The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】   作:M崎

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 ゲーマーズの2巻が超欲しいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!

 というわけで、どうも、M崎です。

 リアルはお盆周辺が超忙しかったので、久しぶりの更新となります。

 いつもより駄文率高い。

 それでは、どーぞ。

 あんまり期待しないで読んでください。

 追伸

 今回の話は分割しなかったので、9800文字近くあると思いますが、そこは暖かく目をつぶっていただけると幸いです。



第19話 8月3日の…い、戦の後っ?

 2014年の、8月3日、日曜日!

 夜の10時38分過ぎ、つまり夜戦の時間っ!!

 

 私、川内型軽巡洋艦1番艦、川内は、今この時間、

 

 

 「―――砲雷撃戦よーい、てーっ!!!」

 

 

 ―――久しぶりの夜戦を心から愉しんでいた。

 

 相手は深海棲艦の1個小隊…とかそんな感じ。重巡もいるし、ちょっと大きめかな?

 

 でもそれでも楽しい。

 

 だってだって、最近夜戦する機会なかったのに、今日突然提督から久しぶりに夜戦してもいいって言ってくれたんだもん!

 というかそう指令が出たんだ~。夜戦好きとしては心躍るシチュだと思わない?

 

 妹二人(神通と那珂)は残念ながらお休み。ふふ、私の勇姿を見ていなさい!!

 

 まぁ本当はどうだっていいのさ、私は夜戦が出来ればそれでオーケー。

 

 充分楽しみながら酸素魚雷をバンバン撃ちまくる私に、声をかけてくる艦娘が1人。

 

 「―――川内さん、今日は調子がよろしいですね。どうなさったんですか?」

 

 駆逐艦、白雪。私の下につく、第11駆逐艦隊の2人目だったか3人目だったか。

 まぁ、なんだかんだ言っていい子だよ。ちゃっかり心配してくれるしね。

 

 「そりゃ、待ちに待った夜戦だからねー。私も、本気を出すよ」

 

 「それは頼もしい限りですね。…ただ、私も頑張らせていただきますよ?」

 

 「うんっ、夜戦仲間が増えるのは嬉しいしね」

 

 半ば投げやり、半ばウキウキで答えた私に、白雪も穏やかに、かつ大胆に切り返す。

 

 私もそれに、するっと答えてみたよ。

 いやー、夜戦はやっぱり楽しい。

 

 「―――なんとなく複雑ですね…」

 

 一瞬白雪がなんか言ったように聞こえたけど、私は気にせずに全力で夜戦を行う。

 

 さっきから私、「夜戦」っていう単語しか言ってないね。

 あはは、夜戦って言葉が「や」って文字を考えたらすぐ出てくるようになったよ。

 

 夜戦大好き!

 

 私が勝手に頭の中で自己完結していると、別の方向から声が飛んできた。

 

 「…私も、…ん…頑張る…」

 

 初雪ちゃんもしっかり夜戦で頑張ってくれているらしい。

 この子はもともと夜戦好きの兆候があるからなー。私と同類っ!!

 まぁ私は引きこもりじゃないんだけどね。熱狂的なファンもいないけどね。さびしくなんてないけどね。

 

 っと、いかんいかん。危うく(那珂)と同じ末路をたどるところだったぜ…。

 私は夜戦が好きなの。夜戦してくれないとヤダ。

 

 

 閑話休題(話を戻そうか)

 

 

 「おー、初雪ちゃん。やっぱり夜はいいよね~」

 

 「んっ…そう、思う」

 

 「よーしよしよし。いい子だねー♪」

 

 夜戦好きの血が騒ぐのか、初雪ちゃんの声が気持ち強めに聞こえる。

 そんなところも可愛い初雪ちゃん。

 

 私がそのさらさらな黒髪をなでてあげると、初雪ちゃんは気持ちよさそうに目を細める。

 ―――私、夜戦の最中に何やってるんだろう。

 

 私が手を離すと、初雪ちゃんは気だるげな目に強い意志を宿らせて、

 

 「私だって本気を出せば出来るし…!」

 

 と告げると夜戦に戻っていった。うんうん、熱心なのはいいことだ。

 

 「―――さて、私も夜戦に戻ろうかなー♪」

 

 私が夜戦に戻ると、そこでは大々的な戦闘が行われていた。

 

 私の可愛い部下たち(第11駆逐艦隊)も、日ごろの連携の成果か、着々と敵を屠っている。

 ここで上官である私が動かないわけがないよね。

 

 まぁいつもの通りさ。私だって結構古株ですから。

 

 「―――さぁ、私と、夜戦しよっ?」

 

 すごく高ぶった声音ととびっきりの笑顔と共に、私は夜戦を再開した。

 突撃、開始っ!

