The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】   作:M崎

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第10話 8月3日の談話大会

 

 西暦2014年8月3日(日)、午前10時53分。

 

 

 この日この時刻、鎮守府は深海棲艦大量発生、いわゆる『大反乱』の後処理に追われていた。

 混乱も混乱、大混乱といった有様である。

 

 ただでさえ珍しい事態なのに、さらに「鎮守府合宿」の日付とかぶってしまい、その唯一の参加者である俺が、奇天烈な登場の仕方をしたのでさらにお仕事が増え、

 そのうえ陸からも敵の攻撃を食らい、てんてこ舞いな状況だ。

 

 しかし、その合宿参加者が、能力を扱えることが判明。

 即戦力として前線に投入し、鎮守府は黒岩明博(くろいわあきひろ)司令官のもと、第6駆逐艦隊(暁以下4隻)第1航空戦隊(いっこうせん)第7戦隊(最上型重巡洋艦)第2戦隊(扶桑型と伊勢型戦艦)の4つの艦隊を投入するにとどめた。

 (まあ、この時点で十分破格の対応なんだが。)

 

 その後、午前10時51分ごろに第1航空戦隊(いっこうせん)第2戦隊(扶桑型と伊勢型戦艦)が危機に陥ったため、

 

 能力を使える俺が、蒼い光と剣とともに、颯爽と助けに入ったのである。

 

 以上、説明終わりっ!!分かんなかった奴は前の話(5話と6話)を見てもらおう。

 まあ見たところで、俺の面倒な出来事がカムバックするだけなんだけどなー、はは。

 

 さて、そんな事件の真っ只中にいる俺、神城渓吾(かみしろけいご)は、というと。

 蒼を纏い、悠然と構えるまでは良かったのだが、その後。

 艦娘にだいぶ恥ずかしいセリフを吐いてしまったのだ。

 

 当然俺のメンタルは、

 

 

 

 (ギャーーーーーーーーーーッ!!!美少女の前でカッコつけすぎたぁーーーっっっ!!!)

 

 

 

 恥ずか死ぬ寸前だった。

 

 敵の深海棲艦の前にいるのに、頭をかきむしって大騒ぎしたい気分。今なら発狂できますぞ。

 ああ、いやだ…もう、死にたい…。

 

 何で俺、あんな意味不明な登場の仕方したんだろうか…。

 

 いや、一応弁明しておきますとですね?

 俺、ほんとはあんなふうに爽やかに登場する予定はなかったんですよ。

 実際はもうちょっと、艦娘たちに戦わすつもりだったんですって。

 んで到着しても、しばらくは高みの見物をしようと思っていたんです。

 

 そしたら着く前に、俺の左斜め前にいた艦娘が、突如主砲をぶっ放したわけですわ。

 

 どうみても悪手だった…というか、なんか変な感じだったな。わざと撃たしてるという感じ。敵も避ける気0だったしな…。

 まぁでも、何やってんだコイツ!?って思った俺は、右手に剣出して構えたんだよ。

 

 あ、この剣は、銘を迅氷剣(じんひょうけん)・テュルフィングっていうんだ。

 ちょっと格好いいだろ?蒼い剣なんだぜ?

 コレで敵ぶった斬ったときの爽快感がヤバいんだよー。

 

 

 …えーと、話を戻しますとですね?

 

 (テュルフィング)構えた俺は、その主砲ぶっ放した艦娘の方に向かおうとしたんですよ。

 あの後()()()()()()()()()()だろうなと読んでたから。

 

 そしたらびっくり。右側にも艦娘いるじゃん。しかもピンチじゃん!

