The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】   作:M崎

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 うげぇ、戦闘1話で終わりませんでした!

 それでは、どうぞ。


第16話 8月3日の敵出陣

 西暦2014年8月3日(日)

 

 21時56分。

 

 

 夜の帳が静かに下り、海の生物は既に寝静まった、そんな夜。

 

 月明かりのみが海面を照らし、薄く光を延ばす。

 昼間くっきりとみえていた水平線は完全に闇に溶け消え、姿をくらませる。

 蒼と黒が混ざり、なんとも暗く奇妙な色を演出する夜の海に、

 

 

 「―――呼び出しといて5分前集合も出来んとか、ナニサマだよあいつ等」

 

 

 蒼く煌々ときらめく剣、迅氷剣(じんひょうけん)・テュルフィングを携えて、俺、神城渓吾(かみしろけいご)は海の上に立っていた。

 

 …いやいやいや、何ドシリアスしてんの俺。見事に厨二要素しか見当たらない前述4行。

 俺どうしちゃったんだよ…緊張しているわけなのか?はは、面白い。

 

 あー、俺がこういうところで緊張することなんて滅多にないんだけどなぁ。

 よほど俺はこの鎮守府が大事らしい。守るべきものの1つだからかな?

 

 ほっぽちゃんを手に入れて、いろいろ話せる人も出来て。…若干1名、俺が午後10時に戦いにいくっつったら、『え?夜戦行くの?夜戦行くの?ねぇ、私も一緒に連れてって!お願いっ!』って騒いでた艦娘がいたような…妹2人が黙らせてたけど。

 ま、まあ、案外楽しいんだろうな、ここは。

 

 さぁて、これで準備は整った。…すごく不安だけど。

 

 まぁいいや、あとは俺が敵をブッつぶせばいいだけのこと。

 この蒼い剣の御名にかけて、敵を見事(くだ)して見せましょう!ケケケ。

 

 …おっと、敵さんのご登場か。

 

 「―――こりゃまた随分と大所帯だな」

 「アタリマエダ。キサマヲコレカラコロスンダカラナ、コノクライハスル」

 「殺すって言っちゃったよ…」

 

 俺の前におよそ400隻以上の深海棲艦を引き連れて登場したのは、皆ご存知港湾棲姫さん。いつも以上に剣呑な空気を纏っていらっしゃる。目が怖い。

 というか、カリスマ性ヤバいな。なんだよ400隻って…。1人声かければここまで集まるのか…。

 

 改めて港湾棲姫さんの恐ろしさを思い知った俺であった。うん、怖い。

 

 その恐ろしき港湾棲姫さんは、操られたうつろな瞳で、俺と戦の前の会話を続ける。

 

 「カミシロケイゴ。イマノウチニトウコウシテオケ。サモナクバタタキノメス」

 「はん、投降ねぇ」

 

 脅しにかかる彼女に、俺は不敵な笑みを返す。

 

 「悪いが、そんなことをするつもりは一切ない。全力で行かせて貰おうか」

 「…シカタガナイ。オマエヲコロスキニハナラナインダガ…ゼンリョクデカカッテコイ、カエリウチニシテヤル」

 「へいへい、りょーかいしましたっと」

 

 そこで会話は途切れた。

 

 その後に残るのは、戦いの前の(くら)い緊張感。

 夜空をバックに、対峙する2つの影が、月光を遮って真っ直ぐ伸びる。

 両者の間に言葉はない。

 静かな夜風が、間を吹きぬけるのみだ。

 

 そして、俺の左腕についている時計が、『21:59』から『22:00』に変わった瞬間、俺は一言。

 

 「―――向心流(こうしんりゅう)第4秘剣、『不殺(ころさず)』」

 

 呟き終わると同時に、白い光があふれ出し、蒼い剣(テュルフィング)を包み込む。

 

 その光は、人を()()()()()()殺したくないという、俺の願いの表れ。

 5年前に犯した過ちを償うための、ある種の枷。

 

 白い光が刀身全体にいきわたり、(テュルフィング)が蒼白く光ったところで、

 

 

 「―――さぁ、はじめようぜ」

 

 

 「ノゾムトコロダ。カンプナキマデ、タタキツブシテヤル!」

 

 

 ―――戦いの火蓋が文字通り斬って落とされた。

 

 

 

                  ★

 

 

 

 「―――ついに始まったぞ、神城渓吾」

 

 それを別室のモニターで見ていた(親玉)は、あふれ出そうになる笑顔を必死にこらえながら、戦いを観戦する。

 

