英雄伝説 魔の軌跡   作:閃の細道

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さてさて、やっと帝都編に突入します。

波乱の幕開けとなる帝都編ですが、単独で班分けをされたスレイン君はどの様な実習になるのでしょうか。

それでは、第32話、始まります。


第4章
革新派の狙い


 

 7月24日。

 

 特別実習日。

 全員の実習地が帝都である事から、その短い列車の旅は自然と騒々しいものとなる。

 ある者はいつもどおり啀み合い、ある者は帝都の地理的情報を解説する。そしてある者は、数日後に開かれる『夏至祭』の話で盛り上がる。

 ちなみに夏至祭というのは、帝国各地で開かれるお祭りの事。

 七曜協会ではなく、精霊信仰の伝承がベースになっている。各地では6月に行っているが、帝都は獅子戦役の終結が7月だった事に由来して一ヶ月遅れて開催される。

 そんな中一人だけ、冷戦真っ只中の二人の少女への対策に思考を張り巡らせる少年がいた。

 

「なぁ、スレイン。あの二人、どう思う?」

 

「言ってた通り、放っておくのがいいんじゃないか? 今までと違って、ちゃんと理由が分かってるんだろ? 無理に考える必要はないさ」

 

 リィンの方を向かずに窓の外を見ながら返答する。

 今朝方寮を出る前に、ラウラとフィーが「自分たちで何とかするから構うな」と言っていたので、スレイン自身は何も考えていない。

 そもそも、あの二人はマキアスとユーシスの様に対極の存在だ。と言っても、性格の部分ではなく、生き方そのものが真逆なのだ。

 ラウラは騎士道という正の道。フィーは猟兵という、言ってしまえば悪の道。

 騎士道からすれば猟兵の流儀は邪道だ。猟兵からしても騎士道は眩しい存在。互いの生き様を理解するには、本音をぶつけるか、剣でも交えて替わりに語ってもらうのが一番。

 性格が良い意味で真っ直ぐで不器用な二人の事だ。そのうちどっちかを行って、気付いたら仲直りしているだろう。

 

「そういうものなのか?」

 

「ま、俺は今回、班が違うからさ。フォロー頑張れよ、リーダー」

 

 リィンの方を向いてわざとらしく微笑む。リィンも観念した様に苦笑いをすると、丁度に到着のアナウンスが鳴り渡る。

 30分程の短い鉄道の旅は終えて、ぞろぞろと列車を降りる。

 そこで一同を待っていたのは、これまた予想通りの人物であった。

 

「―――時間通りですね」

 

「おお、クレア。久しぶり」

 

 実習地が帝都である以上、出迎えは確実に鉄道憲兵隊(TMP)だと思っていた。

 勿論、自分とサラに依頼を出している事も関係しているとも言える。

 Ⅶ組一同は何やら騒々しいのだが、クレアとは初見のメンバーもいるので、その美貌と軍服のせいだろうと思いたい。

 

「……あの、もしかして、貴女が今回の特別実習に課題を?」

 

「いえ、あくまで今日は場所を提供するだけです。正式な方は……あ、いらっしゃいましたね」

 

 このタイミングで現れたクレアに、アリサがもっともらしい疑問を問いかけた。

 確かに今までの経験からすると、出迎えた人物が実習に関係していた。

 しかし、夏至祭前というこの時期、鉄道憲兵隊(TMP)は、非常に忙しいはずなので、それはないだろう。

 自分の推論を肯定する様にクレアが返答すると、同時に後ろからスーツ姿の男性が現れた。

 

「やぁ、丁度良かった」

 

「この声は……父さん!?」

 

 マキアスの発言と同時に一同の目の前に立った男性は、マキアスと同じ緑髪に眼鏡をかけた知的な男性である。

 帝国に住んでいれば一度は見た事のあるその姿もそうだが、マキアスの言葉でその人物が誰であるかは一同も直ぐ察する事が出来た。

 

「え……」

 

「て、帝国時報でみた……」

 

「革新派の有力人物、レーグニッツ知事……」

 

「マキアスの父上か」

 

 リィン・エリオット・ユーシス・ラウラの順に声が溢れる。

 勿論、声に出していないだけでⅦ組の殆どが同じ様な表情をしている。

 

「フフ、まあ一応自己紹介をしておこうかな。マキアスの父、カール・レーグニッツだ。帝都庁の長官にしてヘイムダルの知事を務めている。よろしく頼むよ、士官学院Ⅶ組の諸君」

 

 一同の動揺を加味した上で、カールは自己紹介をしていく。

 誰でも知っている内容であるが、本人から聞くとやはり威厳があるのだろうか。一同はその姿を前に、目を丸くしているままである。

 

「レーグニッツ知事。お久しぶりです。お元気そうで何よりです」

 

