トカゲ娘が幻想入り   作:ごぼう大臣

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なんか主人公がありがちな名前になったけど、私がセンス無いのは許してください。


名前はなぁに 私は嫌い?

「幻想郷・・ねぇ・・」

 

怪訝なオレの声に、ルーミアはコクリと頷いた。

 

曰く――

 

ここは幻想郷といい、普段は結界に囲まれ存在自体に気づく者も少ないらしいが、実は「忘れ去られたもの」が流れ着く場所であり、妖怪や神様―オレみたいのが迷い込むことも珍しくない・・らしい。そいつらを外来人と呼ぶんだそうだ。

 

「ルーミアも妖怪か何かなのか?」

 

「うん。私はね、『闇を操る程度の能力』を持つ妖怪。」

 

闇を操る・・追いかけてきた時、夜闇に紛れたのはそれか。名前だけ聞くと大袈裟だが、間違ってはいまい。

 

「で、さ・・」

 

今の状況は分かった。まあ、信じるしかない、ってのが正しいが、まだ話を終わらせる訳にはいかない。

 

「オレ、これからどうすりゃ良いんだろ?」

 

今のところ記憶はここで目覚めてからのモノしか、ない。かといって、こっち、幻想郷で知っている事も当然ながら皆無。しかも話によれば狂暴な妖怪やタチの悪い神様なんかもいるらしい。正直ルーミアのような子供に相談するのは情けない気もするが、無理もない、と自分で自分を納得させた。

 

「うーん、何かの間違いなら元の世界に返してもらえるんだけど・・

 

お姉さん、見たとこ普通の妖怪っぽいし・・」

 

どうやら幻想郷から出る事は出来ないらしい。右も左も分からないこの場所で、どうすれば良いものか。オレが沈んだ気持ちで思案しかけた時、ルーミアはこんな事を言った。

 

「お姉さん、私と暮らす?」

 

「ふぇ?」

 

ルーミアの提案につい面食らう。会って間もない輩にこんな事をいう子供がいるとは。

 

「ルーミアと、オレが?」

 

「ダメ?」

 

「いや、ダメっつーか・・」

 

いくら頼る人がいないとはいえ、こんな幼子に負担をかけて良いものか、オレの良心が頭をもたげる。しかし。

 

「お姉さん、私の事嫌い?」

 

微かに眉を潜め、こちらを覗き込むルーミア。うぅむ、これってもしや断ったら傷ついちまうパターンか?オレも決して嫌いで悩んでいる訳じゃ無いんだが。

 

「いや、でもオレって幻想郷の事なーんにも知らないし、苦労するぞ、絶対。」

 

「へーきだって。(旧作除く原作的な意味で)大先輩の私に任せなさい!」

 

エヘンと胸を張るルーミア。小さな子供のその自信満々の様子が、逆に不安を感じさせ・・なくもないが、何だろう。ルーミアを見ていると細かい事などどうでも良い気がしてきた。

 

「じゃ・・お言葉に甘えて、お願いしますか。」

 

「やったあ!」

 

オレが観念してしゃがんで頭を下げると、ルーミアは跳ねて抱きついてきた。慌てて倒れないようにとバランスを建て直す。

 

「あ、そう言えばさ、」

 

「な、なんだ?」

 

ルーミアがまた上目遣いに話しかけてくる。わざとでは無いんだろうが、あざとい。何だか気恥ずかしくなってくる。

 

「お姉さんの事、なんて呼ぼうか?」

 

ああ、そういや名前を教えてない、というか無いんだった。その旨を伝えると、ルーミアはこう言った。

 

「じゃあ、私がつけてあげるよ。」

 

「ええ?」

 

ルーミアは腕を組んで小首を傾げる。オレは止めるわけにもいかず黙っていた。正直、不安もあったが。

 

「トカゲだから・・

カゲト、ゲトカ、カゲっち・・・・」

 

「まてまてまて。」

 

不安的中。あんまり安直過ぎやしないか、子供らしいけどさ。

 

「なに?そんなに変?」

 

「いや、そのなんちゅーか・・・・」

 

頬を膨らませるルーミア。うーん、何ていったものか。正直に変だから嫌だなんて言えないし・・・・

 

「そ、そう!ルーミアみたいな名前が良い!なんか洒落た感じの!」

 

正直苦し紛れだった。大袈裟に身ぶり手振りつけて話してしまったが、果たして気を損ねずに済むと良いが・・・・

 

「え?洒落てるなんて、そんな・・・・」

 

杞憂だった。ルーミアは照れた表情でモジモジしている。オレが苦笑していると、ルーミアが突然「あ!」と手を打った。

 

「そうだ。何かの本で読んだけど、お姉さんみたいなの『リザードウーマン』って呼ぶんだって。」

 

「へぇー。」

 

少しばかり表情を変えて相づちを打つ。いくらか流れが変わりそうだ。

 

「だからさ、最初の方を取って、『リザ』ってどう?」

 

「リザ・・・・」

 

言われたその名を復唱してみる。うん、呼ばれて違和感はない。

 

「良いじゃん、それ!」

 

「うん、決まり!よろしくね、リザ!」

 

ルーミアはそう言ってまた抱きついてきた。やれやれ、と頭を撫でてやる。

 

「んー・・・」

 

 

ルーミアが気分よさそうにするのが何だか楽しくて、一定のリズムでナデコナデコしてやった。するとルーミアは次第に目がトロンとしてきて、やがてクァ、と大口を開けてアクビをしだした。

 

「みみゅ。」

 

むにゃむにゃ言いながら胸元に頬擦りしてきた。おいおい、もう半分寝てないか、コイツ?

 

「おいルーミア。ここで眠ってんなよ。お前いつもどこで寝てんだ?」

 

「んー・・・そのへんー・・・・」

 

ぼんやりした聞き取りづらい声が響く。いや、響いてはいないか。胸から顔を離してくれねえかな、半分くらい吸収されちゃってんだよ声が。

 

「はー、全く・・」

 

ため息をついてその場に寝転がり、ルーミアは隣に横たえる。するとまたまどろんだ声で一言。

 

「たまに・・ウンチおちてる・・」

 

「ふわっ!」

 

慌てて跳ね起きる。実は起きててからかってるとか無いよな、まさか?

念のため地面を凝視する。よしよし異常なし。夜なんでちと不安だが、とにかく異常なし。

 

二度目のため息をついて再度寝転がる。横向きに寝たのでルーミアと目があった。彼女は丸まった猫のような格好で、スゥスゥと寝息をたてている。

 

「・・・・」

 

その頭を一撫でし、寝返りをうって仰向けになる。

 

木々の間から、満天の星空が広がっていた。小さな数えきれない位の宝石を満遍なく振り撒いたような、見ててついウットリとしてしまう光景。隣ではルーミアが眠ったまま身を寄せてくる。

 

こんな夜も良いもんだな。そう思いながらオレは眠りについた。

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