ダンジョンに音楽を求めるのは間違っているだろうか   作:白雫

2 / 3
投稿が遅れました<m(__)m>

ではどうぞ。




第二話 ルフィールというエルフ

 流石はオラリオ。

 故郷の森にいた頃の、ゆったりとした時間の流れの中で育ったボクにとって、この目まぐるしい迷宮都市の忙しさになれることは至難の業なんじゃないかと思う。

 

 今も、最高の音楽の師に出会えたと舞い上がって、そのまま思いついた曲を一つ作ろうと頭を働かせていたら、いつの間にかすごい豪邸の前に引きずられてきていて。

 

 

 一体、何が起きてるんだろう……?

 

 

 

 

 周りの人が何かを言い争っているんだけど、ボクにはよくわからない。

 耳が聞こえないせいで、人の話を読み取るためには唇の動きを見るしかないボクにとって、何人もの人が話しているときはほとんど話が見えないのだ。

 

 ボクの後ろに立っていらっしゃる女神様がハトホル様。

 ここの主人と思わしき仮面の男性に、彼女は必死にご自身の思いを伝えていらっしゃるようだった。

 

 

 

 

 ボクはオラリオに、音楽家として名をあげるために、故郷の里を一人飛び出してきた。

 例え耳が聞こえなくなろうと、努力を諦めなければいつかは成功できる。そう信じて。

 誰かに音楽の感動を伝えられる、そんな音楽家になるために。

 プライドの高さが邪魔をして、音楽を本当の意味で愛することの出来なくなった同族(エルフ)のようにはならない、こんな風になりたくないと決意して。

 

 持ち出したのは、数日分の食料と、一族に伝わるハープ一張、そして、一本の縦笛。

 結論的には、楽器さえあれば、あとは何も要らないとさえ思っていた。

 

 そんなわけ無かったのに。

 

 エルフの里から迷宮都市まではかなりの日数をかけて来なければならなかった。

 それを、移動にかかる日数が子供の足ならもっとかかるということを失念したままの計算で考えていた。

 

 そのため、ボクはオラリオへの旅程が予定していたよりずっと長くなってしまった。 

 

 当然持ってきていた食料は途中で底を尽いてしまった。

 火も碌に起こせなかったボクは魚を捕って食べることも出来ず、道途上の木々に実っていた僅かながらの果実を口に入れてなんとか餓えを凌いできた。

 季節を考えれば、もう少し何とかなっただろうに。

 

 

 たかが10歳のガキの分際で、一丁前に大人ぶったことが完全に(あだ)になってしまった。

 

 

 

 

 エルフという種族は、自然を愛していたために自然の中に息づく音楽を聴くことが出来たせいで、かえって自分達こそが世界一の音楽家と自惚れてしまっていた。

 

 一生懸命に自分の腕を磨くこともせず、他の種族を野蛮と決めつけて一緒に音楽を楽しむこともしない。

 ただ(うち)()でハープを奏でたり、唄を戯れに歌ったりするだけ。

 真に音楽を楽しむというのは、自分の中に溢れる音楽を誰かに届け、音楽の作り出す感動を共有出来た時、その瞬間にあるというのに。

 

 確かに、エルフは素晴らしい才能にあふれている。

 音楽のセンスだってダントツのセンスだろうし、見目麗しいことは疑う余地もない。王族(ハイエルフ)ともなれば、その容姿は神に匹敵するとまで言われている。

 でも、自他認めるような才能のあることが、逆にエルフ達を貶めてしまうようなことになっていたのだ。

 

 ボクにはそれが、ひどく醜いものに思えてしまった。

 

 その思いは日に日に増してきて、美しいと感じていた同族(エルフ)の音楽が、いつの間にか耳に心地悪い雑音になって、やがて酷い不協和音になり始めて。

 

 気付いたら、一人きりになって音楽を楽しもうとしても、森のどこにいても聞こえてくる同族(エルフ)達の音楽に、耳を塞ぎたくなってしまった。

 

 そして、こう願ってしまうことを止められなかった。

 

(あなた方の汚い心をボクに見せないでください!音にあなた方の醜い想いを乗せないでください!

 ボクに、その卑しい音楽を聞かせるんじゃない!)

