The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】 作:M崎
…ただ、全然
彼が休めるのは、次の13話になりそうです。
ごめん、休ませてやれなくて。
それでは、どうぞ…。
西暦2014年8月3日(日)、午前11時04分。
「それにしても、神城さんはどうしてここにいらっしゃるんですか?鎮守府なんて、それ相応の許可がないと入れないんですが…」
「いや、俺はちゃんと許可貰ってるぞ?」
「え、どうしてですか?」
「なんか、合宿?みたいなやつらしくてさ。大元帥自ら俺を指名して放り込んできたんだ」
「大元帥が!?…もし、そうなら、凄いことなんですが…」
「いいや?あいつ昨日電話で話したんだけど、すっげぇ軽い口調で『行って来いやコラァ☆』って脅されたんだよ。大元帥もへったくれもありゃしない」
「…確かに、以前お会いしたときも、そんな感じの人だったような…」
俺、
鎮守府第3棟へ向かう道すがら、世間話でもしながらと、会話を始めている。
ただ、俺はちょーっと集中できてないけど。
いろんなところに目がいっちゃって。直視するのも憚られるというかなんというか…。
いや、だってこの榛名さん、綺麗な灰色の髪に、金色のカチューシャみたいなやつがよく映えてて、超美人さんなんですわ。
巫女さんみたいな衣装も雰囲気的にばっちしだし。
思わず見惚れちゃった俺氏…。俺の行動は間違ってはいないと思う。
分かってくれる人は、俺と是非同盟を組もうではないか。
―――あー、話を戻すとですね。
一応、この榛名さんと一緒に、鎮守府第3棟に向かっているのだが…。
この人、司令官レベルで話しやすい人で、ついつい話し込んじゃうんだよなぁ…。ううむ、やはり俺は女性に弱いのではないか…?
まぁいいや、
俺、超楽しいぜっ!!
全然面白いぜ!
うん、全然。
周りから何故か怨嗟の目線が飛んでくるけど、気にしてないから!
俺は今を楽しむ男だから、そんなの気にしないっ!
俺は周りを極力視界に入れないようにしながら、榛名さんに再三話しかけた。
「な、なぁ。榛名さんも、俺と同じ第3棟に向かってるのか?」
「…はい。榛名も第3棟で合宿をしておりますので…。あと、どうか榛名のことは「さん」をつけずに榛名とお呼びください。敬語を使われるのはあまり好きじゃないもので…」
おう、敬称略で呼んでくださいと。結構ハードル高いけど…。
「―――わかった。榛名も合宿してるんだな。同室してる人とかいんのか?」
まあ、このくらいは、この後待っていることに比べたら全然大丈夫だろう。
そう判断した俺は、「さん」を取り去り、言いそびれた言葉を継げる。
そしてそこに、さらっと質問をかぶせる。…俺は策士ではないんだが。
「はい、榛名は金剛お姉さま、比叡お姉さま、霧島の3人と同じ部屋で合宿しております」
「へぇ、4人姉妹なのか」
それを聞き、俺は俄然身を乗り出す。
他の3人はどんな感じなのかちょっと知りたい。
「はい…お姉さまたちや霧島は、榛名なんか及ばないほどにすごい方々なので…」
榛名は俺の前のめりな姿勢に、若干頬を赤らめながらも、言葉を返してきた。
軽く俯きながら、まるで悔いるように。
俺はそれになんともいえない違和感を感じ取り、双眸を鋭くする。
およ?ちょっと自虐入ってきた?
それは一大事だ。I don’t like自虐。
だから全力で阻止させていただき申す。
「いや、そこまで自虐的にならなくてもいいだろ。榛名は十分可愛いと思うし、その榛名っつー名前も、俺は割りと好きだぜ?」
目を笑みの形に変えて、正直ナンパ男と思われても差し支えないセリフを、俺は吐いた。
―――は?毒牙にかけた?なんちゅう酷いことを…。俺はそれっぽいセリフをはいただけだ。俺のことを好きになるとか、どんだけ自意識過剰だよ。
でもこれ、意外と俺の本心だったりする。
だってこの子、素人目に見ても十分美少女と呼べるのに、それをおくびにも出さないどころかいっそ卑下してるんだもん。
なんだよ勿体ない、もう少し自信もてや、という意味合いを込めていってみたのだが…。
「ぅえええぇぇっ!!?そ、そんなことは、別に…」
―――あまり褒められるという類に慣れていないらしい。顔を真っ赤にして恥らっていた。
まあ見てて飽きないから別にいいんだけど。
…後ろから漂う怨嗟の念が強くなった気がするが…き、キノセイだよな?
というか誰だ怨みをかましてくる奴!俺に何の恨みが!?
