すずかを守る。それが今の俺の誇りでもあり、過去との決別でもある
だから、俺の身体がどうなろうとも、構うもんか!
そう思ってた
でも・・・本当にそれでいいのか?
俺・・・俺は何か間違ってるんじゃないのか?
わかんねぇ・・・わかんねぇよ
◇◆◇
家に帰ってきた私はベッドの中でアリシアさんの説明を思い返していた
―いい?貴女たちが倒れたのは二つの力を制御できなかったからなの。でも焦らないで。デジソウルも魔力も人の想いの力。きっと制御できるようになるわ
私は普通の人とは違う
夜の一族という吸血鬼の一族
普通とは違うから、私のデジソウルでインプモンが傷つく
だから・・・新しい力なんかいらない
そんなのがあっても、きっとインプモンはもっと傷つくんだ
お姉ちゃんはどう思ってるんだろ・・・自分の力のこと
恭也さんもどうしてお姉ちゃんを受け入れられたんだろう
わからない
もし、なのはちゃんやアリサちゃんやフェイトちゃんに私の正体が分かったらきっと怖がる・・・あれ?
―吸血鬼?何それ、美味しいの?
―デジモンに劣ってるのに何を怖がる必要があるのよ?アンタ馬鹿?
―へ~吸血鬼なんだ~。あ、ちょっと身体調べてもいいかな?
あ・・・あっれ~?オカシイなぁ?怖がって拒絶するイメージが全然沸かないよ!?
私が間違ってるのかな?
―――ドガアアアアアアン!!!
「な、何?!」
突然家全体が大きな音を立てて自身のように揺れた
そして、鼻に何かが焦げてる匂いが強烈に入ってきた
も、もしかしてこれって火事?
「すずか!」
扉からインプモンが大慌てで勢いよく入ってきた
「ど、どうしたの」
「今、お前のねーちゃんとメイド達がよくわかんない女達と戦ってるんだ!」
な、何それ!?デジモンじゃないって事は・・・ひょっとして!?
「どうすんだよ!助けに行くのか!?」
「行くよ!お姉ちゃん達を助けないと!」
テーブルにおいてあったデジヴァイスと黒い宝石を手に取り部屋から出ようとした時だった
『ターゲット発見。月村すずかですね』
部屋に武装した金髪と赤い服の女性が入ってきた
「な、何だよお前!」
『デジタル生命体確認。危険度S。排除』
彼女、人間じゃない。やっぱり自動人形だ!
「インプモン、この人は人間じゃない!ロボットだよ!」
「はぁっ?!マジで!?」
お姉ちゃんが戦ってるのはきっと彼女のオリジナル。この子の言語能力から見て遠隔操作の量産タイプ
前にノエルが教えてくれた・・・自動人形の特徴を
言語が優れた人格があるのはオリジナルだけだって
「すずか!戦おう!」
「え・・・でも・・・」
ここで戦わないとインプモン、殺されちゃう
でも、戦うのは怖い
ネオデビオンの時は必死だったから感じなかった
でも、思念体と戦ったときは・・・怖かった
目の前で傷つくインプモンはもう、見たくない
イヤだ・・・イヤだ!
「デジソウル・・・チャージ」
「インプモン進化!―――ウィザーモン!」
ウィザーモンは杖を構えて自動人形と向き合って戦闘態勢に入った
でも・・・
「逃げよう!」
「え!?お、おい!?」
私はウィザーモンの手をとり、窓の外に飛び出した。ココは三階だから、普通なら大怪我しちゃう
でも、私は人間じゃないから、軽い怪我程度・・・だと思う
「ば、馬鹿ヤロー!!」
ウィザーモンは私を抱えると、ふわっと宙に浮き、ゆっくりと着地した
「おま、死ぬ気か!」
「大丈夫だよ。私、普通じゃないから死なないよ」
「そういう問題じゃなーーだろ!!」
アレ?よく考えたら、普通の人間のなのはちゃんはなんでビルの屋上から飛び降りても平気なんだろ?
・・・いいか。なのはちゃんだし
『逃がさない』
追って来た!?逃げないと!