 「お前を殺すための舞台は、とうに用意している」

 

 ついに笑顔がこらえきれなくなった(親玉)は、笑いながら言う。

 

 

 「―――あとは、貴様がどうやって誘導されるか、が見ものだな」

 

 

 

                ★

 

 

 

 (うぉう、流石に400対1じゃ辛いか)

 

 俺は左右から飛んでくる砲弾を剣でかわし、いなし、斬っていた。

 

 頭ではしっかり考えながらも、体は動かすという…我ながら器用なことしてるよな。

 

 「左ががら空きだぜっ!と」

 

 左の深海棲艦が撃ち終わった直後に、それに剣を叩き込んで、すれ違いざま斬る。

 そのあとに上にジャンプすると、さっきまで俺がいた場所に砲弾の雨が降り注ぐ。

 

 (危ない危ない)

 

 俺は内心冷や汗をかきながら、着地しながら右の深海棲艦を斬る。

 

 その直後に砲撃を体を動かしてかわす。

 3発目までは体をひねってかわし、4発目からは頭を振ってかわす。

 

 おい、6連発とかぶっ放してくる奴誰だよ!?4発目とか危うくぶつかりそうになったじゃんか!

 

 空母が放つ艦載機を、上に刀を振ることによって斬り飛ばす。

 

 「ヲッ!?」

 

 空母が驚いてるのが聞こえる…。というか、どういう喋り声だ、それ。

 

 その空母に一瞬で近寄ると、次の艦載機が出る前に横なぎに剣を振る。

 

 さらに飛んでくる艦載機を斬り、砲撃を受け流しながら、俺は考える。

 …これ全部暗闇の出来事なんだよな…我ながらよく夜目が利くぜ。

 

 ああ、一つ言っておこう。俺を人殺し見たく表現しているが、俺に斬られた深海棲艦は、別に死にはしない。

 気絶して、しばらく戦線に参加できなくなるのだ。

 

 しかも、その気絶した深海棲艦を運ぶのに、さらに人員を割くため、戦う人数は実は意外と少ない。

 まさに一石二鳥。

 

 これも俺の師匠から教えてもらった技、『不殺(ころさず)』のおかげだ。はー、師匠様様だね。人殺しなんてしたくない、したくない。

 

 「レッ!!」

 「うわっと」

 

 おおっと、危ない。今の声がなかったら多分当たってたぞ。

 

 主砲を着実に撃ってくる戦艦が奥に3艦見える。あれを叩きたいんだけど…。

 

 潜水艦邪魔やなぁ。

 

 「ふっ!!!」

 

 戦艦の前で俺の進路を阻むかのように、潜水艦と重巡洋艦の大船団、見積もり70艦くらいが俺にむかってバカドカ撃ってくるのだ。

 

 これが本当に邪魔。さっきの一閃で7艦しかダメージ与えられなかったし…どうしたもんかね。

 

 俺が攻めあぐねていると、声が響いてきた。

 

 「グヌヌ…ヤ、ヤルナ…カミシロケイゴ」

 

 もちろん、港湾棲姫さん(偽)である。操られてるから(偽)。

 俺が予想外に奮戦していることで、作戦が立たないのかうぬぬとうなっている姿は、妹に似てとても可愛らしい。

 

 が、今ここでそのことを言うとリアルな袋叩きに遭うのでやめよう。

 

 「お褒めにあずかり光栄ですよ」

 「ベツニホメテナドイナイ」

 

 俺は皮肉を返すと、ぷくっと頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。

 

 ―――またも嫌われた俺氏…。これで6人目…はぁ。

 

 そんな悲しい気持ちを紛らすために、戦艦が砲撃してくる弾を斬りながら、俺は港湾棲姫さんに尋ねる。

 

 「なぁ、何でそこまで俺を目の敵にするわけよ?俺、別に何もしてないんだが」

 

 そういった途端、また目の色を変えて、

 

 「オマエハワタシノイモウトヲコロシタ。ダカラワタシハオマエニフクシュウ(復讐)ヲシテイル」

 

 思ったとおりの回答をいただきました。予想しててよかったー!