 

 

 

                   ★

 

 

 

 西暦2014年、8月3日(日)…やはり、渓吾さんのように言うのは難しいですね。

 私もまだまだ修行が足りません。

 

 時間は2240(フタフタヨンマル)過ぎでしょうか?

 

 この時、私たち第1航空戦隊(いっこうせん)は、提督からの指令を受けて、鎮守府前の海域で、深海棲艦と戦っていました。

 

 爆音と攻撃の中、私は1人の艦娘と会話を交わす。

 

 「赤城さん、状況は?」

 「第5次攻撃隊を発艦させた後です。まだ、制空権は取れていませんが…」

 「そうですか。…あちらでも戦闘があるようですね」

 「あちらでは第3水雷戦隊(さんすいせん)が戦闘をしていますね。では、あちらの奥で戦っているのは誰でしょうか?」

 「…確かに誰でしょう?もしかして、神城さんでしょうかね?」

 「え」

 「冗談ですよ」

 

 こちらは私のルームメイトでもある赤城さん。今、驚いたほうです。

 今も一緒に戦う、私にとってのパートナーとも言える存在です。

 

 戦う時の凛々しい顔は、かの神城さんにも劣らないほど格好いいですよ。

 

 あ、申し遅れました。私は、航空母艦、加賀です。以後、お見知りおきをお願いね。

 

 そしてさらに一緒に戦うのが、

 

 「あーもうあのクソ提督!こんな時に出撃させることなんてないじゃない!」

 「あ、曙ちゃん…提督に向かって、そんなこと言っちゃだめだよ…」

 「そうだよ曙。ご主人様はご主人様でいろいろ大変なんだから(` ^ω^ )」

 「…あれ?漣のセリフに何か顔みたいなものが見える…」

 

 ―――第7駆逐艦隊の4人。喋った順番に、曙、潮、漣、朧かしらね。

 駆逐艦という縛りにとらわれず、臨機応変な行動をとってくれる、優秀な子たちよ。

 

 ただ今は、もう少し危機感というものを持って欲しいですね。

 状況的に、結構危ないので。

 

 「赤城さん、少し失礼します」

 

 私は赤城さんに断りを入れると、攻撃をする手を止めないまま、後ろの駆逐艦たちに向かって、少し注意をした。

 

 「ほら、4人とも、しっかり前に集中しなさい。敵の主力が出てきたから」

 

 「ほいさっさ~♪…漣だって、やるときはやりますから!」

 「分かりました、やらせはしません!」

 

 私が注意すると、4人は顔を元の通り集中したものに戻した。

 よし、これでこちらは大丈夫ですね。

 

 次に敵艦隊。

 

 敵の主力は、空母ヲ級を中心とした中規模の艦隊ですね。今空母が出てきたので、それを叩いているところです。

 ですが、

 

 「赤城さん、突然失礼しました」

 

 「大丈夫ですよ」

 

 「それにしても、制空権がなかなか取れませんね…」

 

 「第6次攻撃隊、全機発艦!―――そうですね…少し、おかしいですね」

 

 これが問題となっていました。

 

 というのも、私たちが発艦させている攻撃隊で、なかなか制空権が取れない。

 今まで5回、攻撃隊を発艦させているが、一番惜しかった4回目を除いて、敵の艦攻をあまり減らせていません。

 うちの艦戦や艦爆は、みんな優秀な子たちなのに、何故?

