連日の暑さで夏バテ気味になっています。
スタミナ付けて、更新頑張ります。
それでは、第21話、始まります。
「うそ……だろ?」
「スレインさん……」
マキアスとエマが、驚愕の表情で声を漏らす。その顔は正に、開いた口が塞がらないという喩えに相応しい表情である。
日付は変わって6月23日。
本日は実技テストと試験結果の公表日。本校舎1階に張り出された総合結果を前にして、そこを陣取っているⅦ組一同は二人と同じ様な発言と表情をしている。それも其のはず、一人だけおかしな結果を出しているからだ。
中間試験総合結果
1位スレイン・リーヴス 1000pt
2位エマ・ミルスティン 975pt
2位マキアス・レーグニッツ 975pt
4位ユーシス・アルバレア 952pt
5位パトリック・T・ハイアームズ 941pt
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8位アリサ・ラインフォルト 924pt
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成績上位者の殆どをⅦ組が占めている時点ですごいのであるが、そんな事に驚いている訳ではない。1位のスレインは全教科満点でダントツ首位。これはもはや異常事態である。恐らくトールズ士官学院の史上初の快挙ではなかろうか。
勿論、Ⅶ組の中で一番学力に懸念があったフィーが72位。それ以外の全員が上位30名に入っている時点で、Ⅶ組は成績優秀者だらけである。その結果からすると当たり前であるが、クラス平均点もⅦ組は学年1位であった。
「ありえん……一体どんな技を使ったのだ?」
ユーシスでさえ不正を伺わせる様な発言をする始末。全授業を
「委員長とマキアスの同点も凄いけど、スレインは……凄いな……」
「ええ、どうやれば全教科満点なんて取れるのよ……」
リィンに続きアリサも絶句した様な表情で何とか言葉をひねり出している。
「ねぇ、スレイン。スレインって勉強、得意だったの?」
顔がひきつっているエリオットが、一同を代表するかの様に問いかける。こうなるから真面目に受けたくなかったのだが、今更後の祭りだ。開き直るしかない。
「……お前さんたち、俺が導力学
引きつった顔が青ざめていく一同に対して、不敵な笑みを浮かべて教室に向かおうとした。すると、純白の制服を来た生徒達に行く手を阻まれる。
「貴様がスレイン・リーヴスか?」
目の前にいる、いかにもおぼっちゃま風の金髪少年は、自身の名前を確認するかの様に問いかけた。それは、名前だけは聞いているが、その当人の顔を知らない者の発言である。
しかし、こちらは目の前にいる少年の事は知っているので、同じ様な発言で肯定する。
「そうだが、何の様だ? パトリック・T・ハイアームズ」
パトリック・T・ハイアームズ。四大名門『ハイアームズ家』の三男坊。四大名門だからなのかは知らないが、良くも悪くも身分制度に執着がある典型的な貴族生徒である。その為、何かとⅦ組を目の敵にしていて、リィンは勿論、同じ四大名門のユーシスの事さえ酷く言うらしい。というのが自分の得ている知識である。
「貴様……! イカサマを使って取った一位はさぞ嬉しかろう。平民風情の分際で英雄気取りか?」
早速皮肉たっぷりの言葉を投げかけられた。今まで試験結果を見ながらガヤガヤしていた空気が、一瞬にして凍りつき静けさを生み出す。
「気取った覚えはないんだがな。その平民風情に学力で負けてイカサマ呼ばわりするから、貴族様は入学時から主席は疎か次席にもなれないんじゃないか?」
この手の者には笑おうが怒ろうが無駄である。だからと言って、あえて無表情で挑発的な発言をするこの少年の行動にも些か問題があると思う。しかし、そんな事を指摘できる程の猛者はこの場にいなかった。
「貴様……!」
「吠えるのは結構だが、俺の知っている四大名門のご子息は、もっと尊厳と敬意のある発言をする。貴族と言っても幅広いんだな。勉強になったよ」
更なる挑発をするかの如く、小さく笑ってその場を後にするスレイン。すれ違う瞬間に見えた彼の表情は、耐え難い屈辱を受けた様な表情であった。
「スレイン、あれは言い過ぎではないのか?」
教室に着いた一同の中から、珍しくラウラが批判的発言をする。先程のパトリックとのやり取りに関しての発言に対する話なのだろう。
スレインはあの手の扱い方を熟知しているので、何も感じていない様な表情をしてラウラを見る。
