綾波のんびりお茶日和   作:神楽美凪

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週一投稿の予定がなんかサクサクできたので投稿。
個人的に一週間の始まりは月曜日なので、3日~9日の間にまた投稿します。

では、本文をどうぞ!


第五話:ケッコン式~準備~

鎮守府に帰投した私たちは補給と入渠にそれぞれ分かれました。最も、被弾したのは私だけですが。

本当は旗艦なので司令官へ報告書を提出しなければならないのですが、榛名さんにお願いしたらむしろ喜んで引き受けてくれました。早く司令官と会いたいと思っていたみたいですね。

 

「あ、綾波さん。大丈夫でしたか?」

「明石さん。はい、綾波は大丈夫ですよ」

「それ、榛名さんみたいですよ」

 

二人して笑みを浮かべます。もう少し話していたいですがいつまでも負傷しているのも落ち着かないので入渠することを伝えて分かれます。

 

入渠施設であるドッグの前に立ち、第二ドッグの前に置かれたパネルの上に立ちます。すると被弾箇所を確認し、必要な入渠時間が表示されます。私は駆逐艦なので長くても2~3時間程度ですが、戦艦や正規空母の皆さんは長いと丸一日入渠しなくてはいけません。みなさん、元が大きい艦ですからしょうがないですね。

 

『使用』のボタンを押し、第二ドッグを開放します。後は私が入れば自動的に閉まり『入渠中』と表示が変わるので便利ですね。

 

ちなみに、第二ドッグを使用したのは第一ドッグがすでに『入渠中』だったからです。

 

 

被弾したことで破れた服を修復用の桶に入れます。どういう理由かわかりませんが、なぜかこの桶に溜まった液体によって服が完璧に戻るのです。その着心地は洗い立てのようで、雷さんが洗濯に使いたいみたいですがこの桶以外だと効果がないみたいです。

修復専用バケツにしか入れられない高速修復材もそうですが、いったい何なんでしょうねこの液体。

 

服と下着を脱いで修復材を含むお風呂に入ります。壁には残り入渠時間を示すタイマーがあるのでそれが0になったら修復完了です。

 

ドッグには暇つぶしのため明石さんによって防水加工された本や遊具が置いてあります。その中から一冊の本を取り出します。タイトルは『上手な雷撃~玄人~』です。

雷撃戦の教科書ですが、この『~玄人~』は海域を利用したり発射タイミングを変えてみたりと様々な応用が書かれているので入渠の時は読みながら戦闘の反省をしています。

 

今回は『雷撃』ですが、場合によっては同じシリーズの『主砲』も読んでいます。

 

久しぶりにもかかわらず上手く戦えたと思いますが、実は戦闘終了後、以前よりも疲れを感じました。そのことを考えながら読んでいくと、理想的な魚雷の発射角度よりも低い位置のため余計に足腰に力を入れていたようです。これは要対策ですね。

 

 

 

 

 

入渠時間が終わり、ドッグから出ます。すると目の前を弥生さんが通りかかりました。

 

「あ、こんにちは」

「ごきげんよう、弥生さん。何か急いでいるんですか?」

 

弥生さんは表情から何を考えているかわかりづらい艦娘さんと言われているみたいですが、私にはお見通しです。伊達に古参ではありませんよ。

 

「司令官と榛名さんのケッコン式準備……」

「へ? もうですか?」

 

確かに任務は果たしましたが、帰投してからまだ一時間程度しか経っていませんよ?

 

「式自体は一週間後。私は裁縫のお手伝い」

「そういうことですか」

 

実は弥生さん、すごい手先が器用なんですよね。その腕を見出され、あの雷さんの右腕としてこの鎮守府では人気者です。

 

「あの……」

「あ、ごめんなさい。がんばってくださいね」

 

お辞儀して走り去る弥生さん。

私も何かお手伝いしましょうか。状況把握とついでに報告書の補足もしたほうがいいかもしれないので司令室に向かいましょう。

 

 

 

 

ノックし、入室許可をもらったので入ると司令官が一人でお仕事をなさっていました。秘書艦娘さんはどこかに出向いているのでしょうか?

