綾波のんびりお茶日和   作:神楽美凪

19 / 21
春イベントも残り一週間ですね。夏はこれ以上になるのかなぁと今から頭が痛いです。


第十八話:最奥艦隊との戦闘

慎重に海路を進んでいく私たち。すると先行していた瑞雲12型からまた連絡があったようです。

 

「ふむ! 綾波よ、敵艦隊じゃ」

「編成は?」

「戦艦ル級エリートが二隻、軽巡ツ級エリートが一隻、駆逐ハ級後期型が二隻……旗艦は例の青い目の戦艦じゃ!」

 

ついに出てしまいましたか戦艦ル級改フラグシップ。できれば最奥艦隊だけの遭遇で行きたかったのですが、仕方ありません。

 

「陣形は単縦陣! 空母はいませんがツ級がいるので慎重に!」

「了解! 援護頼むわよ秋月!」

「は、はい!」

 

利根さんの瑞雲12型から敵艦隊の位置を教えてもらい、瑞鶴さんの艦載機が発艦されます。

他の皆さんも砲撃準備を整え、榛名さんは観測機を飛ばして弾着射撃の準備に入ります。

 

その榛名さんの砲撃を合図に始まる砲撃戦。先に瑞鶴さんの艦載機による攻撃がありましたが、ツ級によってほとんど被弾していないようです。

 

敵に戦艦が三隻もいるので向こうからの砲弾のほうが数が多く威力も高いので私も前に出ることができません。さすがに戦艦三隻から集中砲火されれば大破する確率もかなり高いですからね。

ですから私にできるのは迫りくる砲弾を撃ち落とすくらいです。

 

 

 

 

 

しばらく続いた砲撃戦ですが、ある時を境に向こうからの砲弾が少なくなります。どうやら補給もしくは装填作業に入ったようですね。

 

「今のうちです! この海域を強行突破します!」

 

今回の作戦は最奥艦隊旗艦撃破が目標なので道中の勝利は二の次です。

私の号令と共に全員全速力で離脱。何度か追撃がありましたがなんとか振り払えました。

 

「状況報告! 私は小破です!」

「榛名も小破です!」

「すまん、吾輩は中破じゃ」

「筑摩、問題ありません」

「秋月問題ありません」

「瑞鶴も同じよ。でも艦載機をかなり落とされたわ」

 

中破が一隻ならまだ戦えますね。この先にいる敵艦隊は最奥艦隊だけのはずですからなんとかなりそうです。

その前に連絡をしておかないといけませんね。

 

「『こちら第1929鎮守府旗艦綾波。応答願います』」

「『こちら大本営直属MS諸島沖警備隊漣です。どうかしましたか?』」

「『これより最奥艦隊との戦闘海域に入ります。申し訳ありませんが、帰路の確保願います』」

「『了解しました。手配しておきます』」

「『ありがとうございます。通信終わり』」

「『終わり』」

 

通信も終わったので皆さんと共にさらに奥に進みます。

普段はこんな通信をしないのですが、中部海域は現在の最前線。最奥艦隊を撃沈させてもその帰りで襲われ轟沈することが多々ありました。それを防ぐために中部海域では全ての海域に大本営直属の部隊基地が設置され、精鋭部隊が日々救助や支援を行っています。

それでも大本営を警備している本隊には適わないそうです。同じ艦娘なのかいつも疑問なんですよね。

 

「どうかしましたか?」

「いえ、何でもないです」

 

いけない。余計なことを考えていたせいで秋月さんに心配されてしまいました。

今はまもなく開始される戦いに専念しないと。

 

 

 

 

「!? 綾波さん! 敵艦隊を発見しました!」

「輸送艦はいますか!?」

「確認してあります!」

 

どうやら最奥艦隊を発見できたようです。実はこの近海は資源が豊富にあることが確認されており、それらを海域最奥に輸送しているのがこの艦隊なのです。それゆえにこの海域では輸送艦の撃破が最大目標となっています。

 

「編成確認! 旗艦は輸送ワ級フラグシップ。随伴はツ級エリート二隻、駆逐二級後期型二隻、そしてワ級を守護するように戦艦ル級改フラグシップがいます!」

「最攻撃目標艦は輸送ワ級ですが、榛名さんと利根さんは戦艦ル級改フラグシップに攻撃を集中! 瑞鶴さんに秋月さん、そして筑摩さんはツ級エリートを大破もしくは撃沈させてください! 二級は私が対応します!」

「「「「「了解!」」」」」

 

私の指示により皆さんが一旦離れます。

同時に私は空を見ます。太陽は先ほどよりも海面に近くなり、あと1時間もすれば沈むでしょう。となれば、最悪夜戦で仕留められますので夜になるまえにどこまで戦力を削れるかが勝負となります。

 

 

 

今回も空母がいないので瑞鶴さんの先制攻撃から始まります。ですが先の戦いで艦載機が落とされ、さらに今回はツ級エリートが二隻もいることから回避するので精一杯だと無線が入ります。

戦艦同士の砲撃戦も始まりますが、榛名さんは小破しており、向こうのほうが有利です。利根さんが援護してくれていますが、長くは持ちそうにないですね。

秋月さんと筑摩さんは瑞鶴さんを守りながら砲撃しているので他に回せる余力がありません。

 

「なるべく早く私も合流しなければいけませんね」

 

私は迫りくる砲撃を回避しながら前進し、ようやく二級の姿をとらえます。それは向こうも同じでいきなり砲弾が飛来しますが、いくら敵駆逐艦の中でも高性能とはいえ今の私の敵ではありません。