 

 

 

 そんな思いが届いてしまったのだろうか。

 

 ある日の朝、突然、ボクの耳には鳥のさえずりも、家族の声さえも届くことはなくなってしまったことに気付いた。

 

 

 

 他の者の奏でるその(こころ)()が醜いと思って、自分の奏でる音楽こそが一番美しいと、最も音楽家にふさわしいと、思い込んでいたボクは。

 

 その実、同族(エルフ)達と同じように、プライドが高くて、他の者を見下すことばかりする、醜い心の持ち主だった。

 

 自分が嫌っていた同族(エルフ)の性質とは、自分は違う、自分は特別だ、そう思っていたボクの存在に、ボクは愕然とした。

 

 もしかしたら、耳が聞こえなくなってしまったのは、こんなボクに対する天罰だったのかもしれない。

 

 

 初めて耳が聞こえなくなったと分かったとき、ボクは混乱と失意、絶望、そして憤怒に心をグチャグチャにされた。

 

 もう、鳥の歌声は聞こえない。

 ハープの響かせる音色も、笛の紡ぐ韻も、幼い妹の鈴の転がるような愛らしい声も、全部、全部聞こえない。

 

 

 なぜ、ボクがこんな目に遭わなければならない?

 

 

 音楽を最も理解してあげられて、音楽を最も愛しているボクが、なぜ音楽と別れなければならない?

 

 

 音楽のなくなった世界で、ボクはどう生きていけばいいんだ?

 

 

 耳が聞こえなくなってしばらくは、家族とも顔を合わせず、周りから伝わってくる振動にびくびくと怯え、無音の世界に音を立てるために暴れた。

 

 

 耳の聞こえなくなったボクを、ボクの知り合いは嗤っていたようだった。

 ボクよりも才能のない者達が、ボクが耳の聞こえなくなったことを悲しみ、同情する振りをして、声が聞こえないのを良いことに、陰口を叩き、ボクを憐れみ見下していた。

 彼らの目には、どう客観的に見たって、良い捉え方をしようとしたって、嘲りの心が浮かんでいた。

 

 

「少しばかり音楽の才能があるというだけで我々を見下していた、その罰があたったんだ」

 

 毎日、同族達(あいつら)がそう言って哄笑(わら)う声が頭に響いていた。

 

 

 それなら。

 

 ボクが音楽の素晴らしさを世界に伝えてきてやる。

 

 才能の上に、恵まれたことにあぐらをかいているあなた方を見返してやる。

 

 ボクはもう、あなた方のように、他人を見下すための音楽は奏でない。

 

 

 

 ボクは、人の心も、神の心も感動させられる、誰かと音楽の幸せを共有出来る、世界一の音楽家になってやる!

 

 

 

 

 その思いに心を焦がされ、日に日にその思いは積み重なり、いつの間にか耐えられるものではなくなって、とうとうなんの躊躇いも先見もないまま故郷を飛び出してしまったのだった。

 

 

 そんな無謀で愚かだったボクに、世界は甘くはなかった。

 

 自分に酔っていたボクを殴り倒してでも止めに戻りたいと、夕日の沈む地平線を見ながら、土砂降りの中大きな木のうろで雨宿りしながら、霞む夜空を見上げながら、何度思ったことか。

 

 

 ようやく辿り着いたオラリオでも散々な目にあった。お腹が空いて満足に動くことも出来ず、長旅のせいで全身が薄汚れていたボクは、どこのファミリアの方にも拾ってもらえなかった。

 エルフにあるまじき、小汚い格好だったのだ。

 

「貧民街のガキが!」

 

「耳の聞こえない役立たずなんて要らねえよ」

 

「二度と来るな」

 

 心に刺さる、唇の動きを難なく読めるようになるくらいには、同じ言葉を掛けられた。

 おかげで読唇術が巧くなったということを考えれば悪いことばかりでもない、と前向きに考えてみたりしたのは、何件目かも分からないファミリア入団拒否を食らって裏口から叩き出されて、薄暗い路地裏に転がった時。

 あまり慰めにはならなかったけど。

 建物の屋根の間に覗く空が青くてきれいだった。

 

