問題児たちが異世界から来るそうですよ?__そう、生命の目録とコジマ粒子。 作:tomlet
ネタにしかならないとは思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
揺り籠が落ちる。たくさんの人の命を乗せ飛び続けていた揺り籠、航空プラットホーム”クレイドル”が落ちる。とある技術により、コジマ粒子による環境汚染が抑えられた世界。そんな中でも空を飛び続け、ある程度の研究により環境を汚しにくいコジマ粒子なんてものが作られた世界、そんなになっても飛び続けていた、無用の長物が落ちる。
「三毛猫!」
春日部 耀は三毛猫の手を取る。このままクレイドルが地に落ちれば、三毛猫も含めたくさんの人が命を落とすだろう。
「ごめんなさい、あなたたちを救うことはできない」
そう呟き、三毛猫を抱きしめると、耀の周りに緑色の粒子によって膜のようなものができる。
私も救えと声がする。こんな時のために貴様のような怪物をつくったのだ、私も救えと声がする。
「ごめん・・・なさい・・・」
耀はその怨嗟の声を断ち切ると、クレイドルのハッチを開け、空へと飛び出す。どうせこの膜__プライマルアーマーによって私は怪我をしないんだ、ならあんな視線を向けられる場所に居たくない。と自らの体を空に投げ出す。
海ではなく地面へと投げ出される。それでもプライマルアーマーの効果で耀に怪我はなかった。
「ここ、どこだろう」
そうしてあたりを見回すと、どうやらここが地面ではないことがわかった。
「これ、数ヶ月前に壊されたアームズフォート、たしか”スピリット・オブ・マザーウィル”」
そこにあったのは一つの残骸、たしか天才的なネクストでこれを単騎で撃破した人がいるんだっけ?と考えて、そこで思考を打ち切る。
「三毛猫、どうしようか、帰る場所もなくなっちゃったね」
さっき耀が見捨てたのは、いつまでも帰ってこない父親に変わってモルモットとしてだが耀に生活の場を提供してくれた人々。耀はそれを見捨てたのだ。
今、耀の手元にあるのは本来ネクストACに積むはずの装備、コジマ粒子を前面に打ち出す籠手、それを縮小して、人でも扱えるサイズにしたものである”VANISH”、それと彼女専用に作られた飛行用の靴兼ブースターだけである。
『お嬢、心配することあらへん、きっとお嬢のお父さんが迎えに来てくれる』
ペット兼友人の三毛猫が慰める。これは実際に人の言葉を発しているのではなく、春日部 耀が父から送られたもう一つの不思議な力のせいなので、耀はまわりからは独り言のようにしか見えない。だが、今は近くに誰もいないのだ、遠慮することもなく三毛猫と話していると、空から一枚の手紙が落ちてくる。耀から少し離れたところに落ちたそれを三毛猫がひろってくる。
『お嬢あてやて』
三毛猫からの手紙を受け取るとそこには確かに「春日部 耀様へ」と達筆な文字で書かれていた。
他に手もないので藁にもすがる思いで手紙の封を切ると。
『悩み多し異彩を持つ少年少女に告げる、その
その文面を読んだ瞬間、三毛猫を抱いたまま景色が変わり、はるか上空へと投げ出される。
「今日はよく落ちる日だね、三毛猫!」
笑いながら空を舞う、何もせずともあの水の膜が自分たちを受け止めてくれるのだろう。そんな風に考えながら、耀は何年ぶりかにお腹の底から笑った。こんな手荒な呼び出しをした誰かをとっちめないと、そう考えると自然と笑みがこぼれた。自分たち以外にも2人ほど落ちている人がいるので、きっと私と同じ状況なんだろう、仲良くできるといいなと思い、落ちる流れに身をまかせる。
呼び出されたその世界は完全無欠に異世界だった。