The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】 作:M崎
西暦2014年8月3日(日)、午前10時53分。
この日この時刻、鎮守府は深海棲艦大量発生、いわゆる『大反乱』の後処理に追われていた。
混乱も混乱、大混乱といった有様である。
ただでさえ珍しい事態なのに、さらに「鎮守府合宿」の日付とかぶってしまい、その唯一の参加者である俺が、奇天烈な登場の仕方をしたのでさらにお仕事が増え、
そのうえ陸からも敵の攻撃を食らい、てんてこ舞いな状況だ。
しかし、その合宿参加者が、能力を扱えることが判明。
即戦力として前線に投入し、鎮守府は
(まあ、この時点で十分破格の対応なんだが。)
その後、午前10時51分ごろに
能力を使える俺が、蒼い光と剣とともに、颯爽と助けに入ったのである。
以上、説明終わりっ!!分かんなかった奴は
まあ見たところで、俺の面倒な出来事がカムバックするだけなんだけどなー、はは。
さて、そんな事件の真っ只中にいる俺、
蒼を纏い、悠然と構えるまでは良かったのだが、その後。
艦娘にだいぶ恥ずかしいセリフを吐いてしまったのだ。
当然俺のメンタルは、
(ギャーーーーーーーーーーッ!!!美少女の前でカッコつけすぎたぁーーーっっっ!!!)
恥ずか死ぬ寸前だった。
敵の深海棲艦の前にいるのに、頭をかきむしって大騒ぎしたい気分。今なら発狂できますぞ。
ああ、いやだ…もう、死にたい…。
何で俺、あんな意味不明な登場の仕方したんだろうか…。
いや、一応弁明しておきますとですね?
俺、ほんとはあんなふうに爽やかに登場する予定はなかったんですよ。
実際はもうちょっと、艦娘たちに戦わすつもりだったんですって。
んで到着しても、しばらくは高みの見物をしようと思っていたんです。
そしたら着く前に、俺の左斜め前にいた艦娘が、突如主砲をぶっ放したわけですわ。
どうみても悪手だった…というか、なんか変な感じだったな。わざと撃たしてるという感じ。敵も避ける気0だったしな…。
まぁでも、何やってんだコイツ!?って思った俺は、右手に剣出して構えたんだよ。
あ、この剣は、銘を
ちょっと格好いいだろ?蒼い剣なんだぜ?
コレで敵ぶった斬ったときの爽快感がヤバいんだよー。
…えーと、話を戻しますとですね?
あの後
そしたらびっくり。右側にも艦娘いるじゃん。しかもピンチじゃん!
空母かなんか知らんが、中破しかかってて、あと2発食らったらあれ死ぬんじゃね?ってレベルだったわけよ。
これは助けるべきだと思って、かわいそうだけど左の艦娘をほっといて、俺は右に向かったんだ。
あ、言い忘れてたけど、俺未だに
そんな顔の皮が飛んでいきそうな海風吹きすさぶ中、俺は狙いを敵が撃った砲弾に的を絞って、剣を構え、以前、俺の剣の師範から教わった剣術の奥義を発動したんだ。
その名も、
「―――向心流第16秘剣、『
まーその後は、
雷の
以上、言い訳と釈明と過去編終わりっ!
これ以上突っ込むんじゃない、俺のトラウマ刺激しちゃうだけだから!本当にヤメテネ?
…えー、そして今の俺の状況。
2文字で説明すると、
最悪。
ダブルで俺はダメージ食らってる。
つまり、勝てる自信ほぼなっしんぐ。
理由は3つ。
これは1個ずつ説明したほうが早いよな…説明ばっかで辛いとは思うが、我慢してくれ。
えー、理由その1。
威圧感がヤバすぎて動けへん。
これは
目線の嵐に殺されそうになってるヘタレな俺氏がいるだけ。
一応睨み返してはいるものの、今は双方とも膠着状態。
300
というか比率オカシイだろ。俺がどうあがいてもリンチの未来しか見えないわ。
範○勇次郎さんとかなら一撃で勝てそうだけど…。
俺あそこまで超人じゃないもんで、な。ははは…。
…んんっ!次っ!理由その2!