―――敵意や殺意は見当たらないが、警戒は怠らないでおこう。
「―――ど、どうしたんですか…?そんなに怖い顔をして…」
おっと、榛名を怖がらせてしまったらしい。マジごめん。
俺は警戒を解いて笑顔を作った。
「いいや、なんでもない。猫でもいたみたいだ。それで、そのお姉さまたちって…」
そのお姉さまとやらのお話を聞こうとしたら、いつの間にか第3棟に着いていたらしい。
門の前で、榛名が立ち止まってしまった。
ううむ、時間が経つのは早いなぁ。
「―――すまん、第3棟に着いちゃったみたいだ。この話はまた今度な。今日はありがとう」
「いえ、榛名も楽しかったので。こちらこそありがとうございました」
榛名はこんな俺との会話も楽しんでくれたらしい。よかった。
俺は安堵する。
「そうか。…そんじゃな、俺は先に行く」
そして、ぱっと手を挙げて笑顔で手を振ると、
「はい、それでは、失礼致します」
榛名は優雅に一礼して、くるりと
その姿が完全に見えなくなると、
「…おし、俺も切り替えよう」
何故か少し聞こえてきた「はわわわわわ…我ながらよくポーカーフェイスが保てましたね…」という声を完全にスルーして、俺は今までの軽いモードから重いモードに切り替える。
そして、
「―――おーい、俺についてきてる奴は何人だ?」
大きな声で
―――さっきからずっと、俺を追う気配が、いくつかついてきている。
それは、恨みをかましてきている奴だけではない。
俺を観察しながら、間合いを保ってゆっくりとつけてくる気配もあるのだ。
追跡は、気づかれたらそこでおしまい。
あとは逃げるか戦うかの2択になってしまう。
だから追跡者は、こうなったら表に出てくる選択肢しかない。
ゆえに出てくるだろうと読んでのことだ。
そして案の定、
「―――あっちゃー、バレちゃいましたかー」
どう見てもジャーナリストな人が出てきた。
メモを片手に、首からカメラをぶら下げ、好奇心の宿る瞳と、なんかいろいろ入ってそうなカバンを持った、榛名に勝るとも劣らない美少女。
薄くピンクがかかった髪を、後ろにポニーテールにしてまとめている。
正直俺のドストライクな髪型だ。
だが、もう1度言うが、ジャーナリストにしか見えない。
鎮守府合宿のことは、マスコミには報道していないのだが何故。
しかも怨み消えてねぇし…。
「あー…俺に何の用でしょうかねぇ?」
女子を無下には出来ないので、とりあえず話しかける。
―――うん、怨みが強くなるのはなんでだ。俺話しかけただけジャン。
しかし目の前の
「あ、どうもどうも。私、青葉ですっ。…ではでは、一言お願いします」
「あー、はい、えーとですね………オイコラ」
青葉、と自己紹介した艦娘は、いきなりインタビューのように話を進めてきた。
おおう、危うく乗っちまうところだったじゃねぇか。マスコミマジ怖い。
青葉さんもえへへ、とおどけたような笑顔になっている。
これはしてやられた。
「おい、あんまからかうなよ…。俺、今現在いろいろありすぎて疲れてるんだよ…」
「あははっ、きょーしゅくです。でも、青葉は取材に全力を費やしていますので。マスコミはちょっとやそっとのことではへこたれないのですっ!」
「お前、いい感じにジャーナリズム精神が身についてるな…」
俺は青葉さんの返しに、思わず敬称もつけずにジト目で言い放つ。
快活でいい子なんだが、ちょっと、いやかなーり、マスコミ色に染まってるのが、玉に瑕というかなんと言うか…。
まぁ、いいや。もう半分諦めた。
「―――んで?俺にストーカーしてまで何を聞きたいんだ?生憎話せることなんてそんなにないんだが」
というか、明日以降にしてくれない?いろいろと理由があって…。
「いえいえ、そんなにお暇は取らせませんよ?ただ、青葉が聞きたいのは1つ」
1つ…?どうせ
話す気はぜんぜんないんだがなぁ。
「―――その1つって、なんだ?」
聞いてみる分には何も影響はなさそうなので、ちょっと質問内容を聞いてみる。
「とっても簡単なことです。このリストに載っている、1278の質問に答えていただくだけです」
「却下だよオイッ!!!」
影響ありありだった。
なんだ1278って!?1人何個質問書いたらそんなに質問できるんだっ!!?
そして
文字がびっしりありすぎて海苔みたいになってんぞ!?空白が見当たらないんだが。
というか、俺、こんなに人気あったっけ?
