◇
「ずりゃあ!」
拳がスケルトンの顔に食い込む。首から上がやり方を間違えたダルマ落としみたいにスッぽ抜け、残された体の骨は向かってきた動きをピタリと止め、ネジが切れたみたいに後ろに倒れる。ガシャンッ!という耳障りな音を立ててバラバラになった。
「・・これで終わり、だよな?」
バラけた骨を足でツンツンと転がす。地面には同じような白い残骸がゴロゴロと転がっている。それらは全てが先程のように襲いかかってきたスケルトンだったモノだが、揃いも揃って頭をぶっ飛ばすだけで糸が切れた操り人形の如く固まり、無惨に砕け散ったのだ。敵が弱いに越した事は無いが、あまりにも呆気なさ過ぎて何か仕込まれてやしないかと不安になってしまう。
ひとしきり落ちている骨たちを見はった後、もう一人の戦っている仲間、ルーミアに目を移す。まあ相手がこんなのじゃ心配はいらないだろうが・・
「よし・・と。」
ルーミアは倒した相手の骸骨を足元から拾い上げた。背後にはスケルトンが走って迫ってくる。
「スケルトン!新しい顔よ!」
ルーミアはそう言って振り返るや、骸骨を相手に投げつける。その骸骨は見事スケルトンの顔に命中し、スポーン、と音がしそうな位に当たった方の顔を弾き飛ばす。ビリヤードの要領で投げつけた顔が代わりに半回転した向きのまま鎮座した。
「カカカカカカ・・・・!」
スケルトンはカタカタ歯を鳴らして笑うと、手で頭を掴んでグキリと元に戻す。それを見てルーミアはガッツポーズ。
「ナイス・コントロール!」
「何やってんだお前。」
突っ込むのが少々遅れたか。いくら弱いにしても、敵の目の前で遊びすぎだ。
「カァーッ!!」
「!」
スケルトンが奇声をあげてルーミアに躍りかかる。助太刀しようと構えた時、意外な事が起こった。
辺りには倒したスケルトンの残骸が乱雑に散らかっている。それはルーミアの回りも同様だ。それが原因だった。
意気揚々と駆け出したスケルトン。彼(彼女?)は足元の肋骨に足を引っ掻け、なるべく大袈裟にして笑いを取らなければ、と気負う若手芸人のごとく4/1回転し、盛大な地面へのダイブを決めた。ガラス細工か卵か、脆いという表現がこの上なく似合うような散らばり方でガラクタに変わると、ソイツはピクリとも動かなくなった。
「・・・・」
「・・・・」
前言撤回しよう。ルーミアの油断、遊びたくなるのも最もだ。オレもアイツも大人しくはないタイプなので余計に共感する。
奴等は馬鹿だ。馬鹿すぎる。
―
「たいした事無かったね。コイツら。」
ルーミアが骸骨をジャグリングしながら笑う。オレは手に持った肩甲骨を見つめながら、思案を巡らす。
コイツら、何者だったんだろうか。
この森の妖怪、ならば話は簡単だが、それだとやや不自然だった。何しろ、全く相手にならないほど劣勢だったにも関わらず、スケルトンは懲りずに向かってきたのだ。いくら頭の軽いように見える生き物でも、自分達に分がないとなれば一目散に逃げ出すはずだ。それが狩りをするモノの本能だ。
命も状況も顧みず、敵にひたすら立ち向かう・・忠義、という言葉が一瞬浮かんだが、それはあまりに的外れだ。奴等には到底"自我"すらあるかも怪しい。まるで『こうするべき』という事柄しか頭にないように思えるぐらい、思考し、判断した上での行動らしきものは皆無だった。バカ、といえばチルノの顔も浮かんだが、比べるのも失礼だ。
「・・・・・・」
やがて、一つの仮説が浮かぶ。