 

 6回目の攻撃隊を発艦させながらも、私は首をひねる。

 

 それだけではない。

 

 後ろにもう1人空母でも控えているのか、敵艦載機の量がいつもの比ではない。

 これを「きりがない」というのでしょうか。4回目だけは惜しかったですけど、それ以外は倒しても倒しても艦載機が出てきます。

 

 だからなのでしょうか、

 

 「―――赤城先輩、直上!」

 

 「っ!!!―――大丈夫です。ありがとうございます、潮さん」

 

 「いっ、いえ…!」

 

 最近、このような危ない場面に遭遇ことが多くなってきました。

 私にも、第7駆逐艦隊の子たちにも、そして―――赤城さんにも。

 

 何故でしょう、少しずつ、追い詰められているような感じが…。

 

 慢心はいけません。手早く、慎重に片付けて、早く帰りましょう。

 

 

 時間は2243(フタフタヨンサン)を回る。

 

 そろそろ、私たちも疲れてきました。未だ被弾はありませんが、全く油断は出来ません。

 帰れるぐらい向こうを圧倒しているということはもちろんなく。

 それどころか、むしろ押されてきたような感じもします。

 

 鎧袖一触というわけにもいかず、膠着した状態が続く中、

 

 「加賀先輩、これは本当に大丈夫なんですか…?」

 

 朧さんが不安げに私に問いかけてきました。

 もちろん、私だって不安。けど、

 

 「…そうね、なんとかしてみせる。赤城さんや神城さんのように、私たちも頑張りましょう?」

 

 声に出すわけにはいかない。

 

 「………はいっ!」

 

 朧が元気よく答えたところで、私たちももう一度攻撃に戻る。

 

 が、未だ不利なのは変わりません…。

 

 「第12攻撃隊、全艦発艦!」

 

 赤城さんの心なし疲れたような声を聞きながらも、私は冷静に今の状況について考える。

 

 これで攻撃隊の発艦は12回目。残された矢は、私と赤城さんを合わせて6本。

 

 これは流石に不味いです。

 

 「どうしましょう、赤城さん…」

 「―――加賀さん…」

 

 打つ手が本格的になくなってきました。

 鎮守府とは通信がさっきから全く取れておらず、自分たちの判断だけでの戦いになっています。

 部下も大分疲れてきているし…ここらで片付けないと…。

 

 しかし、徐々に士気は落ちていく。

 このままでは、やられてしまうのも時間の問題かもしれませんね。

 

 「…何なのよ、この量…加賀先輩、まだクソ提督にはつながらないの…?」

 

 曙さんがそうぽつっともらし、私もそれに「そうですね…」と答えようとした瞬間。

 

 

 ズドォオォォォオォォォォオォォォオン!!!

 

 

 「「「「「…………………!!?」」」」」

 

 (あか)(あお)の光の一瞬後、耳をもつんざく大爆音が、私たちの奥のほうから鳴り響いてきました。

 

 全員で一斉にそちらを振り向く。

 

 だが、爆発音の場所が遠すぎて、ここからでは確認が出来ない。

 

 どことなく懐かしい音な気もしますが、いったい何が…?

 

 

 ――――ブウン。

 

 

 なにやらスイッチが切れたような音が、パラパラと言う音にまじって聞こえましたね。

 これもなんでしょうか?こちらのほうがむしろ重要な音なのでしょうか?

 

 これは左から響いてきましたね。ちょっと前を確認してみましょう。

 

 そう思い、未だ放心状態の皆さんをおいて、私の左側を見ると、

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()が、私たちの前に並んでいた。

 

 それも、目を見開いた状態で。

 

 「―――――――――っっっ!!!??」

 

 私は度肝を抜かれて、へなへなとその場にへたり込む。

 

 怖い。どんなホラーよりも怖い。夜だから余計怖い。ああ怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

 

 私は動けない。無数の目に射すくめられる感じがして。

 私は動けない。底知れない恐怖を感じて。

 

 私は、動けない。

 

 私が何も言わないのを不審に思ったのか、はたまたただ単に見飽きたのか、赤城さんと第7駆逐艦隊の4人もこちらを向く。

 

 「あ、駄目…」といおうと口を精一杯動かそうとしたが、私の口は恐怖で動かない。

 

 結局、見てしまった。

 

 無数の赤い目を。

 

 「「「――――っっ!!!キャーーーーーッ!!!!」」」

 

 悲鳴が響き渡り、その場が軽くパニックに陥る。

 

 悲鳴は一方からだけではありません。おそらく、第3水雷戦隊(さんすいせん)も同じ状態に陥っているでしょう。私たち艦娘にとって、これはどんなホラー映像よりもこたえます…。

 

 そしていまだに、何が起こったのか頭が理解できません…。

 

 私は震える声で、現状確認をとる。

 頭は全く理解しようとしないですが…。それどころか、ちょっと意識が朦朧としてきました…。私は大丈夫なのでしょうか…。

 