「おお、スレイン君。久しぶりだね。制服姿の君も新鮮だね」

 

「ははっ、何処に行っても同じ事を言われますよ」

 

 レーグニッツ知事とは、去年の帝国時事放送開局の際に出会っている。特別何かをした訳ではないが、色々と面倒事を手伝っていた経緯があるので、それから良くしてくれる関係なのだ。

 そんな事もつゆ知らず、Ⅶ組一同はスレインがまたしても大物と親しい関係である事に、肩を落としている。

 先程までの驚きは全て消え失せたらしく、小声で「やっぱり何者?」という討論が始まっていた。

 と言っても、今は列車の発着所。こんな所で話し込むべきではないので、レーグニッツ知事が用意してくれた場所まで、クレアを先導に移動していく。

 到着した場所は、鉄道憲兵隊指令所ブリーフィングルーム。

 どうやらこの場を利用する為、というのがクレアが出迎えた名目上の理由という事らしい。

 

「すまないね。本当なら帝都庁に来てもらう所だったのだが。戻っている時間がなかったのでこの場を貸してもらったんだ。それでは早速、A班とB班の本日の依頼と宿泊場所を―――」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! どうして父さんが……さすがにいきなり過ぎるだろう!」

 

 レーグニッツ知事の端的な説明を制して声を荒らげたのはマキアス。

 状況から察すれば、それは愚問であるのだが、一同はマキアスと同じく不思議そうな顔をしている。

 

「マキアス。そんな事は言わなくても分かるだろ? こういった状況を、俺は前に2回程見ている。大物がⅦ組の前に出る理由なんて1つだけ。そうだろ? 常任理事のカール・レーグニッツさん」

 

「なっ!?」

 

「そ、そうなのですか?」

 

 スレインの説明にリィンとアリサから声が漏れる。

 二人は自分と同じく、しっかり2回体験しているハズなのだが、どうしてこうも毎回同じリアクションをするのだろう。

 

「スレイン君のおかげで説明が不要になったね。そう、私もトールズ士官学院の常任理事の一人さ」

 

「ユーシスさんのお兄さん、アリサさんのお母さんに続いて……」

 

「……流石に偶然というには苦しすぎる気がするな」

 

 エマとラウラの言葉通り、確かに偶然と言えば出来すぎかもしれない。

 どうせオリビエ(理事長)から打診があったのだろう。しかし、それは自分が発言するものではないので、この場では無用な発言はしないでおく。

 そんな事を考えていたら、カールも一同に同じ様な説明をしていた。やはり常任理事には、理事長の思惑がある程度伝わっているという事だろう。

 そうこうしているうちに、カールは手短に実習について説明していく。

 内容としては、最終日が夏至祭に被るという分かりきった事実と、帝都の大動脈『ヴァンクール通り』を堺に、A班とB班は東西に分かれて実習を行うという事。

 A班とB班それぞれに、依頼が書かれた封筒を差し出す。

 それと同時に、住所が書かれたメモ用紙とカギも合わせて渡していた。

 

(……マジか)

 

 ちらっとその住所を確認すると、どちらも馴染みのある住所であった。

 アルト通りにヴェスタ通り。2年前(・・・)までは、毎日の様に通っていた住所である。

 

「こちらの住所とカギは……」

 

「父さん、これは、もしかして……」

 

 今までは渡されなかった異例の品を前に、アリサとマキアスが質問をする。

 

「帝都滞在中のお前たちの宿泊場所とその鍵だ。A班B班共にまずはその住所を目指してみたまえ。ちょっとしたオリエンテーリングと言ったところかな? おっと、そうこうするうちに時間が来てしまった様だ」

 

「と、父さん?」

 

「これから夏至祭の準備で幾つか顔を出す必要があってね。悪いが今日のところは失礼するよ。あと、帝都内では君達の持つARCUSの通信機能も試験的に働く様になっている。それでは実習、頑張ってくれたまえ」

 

 そう言い残すと、レーグニッツ知事は颯爽とブリーフィングルームから去っていった。

 矢継ぎ早に説明を受けた挙句、住所については宿泊場所という説明だけ。

 重要な事はしっかりと説明してくれたが、余りにも手短過ぎるその会話に、皆は唖然としている様だった。

 

「えっと、なんていうか……」

 

「帝都の知事閣下というから、もっと厳格そうな人をイメージしてたんだけど……」

 

「結構お茶目な感じ?」

 

 エリオット、アリサが言葉を濁して発言するが、フィーが素直に印象を告げる。

 

「……すまない。昔から父さんはあんな調子なんだ。一応、帝都知事の仕事は何とかこなせている様だけど」

 

 マキアスが頭を抱えながら吐露していく。

 確かに自身も遊び心がある人と認識しているが、逆に言えばそれが人当たりの良さを表しているという事だろう。

 