 まさか、エルフであったボクがこんな目に遭うとは、と思いかけて、慌てて心の中に浮かんだそれを打ち消す。

 エルフであることに必要以上の誇りを持ってしまっていたから、他の同族(エルフ)達はあのような音、傲慢極まりない音楽に行き着いてしまったのだ。

 

 例え泥水を啜ることになろうと、昔読んだ物語の中に出てくるような、英雄の行く手を阻む強大なモンスターの前に放り出されようと。

 

 ボクは、皆を幸せに出来る音楽家になる。

 そう決めたんだ。

 

 

 

 

 体の力を振り絞って、自分を受け入れてくれるファミリアを探し求め続けた。

 自分がオラリオで活動するためには、冒険者になってお金を稼ぐのが一番良い。

 

 ………まあ、ボクが冒険者に憧れていたっていうのもあるけど。

 

 兎にも角にも、ボクは、耳が聞こえなくても受け入れてくれるようなファミリアを探していた。

 でも、そんなに上手く行くわけでもなく。

 

 日がどっぷりと沈み、疲れ果てたボクは路地裏で見つけた、子供一人分くらいのスペースに体を埋めて、泥に沈むように眠った。

 

 翌朝も、何件かのファミリアを訪ねたけれど、すべて門前払い。

  

 流石に、少し心が折れそうになった。

 

 これでもう39件目。やっぱり、耳が聞こえないってことがかなりのマイナス要素になってしまったんだろうか。

 

 

 

 そんなボクに、それまでの努力が功を奏したのか、偶然か。

 恐らく後者だろうけど、それでもボクの行いは報われたんだ。

 

 

 お腹がペコペコで、身も心もボロボロな状態で、さまよい歩いた末にたどり着いたのは、オラリオの、とある噴水広場。

 

 ボクは、そこで、一柱の女神様と出会った。

 

 彼女は、噴水の(ふち)に静かに腰掛け、薄いベールで顔を隠し、手には彼女の麗しさに釣り合わないごく普通のハープを抱えていた。

 その神々しい雰囲気と佇まいには、彼女が女神様であることを否定する要素が一つたりともありはしなかった。

 

 彼女は、ボクと視線が合うと、おもむろに竪琴(ハープ)を構えて、弦をはじいた。

 

 ボクは、その瞬間、久しく聴いてなかった美しい音色が心の中に響くのを感じた。

 同族(エルフ)の音楽を自分の傲慢さから嫌悪し、ただひたすらに自分の音楽を追い求めていたボクには奏でられなかった音。

 それが、耳では聞いたことのないような音が、ボクの心の中に聞こえてきたのだ。

 

 女神様のお力なのか、それとも彼女の音楽への愛なのか。

 その真っ直ぐに純粋な音が、耳では聞こえなかった音が、疲れ果てていたボクの心を揺さぶった。

 

 

 その瞬間、ボクの見ていた世界が、急に色づき始めた。

 

 

 あらゆるところに音が転がっているのが分かった。

 それは、人の子の喜怒哀楽であり、噴水広場の女神様の歌う唄だった。

 それはまた、流れる雲の笑い声であり、道に落ちている石ころの嘆きであり、この迷宮都市(オラリオ)の雑踏に紛れる夢や希望だった。

 

 そして、目の前の女神様が与えてくださった、幸福を与えてくれる音楽だ。

 

 

(ああ)

 

 音の無くなっていたボクの世界に、音をくださったこの方こそが。

 

(この方の“音楽”を、学びたい)

 

 ボクの理想としていた、誰かに感動を与え、誰かを幸せに出来る音楽を。

 

 目の前に、それを奏でられる方が舞い降りたのだ。

 

 

 

 

 あなたの音楽を、ボクに教えてほしい。

 

 

 うまく自分の気持ちを言葉で表せないことをもどかしく思いながらも伝えた。

 

 全ての人に等しく感動を伝えられる音楽の素晴らしさを伝えたいという思いを。

 

 そんなボクを、ハトホル様は、

 

「とても素敵な思いなのです!」

 

と言って褒めてくださった。

 そして、

 

「音楽で感動するには、種族なんて関係ない!あなたに音楽を授けましょう!私は、音楽の神様ですから!」

 

 

(この方は、ボクの理想だ)

 

 彼女の言葉を、オラリオに来てから急速に上達した読唇術で一語半句も聞き漏らさない(見逃さない)ように、一生懸命に言葉を受け取った。

 