『雷刃』使ったせいで、右腕が悲鳴あげてる。
これは
あれ強いんだけど、フィードバックが相当なもので。
いやだってさ、そりゃあ、雷の
剣って割と重いんだぞ?膂力は俺自身の力だしな。
辛いんだあれ…。
んで最後に、理由その3。
これが最大の理由。
蚊に刺されてしまった…。
左手が超
分かる?この、蚊に指の間を刺されたときのもどかしさ!
そして右手が使えないときに掻けないストレス!
分かる人はたくさんいると信じている。
―――こら、しょーもない理由だとか言うな。俺にといっては最大にして最悪の理由なんだよ。いちいちケチつけんな。
…えー、以上3つの理由により、状況が本気でヤバいものになってると俺は判断しています。
要は動けない。敵も、俺も。
…敵が動けない理由は、俺を警戒してるからだろーな。下手に動いたら俺に斬られるし。事実そうするつもりだったし。
もうこうなったら、動かずにしとめる方法を探すしかない。
それしか方法が見当たらない…。
あー…なーんで俺は選択肢の少ない選択を強いられてるのかねぇ…。
それに、後ろからの期待の目線も無視できないし、どうしよっかなー…。
俺が考えあぐねていると、後ろから声が聞こえてきた。
それと同時、ズン、という砲声も。
「神城くん、後ろ!危ないので―――」
「「「「「――――――えっ?」」」」」
神速の蒼い
それは視認を許さない。それは目で解することを許さない。
残光だけが、「斬った」という事実だけを空間に示す。
これぞまさに、
誰も視えない、誰も分からない、
それを見事実演してみせた俺は、唖然としている艦娘たちに微笑みかける。
だから笑顔なんて俺のガラじゃないんだが…ま、しゃーないか。
「心配してくれてありがとな。俺は大丈夫。ちょっとやそっとじゃ死なないから。それよりも、だ」
なんか海風を浴びて風邪でもひいたのか、彼女らの顔が真っ赤なんだが、もうこの際そんなことはどうでもいい。宇宙の彼方にでも捨て去ってやる。
俺は知らん。
それよりも後ろ。後ろ。
「―――まずは殺気立ってる後ろの人たちを助けるのが先だ」
後ろから、突然殺意がぶわぁっと出てきたの分からん?
濃厚で、濃密な殺気が。
俺が後ろを指差し、それに沿って艦娘たちがはっと後ろを振り向くと、そこには。
「―――ナニガオコッテイル?オマエ、何ヲシタ…?」
激おこぷんぷん丸でいらっしゃる敵の親玉が、不機嫌さを隠そうともせずに立っていた。
白い髪を、不愉快そうに揺らしながら。
俺は彼女を見て、目を
あれ?あいつ、たしかさっき黒岩司令官に資料で見せてもらった奴だ。名前は確か…こ、こ………あ。
「こ、こしあん?」
「ナニヲイッテイル!?ワタシノナハコウワンセイキダ!」
およよ、コウワンセイキ、だったらしい。漢字でどう書くかは覚えてナサス。
「んで?何の用だ、コウワンセイキ、とやら」
「トヤラ、トイウノガキニイラナイガマアイイ。ソレデハヒトツ、チュウコクサセテモラウ」
忠告、だと?なんか物騒な単語が聞こえてきたな…美少女の口から。
誰だよ、そんなことば教えた奴。女の子がそんな言葉使っちゃいけません。
俺は、脱力したように次の言葉を言った。
「お前こそ、何言ってるんだ?ガキがいっちょまえに脅し文句とか使うなよ~、物騒な世の中じゃねえんだからさ~」
おかしな世の中。全然平和じゃないやん。美少女が脅迫文使ってんじゃん。
おいコラ日本政府。TPPだ安保法案だどうのこうの騒ぐ前に、まずはこっちをなんとかしろや。武装した美少女とか意味不明すぎるわ。
しかもカタカナ語やし。外国人なのかな?
そうなのか?と確認するために後ろを振り向くと、そこには一様に顔を真っ青にした艦娘たちが。
お?どうしたんだこりゃ?