「待てよ」
「え?」
逃げようとした私の手をウィザーモンは握って止めた
「お前、何でさっきから戦おうとしねーんだ」
「だって・・・」
私の力は異常
その所為でインプモンは・・・
「お前さ、俺の身体がデジソウルに耐えられず傷つくこと、怖がってるだろ?」
え!?何で・・・・
「何で分かるんだって顔だな。ったく、俺はお前のパートナーだぜ?分かるっつーの」
「でも、戦って傷つくウィザーモンを私は見たくない」
「はぁ・・・いいかすずか?デジモンってのは戦って何ぼなんだよ。戦う為の種族なんだなよ」
「そんなの・・・悲しいよ」
「最後まで聞けこの馬鹿!でもな、俺はただ戦うんじゃないんだよ」
「ただ戦うんじゃない?」
「ああ、俺はすずかを守りたいんだ。その為なら、俺はどうなろうと構わないって覚悟がある」
そんなの・・・駄目!
「イヤだ!イヤだよ!その所為でウィザーモンがいなくなるのはイヤだ!」
心が苦しくなって、目から涙が溢れてきた
きっと私は泣いてる
どうしてそんな覚悟が決められるの?
わかんないよぉ
「俺は昔、ずっと力だけを求めてきた。そのために多くのデジモンの命を奪ってきた。だけど今は違う!守りたいって思えるようになった!それはすずか、お前のお陰だ!」
「私・・・の?」
「そうだ!戦うことが虚しくなっていた俺がだぞ?お前と一緒に戦って、お前を守るって思うと、心が熱くなるんだ!俺はお前のお陰で変われたんだ!」
私の・・・お陰?
「自分の血が怖いって事も知ってる!俺も昔の自分が今でも怖い!でも、怖がってるだけじゃ駄目なんだよ!」
怖がってるだけじゃ駄目?でも、怖いよぉ・・・
「だから、俺が支えてやる!怖がってたら俺がお前の手を引っ張ってやる!だからお前も俺を支えてろ!それがパートナーだろ!」
そう・・・なのかな?
『ターゲット補足、排除します』
自動人形が武装を構えて私たちに向かってきた
「ねえウィザーモン」
「あ?なんだ?」
「信じていいんだよね?」
「ああ!信じろ!お前は俺を!俺はお前を信じるぜ!」
今も怖いよ
でも、ウィザーモンが支えてくれるなら・・・きっと頑張れる!
すると、私が手に持っていた黒い宝石が輝き始めた
「で、デバイスが!?」
『システム解除。デジヴァイスアクセル成功。名前の設定を』
「な、名前?えと・・・ルナ」
『ルナ・・・設定完了。デジソウルお呼び魔力の制御完了。起動してください』
起動ってアレかな?えっと確か・・・
「ルナ!セットアップ!」
『OK。セットアップ』
宝石が光り輝くと、私の格好がウィザーモンと同じ服に変化した
そして手にはウィザーモンと同じ杖があった
「な、なんじゃそりゃ?!」
「わ、わかんないよ?!」
『未知のエネルギー確認。捕獲不可能と判断し、排除します』
私の中からデジソウルとは違う力を感じる・・・それに今なら二つの力を『同時』に使える気がする!
それに、自動人形の強さはノエルでよく分かってる。きっと完全体とまではいかないけど成熟期ではキツイかも知れない!
「ウィザーモン!私を信じて!」
「何かやんのか?分かった!」
デジソウルと魔力を同時に・・・そして一つに!!
すると私の身体から黒いデジソウルと黒い魔力が同時に噴出して、一つに重なった
「行くよ・・・ハイパーデジソウル!フル!チャーーーージ!!!!」
デジヴァイスに二つのエネルギーを同時に翳すと、ウィザーモンに二つのエネルギーが放たれた
「これはっ?!うぉぉぉぉおお!!ウィザーモン進化!――――バアルモン!!」
◇バアルモン
種族 魔王型
属性 ウイルス
世代 完全体
必殺技 カミウチ
得意技 ギルティッシュ/リークインフォーメーション
ウィザーモンが正しい進化をした『気高き王』の異名を持つ魔王型デジモン。
必殺技は『カミウチ』 。
「ミスティモンじゃ無い?それに、身体に負担がない!?」
「もしかして、コレがウィザーモンの正しい進化?」
インプモンを信じる心がきっと新しい進化を生み出したんだ
「行くよバアルモン!私はもう、バアルモンの後ろにはいない!」
「ああ!すずかは俺が守る!安心しな!」
『排除!排除!排除!』
負けない!私とバアルモンの二人なら!
続く