The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】 作:M崎
榛名がいると話が基本的に長くなる傾向に…。
それでは、長いとは思いますが、どうぞ。
西暦2014年8月3日(日)。
時計が指し示すは、17時02分。
(……ん………ぁぁ……)
この日この時間、俺、
意識がはっきりしない。布団の心地よさとあいまって、史上最高のまどろみタイムだ。
まどろみタイムは至福の時。これを阻害する目覚ましは絶対に許さん。自分で設定したけど、それでも許さん。
まどろみタイムは
あー…気持ちいいなぁ……。
今なら人生について考えられるよ…(意味不明)。
ぅあ―――…今、何してたっけな……。
―――えーと…「鎮守府合宿」に放り込まれて…。壁を壊して…。兄貴に会って…。敵と夜戦のお約束して…。
………ああ…、ベッドにダイブして寝たんだっけ。
よーし…そろそろ覚醒するとしますか…!
俺は徐々にまどろみから覚醒し、うーんと大きな伸びをし―――
―――ようとして、自分の両腕が全く動かないことに気がついた。
あ、あれ?なんか左腕からイイ匂いするし、右腕はなんか全然UGOKANぞ。
右腕は動かないというか、ホールドされてるようなというか…。
あ、UGOKAっていうカードありそう。スイカ(関東)、イコカ(関西)、ウゴカ(鎮守府)とかな。
今はまあそんなこと超どうでもいいんだけど。
なんだ?暗くてよく見えない…んだが。
動かないから電気もつけられへんし…。
どうしようか。
ちょっと、強引にでも抜けようかな。
俺はそう考えると、明かりを優先させるために、左腕をゆらゆらと動かした。
途端、何か柔らかいものに左腕が包まれる感触と、
「―――あんっ❤」
左耳を甘い声と吐息がくすぐった。
「――――――――――――っっっ!!!!!??」
俺は意識を強制覚醒。
まどろみタイムを惜しいとか言ってられない。
これはいったいどういうことだ。
俺しか寝ていないはずのベッドから、何故女子の声が聞こえるのか。
しかも感触が生々しい。リアルでいるんじゃないのか…?
もしそうだとしたら、俺はモノスゴクヤバいTimingにぶつかってしまったのではないか…?
え?えーと…状況をせつめい…。
………………。
―――何故かとてもイヤな予感がした俺は、左腕と同じように右腕を動かした。
ここでテンプレ的展開なら、右腕にも美少女がいるんだが…。
―――案の定、左腕並に柔らかい感触が右の二の腕に集中して、
「ぁあ…神城さん…それ以上は…!」
何故か俺の名前を呼ばれた。それも、右耳が甘く麻痺するレベルの、トロンとした声だ。
「―――――――――*&@£$★△¥♂∀♪♯√!?」
意味不明な音が俺ののどから出てくる。
状況に全くついていけない!
なんだ?俺は、2人の女の子を、両腕に
だが、今はどうだ。
俺は鎮守府合宿の真っ最中。
俺は知らぬ間に、鎮守府の女子を2人も部屋に連れ込んだというのか…!
もしそうなら、俺は結構すごい罰を食らうんじゃないのか…!?
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!
ま、まずは電気をつけて誰か確認を…!
………………。
―――駄目だ!全然取れない!すごく綺麗にホールドされてる、特に右腕!
左腕の子なんて俺の上に乗っかってきたし!
そろそろマズい…!というか普通に不味い…!
ああ、なんか過去を思い出してきた。吹っ切れてきた。
親父、今日の朝、お前は言ったよな?
『―――まー、鎮守府に行っても、お前なら何とかなるだろう。ピンチでテンパることなんて、そうそうないだろうさ』
おい、親父。
俺は今、人生最大級でテンパってるよ、親父ぃぃぃいぃいぃぃぃい!!!
俺は、頭だけ起こしながら、心で慟哭した。
―――ああ、もう駄目だ…。
俺は最悪、鎮守府永久追放を覚悟した。
このままの体勢はちょっと流石に不味いよう…。
でも一歩たりとて動けないよう…。
なんだこの
運命の神様は、俺に慈悲を与えたくないんですかね!?
助けてくださいよ、神様ぁ!!!
