだろうさ」

 

 言って再び酒をラッパ飲みするドクトリーヌ。

 

 うん、確かにそれは嫌だ。あそこまで情報を与えられても気付かなかったり、簡単に誤魔化されたりするのって、間違いなくルフィぐらいだもんな。他の誰かが知れば、真相に辿り着く可能性が非常に高い。

 

 はっきり言って、知られたくない。

 墓場まで持っていきたい、とまでは思わない。やむを得ない状況に陥ったならば、公表するのも仕方が無いと諦めもする。けど、出来ることなら全力で隠蔽したい。だからこそ、ルフィにすら話してないんだ。

 でも、ということはドクトリーヌ……気を使ってくれたのか。ありがたい。

 

 「あいつに関しては、眠っているお前を叩いて起こそうとしてたから、強制的に退場させといたよ。感謝してもらいたいね」

 

 「ありがとうございます」

 

 やっぱりか。やっぱりお前だったかルフィ。この顔の痛みの原因は!

 ドクトリーヌには精一杯の真心を込めて頭を下げさせてもらった。

 

 

 

 

 その後に交わした会話については、こっちとしても気が重くなるので割愛させてもらう。

 クロッカスさんにそうしたように、俺の知っていることは包み隠さず正直に話させてもらったよ。そしてドクトリーヌもクロッカスさんと同じように、痛ましげな表情を浮かべた。

 母さん……俺が言えたことじゃないけどさ、やっぱり早まったよ……色んな人に心配かけて。

 そして一通りを話し終えてしんみりとした後、ドクトリーヌは大きな溜息を吐いた。

 ちなみに、話してる間にドクトリーヌは部屋にある一脚の椅子に腰かけている。

 

 「何だかね……さっさと逝っちまって。ならなおのこと、お前はその分も生きなきゃならないねェ」

 

 「そうですね」

 

 よくよく考えたら、今回の1件もアレだよな……死なない算段は付けてたとはいえ、わざと病気に罹ってさ。

 俺もテンパってたのかなぁ……。

 

 「目的もあるらしいしねェ」

 

 「そうで……何で知ってるんですか?」

 

 続けて頷こうとして、疑問から途中で止まる。

 あれ、俺ってばドクトリーヌにその話をしたっけ?

 

 「あの麦わら小僧が言ってたさ。お前には死ねない理由があるんだってね。だからちゃんと治してくれとさ。歴史を作ること、海賊王誕生を見届けること、それからある男を破滅させること、だろう?」

 

 その通り。ルフィ、全部言っちまったのか。

 

 「お望み通り、病気は治したさ。あとは自分で頑張るんだね。どれを取っても一筋縄じゃいかないだろうが」

 

 「でしょうねぇ……」

 

 俺は自分でも、自分の目標のデカさに眩暈がしてくる。

 望みがデカいからこそ、あまり多くを望んではいない。けどだからこそ、その1つ1つが大変だ。

 

 「1番簡単なのは、復讐かな……でもそれは私怨だから、1番後回しにすべきことだし……」

 

 考え出したらキリが無くて、俺は自分の世界に入り込んでしまった。しかし、そのブツブツとした呟きを聞き付けたドクトリーヌが変なことを言い出した。

 

 「いや、復讐も簡単じゃないだろうさ。何たって相手が相手だ」

 

 ………………へ?

 

 「ドクトリーヌ、俺の復讐相手を知ってるんですか?」

 

 それについては、誰にも言ってないよね……口に出すのも嫌だったから。けれどそのドクトリーヌも、俺に負けず劣らずの訝しげな表情になった。

 

 「取り立てて聞いちゃいないが、予想はつくさ」

 

 え、つくの? 絶対に会ったこととか無いと思うんだけど。

 おかしいな、何だか会話が噛み合わない。……よし、直球で聞いてみよう。

 

 「俺の復讐相手、誰だと思ってます?」

 

 聞くとドクトリーヌは、狐に抓まれたようなきょとんとした顔をした。うわ、きっと希少価値があるよ、ドクトリーヌのきょとん顔。

 

 「父親じゃないのかい?」

 

 ………………あ、いや、うん。冷静に考えてみると確かに、事情を知ってればその発想に行き着きそうですよね。

 そりゃあ包み隠さず言えば、これまで1度もそんな風に考えたことが無いと言えば嘘になるよ。特に最近は。色々と理不尽な目にあったし。

 でもさ。

 

 「それ以前に、ソレって関わり合いになりたくない相手なんですよね」

 

 これが昔、エースとルフィのどっちと海に出るかって考えた時にルフィを選んだ決め手になったんだよな。

 あ、でも結局ルフィもいずれは会いに行くのか? 麦わら帽子を返しに。……もしそうなったら、俺、船番でもしてよう。

 当面の問題は頂上戦争か。エースを助けたいのは勿論だけど、俺も早々に退場しないとな……のんびりしてたら、ヤツが来るかも。いや、来てもいいのか? どうせ向こうは知らないんだし、顔さえ合わせなければ。

 

 「『関わり合いになりたくない』かい」

 

 俺が物思いに耽っていると、ドクトリーヌが微妙な顔になった。

 

 「『殺したいほど憎んでる』と言うよりも、むしろ残酷なもんだ」

 

 ……仰る通りで。

 けどなぁ……何となく、遠いんだよね。俺からしてみれば、ルフィの命の恩人で、四皇の一角で、被ってきた理不尽の大本ってとこだ。

 頭では理解してる。だからこそ、考えたことが無いわけじゃないんだ。ここ最近は色々と話を聞く機会もあったし、でもそれでも、さ。1度も会ったことが無いってのも大きいのかな。

 母さんにしても、産まれた時のことを覚えていなければ他人事のように感じてたかもだし。

 ま、意識してもしょうがないか。どっちにしろ向こうは知らないんだから、スルーしてしまえば面倒は起こらないだろう。

 

 「でもそれなら、お前の復讐相手は誰なんだい?」

 

 ……ドクトリーヌ、それはツッコまないで欲しかった。正直に言えば思い出したくないし、口に出したくない。俺は誤魔化そうかとも思ったけどそれも面倒に感じて、渋々と口を開いた。

 

 「……とある齧歯類を、ね……」

 

 ふ、ふふふ……誰が『赤い髪のチビ』だッ! 世界中に広めやがって、あの野郎!!

 覚えてろよ、ネズミッ!!

 

 




 アラバスタでエースと話した後、大変なことになりますね。

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