The 14 Days ~鎮守府合宿での14日間~【再凍結中】   作:M崎

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 元5話の大分割です!!

 時間が無くて検閲もあまり…。

 それでは、どうぞ!



第7話 8月3日のENCOUNT

 

 2014年、8月3日(日)。

 

 

 俺、神城渓吾(かみしろけいご)は急いでいた。結構ヤバイ。もうちょっと飛ばそうかな…。

 

 あー、間に合ってくれよ~。

 合宿初っ端から目の前で死人を見るとか、俺にとってトラウマでしかないからな…。

 

 天使の靴(エアリエル)倍率21.3倍で駆ける俺は、そんなことを考えながら、現在鎮守府北北西方面に向かっている。

 

 目的は、(テロリスト)()()排除。

 

 世界(エレメント)は使い放題、敵は()そうが(くだ)そうが大丈夫。

 もーここまで俺に優しい世界は初めてだ。神様ありがとう。あの時神を信じといてよかった。この合宿終わったら、後で近くの教会に行こう。絶対忘れないように脳内メモ。

 

 おおっと、そろそろ敵陣の真ん中に突撃しますね~。着陸態勢ならぬ突撃態勢ですかっ?

 

 シリアスを完全に消し去ってヘラヘラと笑う俺。半分吹っ切れてるぜ、ぶいぶい。

 

 そんなアホ面した俺は、

 

 「――――――っ!!?」

 

 あるものを見た途端、慌てて急停止し、倍率を1倍に戻して、天使の靴(エアリエル)をしまった。

 

 え?ウソだろ?なんで、アイツがいんの?

 俺の思考が文字通りに火を噴いてるぞ?どうしてアイツがいる、いや、そもそも、

 

 

 何故アイツが鎮守府の制服を着ている――――――っ!?

 

 

 何故俺がここまで錯乱しているのか。

 

 なぜなら、そこにいたのは、

 

 

 「――――――あ、兄貴…?」

 

 

 …見紛う事なき俺の兄、神城柊哉(かみしろしゅうや)だった。

 

 「…おっ?よう、俺の自慢の弟よ。草取りにでも来たか?」

 「なっ、な…!」

 「おいおい、そんな驚くことかよ。せっかくお兄ちゃんがサプライズ登場してあげたのに」

 

 初セリフから皮肉噛ませやがったけど、この際そんなことはどうでもいい。

 今一番聞きたいのは、

 

 

 「何でテメェが鎮守府の人間になってるんだよーーーっ!!!!」

 

 

 これである。むしろこれ以外聞くことがないまである。

 

 「およ?はは、言ってなかったっけ」

 

 うん、言ってない。断じて言ってない。

 

 「お前の兄ちゃんはねぇ、ここでバイトしてるんだよ~」

 「マジで!?」

 

 今明かされる衝撃の真実。なんと兄貴は、鎮守府でバイトしていたらしい!

 …うわー、聞きたくなかったー…。

 

 「とはいっても、艦娘にはお目通りすら叶わないし、ただの警備員みたいな感じなんだけどね」

 「なるほど…」

 

 確かに、コイツならぴったりだろう。

 そういった仕事が向いてるイメージだね。無駄なイケメンもここでなら発揮されないし。

 

 腹立つ兄貴、というイメージを払拭できるかもしれん。

 

 「そういう渓吾は、どうしてここに?」

 「ちょっと訳ありでな。後で乃絵留(のえる)にでも聞いといてくれ」

 「あの子俺には懐かないからイヤなんだけど」

 「知るか。それよりも…後ろを見ろ」

 

 言われたとおりに兄貴が後ろを見ると、そこには、戦車やら銃器構えた人間やら、いかにもご大層な装備が待ち構えていた。

 気持ち不機嫌そうにも見える。

 そりゃそうか、俺ら敵ほっといて兄弟で会話してたんだもんな。

 

 「…どうする、兄貴」

 「決まってるだろ、片付ける」

 「そうこなくちゃ」

 

 一瞬で話がまとまるのは、兄弟のいいところ。

 俺は早速、自慢の刀である迅雷剣(じんらいけん)・ヴァナルガンドを顕現させる。

 そしていざ斬りかかろうとしたそのとき。

 

 「待て、渓吾。わざわざお前が出るまでもない」

 

 ―――最高のタイミングで兄貴にストップかけられた。

 おかげで俺は、斬撃を放とうとした変な体勢で止まってしまった。

 

 「…おい、ここで止めるか?フツー」

 「2度も言わせるな。ここは俺が出る」

 「…理由を、聞こうか」

 「いいだろう、お前を最大限納得させてやる」

 