スケルトンを"操っていた"者がいたのではないか。目的は分からないが、オレとルーミアに何らかの目的で襲えと命令、もといプログラミングした輩がいるとしたら・・・・
しかし、いるとしたら誰だ?紫や霊夢か?自分達が仕留め損ねた時の為に・・・・
いや、レミリア達だろうか、自分達が手を汚さない方法で何かするつもりか・・
あくまでも疑惑だ。しかし紫達で嫌という程厄介だったというのに、この上まだ面倒な連中がいるかもしれない。考えるだけで頭が痛くなった。
「リザ?」
ルーミアはオレの懸念など知る由もなく今だ骸骨で遊んでいるようで、今度は骸骨を地面に置き、一本の骨を拾い上げ骸骨をカンカンと叩き始めた。
「なんみよーほーれんげーきょーなむあーみだーんぶーぎゃーてーぎゃーてー」
まるで木魚のように骸骨を鳴らしながら出鱈目なお経を唱える。流石に呆れて、肩を叩いた。
「おいルーミア。」
「ん?」
「もう止せ。ホトケさんで遊ぶんじゃねえ。」
実際のところ、戒めのような言葉を吐きながら、自分の憮然とした態度はアレコレ考えていた自分とルーミアの温度差から来るものが大きかった、筈だ。事実先程までスケルトン共を一緒になって殴り飛ばしていたのだから。
ところが、どうして。眉に皺がより、肩をつかむ腕に無意識に力が籠る。ルーミアに微かに初めて見る怯えの色が浮かんだ。
「・・ご、ごめん。」
「あ、いやえっと。」
ルーミアが肩をすぼめるのをみて、慌てて手を離す。骨をカラリと置いて俯かれ、こちらもどうしていいか分からなくなった。コイツがこんな風になるのを見たのは今まで無かった。
「あー、その」
若干引っ込みがつかなくなったのを感じながら、何とか空気を変えようとする。
「・・・・この骨、埋めてやろう。」
「・・埋める?」
「ああ、野晒しにしといちゃ可哀想だろ。オレが穴掘るから、ルーミアは骨を集めといてくれよ。」
「・・・・」
ルーミアはオレの方を見上げたまま黙っていたが、向こうも気まずかったのか黙って骨を拾いに走っていった。それを見届けてから、胸の心地悪さを収めるようにふぅ、と息をつく。
今思うと、何でわざわざあんな柄でもない事を言ったんだろうか。どうにもモヤモヤしたままルーミアの叩いていた骸骨に目を落とす。
「・・・・あ。」
叩いていた頭頂部にヒビが割れ、欠けている。同時に脳裏に昨日の奇妙な映像が蘇った。骸骨や動く死体が蠢く中で、それらをなぶる夢。そこには一片の情けも敬意も無かった。
ああ、そういうことか、と一人納得し、穴を掘るため地面に爪をたてた。
―
「・・・・ふう。」
今度は清々しい息を吐く。ようやくあの一山いくらの骸骨達を埋められそうな穴が掘れた。丸まったら自分も余裕で入れそうな位大きさも申し分ない。手で掘ったので掌と爪に食い込んだ泥が気になるが、柔らかくて掘りやすかっただけ良しとしよう。
「・・・・しかし、遅いな・・・・」
一段落つき、改めて辺りを見回す。ルーミアは穴を掘る間姿を見せなかった。まだ骨を集めているのだろうか。自分で言うのも何だが、手だけで十数人の埋葬が出来るくらいの穴が掘れたのだ。それなりに時間は経っている筈だが・・・・
「リザ〜〜!」
ルーミアの大声が聞こえた。声の方に振り向くと一ヶ所に集めて置いたらしい骨の山。そしてそこから更に離れた場所、とある木の根元に向けてしゃがみながら顔だけを此方に向けていた。表情はどちらかというと困っているように見える。一体何だろう。骨の山を見るにもう殆ど終わっているだろうに、あの木の根がどうかしたんだろうか?