 

左手でB型を二つ持ち、飛来する砲弾を右手で捕まえながら回転して投げ返します。さらに回転しすぐさまB型による砲撃を開始。それにより一隻を大破、一隻を中破に追い込みます。中破に至るまで被弾させれば雷撃を飛ばすための発射機にも被害を与えているはずなのでこれでしばらくは向こうも十分な攻撃ができないでしょう。

 

私は追撃をせず戦況を確認します。すると榛名さんをかばった利根さんが大破になっており、秋月さんも中破しています。

一方敵艦隊ですがル級はいまだに小破すらしておらず、ツ級エリートは一隻無傷ですが一隻は撃沈しています。どうやらこちらも味方をかばったようですね。

 

この状況だと榛名さんの援護に向かいたいのですが、駆逐艦の火力では戦艦にはかないません。となれば、ここはより火力の高い筑摩さんにお願いするしかありません。

 

「『筑摩さんそちらに合流します! 合流後榛名さんの援護を!』」

「『了解です!』」

 

すぐに瑞鶴さんたちと合流し、大破した秋月さんを後方に下がらせながらツ級の砲撃を撃ち落としていきます。その間に瑞鶴さんは残った艦載機の発艦準備を整えています。先ほどまではツ級の砲弾に被弾しないよう常に移動していましたが、今は私がそのほとんどを撃ち落としているので準備がしやすくなっているはずです。この調子ならもう一撃くらいは……

 

「準備万端! 攻撃隊、発艦始め!」

 

そんな私の心境を叶えてくれるように瑞鶴さんが放った矢が艦載機となって飛んでいきます。ツ級はそれに対応すべく砲を空に向けますが、由良さんから教えてもらった妖精さんによる魚雷投下によって迫っていた魚雷が命中して体勢を崩します。

さらに追い打ちのように、あるいはこれまで落とされた艦載機たちの無念を晴らすように迫りくる艦載機の皆さんの攻撃によって撃沈に成功します。

 

これで残りは戦艦ル級改フラグシップとすでに被害を与えている二級二隻……輸送ワ級フラグシップがいない!?

 

「瑞鶴さん、輸送ワ級フラグシップを探せますか!?」

「!? 艦載機のみんな、お願い!」

 

やられました。戦闘に夢中になって最攻撃目標を見失うなんて! お願いです。どうか見つけて!

 

「……見つけた! 3時の方角!」

「!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、すでに私は動き出していました。後方から静止を促す声が聞こえてきますが、逃がすわけにはいきません。

ましてや今回は探照灯や照明弾のような夜戦装備を誰も搭載していないのです。ここで逃せば夜の闇のなかで探すのはかなり困難です。だからこそ、姿だけでもとらえる必要があります。そうすれば夜戦に入った瞬間に私なら撃沈させることができます。

 

残り燃料がわずかになったころようやくその背中を発見しました。すると向こうも一度振り返り、さらに速度を上げました。これでは追いつくのは無理です。

 

「妖精さん! 魚雷投下!」

 

これ以上は速力が上がらないので魚雷で少しでも被弾させるしか手段が残されていません。妖精さんも同じ考えだったらしくすぐに魚雷が投下され、輸送ワ級フラグシップに向かい、見事命中。勢いがなくなったこのチャンスをものにすべく、両手のB型と魚雷を一斉発射。

その攻撃により、なんとか沈めることができました。

 

「ふぅ」

 

思わずため息をつきます。まさか旗艦を逃がすために他の艦隊が応戦するなんてことを深海棲艦がするとは思いませんでした。やはりこの海域の深海棲艦は侮れないようです。

 

「さて、もどりましょ……」

 

振り向いた私に迫っていたのは一発の砲弾。それを回避することができず、直撃してしまいます。それによって中破してしまった私の視界に映ったのは先ほど中破させた二級。大破させたほうは見当たりませんが、すでに次発装填が済んでいたのかまたしても砲弾が飛んできます。

それは何とか回避しますが、やはり損傷がひどく何度も躱せるような状態ではありません。さらに右手のB型も損傷してしまい、魚雷発射機もうまく作動しません。

 

(それでも! こんなところで沈むわけにはいかないのです!)

 

最後の力を振り絞るように前進し、残った左手のB型の照準を合わせます。お互い同時に発射させた砲弾は当たることなく標的に向かいます。

私はそれを躱しきれず大破。二級は回避に成功しますがその後ろに続いていた二発目に気づかず直撃し、海に姿を消しました。

 

(あとは、みなさんと、ごうりゅう、を)

 

そこで私の体は限界をむかえてしまい、海面に倒れこみ、意識を失ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん」

「ア、 キガツキマシタ?」

 

ゆっくりと目を開けます。タオルでしょうか? 何かで顔を拭かれています。

 

「グアイハドウデスカ?」

「はい、だいじょ」

 

うぶです、と言葉が続くはずでしたがそれは口から出ませんでした。

 

角が付いた帽子をかぶり、黒の生地に紫のリボンをつけたセーラー服。そして足の代わりとばかりに下半身と同化しているホバーのようなもの。

 

私のそばにいたのは深海棲艦の姫級の一体、先ほど戦った戦艦ル級改フラグシップを上回る装甲を持つ駆逐棲姫だったのです。




無事海域ボスを倒した綾波ですが、この先どうなるのか!?

姫としては駆逐棲姫が一番かわいいと思っており、ほっぽちゃん派の友人とたびたび口論になりますが、みなさんはどうでしょうか?

ではまた来週です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。