「“何とか”どころかすっごく有能だった噂だよね。平民出身で人当たりもいいけど積極的にリーダシップを取るって」

 

「ふふっ、帝国時報の記事でも好意的に評価されていましたしね」

 

「ふむ。同じ革新派とはいえ、かの『鉄血宰相』殿に比べれば貴族との対立も少ないと聞く」

 

 エリオット・エマ・ラウラが各地での評価を述べていく。

 ごもっともな発言ではあるが、こうも良い事ばかり言っていると、皮肉の一つも言いたくなる人物も出てくるものだ。

 

「フッ、その人当たりの良さもただの擬態なのかもしれんが……。帝都駅のこんな場所(・・・・・)を借りれるくらいだからな」

 

 予想通り、ユーシスは皮肉めいた言葉と共に視線をクレアに向ける。

 少しばかり冷ややかな視線に感じ取れたので、助け舟でも出しておこう。こんな所で変な雰囲気を作られては面倒だ。

 

「ユーシス、それは違うと思うぞ。ここは俺の実習に関係してるんだよ」

 

「なに? それはどういう意味だ?」

 

「俺の実習はクレアとデートなんだよ。ま、軍隊式のだけどな」

 

 悪戯っぽい笑みをして、ユーシスにと目線を合わせる。

 すると、当然の如く唖然とした表情で口を開けていた。

 

「な!?」

 

「えええ!?」

 

 その言葉に一同が声を荒げたり、動揺したりと、多種多様な反応をしている。ちなみに、声を上げたのはリィンとエリオット。一々良く反応してくれるものだ。

 そんな中、意外にもクレアまで頬を微かに染めて絶句していたのには流石に驚いた。

 

「だから軍隊式だって。模擬戦に演習。それが俺の実習らしい」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「そういう事ね……びっくりするじゃない」

 

 エマとアリサが声を漏らすが、一同もどこか安堵した様な表情を見せる。

 最初からしっかりと伝えたハズなのだが、どうしてこうも最後まで話を聞かないのだろう。

 

「クレア大尉。申し訳ないんですが、そろそろ実習を始めたいので、俺たちはここで……」

 

「では、皆さんを駅の出口までお送りしますね」

 

 リィンの言葉にクレアが返すと、一同はそのまま退室していった。

 広いブリーフィングルームも一人になってしまえば、静かに時が流れていく。

 特に何も考えずに意識を霧散させる事10分程。ドアが開くと同時に、リズムのいい足音が聞こえた。

 

「スレインさん、お待たせしました」

 

「おう、おつかれさん」

 

 意識を現実に戻して、横の席に腰掛けた女性の方を向く。

 

「もう、スレインさん。彼らの前であんな事言わないで下さい。私まで驚くじゃないですか」

 

「そうみたいだな。まぁ、ユーシス(あいつ)も悪気がある訳じゃないと思うけど、重苦しい雰囲気になるのも面倒だからな」

 

「……ええ、分かっています。気を遣ってくれたみたいですね。ありがとうございます。……それはそうとスレインさん。最年少A級遊撃士への昇格、おめでとうございます」

 

「実感ないんだけどねぇ……」

 

 言われる度に同じ回答をするのも疲れてくるが、これ以外に適切な回答は自分の中には存在しないので仕方がない。

 

「ふふっ、でもスレインさんが遊撃士なんて驚きました。後でお祝いをしないとですね」

 

「別に気を遣わないでいいって。さて、じゃぁ、実習依頼を聞こうか。サラは午後入りって事は、午前中は俺一人だろうからな」

 

 この流れも既に3度目。こちらも毎回の様に言われると歯がゆさを覚えるので、話を本題へと進める。

 

「ええ、そうですね。先程のスレインさんの言葉通り、一個小隊との模擬戦です。スレインさんには申し訳ないのですが、インターバルが1分。1試合15分です」

 

 今が9時過ぎ。午前中一杯それを行うとなると、12回程の模擬戦をこなす事になる。入れ替えになる軍の方は休憩が多いが、こちらは1時間につき4分のみ。

 この内容では、相手をする方も訓練レベルの内容になっている。

 

「また、こき使うな……クレアは無し?」

 

「それが……最初に私と一対一でお願いしたいのですが……」

 

 この女性が手合わせを行うなんて珍しい。自分が知る限りでは、「公式な手合わせをした」なんて話は聞いた事がない。

 と言っても、自身は一度手合わせを行っているのだが、それは不可抗力から発生したもので非公式な仕合である。

 

「ほう……どういう風の吹き回しだ?」

 

「遊撃士としてのスレインさんに、公式に手合わせをお願いしたいのです」

 

「……部下達に見せつけたいと?」

 