 

 「俺、別に殺してなんてないんだけど」

 「ウソヲツクナ!オマエハイモウトヲコロシテイルッテ、アイツカラオソワッタゾ!」

 「…()()()?」

 

 今、なんていった?あいつ、だと…?ボロをだしたな、もっと追求。

 

 「そいつ、どういう奴だ?」

 「ナッ!?エエト…、ゴネンマエニモオナジコロシヲシテイルヒドウナヤツッテイッテタ」

 「――――――5年前、か…」

 

 その言葉に俺が引っかかりを覚え、記憶の箱をひっくり返していたとき。

 

 

 「―――――――あ」

 

 

 欠けていたピースが、かっちりはまった。

 

 敵の親玉は誰か。

 

 俺とあいつが5年前から持つ因縁。

 

 俺だけをここまで目の敵にする理由。

 

 思わず、笑みがこぼれてしまう。

 

 何故か?

 

 俺が、殺したくなるほどそいつ()を怨んでいるからだ。

 もう、突然笑いがこみ上げてくるほどに。

 

 「―――くっ、はは、ははははははははははっ!!」

 

 突然大声を上げて笑い出した俺に、まわりの深海棲艦はぎょっとして振り返る。

 

 だが、それすらもスルーして俺は叫ぶ。

 

 

 

 「―――いい度胸してるじゃねぇか!!」

 

 

 

 敵は全員が俺に注目した。

 

 俺の次の言葉を待っているわけではない、多分気味悪がってるだけだと思う。

 

 ただ1人だけ、港湾棲姫さんだけが不敵に笑い、続きを促す。

 

 「かわいそうなヤツら(深海棲艦)を散々操っといて、テメェは動かないわけか」

 

 俺は港湾棲姫さんを操っているだろう敵に、怒鳴りかける。

 

 憎悪と怨恨を声に乗せて。

 

 「俺はお前のそういうところが大っ嫌いだと言ってるんだ―――」

 

 俺についてくんな、ストーカーかよ気持ち悪ぃ。

 ネチネチネチネチ恨みをかましといて、自分の手は汚さないだぁ?

 そんなもんただの強がってるだけの弱虫だ。

 

 5年前から俺を怨み、俺に怨まれている今回の親玉。

 

 俺の超嫌いな男ナンバー1。

 

 その名は―――

 

 

 

 「―――さっさと出て来いや、()()()()サンよぉ!!!」

 

 

 

 俺の過去に大きく関わってくる、1人の()()()だった。

 

 

 

                 ★

 

 

 

 「―――ようやく気づいたか。遅かったな」

 

 (神城渓吾)の恨みを、恨みで返すこの男こそが、今回の敵の親玉、祗園白幽(ぎおんはくゆう)

 

 5年前、()()()()によって、神城渓吾(かみしろけいご)と敵同士となった因縁の相手である。

 

 「そう、お前は気づくのが遅すぎたんだ、神城渓吾」

 

 そして何もない左目を押さえる。

 

 「私の左目と()の仇、友に代わってここでとらせてもらおう」

 

 そこで言葉を一旦切ると、今度は底冷えのするような目で一言呟く。

 

 「お前を殺す用意は、もう出来ている」

 

 

 

                  ★

 

 

 

 (なんか攻撃が激しくなってきたぞ~?)

 

 現在時刻は22時27分。夜戦開始から25分以上が経過している。

 

 何故だろうか、俺が親玉の正体を大暴露したあとから、妙に攻撃の量が多くなってきた。

 

 左右タイミングをずらしての砲撃、隙間を埋めるかのように潜伏する潜水艦、遠くから艦載機をじゃんじゃん発艦させて来る空母、俺の剣を狙いに来る駆逐艦。

 

 明らかに、今までとは戦闘の質が違う。

 

 俺が休むような暇も与えさせない、息つく間もない攻撃の嵐。

 

 攻めづらくなった。前みたく6、7艦まとめてしゃらんと斬ることが出来なくなった。

 

 一応、3分の1まで減らしたんだが、敵の士気は依然として高い。

 まるで、犠牲を犠牲とも思っていない感じだ。

 

 そして、俺の頭にはなにかが引っかかる。

 

 今までの敵の行動、突如激しくなった攻撃、言葉による精神への攻撃…。

 

 ―――まるで、能力(エレメント)を使えと言ってきているような…。

 

 そして能力を使うことを、ずっと「駄目だ」と警鐘を鳴らしっぱなしの俺の直感。

 

 俺の直感が使うなと言っているようだ、攻撃を能力に頼るのはなし。

 

 ではどうすればよいのか。

 

 簡単、この(テュルフィング)を使えばいい。

 

 『不殺(ころさず)』と一緒に、前使った『雷刃(らいじん)』でも使えばいい。

 

 だが、それも何故か駄目な予感がする。

 

 何をしても、あいつに「奪われそうな気」がする。

 

 …他にないのか、他にアイデアは!