 そして、女神(ハトホル)様は、ボクを自分のファミリアに入れようと仰ってくださった。

 

 ボクは、寛大で、優しさの溢れるハトホル様のご神意に図らずも涙してしまった。

 

 

 

 

 そこまでは良かったんだけど。

 

 

 

 どうやら、目の前の方達は、ハトホル様がファミリアを立ち上げることに反対していらっしゃるらしい。

 

 理由は………大体が、ハトホル様が、そんな難しいことをするなんて信じられない!みたいな感じだった。

 

 

(ハトホル様は、とてもお優しいと思うんだけど………)

 

 うーん、ボクはまだ出会ったばかりの主神(ハトホル様)のことをよく知らないから、弁護のしようがない。

 もしかしたら、音楽以外のことには疎い方なのかもしれない。

 神様だって、得意なものとあまり得意でないものがあるのかもしれないし。

 

 

 

 そんなことを思っていたら、ハトホル様が何か仰ったことに反応した、防具に身を包んだ三人の冒険者らしき人達が、こんな言葉を発しているのが分かった。

 

「───耳が聞こえない?」

 

 それは、この街に来る前も、この街に来てからも散々見てきた唇の動き。

 

「そんなのが冒険者になれるはずがないでしょう!?」

 

 ボクを指差して言う。

 

「そういうことなら、あなたがファミリアを作らずとも我々のファミリアで保護すればいい!」

 

 …………その言葉は多分、耳が聞こえないのにもかかわらずになろうとしていることがいかに危険かを分かっているからこそ言ってくださっているのだろう。

 

「そうすればあなたも彼に音楽の手ほどきができるでしょう!」

 

 でも。

 それじゃダメなんだ。

 誰かに頼って音楽を作るのではダメなんだ。 

 

「そ、そうだぞ!俺はガネ「それじゃダメなんだ!!」

 

「!?」

 

 確かに、冒険者稼業は危険だ。

 迷宮(ダンジョン)にもぐれば、そこには常に死が隣にある。モンスター達の恐ろしさは、数々の冒険譚や英雄譚に語られ、吟遊詩人が唄う通りだ。

 そんな命の危険が伴うところに行きながら音楽を学び、研鑽を積んでいくのは至難の業だ。

 

「ボクは冒険者になって、自分でお金を稼いで、音楽も頑張って誰よりも(うま)くなって、世界一の音楽家の冒険者なるんだ!!そう決心したんだ!」 

 

 そう。

 

 どんなに危険で、どんなに無謀で、どんなに苦しくて、どんなに馬鹿げたことであっても。

 

 ボクは、世界中の人に音楽を届ける一人の音楽家であり、自分の夢を追いかける男なんだ。

 

 このオラリオに来たことは、その最初の一歩だ。

 道のりは険しかったけど、ここで満足していては、ダメなんだ。

 

 

 

 

 

 

「───私とハトホルで一つのファミリアを立ち上げれば良いんじゃないかしら?」

 

 この場に来た、一柱の女神の唇がそういう感じに動いた気がした。

 

 正直、ボクにはまだファミリアというものの仕組みがよく分かっていない。

 

 だって、ファミリアって、神様が自らの眷族にした下界の子供達の集まりなんだ。

 それを治めるのは主神と呼ばれる神様ただ一柱だったはずだ。ハトホル様の説明ではそんな感じだった。

 

 

「そこの子は、ハトホルが選んだ下界の子なんでしょ?なら、もうファミリアを作る条件は揃っているわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうファミリアを作る条件は揃っているわ」

 

 女神イシスは、下界に降りてきたばかりの神だった。

 天界に残った神々の、残された膨大な仕事から上手く逃げ出してここオラリオにやってきたのだ。

 

(しばらくはガネーシャのところでお世話になって、ゆっくり団員(ファミリア)の子を集めようと思ってたのだけど)

 

 ガネーシャ達の話を聞けば、ハトホルがファミリアを立ち上げようと奮起して、世話になっていた【ガネーシャ・ファミリア】に許しを得ようとしているらしい。

 