「―――神城さーん、そろそろ晩御飯です、一緒に食べにいきませ―――」
神様、アンタ俺のこと嫌いだろ。
最悪のタイミングで、俺の部屋に1人の艦娘が入ってきた。
彼女の名前は………青葉。
言わずと知れた、ジャーナリズム精神の正統な後継者である。
俺のことに、最大限注目している艦娘である。
えーと、そんな子が、今の俺の状況を見た。
つまり、この状況を、ジャーナリストがみすみす逃すと思うか、という問いだ。
答えはもちろん―――
「………ぁ、すいません、青葉は邪魔をしてしまったようです。どうぞごゆっくり~」
―――絶対にNOOOOOOOOOOOOOOOO!!!
しかも随分酷い誤解食らった気がする!
「ま、待ってくれ、待ってくれ青葉ぁ――――!!」
俺の決死の叫びは全くと言っていいほど聞いてもらえず、青葉はパタンとドアを閉めてしまう。
つまり、またも真っ暗な状況に逆戻り。
何も見えない中2人のほぼ確定美少女に両腕をホールドされた状態に逆戻り…。
時間を確認することすら叶わない…。
頼むから誰か助けてくれえぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇ!!!
今日叫びまくってる気がする!
でも今日起こる状況が全部
ああもう、運命の神様なんて絶対信じねぇ!!
信じた俺がバカだった!
「―――失礼致します」
ああもう、また誰か入ってきたし!!カギを閉めなかったのか俺は!
今度は誰だよ!?
「神城渓吾さんですね?はじめまして。私霧し「お姉さまぁーーーっ!!!」」
…あの子、自己紹介を途中でさえぎりやがった。真面目そうな子だったんだが…。
誰お姉さまって。誰よ。
まさか、俺の左、というかもう完全に上にいるこの子なんじゃ…!?
「―――お姉さま、その、男は誰ですか?」
ほうらやっぱり。だいぶ状況が面倒臭くなってきた。
俺のことを完全に敵視した目線。なんか久しぶりだぜ。
というか、電気つけて欲しい。
ほれ、お姉さま、そろそろ起きなれ。俺動けないから。電気付けらんないから。
「すやすや…」
お姉さま聞いてねぇ!!
俺の体の上で気持ちよさそうに大爆睡してるし!
というか、早く電気つけて!俺何にも見えない!
今、俺の左側にいる
俺が連れ込んだことになってる。
違うし。
助けを求めて奥にいた艦娘に視線を向けると、意図を察してくれたのか困ったようにため息をつきながら、
「比叡、そこまでにしておきましょう。金剛姉さまも榛名も、早く起きてください。神城さんが嫌がってますよ」
といってくれた。
ああ、この子神や。
俺の気持ちを的確に察してくれた。マジ感謝。
というか、右腕をずっとつかんでたのって、榛名だったのか…ちょっと意外。
イメージ的にそんなことしそうにないのに。
「………ん、ひ、比叡、なんですカ…?ワタシ、もうちょっと…寝たい……デース……」
おっと、上に乗っかってる子が喋りだした。ちなみに、未だに俺の左腕ホールドされてるんだが…腕がしびれてきたぜ。
「お姉さま!!…その人から離れてくださいよぉ!」
「…ンー……」
おお、伸びをしながら起き上がってくれましたよ。
ただし、目のやり場に困るんだが…。シルエットだけでもうエロいんだよ…。
んで超いい匂い。どんなシャンプー使ったらこんな香りになるんだ?
あとそろそろ電気つけてくれ。ぜっんぜん顔が見えひん。
…うん、もういいや、離れちゃったし。
まぁ、いろいろあったけど、左腕の子はまだいいだろう。
「……すー…すー…」
右腕の子は起き上がる気配すらない。そろそろ起きてくれー。
そして予想外に力が強い。ガッチリホールドされてて身動き取れない右腕。
ああもう、電気がついてないから…!左の子の寝顔見れなかったし、榛名の寝顔も見たい!
絶対可愛いだろ!
もういいや、自分でつける!