「ええ……鉄道憲兵隊(TMP)内では、スレインさんに格の違いを見せつけられている者が殆どです。しかし、それと同時に私を英雄視する方が多いのです。正直言って、私では手の出ない相手も多いと思いますので……部下達には、もっと視野を広げて欲しいのです」

 

 自身を”人外”と設定した上で、それを相手に負けはしたものの善戦したクレアが強い。だからクレアを目指して練度を高めよう。そういう輩が多いという訳だろうか。

 確かにあの手合わせは本気ではなかったし、最後まで奥の手(・・・)を使わずに勝利している。

 それでも摩訶不思議な技を使う”悪魔”を相手を目指すよりも、それと同等のレベルで戦った者の方が目指しやすいのは間違いない話だ。

 しかし、目先の上司を目標に掲げてしまうと、軍隊として全体的な練度は上がりにくい。

 というより、そもそもクレアでさえ目標にするには些か無理が生じる人物であるので、上昇志向が生まれない可能性もあるのだろう。

 

「成る程な。クレアを基準にしないで、もっと上を目指して練度を上げたい。そんなところか」

 

「ええ。そもそも私では、スレインさんに勝てないと思うので……」

 

「これまた、『氷の乙女(アイスメイデン)』殿は弱気だな」

 

「あの時から勝てるなんて、微塵も思っていませんよ。相性が悪すぎです」

 

 確かに頭脳派プレーの筆頭とも言えるクレアは、自身との戦闘は相性が悪い。

 計算が間に合わない程の「物量」と「スピード」。それを両方持っているスレインには、かの氷の乙女(アイスメイデン)も形無しなのだ。

 

「ははっ、戦闘面では確かに相性最悪だな。分かった。じゃ、演習場に行きますか」

 

 二人は微笑みを交わして立ち上がり、ブリーフィングルームを後にする。

 模擬戦自体は全く問題がないし何も考える必要がないのだが、クレアとの手合わせの方が問題である。

 クレアの腹心であるドミニク少尉やその直下の隊員たちは、自身の事を何も思っていない。しかし、それ以外からは結構評判が悪く(特に男性隊員から)、色々と面倒なのだ。

 

「全員、敬礼!」

 

 指令所の横に併設された野外演習場に到着して、クレアと共に一同の前まで進む。

 そしてクレアの言葉と共に敬礼を受ける。数十名の隊員たちは、表情には出さないものの、自分がいる事に驚いている様にも見える。

 

「こちらが本日の模擬戦の指導をして下さる、遊撃士スレイン・リーヴスさんです」

 

 一同が少しざわつく。それもそのはず、自身が遊撃士である事なんて知る訳のない者たちだ。そもそも、内偵だった事を知っている人物だって殆どいないのだ。その反応は当たり前である。

 クレアに「挨拶をお願いします」と言われたので、一歩前へ出て口を開く。

 

「知ってる方も多いと思いますが、スレイン・リーヴスです。先日、正式に遊撃士になりましたので、今後はそういった扱いでお願いします。また、二つ名が替わりまして近接魔導士(ゼロ・ウィザード)となったので、ご注意下さい。以上」

 

「ご存知ない方も多いと思いますが、スレインさんはA級遊撃士の最年少記録を更新した方ですので、実力は確かです。それを目で確認してもらう為に、まずは私と模擬戦を行います」

 

 クレアの一言で一同は再度ざわめく。

 遊撃士となった点。そして、最年少でA級となった点。この二つだけでどよめく理由は十分。そして、極めつけにと言わんばかりに、クレアが手合わせを行うと言ったのだ。隊員たちが驚かない訳がない。

 そんな中、自身は予め段取りを聞いていたので、手合わせの用意をしていく。用意と言っても、定位置に着くだけであるのは触れないでおきたい。

 

「スレインさん。本気でいかせてもらいますよ」

 

 定位置に着いたクレアは先程までの穏やかな表情が消え、真剣な眼差しでこちらを見据えている。

 

「そうかい。悪いが瞬殺でいくぜ」

 

 同時に双剣を精製して構える。クレアも腰に備えたホルスターから大型の導力銃と取り出して構える。

 一呼吸置いた頃に、立会人であるドミニク少尉から開始の声が高々と上がる。

 

「いきます! ―――『フリジットレイン』!」

 

 魔力で精製した氷塊が自身の頭上に出現すると、クレアは氷塊目掛けて銃を撃つ。

 

(開幕早々、殲滅級の戦技(クラフト)かい……)

 

 心の中で舌打ちすると、頭上に数本の大剣を出現させて、輪を作る様に回転させる。

 この攻撃は魔力で出来た氷塊を砕く事で、氷片の魔法に仕上げる範囲攻撃。つまりは、頭上だけ守っておけば問題がない。

 先手は取らせたのだが、動かないという訳にもいかないので、とにかく敵の懐に飛び込む。

 正確にこちらの急所を狙ってくる銃撃を躱しながら、一気に間合いを詰めていく。

 銃を得物にする者の弱点は間合いだ。躱せないと判断した弾丸のみを双剣で弾くと、直ぐにこちらの間合いまで到達した。

 