 「な、何があったんでしょう…?」

 「うわ、祗園のヤツ、結構えげつないこともすんのな。深海棲艦のロボットて」

 

 ―――憧れの神城さんの声まで聞こえてきました。幻聴でしょうか…?だとしたら、私の頭はもう末期なのかもしれません…。

 

 「ろ、ロボット?」

 「ああ、多分そうだ」

 

 幻聴が止むと、横からすっと神城さんの幻覚が。幻まで見えてしまっては、私はもう駄目ですね。確定です。

 その神城さんの幻覚は、目の前の停止した深海棲艦まで歩くと、

 

 「…だってこれ、すぐ倒れるし、海に沈むし」

 

 そのロボットをけり倒して、海に沈めた。

 ―――あれ?幻覚には見えなくなってきました。動きもきびきびしているし…もしかして…本物?

 まさか、どうして…?

 

 とりあえず、目の前の神城さんが本物か確かめるために、一応、呼びかけてみる。

 

 「―――神城さん?」

 「おお、そっちは…加賀さんだっけ?どーもどーも、神城渓吾だ」

 

 すると、神城さん(幻覚?)はニヤリと笑い、私のセリフに応じた。

 ―――ということは…。

 

 「およ?どうした、そんなに驚いた顔して。俺の顔になんか変なモンでもついてるのか?」

 

 やはり、本物の神城渓吾さんのようです。

 

 途端わあっと歓声が沸き起こる。

 

 真っ先にそれに反応したのは赤城さん。さっきの悲鳴がウソのように晴れ晴れとした顔で神城さんの方に近寄る。

 

 「神城さん!来てくれたんですね!」

 「あ、赤城さん。悲鳴が聞こえたんでやってきてはみたが…もう終わってるみたいだな」

 「いえ、来てくれたこと自体が嬉しいのです。本当にありがとうございます」

 「おおう、そんなに感謝されると、来たかいがあるってもんだ」

 

 ―――本当に、さっきまでがウソのように、まるで恋する乙女のような感じで話しかける赤城さん。…ちょっと、いくら神城さんといえど、()けてしまいますね…。

 

 私のオーラを感じ取ったのか、一瞬ビクッと震える神城さん。…ちょっと今のは可愛かった気もします…。

 

 「…そ、そうだ。あの奥の艦娘たちにも挨拶しよう…」

 

 神城さんは一旦赤城さんとの会話を終了させ、今度は奥に顔を向ける。

 

 私も立ち上がり、そちらに顔を向ける。…ん?これは何でしょうか。ペンダント、かしらね。誰のでしょうか。

 

 閑話休題(話を戻しましょう)

 

 奥にいたのは、びっくりしている第7駆逐艦隊の4人。

 潮や漣なんかは、少しその頬が赤い。

 もしかしたら、あの子たちも、神城さんが好きなのかしら…?これは要注意ですね。

 

 ですが神城さんは、それに全く気づかずに近くにいた曙に話しかける。

 

 「―――自己紹介してなかったかな?俺は神城渓吾。気軽に渓吾って呼んでくれ」

 「…特型駆逐艦、曙よ。よろしく、クソ渓吾」

 「は、く、クソ…?」

 「何よ!?なんか文句ある!?」

 「いや、別にないけども…」

 「じゃあいいわね、よろしく」

 

 「そんで、こっちの子は…?」

 「アタシ、綾波型駆逐艦、朧。誰にも負けないわよ!…多分」

 「そうか、そりゃいい心意気だな。俺は神城渓吾。渓吾でいいぞ」

 「ありがと。アタシとしても、あんま肩肘張ったのは好きじゃないのよ」

 「俺も好きじゃない。まーよろしく頼む」

 「よろしく、渓吾」

 

 「そして、この子は…?」

 「んんっ。―――私は、綾波型駆逐艦、漣と申します、ご主人様」

 「え?ご主人様?それって、俺のことか?」

 「え?そうですけど?まさか、お気に召しませんでしたか?^^」

 「いや…はは。俺は神城渓吾だ。…あと、そのご主人様っての、やっぱやめてくんね?」

 「了解しました、渓吾様」

 

 「最後は、この子か。俺は神城渓吾、渓吾って呼んでくれ」

 「特型駆逐艦…綾波型の、潮です。渓吾さん、よろしくお願いします」

 「おお、よろしく、潮。…さっきは大丈夫だったか?結構ヤバかったと思うが…」

 「はい、私も、ちょっと怖かったです…」

 「そーか。ま、コイツらがいくら襲ってこようが大丈夫だ。俺がちゃーんと護るから」

 「あ、ありがとうございます…」

 