 ハトホルは天界からの旧知の仲、有り体に言って、友達だったから、彼女がどんな神なのかはよく知っていた。

 女神なのに、どこか抜けている。

 こと音楽に関しては、天界の神々でさえも彼女には遠く及ばないが、それ以外のことになるとてんで使い物にならない。

 

 全能であった天界の頃でさえ、「ハトホルになにかをやらせるなら自分でやれ」ということわざ───横着をすると余計に面倒くさいことになる、の意───があったほどなのだ。

 下界に来てからはそれがさらに酷くなっているであろうことは容易に想像がつく。

 ましてや、ファミリアの運営など、ガネーシャ達の心配するとおり、音楽神(ハトホル)にとってはかなりにが重い。というか、無理だ。

 それでも、それを自分で一番分かっているはずの彼女が頑なにファミリアを立ち上げると主張している。

 

 なら、話は簡単だ。

 

 友として、一柱の神として、彼女たちのファミリア立ち上げに協力すればいい。

 

「え!?私と一緒にファミリアをやってくれるんですか!?」

 

「うーん、ハトホル様以外の女神様が共同でファミリアの運営をしてくださるなら…………」

 

「それなら、いけます、かね?」

 

「大丈夫なんじゃないか?ハトホル様がずば抜けてアレなだけだって言うし、ハトホル様以外の神様なら信用できる」

 

「イシスと一緒なら、百人力です!イシスは頭良いですからね!一緒に頑張りましょう!」

 

「あ、ハトホル?あなたは何もしなくてもいいのよ?むしろ余計なことは何もしないで良いというか、何もして欲しくないわ」

 

「ひ、ひどっ!?」

 

 女神(ハトホル)が地に崩れ落ちた。彼女の駄目っぷりは、かなり信用の出来ることであることはよく分かる。

 

「そ、そんな!」

 

 それに異議を唱えたのは、ギルドの女性職員達だった。なぜか、イシスを案内した者の中には男性職員(・・・・)が一人もいなかった。

 

「困ります!ファミリアの主神は、通常ひとファミリアに一柱と決まったいるんです!」

 

「そんな前例のないことは、認められません!」

 

「他の神々がなんとおっしゃるか!」

 

「………いいんじゃないか?」

 

 そんな彼女達に口を開いたのは、いつもは「俺がガネーシャだ!」としか言わない神ガネーシャだった。

 

「ハトホルにまともなファミリアの運営が出来るとは到底思えん。イシスと一緒のファミリアにいても、主神が一柱であるのとそう変わりはしない」

 

「で、ですが………」

 

「大丈夫だ。他の神達(ヤツら)も納得するはずだ。俺が保証しよう。なぜなら、俺がガネーシャだからだ!」

 

「………分かりました」

 

 彼女達は、あまり納得できていない顔で頷いた。

 

「ですが、ギルドの方で審議して、主神が二柱というのが認められてから正式なファミリア創設としてください。団員の選定や恩恵(ステイタス)の管理などの取り決めはそちらでしていただいて構いませんので」

 

「ああ、ギルドって、ウラノスが管理しているのでしょう?それなら大丈夫よ」

 

 女神イシスが口を挟んだ。

 

「彼、昔ハトホルのドジで酷い目に遭ってるから、この子のドジに警戒して、私を彼女の監視に使おうとするはずよ」

 

「は、はあ」

 

 ギルド職員が微妙な顔で頷いた。

 

「……………なんだか、ファミリアを作れそうで嬉しいはずなのに、さっきからバカにされている気がしてあまり喜べないのはなんででしょうか?」

 

「気のせいじゃない?」

 

「……うーん」

 

 ハトホルは難しい顔をして、真剣に的外れなことを考え出した。

 

 

 

(そんなに難しいことだろうか?)

 

 下界の子供であるギルド職員が心の中で首をひねり、

 

 

(この子には少し難しすぎたわね。これから『ハトホルにも分かるファミリア入門編』を作らなきゃいけないわね) 

 

 女神イシスがこれからすべきことに憂鬱な気分になり、

 

 

(俺は、ガネーシャだ………ガネーシャなんだ)

 

 誰にも自分の主張を聴いてもらえなかった男神(ガネーシャ)が心の中で大切なことを二回言った。

 

 

 






いかがでしたでしょうか?

眠いので二度寝します、おやすみなさい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。