「腕、鈍ってないか?」

 

 言葉と同時に、銃を弾き落とす為に左手に持つ剣を振るう。そのタイミングでクレアは上半身折り曲げて屈むと、疾風の如き速度で足払いを仕掛ける。

 どうやら、以前よりも体術を強化しているらしい。

 振るった剣が虚空を切ると同時に、軸足で地を蹴り宙に浮く。身体を捻る頃には、ピッタリとクレアの真上に背中がある状態になる。

 更に身体を捻って勢いを付けると、クレアの脇腹目掛けて右足を振るって蹴り飛ばす。

 

「くっぅ……スレインさんの腕が上がったのだと思いますよ」

 

 横に数アージュ吹き飛びながら声にならない呻きを上げたクレアは、脇腹を押さえて直ぐに立ち上がる。

 

「ノーダメージ……って、訳じゃなさそうだな」

 

「ええ。相変わらず速すぎです」

 

「トロトロしてたら、読まれるからな」

 

 言葉と同時に無数の短剣を精製する。速度重視で精製した短剣は一つだけ工夫(・・)を施してある。

 そして、一斉にクレア目掛けて射出すると、読み通り銃を構えて撃ち落とそうと引き金を引いていく。

 正確な射撃によって撃ち落とされた短剣は、粉々になると同時に中規模な爆発を巻き起こしていく。

 

「なっ……これは!?」

 

 全てを撃ち落とす事を考えて射撃しているクレアの前方には、爆音と黒煙が連鎖的に広がっていく。

 ”伝説の凶手『(イン)』”の得意技、起爆札を付けた短剣を飛ばす『爆雷符』を真似たという訳だ。正確に撃ち落とすクレアの射撃技術もあって、本家よりも威力が高そうにも見える。

 しかし、クレアも一筋縄ではいかない相手だ。黒煙の中から、何かが飛び出してくる。一瞬光ったそれの軌道は自身に向けてではなく、周囲に飛ばされたものだと分かる。

 

(カレイドフォース……詰み、だな)

 

 クレアの必殺の戦技(クラフト)『カレイドフォース』は、ミラーデバイスという鏡の様な端末を射出させて、導力銃から放たれる魔力の籠った光線状の弾丸を乱反射させていくもの。そして、その軌跡が魔法陣を結び、高エネルギー波を放つ技である。

 それは、複数のミラーデバイスや敵の位置を全て頭の中で把握した上で行う、針の穴に通す様な技。正に氷の乙女(アイスメイデン)の真骨頂とも言える攻撃だ。

 しかし、ミラーデバイスが見えてしまえば、その攻撃は脆く崩れる。光線状の弾丸『オーバルレーザー』が乱反射を始める前。一言で言えば、クレアの計算を上回るスピードで詰め寄れば逃げ切れる。

 少し屈むと同時に地を蹴り、一気に間合いを詰める。『泰斗流』と八葉一刀流『弐の型』の混ぜ合せた体捌き。そして、風のアシストを全力で受けて音速とも言える速さでクレアに詰め寄り、喉元に双剣を翳す。

 後方でカレイドフォースのエネルギー波が巻き起こり、周囲の黒煙をかき消していく。

 隊員一同は、爆音の後から何一つ見えなかった光景が、上官の最大級の技が放った事。

 そして、視界が晴れて戦況がやっと見えた事で喉を鳴らしていたが、直ぐに表情が青ざめていった。

 

「……参りました」

 

 小さくクレアが呟くと同時に、喉元で構えていた双剣を下ろして消滅させる。

 それと同時に立会人のドミニク少尉の終了の声が鳴り響いた。

 

「なっ……何が起きたんだ?」

 

「大尉が、負けた?」

 

 数十名はいる隊員がそれぞれ声を上げているが、どれも状況を理解していない声であるのは間違いなかった。

 

「スレインさん、ありがとうございます。やっぱり強いですね」

 

「相性の問題でそう見えるだけだろ」

 

 先程と同じ様な発言をして、隊員一同の方に視線を向ける。そこには案の定、狂気と敵意の目線をしている者が多かった。

 人のレベルでは到達出来ない体捌き。そして、アーツでもない謎の攻撃。言ってしまえば、その全てが理解出来ないのだろう。

 軍属にいる事から、数々の手練と相まみえる事が多い彼らにとって、スレインは既に理解が出来ない異形の様な存在に見えるのだろう。

 

「スレインさん、すみません。あまり深く考えないで下さい」

 

 こちらが難しい顔をしていたのか、クレアに目線を向けると優しく微笑んでいた。

 どうやら自身の思考があまり良くない方向に進んでいる事がバレていたらしい。

 