「どうしたい?」
「・・これ・・」
ルーミアの避けた場所を覗き込むと、土からはみ出た木の根の陰にチラリと白い物が見える。奴等の骨だ。小さいのが転がり込みでもしたんだろうか。
「・・コイツがどうした。」
「取れない。」
「えぇ?」
オレが首を傾げると、ルーミアは骨へと手を伸ばす。特に障害が有るでもなく、その小さな手は骨を掴んだ。
後は取り上げるだけ、しかし。
「ん、んっ!」
掴んだ手はその分大きくなり、木の根にゴツゴツと引っ掛かる。ルーミアは懸命に何度も手を引いたり戻したりするが、いくら息んだ所で結果は同じである。
「・・あー、」
成る程。これにずっと手こずっていたのか。噴き出しそうになるのを堪えながらその手を止めさせる。
「そういう時はさ、まず周りの土を退けて・・」
軽く骨の傍にあった土を崩し、横から手を差し入れて骨を取ってやる。ルーミアは「わあっ」と弾んだ声を出した。
「ありがとリザ!」
「ああ、ともかくサッサと埋めちまおう。」
その後は共同作業で骨を穴に運んでいく。ものの数分で土をかけ直し、埋めるのが完了した。
ルーミアが合掌し、オレはテキトウに手を組む。
「南無。」
「アーメン。」
それぞれ違う祈りの言葉。まあ第一生前が何教だったか知らないし、取りあえず気持ちだけにしておく。万一いずれの言葉も不満だとか言われたら
『アッラ〜、ごめんなさ〜い』
とでも言ってやれば良いんだ。
「さて、」
一段落ついた、と腰を上げた時、
グ〜
「・・・・ん?」
聞き覚えのある間の抜けた音。音のした方角に目を向けると、案の定ルーミアがお腹を押さえながら「てへ」と照れ臭そうに笑う。
「お腹すいたね。」
「もうそんな時間か。」
考えてみれば紅魔館での朝食から大分経っている。さしあたってはこの森で何か見つけねばなるまい。
「取りあえず森の中探すか、戻るわけにはいかないし。」
「らじゃー。」
ラジャー(了解)と言いつつ、ルーミアは遠慮なく先行して歩いて行く。まあ、オレが例によって空腹を感じないので、自然にルーミアに先を譲った訳だが。
森の中には、改めて見回してみると食べられそうな物は少ない。所々木の実は生っているがルーミアの腹を満たせはしないだろう。
そうして収穫の無いままブラブラ歩いていた、その時。
「あっ!」
ルーミアが弾かれたように声をあげて駆け出した。慌てて駆け出すと、水音でも聞こえていたのか一本の細い川が見えてきた。ルーミアはこちらを振り返ってブンブンと腕を振る。
「リザ!川だよ川!魚捕ろう!」
まず魚に発想が行くんかい、とずっこけそうになったがルーミアが再度駆け出すのですぐに走り出す。ルーミアはすぐ立ち止まると川に入ろうと靴を脱ぎ出す。しかし、
「ふわっ!?」
今度は強い驚きの声。何かあったのかと駆け寄ると、目を丸くして川を指差しながら、叫んだ。
「魚が死んでる!」
「・・・・うっ?」
呻くような声が漏れる。指の指す方に目を移すと、確かに何匹もの魚達が腹を見せたままプカプカと浮いていた。無事に泳ぐ奴は一匹も見当たらない。
異様な光景に、暫く立ち竦む。ルーミアもそうた゛ろう、と思っていた。
「よし、取り放題!」
「待て待て待て!」
ルーミアの襟首を素早く掴んで止める。「んぇっきゅ」とか変な声を出してからルーミアが振り向いた。何で止めるの、と疑問と不満が入り雑じった顔だ。警戒心が足らんな。もう。
「よく考えろ。魚が皆くたばるなんて変だろ?」
「んー、まあそうかも。」
頭をかきながら笑うルーミア。食い意地でそこまで考えが回らなかったのか。単なる冗談なのか。
「でも、何があったんだろ、一体。」
「さあ・・・・」
二人で首を傾げる。いくら幻想郷でもこんな奇怪な現象は少ないようだ。何か病気でも流行ったのか?