 

「やあ、今回はご苦労だったね」

「いえ、私のほうも想像以上に戦闘のことを忘れていたようなので」

「そうなのか?」

 

そこで先ほど気づいたことを伝えると「そこまでしなくても」と苦笑されました。

 

「そういえば、来週に決まったそうですね」

「うん? ああ、式のことかい」

「はい。司令官の提案ですよね。妥当だと思います」

 

榛名さんとしては今すぐでも提督とケッコンしたかったと思います。しかし、任務完了の通達をしても肝心の指輪がありません。

この鎮守府は大本営から離れているほうなので届くのは早くて五日後。ならば届いた五日後、もしくは翌日の六日後でもいいと思いますが、榛名さんはかなり舞い上がっているはずなのでいざ式をしたら気絶する可能性もあります。私の冗談にすら赤面した榛名さんですからね。

 

付き合いが浅い私でもわかることを最も付き合いがある司令官がわからないはずがありません。

 

「いや、君が考えていることは半分正解だ」

「半分、ですか?」

 

どうやら司令官にはまだ考えがあるようですね。是非とも聞いてみたいので私専用の机に備え付けの椅子に座ります。

 

「実は本日の秘書艦娘は阿賀野でな」

「あれ? 今週の軽巡の秘書艦娘は矢矧さんでは?」

「その矢矧が昨日の遠征の帰りに遭遇した敵艦隊で負傷したのでな」

 

なるほど。あの『入渠中』は矢矧さんだったのですね。そして阿賀野さんは “提督LOVE”の一員でしたね。

 

「まさか……」

「そう。自分もケッコンしたいと言ってきたんだ」

 

気持ちはわかりますが、阿賀野さんは最近鎮守府にいらした方なのでまだ改にすらなっていないはずです。その時点ですでに好きになった阿賀野さんの惚れやすさに驚くべきか司令官の女たらしに呆れるべきなのか。

 

「そこで、有り余る力をケッコン式準備に向けてもらったというわけさ。おそらく金剛の指揮に従っているだろうよ」

「よくわかりました……ところで司令官?」

 

自分の声が若干高くなるのがわかります。なお、この声は私が怒っている時の声で、当然司令官も気づいています。

 

「なにかな?」

「私が何を言いたいか、お分かりですよね?」

 

笑みを浮かべる私ですが、当然内面は怒りの表情になっています。そんな私に対し、司令官は降参の意味を込めて両手を上にあげます。

 

「阿賀野の代わりの秘書艦娘は能代に応援を呼んであるよ」

「なら、いいです。私がいると能代さんが緊張してしまうので、お先に失礼しますね」

「手伝ってくれないのか?」

「そろそろいらっしゃる頃なのでしょう?」

「敵わないな」

 

私は敬礼をして、司令室を後にしました。

 

 

 

 

自室に戻る前にあちこち眺めていると工廠の隣で金剛さんが何かを指示していますね。……その前に置かれた大量の資材が気になってしょうがないので金剛さんのもとに向かいます。

 

「金剛さん!」

「? Oh! 綾波さんデース」

「デース、じゃないですよ。なんですかこの資材は?」

 

私が金剛さんと話している間も運ばれてくる資材。その面々は“提督LOVE”の方々ですね。言い忘れましたが、“提督LOVE”は金剛さんが立ち上げた会です。目的は言うまでもないですが。

 

「ウェディング施設用の資材ですよ?」

「施設?」

「イエース! やはりウェディングと言えばchurchデース」

 

チャーチ……教会!? 金剛さんの妹である榛名さんなら白無垢よりもウェディングドレスに憧れるのはわかりますが、そこまでするのですか!?

 

「当然、提督の許可はもらってマース!」

 

金剛さんが見せてくれた紙には確かに『施設建設許可書』でしたし、司令官の署名もあります。しかも、日付が昨日になっています。

そういえば、昨日榛名さんと一緒に金剛さんも南方海域に出撃してましたね。見落としていました。

 

「でも、こんな資材いったいどこから……」

「こういう時のための会専用資材です」

 

現れたのは叢雲さん。そうですよね、会員番号2番のあなたが動かないわけないですよね。それでいいのか総合司令艦と思うことは多々ありますが、この時の叢雲さんには何を言っても無駄なんですよね。

 

「緊急用の出撃資材には手を付けていません。これは私たち会員が集めてきた資材なので」

「どこから集めてきたんですか?」

「遠征の時に、大成功以上の量を持ち込んだ時にコツコツと」

 

つまり、潜水艦娘さんたちや駆逐艦娘たちも共犯なんですね。まあ、鎮守府の運用に被害が出てないから……というより、司令官の許可がある以上私にはどうすることもできませんね。

 

「では、私は部屋に戻りますね」

「「お疲れ様デース(です)」」

 

戦闘以上に疲れた体を動かしながら自室に戻りました。お茶でも飲んで気持ちを落ち着かせましょう。




前書きで書いたように3日~9日の間に投稿しますが、いつ投稿できるかは不明です。たぶん7日くらいかな?

次回もよろしくお願いします。
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