まじかるサーカス   作:ダイナマイト

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加藤鳴海という漢

 

 

雑誌とかでよく見るタイプ別診断ってあるだろ?

YES、NOを選んでって、最後にあなたはこういう人ですって書いてるあれだ。

 

そこでオレ、加藤鳴海から質問だ。

 

見た目中学生ぐらいの女から・・・

 

「逃げろ・・・」

 

・・・って言われたらどうする?

 

───→逃げる。

 

───→逃げない。

 

ヒント・・・

その女は見てわかるほどの大怪我を負っていた。

 

あっ、あんた今オレのコトかわいそうな奴を見る目で見てるだろ。

・・・状況が分からない?

わりーな、簡潔に説明しすぎたか。

しょうがねーから、1から説明するよ。

 

 

 

オレはその日、夜中にふと目を覚ましたんだ。

眠気もとれちまって、小腹もすいちまって、だけど冷蔵庫にゃあ何にも入ってない。

しょうがねーからオレはコンビニに行こうと外に出たんだ。

 

・・・何事もなく弁当を買って、その帰り道だ。

どっかから誰かがドンパチやらかしてる音が聞こえたんだ。それもこんな夜中に。

 

───→見に行く。

 

───→無視する。

 

そんな音を聞いちまったら気になるっつうのが人間の性だよな?

 

───→見に行く。

 

気になったオレはその音の正体を確かめに行くことにしたんだ。

 

そこで見つけたのがさっきの女なんだ。

 

壁に寄りかかって立ってる、自力じゃ立てないほどの怪我らしい。

女の右手にゃあ、今の日本ではまず見ることない刀。

 

 

そいつが言うんだ。

 

「逃げろ・・・」

 

───→逃げる。

 

───→逃げない。

 

正直に言やぁ、オレだってこんなヤバそーなコトにゃあ関わりたくねェ・・・

・・・だけど

 

「おい、大丈夫か?何があった。」

 

・・・怪我した女を置いて逃げるなんて、オレには出来なかったんだ。

 

───→逃げない。

 

「くっ・・・わたしのことなどほおっておけ・・・逃げろ。」

 

「そーいう訳にゃあいかねーだろ、まってろすぐ助けを呼ぶから。」

 

そう言ってオレはズボンのポケット探すが、目的のものは見つからない。

・・・そーだった、コンビニに行くだけだからってケータイは置いてきたんだった・・・。

 

「・・・あぁ──ッ!!クソッ!!」

 

ケータイがなかったことにイラつきながら、オレは女に背を向けて屈んだ。

 

「乗れ。」

 

「そういう訳にはいかない・・・あなただけでも逃げろ。」

 

「変なこと言ってねーで、はやく『がさっ』の・・・れ・・・?」

 

そこでオレは見たんだ。

本物の『バケモノ』ってやつを・・・

 

木々の隙間から、落ち葉を踏みしめてそいつはやってきた。

高さ2メートル強の角を生やした鬼みてーな奴だ。

 

「な・・・なんだ!?こいつは・・・!!?」

 

生憎オレは一般人、こんな奴は見たことがない。

 

「クッ・・・だから逃げろと・・・」

 

女はそういうと刀をつっかえ棒にしながら、オレと化物の間に立った。

 

「おい馬鹿・・・」

 

なんでそんなことをするんだ、どーみても勝てるはずがないだろう。

 

「今からでも遅くはない・・・逃げて下さい。」

 

───→逃げる。

 

───→闘う。

 

化物は腕を振りかぶる、目の前の女に向かって。

 

「チッ・・・」

 

───→闘う。

 

オレは化物の懐に潜り込む。

前に突き出した腕に滑らせるように、拳を打ち込む。

その瞬間、化物の体は後ろへと吹っ飛んだ。

 

「訳はあとで教えろよッ!!!」

 

オレは追い打ちをかける為、大きく踏み込んだ。

体を内部から破壊するために、オレは気を練る。

 

「シッ・・・!!!」

 

拳が当たって、化物ははじけるように吹き飛んだ。

・・・が、すぐに立ち上がる。動きは緩慢になってはいるが、まだまだ平気らしい。

 

「ケッ・・・、今ので仕留められねーとは・・・師匠が見てたらどやされちまうな・・・。」

 

「あ・・・あなたは・・・?」

 

「おう、大丈夫か?嬢ちゃん。色々と聞きて―こともあるが・・・とりあえず、こいつはオレが引きつけておくから・・・逃げな。」

 

「・・・そういう訳にはいきません、これはわたしの仕事ですから。」

 

女はオレの方に歩を進めた。怪我も幾分かは楽になったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少女、桜咲刹那にとって目の前の男は異質であった。

 

自分が言うのもなんだが、こんな夜遅くに出歩いている事も、目の前の化物に拳ひとつで立ち向かっていく姿も、一般人としては異質だった。

化物を殴るその時、莫大な気を練り込んだことにも驚いた。

彼が一般人であることを疑うほど莫大な気だ。

 

そういえば・・・彼の動きを見たことがある、クラスメイトで中国武術研究会の部長である古菲がよくやっている形にそっくりだ。

という事は、彼は中国武術の使い手ということか。

確か・・・古菲が言っていた気がする、自分でもかなわない程の強い男がいると。

 

彼が、古菲の言う男なのだろうか?

そうだとしても納得ができないことがある。

一般人である彼が・・・なぜ危険を冒してまで私を助けようとするのか。普通なら怪我をしたわたしを見た瞬間、逃げ出してもおかしくないのに。

 

刹那は刀を振るいながら考える。

 

彼の拳が決まり、化物の体が浮いた隙に、刹那の技が通る。

さすがの化物も、頭と胴体が別れを告げれば動けるはずもなく、泡がはじけるようにその姿を消滅させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その・・・ありがとうございました・・・」

 

化物が消滅して一段落ついたところで、女が口を開いた。

 

「・・・あぁ、どおってことねぇよ。それより嬢ちゃんこそ大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫です。」

 

大丈夫なはずねぇよなぁあ、顔歪ませながら言ったって説得力の欠片もねー。

こっちとしてはいろいろ聞きて―こともあるんだが・・・。

 

そんなことを思いながらオレはもう一度女に背を向けて屈んだ。

 

「乗りな。」

 

「いや・・・そういう訳には・・・」

 

だぁああああ!!!まどろっこしいッ!!!

 

オレは女の方を向き、抱き上げた。所謂お姫様抱っこってゆーやつだ。

 

「・・・っきゃあっ!!」

 

女は悲鳴を上げたが、オレにはやましい気持ちはねェ、だから勘弁してくれ。

 

「今の時間じゃあ病院はやってねーよな・・・どこにいきゃあいい?」

 

女は恐る恐る指を指した。

 

「なるほど・・・そっちに行きゃあいい訳だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳴海に抱えられ、顔を赤くした刹那は思った。

 

(ああ、この人は『おせっかい』なんだ。)

 

と・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁないとは思いますが、続きがご希望の方がいらっしゃれば続くかも。

思い付いたきっかけはいいんちょの過去と鳴海の過去ですかね。
気という概念も似てましたし、古菲とかいるし
エヴァは人形つかうし、茶々丸はオートマタだし
案外会うんじゃないかと思った次第です。
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