「ああいうヤツは鼻っ柱を折らんとダメなんだよ。大方クラス平均もウチの方が高いから屈辱的なんだろ? それにⅦ組のあちこちに手を出してるみたいだからな。憎悪の対象を集中させた方が黙らせるのは簡単なんだよ。次の動きも大体分かる」
「貴様、だからわざと俺と比較したのか……」
パトリックとのやり取りの中、自身に関する発言をしていた事を聞き逃さなかったユーシスは、申し訳なさそうな表情をしいる。
実際の所、パトリックはⅦ組の人間を敵視しており、何かと問題めいた発言をしている。更にその標的は全員であり、それぞれ個別で嫌味を言っている為にある意味面倒である。
大体が子供めいた発言になのだが、純粋な貴族教育を受けてきた彼に取っては、それが貴族特有の意地とプライドから現れる発言なのだろう。
そして、そういったものは個別に対処するよりも、相手の狙いを一箇所で纏めてしまう方が対処しやすい。その方が相手も強硬策に出てくる可能性が高い。その時点で潰してしまえば、問題になる前に大人しくなるだろう。というのがスレインの考えであった。
「純粋に思った事を口に出したまでだ。別に比較したかった訳じゃないさ」
「でも、本当にすごいね、スレイン。全教科満点なんて」
少しばかり重たい雰囲気になっていた所を、エリオットが話題を変えようとしてそう話す。
「まぁなー。一応、ここに来る前に英才教育なみの事を受けてたからさ」
「遊撃士とはそんなに博識なのか?」
「確かにあの時も色々教わったけど、正確に言うとちょっと違うかな。まぁ、人生いろいろってやつだ」
ラウラの素朴な疑問に笑いながら答えるスレイン。遊撃士は確かに博識だけど、勉学という面での知識を持ち合わせる事は必須ではない。
かと言って、それ以降の話は出来ないので一端言葉を濁らせる事にした。
「あんた、あたし達と年齢変わらないじゃないの……」
「でも、スレインが言うと重みがあるな」
頭を抱えているアリサの呟きとは違い、ガイウスは何故か納得の表情で話している。
「まぁ、いいじゃねぇか。人は見かけによらない、ってな。お前さん達が一番理解してると思ったんだけどな〜」
ケラケラ笑いながら話すスレインを見る目は、何故か信用しきれていない様な疑心に満ちたている。
だからと言って、これ以上何かを言うつもりもないので、これから始まる実技テストに意識を向ける。
「さ、グラウンドに行こうぜー。あと、多分面倒事になるから覚悟だけはしとけよ」
一同はこの場では言葉の意味を理解していなかったが、実技テスト開始と共にそれを理解するのであった。
「いや〜、中間試験、みんな頑張ったじゃないの♪ あのイヤミな教頭も苦虫を噛み潰した顔をしてたし、ザマーみなさいってね♥」
グラウンドに集合したⅦ組一同を前に、サラは拍手をして褒め称える。
「別に教官の鬱憤を晴らす為に頑張った訳では……」
「というか教頭がうるさいのは半分以上が自業自得ですよね?」
リィンとアリサの激しいツッコミと一同のジト目がサラに直撃していく。
「まったく、あのチョビ髭オヤジ、ネチネチうるさいっての……。やれ服装だの居酒屋で騒ぐなだのプライベートにまで口出しして……」
「サラ、心の声が漏れてるぞー。後で聞いてやるからその辺にしとけ。皆呆れてるから」
スレインの言葉通り一同は揃って呆れ顔をしている。サラは一瞬だけ恥じらってみせるが、咳払い一つして真面目な顔に戻る。それと同時に、いつものと同じく指を鳴らして戦術殻を出現させる。
正にその時だった。
「フン、面白そうな事をしてるじゃないか」
グラウンド入口の階段上から朝から散々聞いた声がしたので目を向けると、そこには先程屈辱を受けたであろうパトリックと、男子貴族生徒3名と女生徒が数名立っている。
「ほらな、面倒になった」
一同に向けて笑いながら話掛けるスレイン。それにしても予想通りの展開になっている事が面白い。ここに来たという事は、この後の行動も予想が出来るし、サラの事だからそれを面白がって受け入れるに違いない。だからこそ笑いを堪える様な事をしなかったのだ。
「あら、どうしたの君たち。Ⅰ組の武術教練は明日のはずだったけど」
「いえ、トマス教官の授業がちょうど自習になりましてね。せっかくだからクラス間の“交流”をしに参上しました。最近、目覚ましい活躍をされている『Ⅶ組』の諸君相手にね」
悠然とした雰囲気でグラウンドに降りたパトリックが理路整然と話し終えると、それと同時に剣を構える。勿論、取り巻きの男子生徒3人も同じ様に構えている。
「そ、それって……」
「得物を持っているという事は練習試合ということか……?」