 兄貴は尊大にそういうと、俺を出さない理由を―――

 

 「簡潔に言うと、お前が出るのがいけ好かない」

 

 ―――3秒で終わらせやがった。

 

 「…おい―――それで納得できると思ったのか?」

 「無論、そんなわけがないだろ。ちょっとは自分で考えろ」

 

 俺の反論を、兄貴はばっさりと斬り捨てる。

 

 いけ好かない、ねぇ。

 そのセリフはそっくりそのままお前(兄貴)に返してやりたいが、裏があるとなれば話は別。真面目に考えてみようかね。

 たっぷり5秒ほど考えて、俺は結論を出す。

 

 「―――こいつらの狙いが鎮守府や艦娘ではなく、俺だから、か?」

 「その心は?」

 「狙いが鎮守府や艦娘なら、陸から狙う必要性がない。海からだけで十分だ。加えて、俺が今日ここにいる日をピンポイントで狙ってきた。以上2つのことから、今日こいつらが狙っているのは、異常(イレギュラー)である俺だと想像がつく。いけ好かないって言ったのは、俺があのまま突貫することで、敵の思惑にそっくりそのまま乗ることがいけ好かないってこと…違うか?」

 「ご名答」

 

 どうやら正解だったらしい。それにしても…一番面倒なことになったな。

 

 狙いが鎮守府や艦娘ならまだいい。俺が全力で守ればいいんだから。

 しかし、狙いが俺だと、俺はうかつに手が出せなくなる。

 獲物(ターゲット)が外に出るのは一番まずい。それは奥の手だ。

 そして俺が出られないとなると、最悪の場合犠牲者が出てしまう。

 

 それだけは絶対にイヤだ。

 俺のポリシーに反する。

 じゃあどうするべきか。

 

 答えは1つだ。

 

 「…分かった、退()()よ」

 「分かってくれたようで何より」

 

 戦略的撤退。これだけだ。

 あとは兄貴に任せ、俺は行くしかないのだろう。

 そう自分を納得させ、天使の靴(エアリエル)でここを離れようとした、そのときである。

 

 

 「神城くん!」

 

 

 黒岩司令官が、息も絶え絶えに走ってきた。

 

 「しっ、司令官っ!?」

 

 なんでここに!?という疑問よりもまず先に、

 

 「ああ…やっとついたよ」

 「司令官!ここは危ないですって!!早く逃げてください!」

 

 司令官自身の身が危ない。

 俺の合宿初日で、死人が2等海将とかシャレにならん。

 

 「っ!!…濃密な霧(フォグ・ウォール)!!!」

 

 俺は慌てて、不可視の壁を作り、司令官をそこに隠す。

 

 「司令官!!どうしてこんなところに…」

 「私のことなどどうでもいい!!実は、緊急事態が発生してな」

 「またですかっ!?今度は何が…?」

 「ああ、事態は思っていたより深刻だった。我ら鎮守府にとって、最悪なシロモノが出てきたんだよ…」

 「な、何ですか、ソレ…」

 

 司令官は一度、強張っていた息を整えると、焦燥感の消えない瞳で、こう告げてきた。

 

 

 

 「―――『大反乱』だ。300艦以上の深海棲艦が、我が鎮守府に押し寄せてきた!!」

 

 

 

                 ★

 

 

 

 同時刻、鎮守府前。

 

 今までの一部始終をモニターで見ていた(親玉)は、静かに笑う。

 

 「どうだ、予想もしていなかっただろう?300を超える大船団だ」

 

 吸っていたタバコを強引にもみ消し、次のタバコの火をつける。

 

 (動機を早い段階で悟ってしまったのはちとまずかったか…神城柊哉(かみしろしゅうや)対象者(ターゲット)に加えよう)

 

 すぱーっと煙を吐くと、敵は獰猛に笑い、

 

 「さあ、次はどう出る?せいぜい、私を楽しませてくれよ、神城渓吾(かみしろけいご)

 

 

 ―――神城渓吾(イレギュラー)のあずかり知らぬところで、世界は動く―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 作者「今度は元5話の大分割です…」
 渓吾「半分吹っ切れた俺とか書かないでくれる?結構トラウマだぞ、あれ」
 作者「大丈夫さ。キミのトラウマなんて、周りに余りある幸福しか見当たらないじゃん」
 渓吾「どこにだよそれ…」
 作者「(え、自覚なしかコイツ!?)」

 渓吾「では、また次の話で」
 作者「矛盾等ありましたら報告をどしどしお願いします!!」

 追伸

 渓吾「次使う俺の剣は、今回出た迅雷剣(ヴァナルガンド)じゃないらしいぞ?となると…あれか?」

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