「なんでそんな量の質問をさせようとしたんだよっ」
「えー、今日全艦娘181艦にアンケートをとったんです。そしたらこぉんだけ集まっちゃって」
「今日!?これ、俺がここに来てから今までの35分足らずで、本当にこれだけやったのか!?」
もし本当なら、恐るべし青葉さんなのだが、流石にそれはなかったらしく、
「もちろんウソですよ?いくら私がマスコミでも、これだけ膨大な情報をこんな短い時間でまとめるのは無理ですね。遠征に行っている艦娘たちもいますし。予めとっておいたんですよ、このアンケート♪」
「―――ああ、そう…」
予めって、お前なぁ…。
戦慄せざるを得ないマスコミ魂だ。全国のTVはこの人を見習え。
まぁでも、げんなりはさせられるが面白い人だ。
俺はこういう人は嫌いではない。
だから、少し心が弱くなってしまったらしく、
「…と、いうことで、神城さん。青葉の取材、受けてくれますよね?」
という上目遣いの下心満載の問いを、
「―――わかった、取材は受けるよ」
結局、お人よしな俺は、引き受けてしまった。
その途端、俄然元気になる青葉さん。むふーっと鼻息を荒くし、いそいそと動き始める。
「本当ですかっ!よーし、そうと決まれば早速セッティングを…」
「―――ただ、2つほど条件がある」
ただ、俺がこう呟くと、それもぴたりと止まった。
「―――なんでしょう?条件次第なら引き受けますけど」
よかった、聞く気はあるらしい。俺は誰にも見られないように、こっそりと安堵のため息をつく。
そして青葉さんの方に向き直ると、毅然として言い放った。
「んじゃ2つ、言わしてくれ。1つは、取材日は明日以降でお願いできないか?少なくとも今は、変に
「分かりました。青葉としても準備期間が与えられるのは嬉しいですしね」
快く承諾してくれた青葉さん。ありがたや、ありがたや。
…最近へりくだりすぎな気がする。まあいいけどな。直す気もないし。
それじゃぁ、2つ目の条件を言おう。
俺が、ここにいたという記録を残すために。
「んで2つ目の条件は―――」
そのあと言った条件も、青葉さんは快く了承してくれた。
「―――分かりました。こちらで用意しておきます」
「助かる」
よかった、条件が通ったぜ。
「それにしても、神城さんって家族想いなんですね」
「…まーな。俺は
ぱっと言ったが、これは俺のポリシー。
守るべきと俺が判断したものは、どんな手段を用いてでも守り抜く。
俺がいつも、心に秘めている思い。
今まで、自分はなまじ強力な能力を持っているがゆえに、基本的に大抵の敵は瞬殺で倒してきた。
そのときは、世の中が面白くなかったんだよな。退屈の一言だったんだ。
敵もいないし、味方はよそよそしくなるし。
もういっそいなくなってやろうかとも本気で思った。
でも、
あの地獄のような2週間を経験したあとでは、価値観が大幅に変わった。
力が有り余ってしまった俺が選んだ道。
間違ってはいないと、信じている。
「…そうなんですか」
「ま、今の俺は鎮守府も守らなきゃいけないしな。お前もしっかり守ってやるよ」
その道を脱線しないために、俺が今しなきゃいけないのは、鎮守府と艦娘の守護。
それを結構ストレートに、笑顔で伝えたら、青葉さんに何故か真っ赤な顔でそっぽを向かれた。俺は山城ちゃんに引き続き、ここでも嫌われちゃったらしい…。何故だ…。
その顔のまんま、青葉さんは俺に話しかける。
「―――青葉は『お前』じゃなくて『青葉』です。青葉のことは、これから先青葉って呼んで下さい」
「へいへい、りょーかい、青葉」
それきり会話が続かなくなる。俺としてはそろそろ眠さが
「んじゃ、それで頼むわ。じゃーな、青葉」
「…は、はい!それでは、また後日、お伺いいたします~」
榛名の時と同じように、すちゃっと片手を挙げて挨拶をすると、青葉さんは忙しいのかそそくさといなくなってしまった。
うーむ?俺はまたなんかしたんだろうか。仕事の邪魔しちゃったかな?
まぁ、考えても仕方ないか。
俺は強引に思考をぶった切ると、自分の部屋に向かうために、第3棟に向かった。
殺気は未だ引きずってるが…。というか、よりいっそう強くなってない?
作者「というわけで12話でしたー」
渓吾「最後が不穏すぎるぞこれ…」
作者「いいじゃないのー」
渓吾「その手には乗らん」
作者「………(チッ)」
渓吾「よーし、表出ろや♪」
作者「むーりー」
渓吾「………………」
作者「無表情で
渓吾「くそ…」
作者「とまぁ、13話ももうちょっと休憩することになりそうです」
渓吾「こんな気の抜けない休憩、もうしたくないけどな」
作者「仕方ないよ。それが私の描く、神城渓吾という人間なんだから」
渓吾「はは…(スラッ)」
作者「だから無表情で
作者「次は何とか投稿できたらいいなと思っています!(サイクル超不安定ですが…)」
渓吾「あっ、ごまかすんじゃねぇ!」
作者「それではまた」
渓吾「逃げるなぁ!!」
作者「感想等もどしどし待っております~。ではまた~」