「フッ、察しが良いじゃないか。そのカラクリも結構だが、たまには人間相手もいいだろう?僕たち『Ⅰ組』の代表が君たちの相手を務めてあげよう。フフ、真の帝国貴族の気風を君たちに示してあげるためにもな」
パトリックの言葉と同時に取り巻き達もほくそ笑む。その堂々とした挑発的な態度に、Ⅶ組一同も少しばかり熱くなっている様である。
「フフン、なかなか面白そうじゃない」
既にニヤけ始めたサラは指を鳴らして戦術殻を消滅させる。
「―――実技テストの内容を変更! 『Ⅰ組』と『Ⅶ組』の模擬戦とする。4対4の試合形式、アーツと道具の使用も自由よ」
サラのその一言に、一泡吹かせようと不敵な笑みをするパトリック一同。
対してサラは言葉を続けて、リィンに模擬戦に参加するメンバーを決めさせる様に発言した、正にその直後だった。
「サラ教官。その前にエキシビションマッチとして、スレイン・リーヴスと一騎打ちをさせて頂けませんか?」
それはパトリックの発言だった。Ⅶ組一同はスレインの実力を知っているので、その無謀な発言に目を丸くしている。
「それは一体どういうことかしら?」
「いえ、そちらはチーム編成や装備の調整など、行うべき事が多いでしょう。その前座ですよ」
「貴様、スレインの事を聞いていないのか?」
パトリックの言葉に異議を唱えたのはユーシスであった。先程、話題に出した事のお返しにフォローしたつもりなのだろうか。
「フン、聞いているさ。『化け物』、なんだろう」
「なっ!?」
「くっ……」
あえて「化け物」という単語を強調したパトリックの言葉に、マキアスとリィンが言葉に詰まっていた声を出す。他の一同もそう言われている事は知っていたらしく、複雑な面持ちで俯いている。
「パトリック。貴族様は、化け物退治で勇者気取りでもするのか?」
スレインは一同の前、サラの横まで歩を進めてパトリックを見据える。その表情には感情もなく、視線は氷の様な冷たさを感じる。
「な!? 貴様……!?」
「もう一度聞く。化け物相手に勝てるとでも思っているのか?」
「フン、化け物と呼ばれている者が、我が物顔で学院を歩き回られては皆が迷惑するだろう。勇気ある者がいなかっただけの話だ」
その発言は如何せん言い過ぎだったのだろう。一同がざわめいている。
そもそも、我が物顔ではいないつもりなのだが、噂というものは尾びれが付くものである。今更異論を唱えても意味が無い。
「勇気と無謀は紙一重なんだがな……。だそうだが、教官的にはどうなんだ?」
目線をパトリックから逸らさずにサラに問いかける。
「(流石にあたしも頭にきたから瞬殺しなさい)」
意外な言葉を耳打ちされて思わず面食らってしまって視線を向けると、表情こそ変わらないものの怒気が表れている様にも感じ取れた。
「いいわ。エキシビションマッチは許可する。リィン、今のうちにメンバーの選出と準備をしておきなさい」
いつものような軽やかな口調ではないサラの発言に、一拍の間があってリィンは返答して編成を始めた。
「許可が出た所で、一つハンデを与えてやる。パトリック以外も纏めて相手してやる。全員構えろ」
再び無表情でパトリックの方を向き、目線を合わせる。極力殺気は放たず、ただ冷酷な目線と表情にたじろぐ貴族生徒たち。
「な!? 貴様、バカにしているのか!?」
「馬鹿か? 化け物相手なんだからそれくらいしないと負けた時に惨めになるぞ?」
スレインの言葉に、パトリック一同は強く歯を食いしばって敵意をむき出しにする。どうやらこの言葉が決め手になった様だ。パトリックを含めた4名が剣を構え直す。曲がりなりにも四大名門を名乗りだけあって、優雅さや気品があるが、隙のないしっかりとした構えである。その他の面々も流石トールズの学生といった所か。
「パトリック、ついでだから一つカケでもしないか? 俺が勝ったらⅦ組について余計な吹聴はしない事。お前さんたちが勝ったら……そうだな。卒業まで何でも言う事聞いてやるよ」
「……いいだろう、スレイン・リーヴス。後悔しても遅いからな」
スレインのその言葉に一瞬驚いた表情を見せたものの、すぐに口角をつり上げて答えた。それはパトリック以外の同じである。どうやら、化け物退治も4人なら勝てると踏んだのだろう。
「という事だ。サラ、合図を頼む」
「はいはい。たくもう、ホントそういうの好きなんだから」
サラは肩を落としてため息をついたものの、こちらを見る目線には「よくやった」という言う言葉が乗せられていた様な気がした。
「じゃぁ、いくわよ! −−−始め!」
—————キキキィン——————ドサッ!