「お?ルーミアじゃないか。」
背後からカラカラした声がかかる。振り返るとそこには、金髪に黒いとんがり帽子に黒い衣服の、如何にも「魔女」といった風貌の少女がいた。手には大きめのバスケットを携えている。
「魔理沙!」
ルーミアがニコニコしながら駆け寄っていく。魔理沙は「よう」と微笑みかけた後、オレの方を見やった。
「なあ、アイツ誰だ?あのトカゲみたいなの。」
初対面で些か不躾な物言いだったが、取りあえずは我慢した。そして霊夢や紫の協力者ではない、と同時に推測する。オレと目があった時の表情はあからさまに何も知らない、珍しいものでも見るような目だった。本音をいえばもう少し遠慮して欲しかったが。
「リザだ。少し前からルーミアと暮らしてる。」
魔理沙の前まで歩み寄り、握手を求めて手を差し出す。
「・・おっと。」
しかしすぐに引っ込める。埋葬の穴を掘ってから手についた土はそのままだった。しかも両手共だ。
まずいな、これじゃ失礼だ。そう思って顔をあげて魔理沙を見やる。すると・・「霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)だ。普通の魔法使い。よろしくな・・っと。」
魔理沙は、名乗ってから同じように手を引っ込めた。
「・・?」
オレがいぶかしんでいると、魔理沙は手を此方に向けてヒラヒラさせながら笑う。
「すまん。今は手が泥ついててな。キノコ狩りで。」
魔理沙の手のひらには成る程薄い墨を塗ったように浅黒く泥がついていた。しかしそんな事はどうでもよろしいと言わんばかりに身を乗り出してくる奴がいた。ルーミアである。
「キノコ狩り!?」
ルーミアの目はキラキラと音がしそうな位に輝き、魔理沙を遠慮なしに見つめている。魔理沙はそれに気づいてクスリと笑ってから、持っていたバスケットを差し出す。
「おお〜!」
ルーミアが感嘆の声をあげる。大きめのバスケットの中には、種類が分からなくとも立派な事は充分に分かるキノコが一杯に詰まっていた。今にもヨダレが出そうな程キノコに釘付けなルーミアを見て、流石に手で制した。
「あんまりジロジロ見るなよ。みっともないぞ。」
「えー?」
不満げに頬を膨らませてこちらを見るルーミア。いや、腹が減ったのは分かるけどさあ・・・・
こちらの弱った様子を察してか、魔理沙は生暖かい視線でルーミアに声をかける。
「なあ、良かったら手伝ってくれないか?後で分けてやるから。」
「本当!?」
ルーミアの表情がまた百八十度反転する。やれやれ、と聞こえないように息を吐く。
・・・・そこで肝心な事を思い出した。ルーミアと同じように目先に囚われ忘れていた事。ふと魔理沙と目が合うと「気にすんな」とでも言いたげにはにかんだが、違う。その事ではない。
「なあ魔理沙。川の魚の事、何か知らないか。」
「魚?」
オレが尋ねると、魔理沙はキョトンと目を丸くして首を傾げる。つくづく分かりやすい。ルーミアは思い出したように魔理沙の袖を引っ張る。
「こっちだよ、来て!」
「何だよ、そんな深刻なのか?」
魔理沙が帽子が落ちないように気を付けながらルーミアと走り出す。内心ルーミアの切り替えの早さに少し驚いたが黙っておいた。程なくして魔理沙のすっとんきょうな悲鳴。そしてのけ反る背中。
「マジかよ、ここまで来ると気持ち悪いな!」
しゃがんで覗き込みながら、木の枝で魚の腹をつつく魔理沙。ひとしきり遊んでから眉を潜めるオレに向き直る。
「どう思う?考え付くのは病気か・・・・」
「いや待て。」
言いかけた言葉を、魔理沙に止められる。思わず口をつぐむと、魔理沙は川辺のギリギリ内側を指差す。
「よく見ろ。川に浸った草が枯れてる。水がおかしいんだ。」