 空母かなんか知らんが、中破しかかってて、あと2発食らったらあれ死ぬんじゃね?ってレベルだったわけよ。

 

 これは助けるべきだと思って、かわいそうだけど左の艦娘をほっといて、俺は右に向かったんだ。

 

 あ、言い忘れてたけど、俺未だに天使の靴(エアリエル)倍率26倍で突っ走ってるからな。あの時は風がすごかった。俺の顔の皮が飛んでくかと思った。

 そんな顔の皮が飛んでいきそうな海風吹きすさぶ中、俺は狙いを敵が撃った砲弾に的を絞って、剣を構え、以前、俺の剣の師範から教わった剣術の奥義を発動したんだ。

 

 その名も、

 

 

 「―――向心流第16秘剣、『雷刃(らいじん)』!!!」

 

 

 まーその後は、(6話)で知っての通り。

 雷の(はや)さで、ばったばったと敵の砲弾を斬ったわけ。

 

 以上、言い訳と釈明と過去編終わりっ!

 これ以上突っ込むんじゃない、俺のトラウマ刺激しちゃうだけだから!本当にヤメテネ?

 

 …えー、そして今の俺の状況。

 2文字で説明すると、

 

 

 

 最悪。

 

 

 

 身体面(フィジカル)でも精神面(メンタル)でも最悪。

 ダブルで俺はダメージ食らってる。

 つまり、勝てる自信ほぼなっしんぐ。

 

 理由は3つ。

 これは1個ずつ説明したほうが早いよな…説明ばっかで辛いとは思うが、我慢してくれ。

 

 

 えー、理由その1。

 

 威圧感がヤバすぎて動けへん。

 

 これは精神面(メンタル)の方かな?

 目線の嵐に殺されそうになってるヘタレな俺氏がいるだけ。

 一応睨み返してはいるものの、今は双方とも膠着状態。

 

 300 VS.(バーサス) 1って、眼力の勝負じゃほぼ勝ち目ないだろ。

 というか比率オカシイだろ。俺がどうあがいてもリンチの未来しか見えないわ。

 

 範○勇次郎さんとかなら一撃で勝てそうだけど…。

 俺あそこまで超人じゃないもんで、な。ははは…。

 

 

 …んんっ!次っ!理由その2!

 

 『雷刃』使ったせいで、右腕が悲鳴あげてる。

 

 これは身体面(フィジカル)のほうだ。

 あれ強いんだけど、フィードバックが相当なもので。

 

 いやだってさ、そりゃあ、雷の(はや)さで剣振ったら、右腕死にかけるに決まってるじゃん。

 

 剣って割と重いんだぞ?膂力は俺自身の力だしな。

 辛いんだあれ…。

 

 

 んで最後に、理由その3。

 

 これが最大の理由。

 

 

 蚊に刺されてしまった…。

 

 

 左手が超(かゆ)いっ!!左手の甲を掻きたい!すげぇ掻きたい!

 分かる?この、蚊に指の間を刺されたときのもどかしさ!

 そして右手が使えないときに掻けないストレス!

 分かる人はたくさんいると信じている。

 

 ―――こら、しょーもない理由だとか言うな。俺にといっては最大にして最悪の理由なんだよ。いちいちケチつけんな。

 

 

 …えー、以上3つの理由により、状況が本気でヤバいものになってると俺は判断しています。

 

 

 要は動けない。敵も、俺も。

 …敵が動けない理由は、俺を警戒してるからだろーな。下手に動いたら俺に斬られるし。事実そうするつもりだったし。

 

 もうこうなったら、動かずにしとめる方法を探すしかない。

 それしか方法が見当たらない…。

 あー…なーんで俺は選択肢の少ない選択を強いられてるのかねぇ…。

 

 それに、後ろからの期待の目線も無視できないし、どうしよっかなー…。

 

 俺が考えあぐねていると、後ろから声が聞こえてきた。

 それと同時、ズン、という砲声も。

 

 「神城くん、後ろ!危ないので―――」

 

 

 

 ()()()()

 

 

 

「「「「「――――――えっ?」」」」」

 

