魔法戦記リリカルセイバーズ   作:ゼルガー

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ヴァンデモンの野望・序章編
その1「出会い」(大幅修正しました)


僕はずっと憧れていた

 

この真っ白な部屋から出ることを

 

いつか、病気が完治して外の世界に出れる日を

 

だけど、ソレは叶うことは無かった

 

だって僕は・・・もう・・・死んだんだから

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

僕は気が付くと数字や英語がたくさん浮いている空間に居た

 

え?何処ココ?

 

 

「おや、珍しいですね。ここに人間の魂が来るなんて」

 

 

僕の目の前に現れたのはクリスタルのような何かだった

 

君は誰?

 

 

「私ですか?そうですね・・・イグドラシルと、皆に呼ばれています」

 

 

イグドラシル?大樹?

 

 

「間違ってませんね。私はあの世界では大樹として見守る存在なので」

 

 

よく分かんないや

 

ねえ、僕どうなるの?

 

ずっとこのままなのかなぁ?

 

 

「いえ、流石にこのデジタルワールドとリアルワールドの狭間に留まると貴方は消滅してしまうでしょう」

 

 

そうなの?でもいいか。僕はもう、夢を見ることを諦めたんだから

 

 

「人間は夢を見る存在ではないんですか?」

 

 

そうだよ。でも僕は、夢が叶うことなく死んじゃったんだ

 

僕の夢はね、身体の病気を治して外の世界に出ることだったんだ

 

だけど、生まれてからずっと病気の所為で病院で暮らして

 

一歩も病院の外に出たことが無いんだ

 

だから・・・疲れちゃった

 

 

「そうですか。哀れですね」

 

 

同情は止めてよ。そういうの嫌いなんだ

 

皆僕に同情する。それなのに何もしてくれない

 

病気も治してくれなかった

 

 

「では問いましょう。貴方は今一度、夢を持ちたいですか?」

 

 

出来ればね。でももう・・・

 

 

「もし、私が貴方の夢を叶えましょうと、言えばどうでしょうか?」

 

 

え?本当に?

 

 

「ですが、その場合・・・貴方は人間では無くなります」

 

 

人間じゃなくなる?

 

 

「私の愛する世界の生命体『デジモン』として、貴方を転生させます。そうすれば、貴方は外の世界に出られます」

 

 

外の世界に?本当に?

 

 

「ですが、試練として転生した貴方は私の愛する世界では無く、人間の世界に送ります。そこで元人間であった貴方にはテイマーと共に生きてもらいます」

 

 

テイマー?

 

 

「デジモンと共に歩むパートナーとなる人間の子供です。苦しい時や悲しい時など、手を取り合って共に乗り越えて立ち向かう。ソレがテイマーです」

 

 

ねえ、僕に出来るかな?

 

 

「わかりません。ですが、ある人は言っていました「未来は自分の手で切り開く」と。つまり、貴方とテイマー次第です」

 

 

・・・わかった。僕、デジモンになる

 

正直、人間だった頃に未練は無いんだ。ただ、外の世界が知りたいだけなんだ

 

それに、僕のパートナーになってくれるテイマーのことも知りたいんだ!

 

 

「いいでしょう。ならば貴方をデジモンに転生させましょう。貴方の新たなる人生に幸あれ」

 

 

ありがとう、イグドラシル

 

 

「いいのです。貴方を含め、デジモンは私の子供同然ですから」

 

 

僕の意識はどんどん薄れて、視界が真っ黒に染まった

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

彼に敗れてどれだけたったことでしょう

 

眠りについた私でしたが、別世界のデジタルワールドの神であるホメオタシスに頼まれたことを思い出しました。

 

別世界の英雄の魂をこの世界に転生させ、新たな人生を・・・・でしたね。

 

大門大に敗れる前の私でしたら断っていたでしょうが、今は考え方を改めてます。人間の力、想い、絆。決して馬鹿にできるモノではありません。

 

だから私は了承しました。しかし、もし・・・・・もしその英雄の魂を受け入れたことで、この世界に何かが起こるのだとしたら?いえ、でしたらかの神が頼みなどしませんね。

 

ですが、嫌な予感を感じていました。この世界ではない、別の世界からこの世界に対して悪意を放っているような。そんな予感を。

 

だから私は、大門大のパートナーデジモンの遺伝子と、私を倒すために死んだ偉大なる番長デジモンの遺伝子を使用した新たな命と、そのデジモンのパートナーだけが使えるデジヴァイスを制作しました。

 

そして、私の目の前には、人間の魂からデジタマになった子が浮いている

 

これから彼には様々な困難が待ち受けていることでしょう

 

ですが、私は信じています

 

かつて、この私を殴り倒した人間とパートナーデジモンのように、どんな困難も乗り越えられると

 

人とデジモンの新しい未来の為に

 

 

「まあ彼には言ってませんでしたが、人間だった頃の記憶は全てデリートされていると言い忘れてましたね。まあ、残っているのは人格ぐらいでしょうが」

 