 

 ………………。

 

 

 ―――駄目だ、思いつかない!俺はなんとアイディアの乏しい人間なんだ!

 

 思わず嘆いてしまう。

 

 さあ本気でどうしよう!手詰まりになったぞ~?うーむ…。

 

 地道に斬りまくるしかないのかなぁ。

 

 ―――むしろそれが最善手な気がしてきた。

 

 幸い俺はあと2本剣を持ってるし…二刀流で行ってみますか。

 

 斬るのにも、1本と2本じゃ2本のほうが効率いいだろうし。

 

 そんじゃ、出すとしますか。

 

 そう気軽に思うと、俺は右手にテュルフィングを持ったまま、左手にもう1本、剣を顕現させた。

 

 

 ―――その瞬間、世界のすべてのものが、その剣に注目した。

 

 

 その剣に心惹かれる、敵はもちろん。

 

 深海棲艦ですらも、攻撃をやめて、その美しさに魅入っている。

 

 熾天使と呼ばれる(くれない)の剣が、その全容を世界に轟かせる。

 燃えるような刀身の紅色(あかいろ)に、夜の闇色が溶けて、赤黒さを増していく剣。

 どんな視線もひきつけて止まない、魔性の(あか)

 どんな視線も魅せ通す、赤い光を纏って、嵐の前の静けさを保っている。

 しかし、赤すぎるがゆえに、その刀の周りだけ、焔が飛び交っているようにも見える。

 

 この剣こそが、神城渓吾の3本目の剣。

 

 その銘は、

 

 

 「―――迅焔剣(じんえんけん)・エクスソフィア、だね?」

 

 

 ―――俺が答えるよりも先に祗園白幽(アイツ)が答えやがった。

 

 「おい、何で知ってる…?」

 

 質問に、自分でもびっくりするぐらいの低い声が乗った。

 

 「私は貴様の剣のことなら何でも知っている。というか、敵の前でこうも手の内をさらしてしまっていいのかね?」

 

 疑問(脅し)に、興味なさげに、さも当然のように答える、祗園白幽が入った港湾棲姫さん(偽)。

 

 口調はもはや港湾棲姫さんのものではない。祗園白幽のものだ。

 

 ―――人をここまで壊す人間を、俺はコイツしか知らない。

 

 だからこそ、俺はコイツが許せない。

 許してはいけない。

 

 それでなのか、俺の口からは、自然といつものような皮肉が出てきた。

 

 「―――ああ、お前ごとき、俺の本能は敵と判断していないようでな」

 「――――――ほう?言うじゃないか」

 

 祗園もカチンときたらしい。声色がどう聞いても変わっている。

 

 怒りのオーラがブワッと拡散し、常人なら尻尾を巻いて逃げ出すレベルだ。

 

 だが、その程度でへこたれる俺ではない。

 というか、その程度でへこたれてたら俺能力者なんてやってないし。

 

 そこに俺はさらに皮肉をかぶせる。

 

 「俺は現に、全くといっていいほど緊張していない。それはお前を、体はおろか空気までもが軽んじているんだろうな。流行に乗れないタイプだ」

 「―――黙って聞いていれば、ぬけぬけと…!」

 

 おっと、お怒りモード突入。相変わらず短気なのは変わってないな。いじりがいがあるぜ。

 

 よし、もう一押し。そうすれば、あいつはキレて、深海棲艦(使い捨てのコマ)にとんでもない命令を下すだろう。

 

 そこがチャンス。

 

 必ずボロが出る。

 

 

 「―――お前、1回中学生から出直して来いや」

 「――――――わかった、お前が私を怒らせたことだけはわかった」

 

 

 とうとう祗園さん激おこぷんぷん丸モードである。声に威圧感までこもらせてるが、俺から見ればただの強がりにしか見えないふっしぎー。

 

 そんな俺は笑いながら返す。

 

 「あら、今の皮肉で怒っちゃいましたか。(5年前)からキレやすいのだけは変わらんなぁ」

 「うるさいっ!!…こうなったら、最終兵器だ」

 

 出すの早いわ!どんだけ怒ったんだよ!

 

 思わずツッコみたくなったが、ぐっとこらえる。

 

 「―――ほぉ?何をする気だ?」

 

 冷静さを装って、なにやらわなわなと震えている祗園に話しかける。

 

 「決まってるだろう」

 

 それに自信満々に答えた祗園は、さらに、

 

 

 「―――後ろからお前もろとも砲撃してやる」

 

 

 こういった。

 

 これに俺が「は、何を言って―――」と言おうとした時である。

 

 

 ズドン!!