―――あ、そういえば深海棲艦って、艦娘たちの敵だったな。納得納得。
「ナンダト!?ワタシハガキデハナイ!!」
声が聞こえたので視線を前に戻すと、なぜかぷんすかと憤慨してるコウワンセイキさんが。
え…なんでこの子怒ってるのん?
俺にはどう見ても俺らと
見えてお姉さんだな。保母さんって感じ。
でも、確かにガキっていう感じじゃないな。言い過ぎたか…。
「いや、ガキはまずかったな。すまなかった」
「ワカレバイインダ」
「せめて子どもって言っとけば良かったか」
「オイッ!!ソレデハナニモカワラナイデハナイカ!!」
あれ?思ったことをそのまま言ったら怒られました。
なんか後ろからも非難の目線が来たので、俺はんんっと咳払いして話を元に戻す。
「で?その『チュウコク』ってのは、何なんだ?」
「バカニサレテイルカンジガスルガ、コノサイシカタガナイ。エエト、チュウコク、トイウノハ」
むすっと不満そうに喋っていた港湾棲姫(漢字思い出した)さんは、
一瞬すごく悲哀な目をちらつかせると、すぐに誰の目に見ても明らかなほど鮮明に目の色を変えて、
「イマスグコノカイイキカラデテイケトイウコトダ。ソコノヤツラモツレテナ!」
と、高らかに叫んだ。
それを聞いて艦娘が震え上がり、俺は少し気圧される。
それは聞く人が聞けば、悪意に染まった港湾棲姫の事実上の「降伏の要求」で。
しかし別の人が聞けば、一切の介入を他人に許さないようにも聞こえて。
さらに別の人間が聞けば、どこか哀しそうだと耳が感じ取る。
今の言葉に付加するイメージが、何故か2つも3つも見える。一定性がほぼ皆無なのだ。
それに俺は不審さを覚えて、目をスウッと細くした。
えー、さて、ここで1つ、俺からクイズです!
今何故、俺が不信感を抱いたのか考えてみて欲しいでーす。
考える時間は今から30秒。
ま、ヒントくらいは出しますよ。
まずは港湾棲姫の、
ハイ次。「目の色を変える」という慣用句の意味を調べてみよう!
意味が分かれば最後のヒント。
イメージが2つも3つも見える=迷いがあるということ。
ヒントっちゃあこんくらいだな。これ以上は認めん。
―――は?異論?
異論は認めないというか認めさせないぞ?異論する奴はかかって来い。
………我に返ると、俺、何やってるんだろうな…。
―――え?いえいえ、バカにしているつもりは一切ありませんよ?
さて、ここまでヒントが出ればもうお分かりでしょう。
それでは解答です。
俺が不信感を抱いたのは、今の言葉に不自然さを感じたから。
ならば何故不自然だったのか?
港湾棲姫さんに何かあったのだろう。
それは、性格改変食らったわけでも、俺のことがトコトン嫌いだからというわけでもない。
正解は、
「―――おい、お前、
―――外部から強制的に誰かに言わされている、でした~。
その解答に至った途端、俺は頭を抱える。
あー………、これは悲劇だ。
―――俺が救わなきゃならんやつや。
作者「ああ、疲れた…」
渓吾「というわけで10話でしたー………おいこれいいとこで切れてるな。元7話って何文字だったか?」
作者「確か、10000文字超えだったかな…」
渓吾「10000!?…うわー…」
作者「読みにくくて本当にすいません…」
渓吾「…うん、俺からも、すまん…」
作者「さて、気を取り直して次回予告でも」
渓吾「おー」
作者「次の10話は、確か、怒涛のフラグ回収だったか?」
渓吾「Oh…」
作者「喜怒哀楽激しいなぁキミは!3行で『楽』から『哀』に落ちるんじゃない!」
渓吾「だってー…面倒なんだもーん…」
作者「うるさい!シャキシャキ働く!」
渓吾「俺はもやしかよ…」
作者「さて、次の10話も、期待して待っていてください!!」
渓吾「感想もどしどし頼むぞー」
作者「書けたら出します…」