 

生まれたら、自分は人間だったな程度の記憶しかないでしょうね

 

さて、では送りましょうか

 

かつて、あの人間と戦った世界「リアルワールド」に

 

頑張りなさい。我が子よ

 

これからこの子には様々な困難が待ち受けていることでしょう。そして、この子のパートナーにも困難が待ち受けてることでしょう。

 

ですが、私は信じています

 

かつて、この私を殴り倒した人間とパートナーデジモンのように、どんな困難も乗り越えられると

 

人とデジモンの新しい未来の為に

 

いずれ来る、強大な悪意に立ち向かう為に

 

これが、今の私にできる最大限の努力です

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

夕暮れの小さな児童公園

 

そのベンチに一人の女の子が泣いていた

 

彼女は独りぼっちだった

 

父親は大怪我で入院し

 

母親は子供を養うためにお店にいて

 

兄は何かに取り付かれたかのように剣を振り

 

姉は母の手伝いで居なかった

 

そんな家族に迷惑を掛けたくなかった女の子は、「いい子」を演じた

 

いい子を演じれば、皆に迷惑を掛けないから

 

だけど、それは幼い女の子の精神を押しつぶすには十分だった

 

現に今、彼女の心は限界を超え、こうして爆発して泣いていたのだ

 

 

そんな彼女の目の前に突如光があふれ出した

 

 

女の子はびっくりして、腰を地面に打ち付けてしまう

 

そして光が収まると、そこには巨大な卵と小さな機械が存在していた

 

少女は恐る恐る、卵に触れてみる

 

すると手に暖かい・・・どこか安心するような温もりと暖かさが感じられた

 

女の子はその卵を抱き上げ、機械をポケットに入れると、自宅に持ち帰った

 

幸い、自宅には誰も居なかった

 

 

「なんのたまごかなー?にわとりさんかなー?」

 

 

女の子は自分の布団の中に卵をいれ、抱きしめて暖めた

 

孤独だった女の子にとって、この卵は希望だった

 

そして、生まれてきたら友達になりたい。そう思っていた

 

しばらくすると、卵に皹が入った

 

 

「あ・・・うまれるの?」

 

 

女の子が見守る中、卵は完全に割れて、中から出てきたのは

 

 

「う・・・ん?きみがぼくのていまーなの?」

 

 

黒くて小さなプニプニとした生き物だった

 

 

「ていまー?それなんなの?」

 

「ぼくもよくわかんない。でも、ぼくのぱーとなーがていまーだっておしてえてくれたんだ」

 

「そうなの?あ、わたしはなのはなの」

 

「なのは?ぼくはボタモン。よろしく、なのは」

 

「うん!よろしくねボタもん!」

 

 

孤独だったの少女と、外に憧れたデジモンの物語は今、幕を上げたのだった

 

その後、少女は偶然出会った喧嘩番長に憧れ、彼を目指して自分も番長を目指した。

 

 

 

そして、それから数年の時が流れ、少女は9歳になった。

 

 

 

◇◆◇

 

数年前、デジタルワールドと人間界に訪れた最大危機。

 

とある人間の野望により二つの世界は消滅の危機を迎え、神の暴走で更に加速した。

 

しかし、それは偉大なる人間とその相棒と多くの仲間達のお陰で危機を脱した。

 

そんな人間の英雄の背中を、当時5歳の少女は憧れ、彼のようになりたいと強く思った。

 

男の中の男、喧嘩番長の背中を追い、超えるため

 

少女はそれからずっと、己を鍛え続けた。

 

そして遂に、彼女は英雄と同じ称号で呼ばれるようになった。

 

その名も、女の中の女!漢女番長、高町なのは!

 

 

 

「オラオラ!相手が中学生だからって私は手加減なんかしないよ!」

 

「ひっ!?な、なんだよこの小学生!?化物かよ!?」

 

「ま、まさかこのガキが噂の・・・・・」

 

「何っ!?若干9歳で地元の中学校の不良グループを配下にしたっていう、あの漢女番長か!」

 

「そう、その通り!」

 

 

小学生・・・・・・・それも女の子には不釣り合いの格好。【漢女番長】【喧嘩上等】の文字が刺繍された学ラン、黒い長ズボン、背中まで伸ばして縛った髪。目付きは鋭いのが特徴だった。

 

 

 

「私こそ、漢女の中の漢女!【漢女番長】高町なのは!頭の中にその名を刻め!」

 

 

数年前まで泣き虫だった少女は何処をどう間違えたのか変な成長をしていた。

 

そして彼女の首から下がっているデジヴァイスの中では、彼女のパートナーであるバンチョーアグモンがシクシクと泣いていた。

 

 

『うう、お願いだからもう少し女の子らしくしてよ~』

 

 

今、漢女番長と苦労デジモンの物語が始まろうとしていた。

 

 

◆◇◆

 

 

 

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