「「「「うっ……!」」」」
「終わりだな」
サラの言葉が聞こえた瞬間。既に決着が着き、一箇所に纏まったパトリック達にスレインが言葉を投げかけていた。
「……何が起きたんだ?」
「見えなかったぞ……」
「ん。私も見えなかった」
リィン、マキアス、フィーがそれぞれ、状況把握が出来なかったと声を漏らす。他の面々も同じく、驚愕の表情で口を開けている。
「あたしも見えなかったんだけど……」
サラの呟く言葉にⅦ組一同は再び驚愕する。
たしかに今まで見てきたスレインよりも何倍も速かった。そして、自分たちの数倍以上の強さを誇るサラですら捉えきれてないという事は、スレインの実力がどれだけ高いのか示している。
この少年の実力というのは一体どこを指すのだろうか。Ⅶ組一同は全員その様な疑問を頂いていた。
「ただ剣を弾いて蹴り飛ばしただけだよ。Ⅶ組と違って実戦経験がない学生相手に武器なんて使う必要すらない」
顔だけをⅦ組に向け話すスレインは簡単に言っているが、事の顛末はこうだ。
上下二列に隊列を組んだパトリックたち一人一人を、手刀で武器を弾き飛ばして隊列の中心に纏める様に蹴り飛ばす。弾いた武器は
その時間は僅か数秒。もっと種明かしをしてしまうと、『分け身』を使って同時に攻撃を行ったので、4人相手でも数秒で鎮圧が完了したのである。
「なっ……」
パトリック達は、未だに何が起きたのか分からない様な表情をしている。
しかし、スレインと視線が合うと、みるみるうちに顔が青ざめていった。まるで化け物に襲われる子供の様な表情である。
「パトリック。まだやるか?」
その腹の底に響く声と、無表情でありながらも睨みつける様な鋭い視線に身を震わせるⅠ組の面々。言葉を失い戸惑いの表情を見せるパトリックは、か細い声でポツリと呟く。
「……負けだ」
「という事だサラ。実技テストの方は頼んだぞ」
そう言って一同の中へとするりと入ったスレインに、誰一人声をかける事は出来なかった。
その後の実技テストは何事も無く終了した。一度は戦意喪失したパトリック一同も、Ⅶ組相手に一矢報いる様に激励したサラの言葉もあって、その動きには目を見張るものもあり、リィン達を相手に善戦していた。
それでも実戦経験で得た勘というものは、学生の領分を大きく越えており、あらゆる隙を見逃さなかったⅦ組に勝利の軍配が上がった。
しかし、ここでまた貴族様は問題発言をしてしまうのであった。
「―――触るな、このユミルの浮浪児ごときが!」
模擬戦が終了し、片膝を付いたパトリックに「また仕合をしよう」と告げて手を差し出すリィンに言い放った一言。そして更に吐き捨てる様に言葉を続けていく。
「フン、他の者も同じだ! 平民風情は疎か、武器商人の娘に蛮族!? 猟兵上がりの小娘に化け物だと? 笑わせるな。トールズの名を汚す輩がいい気になるんじゃない!」
度が過ぎたパトリックの言葉に、取り巻きは口々に「言い過ぎでは」と呟き、Ⅶ組一同は手を口に当てて絶句していている。
「おい、パトリック。お前、先程の約束を早々に破るとはどういう了見だ?」
一瞬の静寂の後に言葉を出したのはスレイン。
模擬戦前の戦いでⅦ組相手に吹聴しないとの約束をしたが、たった数分で破られるとは流石に驚いた。虫の居所が悪くなってしまったので、怒りが堪え切れずわなわなと震えるパトリックの前に向かう。
「お前さ、いい加減にしろよ? もう少しまともだと思ったんだが、ハイアームズって言ってもガキはガキだな」
「貴様!? イカサマしか出来ない化け物が―――」
――――――!!!!