「……ああ。とりあえず続き、始めるか」

 

 そこからは依頼通り、インターバルの殆どない模擬戦が始まった。

 隊員たちの練度も決して低い訳ではなく、先程の手合わせで負けたクレアの仇と言わんばかりの意気込みには、流石に舌を巻く程の動きであった。

 しかし、それでも将校クラスとの差は大きかった。指揮系統がないチームは脆かったり、あったとしても個の練度が低い事からチームが崩れていったりと、課題点が思いのほか多い結果となった。

 

「ふー、疲れた……」

 

「何だか結構えげつない模擬戦だったみたいね」

 

 現在時刻はお昼丁度。昼食の休憩を取る事になったので、指令所の食堂に顔を出している。

 そこに今しがた帝都に到着したサラがいたので、一緒に食事をしながら午前中の話をしているという状態である。

 

「いや、あれじゃ、どっちの訓練だか分からん」

 

「あんたでも辛いメニューって……やる気なくなってきたわ」

 

「あら、サラさん。正式な依頼なんですから、そんな事言わないで下さい」

 

 ランチセットのトレーを持ってクレアが現れると、空いていたサラの横に腰を下ろす。

 サラが露骨に嫌な顔をしているが、これは毎度の恒例行事の様なものだ。

 

「あーら、かの鉄道憲兵隊(TMP)も遊撃士に依頼するだなんて、人材不足なのかしら?」

 

 一つ言っておこう。サラはオズボーン宰相の事を嫌っている。帝国政府の圧政によって、遊撃士協会帝国支部は軒並み撤退する事になったからだ。

 憎んでいるとも言えるのかもしれないが、そこまでの感情は出さないので、ハッキリした事は不明である。

 そして、その延長線で鉄血の子供たち(アイアンブリード)の事も好ましく思っていない。

 そういう訳で、サラとクレアの仲は、シャロンとの仲と同じ様に表面上だけのやり取りが多い。それぞれに関わっている身としては、面倒かつ複雑な心境である。

 

「まぁ、仕方がないだろ。人に真似出来ない強さを持つクレアを目標にする連中が多いんだから、喝を入れるには持ってこいだろう」

 

「んな事言ったら、あたしもあんたも人に真似出来ないレベルじゃない」

 

 いやはや、ごもっともである。

 サラも紫電(エクレール)と呼ばれる由縁は、自身の纏う闘気の性質の事。おいそれと真似出来るものではない事は知っている。

 

「そういう人物を相手にする事で、自身の強みや性質というものを掴んで欲しいのですよ」

 

「という訳だ。一々突っかからずに仲良くしろよな。いつ手合わせが始まるかハラハラもんだぜ、まったく」

 

 クレアの言葉にフォローを入れながら食事を平らげると、サラはバツの悪そうな表情で黙々と食事をしていた。

 

「あたしはあんたと違って寛容な心を持っている訳じゃないの。今回だって何でわざわざギルドを宿泊場所に選ぶ訳?」

 

「あー、それは俺も思ったわ。俺ら二人からしたら、微妙な空気になるのは間違いないよな」

 

「知事閣下が選定したので、私も真意は分かりません」

 

「だよなぁ……別に不満はないんだけど、多少は気を遣って欲しいわ」

 

 なんて愚痴っぽい事を話していたら、慌てた素振りでドミニク少尉が近寄って来る。

 

「クレア大尉。お話中、申し訳ありません。宰相閣下から通信が入っております」

 

「え? 分かりました。すぐ向かいます」

 

 こちらに「すみません」と一言だけ添えて席を離れるクレア。ドミニク少尉の表情も少しばかり固かったのは、相手が相手だからだろうか。

 

「何かあったのかしらね?」

 

「さぁな。意外と呼び出しだったりして」

 

 真剣な表情になっていたサラに投げやりな言葉を返してから、コーヒーを買いに席を立つ。

 昼時の食堂というのは何処も混むもので、コーヒー一杯に5分程度の時間がかかってしまった。

 席に戻ると、クレアも戻ってきていたのだが、その表情はどこか固い表情である。

 

「スレインさん。宰相閣下がお呼びです。1時間後にバルフレイム宮に行くようにと」

 

 冗談で言った発言が、まさか本当だったとは思わなかった。そしてその対象が自分と言う事に驚いたが、サラも同じ事を思っている様で目を丸くしている状態だった。

 

「ちなみに理由は?」

 

「先日のノルドでの一件の御礼がしたい。との事でした」

 

 自身はオズボーン宰相とは何回か会っている。しかしそのどれもが、まともな会話ではない。

 皇族の内偵という仕事上、そもそもの接点は限りなく薄い。時々バルフレイム宮で会ったとしても、挨拶や一言二言の世間話で終わる。

 ましてや、呼び出しなんて初めてだ。

 