言われて見れば、成る程。川に漬かった草の先が赤く変色してシナシナになっている。魚達はおかしくなった水を飲んで死んだ、という訳か。
「けど、原因は一体・・」
「はて、何かしらの毒、かね・・・・」
二人でそれぞれ顎と額に手を当て考え込む。その時、退屈だったのかルーミアが茶々を入れてきた。
「魔理沙、変なもの流したんじゃないの?実験で作ったクスリとか。」
「なっ!バカいうな!森を焼いた事はあってもこんな事しねえよ!」
「どっちも酷いだろ。」
つい突っ込んでしまう。魔理沙のやつ魔法使いとはいうが、結構物騒な輩なのかもしれない。
「本当かなー?」
「何だよ、疑うのか!?あー、キノコやるつもりだったけど止めた。もう決めた。」
「あぁん、魔理沙ったら大人げない。」
言い争いを始めた魔理沙とルーミアを放っといて、川に再度目を移す。
(川の流れは・・・・)
水の流れを逆に目で追う。何かあるならば下りの方角ではない。川に入る以上、流れに逆らえる筈がない。
「上流の方だな。まだ元凶がいるかは知らんが、確かめてみよう。」
二人が揃って俺を見る。川の流れてくるなだらかな斜面の先を睨んで駆け出そうとした時、魔理沙が肩を掴んで止める。
「待ちな。私に任せろ。すぐ潔白を証明してやる。」
そう言うと魔理沙はパチンと指を鳴らす。すると、何処からともなく如何にも魔女が使いそうな洋箒が独りでに飛んできて、魔理沙の手に収まった。
「ほら乗れ!三人までなら余裕だ!」
魔理沙は箒に跨がり顔だけを後ろに向けて促してくる。若干危なっかしい雰囲気がしたが、ルーミアは抵抗なく箒に乗って魔理沙にくっついた。
「リザ、早く。」
「お、おう・・」
拒否するわけにも行かず最後尾に跨がる。すこし尻尾が体を引っ張るのかユラユラと不安定だった。
「んじゃ行くぜ!しっかり捕まってな!」
魔理沙が言い終わると同時に、物凄い空気抵抗が襲ってきた。シートベルトの実装をすべきでは無いだろうか、と思わされる、腹の底から空気が抜け、尻尾だけが千切れて置いてかれそうな感覚。先頭の魔理沙は本当に人間なんだろうか。
―
「うおぁああ!!!」
箒に必死でしがみつきながら悲鳴をあげる。魔理沙のやつ、飛んでいるには間違いないが地面すれすれの低空飛行で、幾度となく森を形成する数多の木を衝突ギリギリでかわすという芸当をこなしているのだ。何で空にもっと高く飛ばないのか、と一度抗議したが、「木に隠れて犯人が見えないだろ」と一蹴。理解できる理由ではあるが正直それならそれで減速して欲しかった。ルーミアなどはアトラクション気分でキャッキャと喜んでいるが、オレはといえば右へ左へ木を避ける度に左右に振られ、尻尾を木に毎回叩きつけているのだ。切り株が掠めたときは背筋が寒くなった。頼むからもう少しスピードの怖さを意識してくれ。
・・と、心の中で悪態をついていると、
「うわあっ!?」
急にブレーキがかかって前のめりに倒れ込む。ルーミアは魔理沙の背中に顔をしこたまぶつけ、痛そうに唇を押さえる。オレの方はルーミアの座高のお陰で首から上は無事だったが、胸を痛打。意外と痛いのだ、これが。
「・・・・クラクラする。」
「目がまわる〜。」
ルーミアとオレで不満を漏らす。そしてコイツは他でもない魔理沙に言わなければ、と顔をあげる。しかし。
「・・・・まさかお前か?犯人は?」
「・・・・へ?」
魔理沙の予想外に真剣な声につられ、辺りを見回す。そこに奴はいた。
上流のゴツゴツした岩場が目立つようになった、川のほとり。
黒く煌めく鱗、長く鋭い鉤爪、鋭い巨大な牙、そして黄金色の鋭い眼。
巨大な大トカゲ、否。
ドラゴンがそこにいた。