 神速の蒼い閃光(ひかり)が、目にも止まらぬ速さで、敵の放つ砲弾を斬り伏せる。

 それは視認を許さない。それは目で解することを許さない。

 残光だけが、「斬った」という事実だけを空間に示す。

 

 これぞまさに、不可視の斬撃(インヴィジブル・ストローク)

 誰も視えない、誰も分からない、(はや)すぎる斬撃。

 

 それを見事実演してみせた俺は、唖然としている艦娘たちに微笑みかける。

 だから笑顔なんて俺のガラじゃないんだが…ま、しゃーないか。

 

 「心配してくれてありがとな。俺は大丈夫。ちょっとやそっとじゃ死なないから。それよりも、だ」

 

 なんか海風を浴びて風邪でもひいたのか、彼女らの顔が真っ赤なんだが、もうこの際そんなことはどうでもいい。宇宙の彼方にでも捨て去ってやる。

 俺は知らん。

 

 それよりも後ろ。後ろ。

 

 「―――まずは殺気立ってる後ろの人たちを助けるのが先だ」

 

 後ろから、突然殺意がぶわぁっと出てきたの分からん?

 濃厚で、濃密な殺気が。

 

 俺が後ろを指差し、それに沿って艦娘たちがはっと後ろを振り向くと、そこには。

 

 

 「―――ナニガオコッテイル?オマエ、何ヲシタ…?」

 

 

 激おこぷんぷん丸でいらっしゃる敵の親玉が、不機嫌さを隠そうともせずに立っていた。

 白い髪を、不愉快そうに揺らしながら。

 

 俺は彼女を見て、目を(すが)める。

 

 あれ?あいつ、たしかさっき黒岩司令官に資料で見せてもらった奴だ。名前は確か…こ、こ………あ。

 

 「こ、こしあん?」

 「ナニヲイッテイル!?ワタシノナハコウワンセイキダ!」

 

 およよ、コウワンセイキ、だったらしい。漢字でどう書くかは覚えてナサス。

 

 「んで?何の用だ、コウワンセイキ、とやら」

 「トヤラ、トイウノガキニイラナイガマアイイ。ソレデハヒトツ、チュウコクサセテモラウ」

 

 忠告、だと?なんか物騒な単語が聞こえてきたな…美少女の口から。

 誰だよ、そんなことば教えた奴。女の子がそんな言葉使っちゃいけません。

 

 俺は、脱力したように次の言葉を言った。

 

 「お前こそ、何言ってるんだ?ガキがいっちょまえに脅し文句とか使うなよ~、物騒な世の中じゃねえんだからさ~」

 

 おかしな世の中。全然平和じゃないやん。美少女が脅迫文使ってんじゃん。

 おいコラ日本政府。TPPだ安保法案だどうのこうの騒ぐ前に、まずはこっちをなんとかしろや。武装した美少女とか意味不明すぎるわ。

 しかもカタカナ語やし。外国人なのかな?

 

 そうなのか?と確認するために後ろを振り向くと、そこには一様に顔を真っ青にした艦娘たちが。

 お?どうしたんだこりゃ?

 ―――あ、そういえば深海棲艦って、艦娘たちの敵だったな。納得納得。

 

 「ナンダト!?ワタシハガキデハナイ!!」

 

 声が聞こえたので視線を前に戻すと、なぜかぷんすかと憤慨してるコウワンセイキさんが。

 え…なんでこの子怒ってるのん?