「うわ!?」
パトリックの言葉が終える前に、周囲に無数の剣が突き刺さる。剣の檻に閉じ込められたパトリックは小さく悲鳴を出した。
少しでも動けばその剣筋に身が当たる様な至近距離に恐れをなしている。
「俺の事は何とでも言え。実際に俺自身だって同じ事を思ってるからな。だが、Ⅶ組の面々には、口出ししないと約束したはずだぞ。貴族様は平然と嘘を付くのか?」
ただただ冷酷な表情でパトリックを睨みつける。その言葉と彼が纏う殺気と明確な敵意に、この場にいる全員が身震いをして冷や汗が滲み出てくる。
目の前でその視線を浴びるパトリックの表情は恐怖と共に戦慄の表情をしていた。
「くっ……」
「お前の拘りが貴族なのか四大名門なのか知らねぇけどな、俺の知ってる貴族は、自身の立場を強みに出さない事を品格と誇りにしている。それはⅦ組の人間だけじゃない。大なり小なり色んな貴族を見てきたが、人徳なき貴族は尽く人に好かれていない。お前のその言葉には、人徳があると言えるのか?」
「スレイン……」
「ふむ……」
リィンとラウラがその言葉に声を漏らしていたが、気にせず言葉を続けていく。
「それにな。お前はハイアームズ家に生まれただけで、築き上げた貴族という立場に貢献した訳でもないだろう。出自を盾にして学院内を我が物顔で歩いてるのはお前の方じゃないか?」
「貴様! 我がハイアームズ家を侮辱する気か!?」
「そのハイアームズ家に泥を塗り続けているのはお前だろ」
その一言が決め手であった。
パトリックは苦虫を噛み潰した様に歯を食いしばり何か言いたそうな表情をしていたが、取り巻きの男女は既に俯いて表情が見えない。
「はいはい、ここまで。Ⅰ組は戻って。自習中であっても勝手に教室から出ない様に」
サラの一声によってパトリック達は無言で退場していく。
勿論、その後に嫌味ったらしく「明日行われるⅠ組の武術教練に今日の事を取り入れる」と言っていたので、恐らくイライラは募っていたのだろう。
「まったく、これだから貴族というものは……」
「フン、あんなのと一緒にするな」
マキアスの愕然とした発言にユーシスが呆れたように呟く。
「ま、素直じゃない辺りは一緒だろ。貴族って言っても17そこらの学生だぞ? 人格なんて出来上がる訳ないって。感情が先に出るのは若い証拠だ」
「貴様、一緒にするなと言っているだろう」
「これが素直じゃないってこと?」
「あはは、確かにそうかもしれませんね」
「お前たちまで声を揃えるな」
フィーとエマの言葉にユーシスは頭を抱え始める。たまには集中砲火を浴びるのもいいだろう。
すると、リィンが近づいてきて申し訳なさそうな表情で声をかける。
「スレイン、ありがとう」
「御礼を言われる事はしてねぇよ。流石にあれは言い過ぎだからだからな」
「それでも悪いことをしたよ。スレイン一人に任せてしまって」
「まぁ怒りの矛先は殆ど俺だったからな。元々挑発的な態度を取ったのは俺だし、逆に巻き込んだ俺が悪い事してるよ」
「いや、そなたの言い分は間違ってはいないと思う」
ラウラまでもが会話に参加してきた所で、スレインが音を上げてこの会話は終了した。
どうもこの二人は律儀過ぎるというか、こういう時に褒め殺す勢いで真っ直ぐなので反論する気がなくなるのである。
こうして、思わぬ乱入と思わぬ展開が起きてしまったⅦ組の実技テストは幕を閉じるのであった。
こう、書いてて思う事としては、ゲームと同じで会話の主軸になるメンバーが決まってきてしまうという所が悩みです。
……ええ、技量がないのは分かっております。
もっと勉強して参りますので、それ以上は触れないで下さいませ(泣)
という訳で、今回もお読み頂きありがとうございました。