「スレイン、警戒しておきなさいよ」

 

「スレインさん、お気をつけて下さい」

 

 どんな思惑かは知らないが、宰相閣下直々の呼び出し。断る訳にもいかないので、サラとクレアに「行ってくる」とだけ告げて、指令所を後にした。

 1時間と言えば、指令所からバルフレイム宮まで寄り道せずに行けば十分間に合う。

 各通りまでを結ぶ列車の様な“導力トラム”という乗り物に乗って、バルフレイム宮前のドライケルス広場まで向かう事にした。

 

「ん? あれは……」

 

 ドライケルス広場に到着すると、リィン達A班が、広場のベンチでクレープやアイスを片手に休憩をしていた。

 帝都で実習を行っていて、かつ今は昼を少し回った頃。広場で休憩をしていてもおかしくはない。

 

「リィン。お前さん達、こんな所で休憩か?」

 

「ああ、さっきまでB班の皆と一緒に百貨店内で昼食をとってたんだけど、思いのほか早く依頼が済んだから、その延長で休憩をしてたんだ」

 

 なるほど。全員揃って同じ場所での実習なんて最初で最後かもしれないし、確かにそれは名案であっただろう。

 しかし、昼食後に広場の屋台でデザートなんて食べるなんて、けっこう余裕がありそうである。

 依頼が簡単だったのか、彼らの練度が向上しているのか。どちらにしても良い事だろう。

 

「そりゃ楽しそうで何よりだ。で、あいつらはずっとあれ(・・)か」

 

 視線をラウラとフィーに一瞬だけ向けてリィンに問いかけると、無言で短く頷く。

 時計を見ると、予定よりもまだ30分程の時間がある。多少の入れ知恵はしてやろう。

 

「ちょっとフィーを借りるぞ」

 

 リィンに返事を聞かずにフィーを呼んで、一同から離れてバルフレイム宮への橋近くのベンチに腰を下ろす。

 

「フィー。今日中に状況が変わらないなら本気で仕合しろ」

 

「……え?」

 

 フィーは言葉の真意が分からない様な表情でこちらを見る。

 

「お前さんも分かってると思うが、ラウラは頭が固い。キッカケがないといつまで経っても状況は変わらない。それに、フィー自身もラウラに対してどう接すればいいのか分からないんだろ?」

 

「うん……そう、だね。正直、あそこまで真っ直ぐだと……」

 

「だろうな。お前さんとじゃ生きてきた世界が違うからな。まぁ、それは一旦置いておこう。とにかく、言葉で表現するのが苦手なんだから、“戦い”で語れ。経緯も結果もどうでも良い。とにかく一度やり合う事をオススメするよ」

 

「スレイン……」

 

 フィーは考え込む様にして俯く。しかし、元々何か話をして欲しくて呼んだ訳じゃない。

 半年近くⅦ組にいたとしても、感情表現の苦手なフィーは、一同に全てを打ち明ける事は簡単に出来ないだろう。それは、今まで同じクラスで見てきたからこそ分かる。

 自身もフィーと深い関係がある訳ではないし、入学前も数回程度しか会ってない。

 しかし、自分も似たような道を歩んできたからこそ、今のフィーの気持ちも何となく理解出来るのだ。

 

「まぁ、そういう訳だ。今日中にケリ着けなかったら、後でシゴクからな」

 

 笑いながら立ち上がり、フィーの頭をポンと叩いてから「それじゃ」と一言だけ告げてバルフレイム宮へと向かっていく。

 不器用な連中が多いと世話が焼ける。なんて事を思ったのだが、自分も同じかもしれないと思った瞬間に、つい嘲笑してしまった。

 気を取り直してバルフレイム宮に到着して入口の兵士に名を告げると、直ぐに中へと案内されていく。

 漠然と一般来客用の応接室に通されると思っていたのだが、予想は外れて宰相の執務室へと通された。

 

「失礼します。オズボーン宰相閣下。ご無沙汰しております」

 

「待っていたよ、スレイン・リーヴス君。久しぶりであるのに、急に呼び出してすまないな」

 

 入室の挨拶を端的に済ませてオズボーンに一礼をして、執務机まで進んだ所で歩を止める。

 

「いえ、問題ありません。ノルドの一件での話とお伺いしておりますが……閣下自らの謝意を頂く程ではありません」

 

「そんな事はない。レクターとミリアムよりも行動が早かったと聞いている。それに共和国側との関わりが深い君がいなかったら、更に面倒な事になっていただろう」

 

「それは買いかぶり過ぎかと。彼らがいなければ迅速に解決は出来ませんでしたから」

 

 互いに手の内を探る様に、もっともらしい言葉を並べる両者。

 こういった論戦は苦手なので、正直さっさと本題に入って欲しいものである。

 