 

 

 深海棲艦たちの後ろから、砲撃が突如浴びせられた。

 

 避け切れなかった深海棲艦が、被弾してダメージを受ける。

 

 ―――要は、こいつ、深海棲艦もろとも俺をブッ殺す気か。

 

 「―――おい、どういうつもりだ」

 

 俺史上で一番ドスの利いた低い声が出た。

 

 こいつは…、命を、何だと思ってるんだ?

 

 コマは、捨ててなんぼなのか?

 

 そんなもん、おかしいに決まってるだろ!?

 

 そんな理由をこめて、祗園を問いただすが、本人は涼しい顔で、

 

 「見たら分かるだろう、深海棲艦もろとも貴様を殺す。銃撃を行ったあの船は無人で、22時45分にここに到着して大爆発を起こすようになっている。もちろん銃器が乗っかってて、操縦は私側からしか出来ない。銃撃は22時35分から10分間、容赦なく行われる」

 

 衝撃セリフを吐いてきた。

 

 「しかし銃器をすべて排除し、使用不能にしないと船は止まらない」

 

 ―――舐めてん、のか…?

 

 「ああ、逃げるなよ?逃げたらこの周りについているレーザーが、貴様らを燃やし尽くすからな。あと能力使うのも禁止。私が奪ってしまうからな」

 

 さらに追い討ちをかける祗園の悪魔の囁き。

 

 その悪魔は、とびっきりのスマイルを見せて一言。

 

 

 「なんでも守る貴様は、この状況でも哀れな深海棲艦を守るよな?」

 

 

 そういい残して、祗園は港湾棲姫さんの中から消えた。

 

 港湾棲姫さんは一瞬すうっと目を閉じるが、すぐに再起動し、目がぱっちりと見開かれる。

 

 「―――…ン!?ド、ドウシタ!?ナニガアッタ!?」

 

 状況についていけずに慌てふためく港湾棲姫さんを尻目に、俺は怒りに震えていた。

 

 あいつ…ふざけてんのか?

 

 人命軽視も、ここまで来るともはや呆れるばかりだ。

 

 俺は―――だからあいつが、どうしようもなく嫌いだ!!

 

 俺の生き様を否定してくるから!

 

 俺の信じていることを一発ですべて打ち砕くから!

 

 くそ、くそっ!!

 

 俺は後悔に打ち震える。

 

 「――――ははっ」

 

 何も出来ない自分に呆れて、ちょっと笑いまで出てくる。

 

 条件は最悪で、運命の神様は全く俺に無関心、頼れる味方は俺1人。

 

 もう本当に最悪だ、商売あがったりだ。

 

 ―――ああ、でもせめて、仕返しくらいはしなきゃ気が済まねぇ。

 

 俺のポリシー的に、気が済まねぇっ…!!

 

 現在の時刻は、22時31分。タイムリミットは、22時45分までの14分間。

 

 それまでに祗園の企みを、この2本の剣で打ち砕く!

 

 おい、祗園!

 

 祗園、白幽!

 

 テメェの信じる道を、俺がひん曲げてやるよ!

 

 覚悟してろ!

 

 

 

                ★

 

 

 

 「―――貴様は、この状況でも、減らず口が叩けるかな?」

 

 祗園白幽は、静かに笑う―――。

 

 

 

 ―――神城渓吾(イレギュラー)は、祗園白幽(イレギュラー)と5年ぶりの邂逅を果たす―――。

 

 

 

 




 作者「ギャアァァァァァァァァア!!まぁたやっちまったぁぁぁあぁぁぁぁあ!!」
 渓吾「どうしたんだよ急に。お前死ぬの?」
 作者「聞いてくれよ!」
 渓吾「おう…なんだ?」
 作者「16話に、艦娘を1人も出してなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 渓吾「あー…確かに…」
 作者「マジすんません。またやってしまいました本当にすみません謹んでお詫び申し上げます」
 渓吾「メンタル弱いなー、こいつ」

 渓吾「さぁて次回予告だ。17話は、夜戦編パート2!祗園白幽の野望を、俺が止めるみたいな感じの作品になるらしいぞ?」
 渓吾「…まだこいつ起きないし、もういいや。最後まで予告しよう」

 渓吾「感想やアドバイスなど、どしどしお待ちしております!」
 渓吾「では、また~」

 追記

 作者「実はこの話、他の話と違って分割していないので、話が長く読みづらいかと思われます…」


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