 ―――神城さん、ほぼ初対面の艦娘と仲良くなる速さが尋常じゃありませんね…。

 どこか、女子と話し慣れているような感じがします。潮さんなんか顔を真っ赤に…。

 

 もしかしたら、あれが青葉さんの言っていた「天然ジゴロ」というやつなのでしょうか。

 だとしたら、相当厄介なシロモノなのでは…?赤城さんが恋する乙女化してしまったのも、神城さん自身は気づいていない…?

 

 ううむと私が考え込んでいると、神城さんが私の方に近づいてきました。

 どうしたのでしょうか、まさか、相談ですかね?

 

 それに気持ち顔が真剣みを帯びています。神城さん、どうしたのでしょうか?

 

 私は少し動揺しながらも、毅然とした態度を崩さずに話しかける。

 

 「―――どうしましたか、神城さん。私の顔に、何かついていて?」

 「加賀さん」

 

 神城さんは、一言で私を黙らせるほどの威圧感を放つ。

 

 声音まで真剣な感じな神城さんは、私の方に近づいてくる―――え、ちょっ、近…。

 私の顔のすぐ近くに、神城さんの真剣な顔が…。これは、もしかして…?

 

 私が勝手に頬を紅潮させていると、神城さんは私の顔の―――

 

 「―――これ、何処で拾った?」

 

 ―――すぐ横で構えていた左手の、中に握られているペンダントを指差した。

 何でしょう、…ちょっと、残念かもしれません…。

 

 少し不機嫌な気持ちを声音に乗せて、私は神城さんにペンダントを渡す。

 

 「すぐそこですよ、海の上に浮いていました。もしかして、神城さんのものですか?」

 「―――ああ、俺のだ」

 

 それを受け取った神城さんは、肩をわなわなと震わせて、そのペンダントを見ていた。

 ―――あら?神城さん、お、怒っているのかしら…?

 

 流石に不審に思い、声をかける。

 

 「神城さん、大丈夫ですか―――」

 

 

 「でぇかしたぞ加賀さぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

 

 心配したら叫びだした神城さん。まさに狂喜乱舞といったところでしょうか。

 正直ちょっと驚きました。私だけではなく、全員が驚いていました。

 

 そしてさらに、

 

 「ありがとう加賀さんっ!!!」

 

 そう叫んで、あろうことか、私をひしっと抱きしめたのです。

 

 「―――――――――はい?」

 

 思わずすっとんきょうな声が私の口から漏れ出るのと、神城さんが私を抱きしめる力を強くして、私の顔が真っ赤になってしまったのはほぼ同時。

 

 そしてそれを、頭と体が認識したのも、それとほぼ同時。

 

 近い近い近い近いいい匂い近い近いっ!!!神城さん、予想以上に大胆なんですね…。

 

 そして私に注がれる怨嗟と驚愕のまなざし。赤城さん、本当にすいません。でも、ここは譲れません…。第7駆逐艦隊の4人も、ごめんなさい…。

 

 というか、これって私以外の艦娘にも、嫉妬されるんじゃないでしょうか…?

 

 そんな視線(まなざし)にさらされながら、私が羞恥心に耐えていると、

 

 「……………あっ」

 

 ずっと抱きついていた神城さんが、ようやく今の状態に気づいたらしく…。

 

 

 「あー…その、なんかスマン…」

 

 

 慌てて私から離れていった。

 …いえ、名残惜しくなんてありませんよ?そんなこと、あるわけがないでしょう。顔が真っ赤なのは気のせいです。夜のせいでおかしくなっているんじゃありませんか?