「そう言ってくれると鼻が高いな。……ところで、君が遊撃士となったというのは本当かね?」

 

「ええ……私自身、驚いております。オリヴァルト殿下の計らいで、除籍になっていなかった様です」

 

 遊撃士への抑圧。以前オズボーン自ら行った圧政を、個人的に行うつもりなのだろうか。

 

「そして最年少記録の更新。君程の腕前であれば当然だろうが、帝国政府代表として誇りに思う」

 

「……恐縮です」

 

「さて、そろそろ本題に入ろう。率直に言う。鉄血の子供たち(アイアンブリード)に加わる気はないか?」

 

 その突然の言葉に流石のスレインでもポーカーフェイスが崩れる。

 確かに“子供たち”は何らかの才能がある者を、宰相自ら拾っているという情報は知っている。

 しかし、今までの流れが察するに、これはただの引き抜きだ。その真意は不明だが、このタイミングも謎である。どういう意味があるにせよ、その思惑が分からない以上は動くに動けない。

 

「幾ら閣下自らの発言であっても、理由もなしにお答えは出来ません」

 

「フフ、そうだな。今までもそう言った話は“子供たち”から出ていたのだが、皇族直属の人物を引き抜く訳にはいかない。現在、“休職”している身であれば、打診だけなら問題あるまい」

 

 今までもそう言った話が子供たち(彼ら)の中であったのかでさえ、怪しいものだ。そんな話は一番信用しているクレアからすらも聞いてない。

 

「それに、君はクレア(彼女)生き方(・・・)に影響を与えた人物だ。私としては、共にいた方が嬉しいと思うのだが……それは当たり前だと思わないかね?」

 

(そうきたか……)

 

 確かにクレア・リーヴェルトに鉄血の子供たち(アイアンブリード)としての人生ではなく、“人としての人生”を歩む様に言った事はある。

 それを親心(・・)と銘打って、理由付けをしてくるとは思わなかった。

 しかし、その理由が本心から語っている訳ではない事くらい、論戦が苦手な自身でも分かっている。

 

「閣下。彼女自らそう思っているのかは分かりませんが、私は現在士官学院生です。ご存知の通り、入学にさし当たって内偵も休業になった身ですので、この場でお答えは出来かねます」

 

「ほう……遊撃士の方は問題ないという事かね」

 

「……正直に申し上げますと、遊撃士に戻ったつもりはありません。元々除籍だと思い続けていました。今は遊撃士を名乗る事になったとは言え、本来は学生の身。私個人としては、身分は学生が第一優先だと思っております」

 

 いつまでもこんな茶番に付き合っていられないと思い、自身の本音を告げる。

 遊撃士を続けられている事は嬉しいが、素直にそれを喜べる程の心の余裕はない。

 身分や立ち位置に関係なく、自身のやるべき事をやる。そして、探し続けているものを見つけたい。

 自身の中にあるものなんて、それぐらいしかないのだ。

 

「成る程。素晴らしい信念の持ち主の様だ。君の言葉通り、今は保留としておこう。話は以上だ」

 

「……失礼します」

 

 上辺の言葉を口にしたオズボーンに一礼して退室する。

 鉄血宰相の異常なまでの威圧感と、慣れない論戦に精神力を大きく削られてしまった。

 彼の言葉の真意が何処にあったとしても、自分が“子供たち”に入る道など微塵もない。

 クレアを人質にでもするつもりなら、それこそ力尽くで取り返すのみだ。人としての人生を歩む事の出来た彼女を、再び奈落の底に突き落とす訳にはいかない。

 そんな深い闇に染まる人間なんて、自分一人で十分である。

 

(ま、ただの牽制……だろうな)

 

 恐らく「あまり首を突っ込むな」とでも言いたいのだろう。今までは皇族直属という後ろ盾のおかげで何も言えなかったが、今は学生か遊撃士。表向きではある程度の発言が許される立場となった事からの牽制だろう。

 しかし、そんな事をされたところで、自身の周囲に厄介事が降りかかるから対処しているだけである。こちらとて、わざわざ首を突っ込みたくないのが心情だ。

 そこまで考えたところで、思考の海にのめり込む前に現実へと回帰させる。

 今日一日はまだ終わっていないのだ。鉄道憲兵隊(TMP)の指令所に行けば、再び模擬戦の嵐が待っている。

 今はそれだけを考える事を決めて、バルフレイム宮を後にするのであった。

 

 

 




オズボーン宰相が遂に登場しました!

謎に包まれた人物ですので、その雰囲気というか存在を表すのは難しいですね……

今回はスレイン君を”子供たち”へと勧誘していましたが、これが意外と大きな意味になってくるのはまだ先の話です。

次回はサラ教官がメインとなります!

それでは、今回もお読み頂き、ありがとうございました。

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