「
ぽそっと呟き、俺は能力者モードになる。
あ、あの比叡っていう子だけ気づいた。俺見てるし。正確には俺の左手。
「モード、
おおっと、残り二人もお気づきのようだ。
まあこのモードって、結構
そして今やろうとしてることなんて、要は人工太陽を造ってるわけだからな。おお、俺の未来、超明るいじゃん。
「
俺がそう呟いた瞬間、ぱっと視界が明るくなる。
俺の左手に浮いているのは、眩いばかりの薄いアイボリーの光を放つ球体。
それをぱっと放り上げると、ちょうど電球に当たる位置で止まった。
おかげではっきりと顔が見えるぜ。よかった、ようやく解決だ。
そして前を見ると、口をぽかんと開けた3人姉妹が。
…まぁ、当然の反応だろう。
目の前で人間が太陽作っちゃうんだもん。
普通の人間ならその後引かれるのがオチなんだ。
―――しかし。
「Wow…。…とーってもBeautifulな光景ですネー…」
「へー…す、すごいです…」
「これは…なかなか…、いいものですね」
3人は、俺の出した
―――こういう反応は嬉しいなぁ。
俺の能力がこんな形で役立つなんて、思っても見なかったけど。
それでは、そろそろ本題に入ろうか。
ということで、俺はこういうことになってしまった理由を、未だ寝ておいでの榛名を右腕に抱えたまま3人に質問する。
「…んで?こういう状況になったのって、何が理由なん?」
「部屋のカギがしまってなかったのデース」
「マジすんませんした比叡さぁん!」
会話開始6秒で土下座。比叡さん、本当にすいません。悪いのは俺です。
「ま、分かればいいんだけど」
比叡さんアリガトウ。マジありがとう。さっきはシスコンなんて言ってごめんな?
「そんで、アンタは誰なの?なんか壁?を壊したらしいケド…」
その比叡さんが、俺のことを誰だと言ってきている。あ、これは
「ああ、うん。それ俺」
「ふえっ、本当なの?」
俺は鷹揚に頷く。
ああ、本当ですとも。海軍に騙された俺の末路がアレですから。もう2度と経験したくないっ。
「俺はそのときに自己紹介してたんだけどなぁ…比叡さん、いなかったのか」
「………………」
何故か考え始める比叡さん。後ろにさまざまな感情がうごめいているのが見える。
すると、比叡さんが改まったようにして、俺に向かって自己紹介してきた。
「改めて自己紹介します。私は金剛お姉さまの妹分、比叡です」
「おう、神城渓吾だ。気軽に渓吾って呼んでくれ」
「分かりました。じゃー私も比叡って呼んでください」
「りょーかいです、比叡」
以上終了。わりとすんなり終わったし、比叡も笑顔を見せてくれたから役得としよう。
じゃあ、次はこっちの子だ。さっき比叡に自己紹介遮られてた子。
「えーと、あん時に言ったと思うけど、俺、神城渓吾って言うんだ。お前は?」
「霧島です。よろしくお願いします、渓吾さん」
「あー、最初っから名前呼びか…わかった、俺も霧島って呼ぶわ」
「ありがとうございます、そうしてもらえると嬉しいですね」
霧島というらしい。末っ子にしてはしっかりしてるな、霧島。
最後、俺の左腕に絡みついてた子。
「言い忘れてマシター。私、
「おう、イギリス出身なのか。改めて、俺は神城渓吾。気軽に渓吾でいいぞ」
「それなら私も金剛って呼んで欲しいデース」
「おう。任せとけ、金剛」
へぇ、帰国子女だったのか。道理であのグラマラスなボディを維持しているわけだ…。
自己紹介も終わり、俺は金剛に質問をかぶせる。
「それで?金剛はなんで俺のベッドに入って来てたんだ?」
「ンー、隣の部屋からいい匂いがしたからデース!」
「答えになってない…」
隣の部屋から俺が寝ていることを感知したのか。恐るべき嗅覚なり…んなわけあるかい。
「カギがかかってなかったことハ?」
「それは全面的に俺が悪かった!」
「だからおかしいと思って、するっと潜入したのヨ。そしたら榛名が知らない男と一緒に寝ていたのデース」
「先着は榛名だったんかい!」
「私はそれを写真に収めて帰ろうとしたんだけどネ、ケイゴの布団の魔力と匂いにつられちゃって…そのまま眠っちゃったのデース」
「やっぱり意味分からんし…」
聞いた限りじゃ、俺はただ寝ていただけのようだ。よかった、夢遊病者ではなかったらしい。
そしてそこに榛名が潜入し、俺の横で眠りはじめ、それに
―――意味ふめー…。
「それで、何でお姉さまだけじゃなくて榛名もいるのよ」
「…それは、俺に言われましても」
それに比叡が当然の疑問をかまして来る。確かに、金剛だけならまだしも、榛名がいるのはおかしいだろう。
もう一度言う。イメージから榛名がそういうことをするとは全く想像できないんだ。俺の主観から言えば。
それが金剛より先に俺と寝ていた(表現は悪いが)?