 

 そして周りからの目線が一段階鋭くなる。

 

 「―――加賀さん、部屋に帰ったらお話があります」

 

 特に赤城さんの目線が怖いです…。私、今夜は徹夜かもしれません…。

 

 「か、加賀さん。さっきは舞い上がっちゃってごめん…」

 「い、いえ。大丈夫よ、気にしないで下さい」

 

 後ろでは神城さんが珍しく殊勝な態度で謝ってくる。いつも飄々としてるんだけど、こういう態度も新鮮ね。

 それをおくびにも出さず答えきった私は、後で頑張ったと赤城さんに褒めてもらえ―――る訳がないですよね。むしろさらに叩かれる気がします。

 

 そこから会話が続かず、場が静かになる。

 

 「…………………」

 そして、曙さんや漣さんが、沈黙に耐え切れずにそわそわしてきた頃。

 

 「…ええと、俺、そろそろ、行ってくるわ。向こうにも艦娘がいるし、―――港湾棲姫さんとも決着つけなきゃならんし」

 

 神城さんも場に耐え切れなくなったのか、一言告げて離れようとします。

 私も、本来ならそれを笑って送り出すべきなのでしょうが…。

 

 何故か、それをとても名残惜しいと思っている自分がそこにいました。

 そしてそれを、()()と感じていることも。

 

 何故でしょう、ここで神城さんが、向こうに行っては駄目な気が…。

 

 そう漠然と思った私は、気がついたら、離れようとする神城さんの左手を取っていた。

 

 「…………………?どうした?」

 

 不思議そうに首を傾げる神城さん…いや、渓吾さん。

 その渓吾さんに向かって、私はポツリと告げる。

 おそらくほとんどの人が、「意味が分からない」と思う言葉を。

 

 「渓吾さん――――――死なないで下さい…お願いです…」

 

 「っ!!?―――おう、任しとけ。誰が死ぬかよ」

 

 渓吾さんは一瞬驚いたような顔をしましたが、すぐにいつもどおりの不敵な笑みを、私に返してきました。

 ああ…それでこそ神城渓吾(かみしろけいご)さん。私と赤城さんの、運命を変えるかもしれない人。

 

 そして、退屈な私たちの日常を、たった一発で打ち破ってくれた人。

 その微笑を見るだけで、私たちをえもいわれぬ安心感の底にいざなってくれる。

 

 …私は、どうしたのでしょうか…?

 

 そんな不思議な気持ちに支配された私は、渓吾さんにすっと近づくと、

 

 

 「―――頑張って下さい、渓吾さん」

 

 耳元で囁いて、その頬に口づけをした。

 

 

 「「「「「――――――――っっっ!!!??」」」」」

 

 渓吾さんはもちろん、他の皆も驚いていますが、今の私には全く届かずに、

 

 「これは餞別(せんべつ)です。帰ってこなかったら許しませんからね」

 

 と、笑って渓吾さんを送り出した。

 

 それを見送ったあと、私は人知れずため息をつく。

 甘い甘い吐息を。

 

 ああ、きっと今の私も、赤城さんと同じ。

 

 誰かに恋する乙女の顔に、なってしまっているでしょうね。

 

 

 

                   ★

 

 

 

 西暦2014年8ぎゃっ!―――8月3日、(日)。

 

 時計の針は短針が10、長針が9を指している。

 

 

 「――――なんだったんだ今の…?」

 

 俺、神城渓吾は、頭を抱えていた。

 何せ、俺がハイテンションで抱きついちゃった艦娘に、お返しでキスされたのだ。

 …何もそこまでする必要はなかったと思うが…ほんとうに何だよ。動機が分からん。

 

 俺、そんな感謝されるようなことしたかなぁ…。感謝するようなことはされたけど。

 ううむ、解せぬ。加賀さんは俺に何をして欲しいんだ…?

 

 だぁもういいや、考えてても仕方ない。俺はまずあいつらを助けにゃきゃいけにゃいんだ!…スマン、2回噛んだ。

 

 到着した場所には、出撃前に出会った「夜戦」をやたら連呼していた艦娘と、おそらく駆逐艦だろうと思われる艦娘が5人ほど、その場に座り込んでいた。

 ―――いや、「夜戦」の艦娘のほうは、深海棲艦ロボットにも動じてないな。むしろこの状況を愉しんでないか…?