 俺にはどう見ても俺らと同年代(タメ)か2つ下くらいの人にしか見えないんだがー…。

 見えてお姉さんだな。保母さんって感じ。

 

 でも、確かにガキっていう感じじゃないな。言い過ぎたか…。

 

 「いや、ガキはまずかったな。すまなかった」

 「ワカレバイインダ」

 「せめて子どもって言っとけば良かったか」

 「オイッ!!ソレデハナニモカワラナイデハナイカ!!」

 

 あれ?思ったことをそのまま言ったら怒られました。

 なんか後ろからも非難の目線が来たので、俺はんんっと咳払いして話を元に戻す。

 

 「で?その『チュウコク』ってのは、何なんだ?」

 「バカニサレテイルカンジガスルガ、コノサイシカタガナイ。エエト、チュウコク、トイウノハ」

 

 むすっと不満そうに喋っていた港湾棲姫(漢字思い出した)さんは、

 一瞬すごく悲哀な目をちらつかせると、すぐに誰の目に見ても明らかなほど鮮明に目の色を変えて、

 

 

 「イマスグコノカイイキカラデテイケトイウコトダ。ソコノヤツラモツレテナ!」

 

 

 と、高らかに叫んだ。

 それを聞いて艦娘が震え上がり、俺は少し気圧される。

 

 それは聞く人が聞けば、悪意に染まった港湾棲姫の事実上の「降伏の要求」で。

 しかし別の人が聞けば、一切の介入を他人に許さないようにも聞こえて。

 さらに別の人間が聞けば、どこか哀しそうだと耳が感じ取る。

 

 今の言葉に付加するイメージが、何故か2つも3つも見える。一定性がほぼ皆無なのだ。

 それに俺は不審さを覚えて、目をスウッと細くした。

 

 えー、さて、ここで1つ、俺からクイズです!

 

 今何故、俺が不信感を抱いたのか考えてみて欲しいでーす。

 考える時間は今から30秒。

 ま、ヒントくらいは出しますよ。

 

 まずは港湾棲姫の、()()()()()をれっついまぁ~~~じんふぉ~ざぴ~ぃぽ~ぉ?俺は資料で見たから知ってるZe☆

 

 ハイ次。「目の色を変える」という慣用句の意味を調べてみよう!

 意味が分かれば最後のヒント。

 

 イメージが2つも3つも見える=迷いがあるということ。

 ヒントっちゃあこんくらいだな。これ以上は認めん。

 

 ―――は?異論?

 異論は認めないというか認めさせないぞ?異論する奴はかかって来い。こいつ(テュルフィング)でぶった斬ってやるよ!!なーっはっは!!

 ………我に返ると、俺、何やってるんだろうな…。

 

 ―――え?いえいえ、バカにしているつもりは一切ありませんよ?

 

 さて、ここまでヒントが出ればもうお分かりでしょう。

 それでは解答です。

 

 俺が不信感を抱いたのは、今の言葉に不自然さを感じたから。

 

 ならば何故不自然だったのか?

 港湾棲姫さんに何かあったのだろう。

 

 それは、性格改変食らったわけでも、俺のことがトコトン嫌いだからというわけでもない。

 

 正解は、

 

 

 

 「―――おい、お前、()()()()()()()()()?」

 

 

 

 ―――外部から強制的に誰かに言わされている、でした~。

 

 その解答に至った途端、俺は頭を抱える。

 

 あー………、これは悲劇だ。

 ―――俺が救わなきゃならんやつや。

 

 

 




 作者「ああ、疲れた…」
 渓吾「というわけで10話でしたー………おいこれいいとこで切れてるな。元7話って何文字だったか?」
 作者「確か、10000文字超えだったかな…」
 渓吾「10000!?…うわー…」
 作者「読みにくくて本当にすいません…」
 渓吾「…うん、俺からも、すまん…」

 作者「さて、気を取り直して次回予告でも」
 渓吾「おー」
 作者「次の10話は、確か、怒涛のフラグ回収だったか?」
 渓吾「Oh…」
 作者「喜怒哀楽激しいなぁキミは!3行で『楽』から『哀』に落ちるんじゃない!」
 渓吾「だってー…面倒なんだもーん…」
 作者「うるさい!シャキシャキ働く!」
 渓吾「俺はもやしかよ…」

 作者「さて、次の10話も、期待して待っていてください!!」
 渓吾「感想もどしどし頼むぞー」
 作者「書けたら出します…」


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