…意味分からん。
「……んんーっ…!ふぁう………あれ?比叡お姉さま?どうなさったのですか…?」
お、当人が目覚めた。尋問開始っぽいな。
「榛名…。今、あなた、どこにいるかわかってるの?」
比叡が問う。確かに俺も聞きたい。あなたがいる場所は、俺の右側。
榛名は、寝ぼけ眼でゆっくりと喋り始めた。
「え?…榛名は、神城さんと別れて、神城さんに会いたくなって、神城さんの部屋を青葉さんに聞いて、神城さんの部屋に入って………それから…」
「俺の隣で眠ってしまった、違うか?」
「そ、そうです!榛名、気持ちよくて―――ってえぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇ!!!??」
顔を真っ赤にして大絶叫する榛名。ああ、これは恥ずかしい…。
俺も恥ずかしい…。俺、こんなに健気で献身的な子見たことない…。添い寝までするか?フツー。よくもこんな俺のために…(涙)。
「か、かかかかか神城さん!!?お、起きたんですか!?」
「おう、ついさっきな…」
「ぇ………き、きゃぁあぁぁぁあぁぁぁ!!!!」
右耳をつんざくような悲鳴が。俺は感動しているのに、なんという仕打ちか。
「さっきの話は聞かれていたんですねーっ!!!」と泣きながら走り去る榛名を、俺は見送ることしか出来ない…。
な、
「なんだったんだ今の…」
「知りません。渓吾さんが悪いのでは?追いかけていってあげなさいな」
俺の本心からの言葉に、霧島がそっけなく対応する。
霧島よ、俺は何も知らないから、こうして怯えているのじゃぞ?
「今のは榛名があまりにもカワイソウデース!追いかけたほうがいいと思うヨ」
「私もそうだと思うな~。渓吾が追っかけるべきだと思う」
「お前ら揃って酷い奴だな…!」
姉二人まで霧島の援護に回りやがった。俺は孤独なのである。
「―――はぁ…そこまで言うなら行って来るとするか。榛名を捕まえて、部屋に送り届けとけばいいだろ?部屋はどこだ?」
「私たちは215号室ですよ?」
霧島がサラリと答える。というか、
「お隣さんだったのか…」
「そうです。はい、分かったらさっさと行く!榛名も待ってるよ?」
「へいへーい…」
比叡の謎の励ましを背に、俺は216号室を出て、榛名を探しに行くことになった…。
うん、運命の神様見かけたら一回ブチ殴る。
たとえどれほど見目麗しい美女だとしてもだ。
―――あっ。
榛名の寝顔撮り忘れた。あと、
作者「というわけで14話でしたー…いかがでしたか?」
渓吾「まぁ、妥当なところじゃね?6300文字ちょいだったけど」
作者「そう、最近多くなるんだよねー、文字数」
渓吾「それはあんたに文才がないからだ」
作者「そっすね~」
作者「でも、金剛型4姉妹は、書いててすごく楽しい」
渓吾「まぁ、あんだけ見てて面白い姉妹なんて、そうそういないよな」
作者「榛名のキャラがブレてきたけど…」
渓吾「は?何の話だ?」
作者「なんでもありませんよ?比叡が分かりづらいってことだ」
渓吾「―――確かに…」
作者「(うん、誤魔化せてよかった!)」
作者「ということで、次回予告です!」
渓吾「んー?…なんだこれ。俺を何と引き合わせるつもりだお前…」
作者「秘密だよ秘密。というか言ったら面白くないでしょ?」
渓吾「俺言っちゃったよ…」
作者「というわけで、また15話で!!」
渓吾「感想もよろしく頼むぞー」