 

 よし、ちょっとおどかしてみるか。あの子。

 

 ニヤリ。

 

 俺はそう決めると、世界(エレメント)を任意で発動させる。

 そして、

 

 「モードは…一応(ウォーター)にでもするか」

 

 小さく呟き、周りの海水を自分の周りに集め始める。

 周りには…よし、バレてない。

 

 そしてさらに小さい声で、座標を深海棲艦ロボットに向け、呟く。

 

 

 「鋭利な清滝(スコール・ワルツ)

 

 

 とたん、大瀑布もかくやという量の水の粒が、深海棲艦に向けて降り注がれた。

 その水は弾丸のように、あるいは大砲のように、敵に的確なダメージを与える。

 まるで滝行のように。

 だが、その水が奏でる音は、清く美しい。

 まるで祝福するような、水の音色(ワルツ)

 

 だからついた、鋭利な清滝(スコール・ワルツ)と。

 

 …とまあここまで厨二臭く(遠まわしに)言ってみたが、本来は水の弾丸をひたすら当てまくるだけの、シンプルな技だ。

 ただ、1発1発が(ひょう)のレベルくらいの速さで、中には弾丸レベルの速さのやつもいる。

 そして数が多い。前が見えなくなるくらいだ。

 当然、ロボットをものすごい勢いでぶっ飛ばす。中には貫通して、爆発するものまで。

 

 ―――えっ、爆発!?

 

 さっきの子が危ないじゃんっ!!何やってるんだ、俺!

 

 「天使の靴(エアリエル)、1、27っ!!!!」

 

 天使の靴(エアリエル)を流れるように発動させ、すぐに倍率27倍で駆け出す。

 何度も言うが、夜の海の上を。

 

 そしてもうひとつ、能力を発動させる。

 

 「濃密な霧(フォグ・ウォール)ッッ!!!」

 

 突撃中だった彼女の周りに霧のバリアをだし、爆発を凌ぎきる。

 

 この間わずか30秒足らず。そのくらいでこの文章を読めた人はすごい。

 

 「な、何事っ!!?」

 

 おっ、案の定うろたえる艦娘が1人。驚かすことにだけは成功したらしい。

 まぁ、ちょっとやりすぎちゃった感もある…。

 

 だから俺は、申し訳なさを前面に押し出して、

 

 「―――あー、すまん。ちと、やりすぎちまったみたいだ。ハハ…」

 

 失笑しながら登場せざるを得なかった。あーあ、やっちゃった。

 やっちゃったら歌お♪

 

 やあっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!

 

 

 

                   ★

 

 

 

 「―――まだ、気づかないらしいな」

 

 …帰ったはずの祗園白幽(ぎおんはくゆう)は、何故かまだ残り、不敵な笑みを浮かべていた。

 

 「お前と戦っていた時間は楽しかったが…これで、最後になってしまったな」

 

 

 ―――神城渓吾(イレギュラー)は、世界から突き放されるタイミングに近づきつつあることに、気づかない―――。

 

 

 

 

 

 

 




 作者「というわけで19話でした」
 渓吾「なーにがというわけ、だ。俺が意味不明な方向に突き進んでっただけじゃないかよ」
 作者「ふふん、それが神城渓吾の真骨頂じゃないか」
 渓吾「黙ってろ駄文作者」
 作者「それに関しては自覚があるからもう大丈夫」
 渓吾「…まぁ、青タグにもそう書いてあるしな」

 作者「さてここで次回予告です」
 渓吾「今度は何をさせる気だ」
 作者「もちろん、いろいろがんばってもらうよ。19話のラストとか、よく覚えといてね」
 渓吾「訳が分からん…文章が下手すぎて」
 作者「それは気にしない。まぁ、安直だとは思いますが、暖かく見守ってください。次が8月3日編のラスト2話です!」
 渓吾「早めに投稿できるといいんだけどな」
 作者「まぁそこはおいおい♪―――次の回は、このシリーズ屈指の意味不明な話になる、はずです。なんとか今週中に投稿したいっ!!」
 渓吾「感想もどしどし頼むぞ」
 赤城「お待ちしております」
 渓吾「あれ?赤城さん?なんでここに?」
 作者「私が呼んだのさ。加賀に喋らせるためにね。まぁ、ただのてこ入れだよ」
 渓吾「そんな理由でいいのか…」
 赤城「はい、私としても、大分ヒマでしたから」
 渓吾「まぁ、赤城さんがいいんならいいけどよ…」
 作者「…おんやぁ?神城クン、キミは照れているのかな?」
 渓吾「…う、うるせぇ。しゃーないだろ!美女の笑顔を見て照れないわけがないでしょうが!」
 赤城「え………」
 作者「ウブだねぇ」
 渓吾「ほっとけ………あ、加賀さん」
 作者「―――――(逃走)」


 加賀「頭にきました」
 作者「待ってくれない?艦載機振りかざすのは待ってくれない?」

 追伸

 作者「あ、今回の話も分割しませんでした。本当に、すいませんでした…」



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