数多に枝分かれする分岐する世界
居ない筈の彼女が存在し
死んだ筈の彼女が生きていて
愛されなかった彼女が愛されている
そんな都合が良い話し
世界は1つでは無い、数多の時空世界が存在し、それぞれの歴史を歩んでいる
我々も、その数多の一つー
「ヒカリ? 何を書いているの?」
「課題です、お母様」
お茶を持って現れた母親に、私は答える
「そう? お茶にしない?」
「はい」
作文用紙をファイルに移しテーブルの上を綺麗にする
お母様は、モンブランと紅茶を目の前に置いてくれた
「これはモンブラン」
「貴女、好きでしょう?」
ニコニコと、私を見つめる
「はい」
「ところで、何の課題?」
首を傾げるお母様に、私は言う
「作文ですが?」
「誰に書けって言われたの?」
「学校の課題です」
私は義務教育課程中なのだから
「? 貴女、学校行ってないじゃない」
「はい、通信教育ですから」
「家庭教師、グンジョウに頼んでたんだけれど・・・」
はふぅ、とお母様は溜息をついた
「通信教育の課題は提出すれば、家庭教師も無駄じゃないと思います」
それはそうと、お母様は私が勉強をしているのを見ていた筈ですが
「そう? そうね、うん」
ウンウン頷いている お母様の背後で、内線の電話が鳴った
「あら?」
電話を取った お母様は、数度会話をした後、電話を切る
「どうされました?」
モンブランに舌鼓を打ちながら、お母様に尋ねる
「艦長がお呼びよ、ヒカリ♪」
ニコリと、お母様は笑った
「私は悪さしていませんが、なんでしょう?」
「それは艦長に聞いてね?」
「分かりました」
モンブランを食べ終わり、私は送り出される
「なんでしょう?」
首を傾げつつ艦橋に入る
「失礼します」
「あぁ、来たか」
椅子を回し、艦長は私を視認する
「何用でしょうか?ナズナ艦長、私は悪事を働いていませんが?」
「お前の悪さは、ナツキが制裁しているから不問にしている。まぁ、お前が悪さするたびに、ナツキが減給されているわけなんだがな」
にこやかに、物騒な事を言う艦長
「正気ですか?・・・頑張って働きましょう、そうしましょう」
とは言え高々9歳の小娘に出来る事は限られていますが
「というわけで、任務だヒカリ。フェイトと共にジュエルシードを捕獲しろ」
「ロストロギアですか?情報を下さい」
艦長はメインフレームで説明してくれる
「ジュエルシード、ロストロギア認定されたものだ。ある一族が発掘調査していたのだが、管理外世界『地球』に落としてしまったらしい。今、管理局が血眼で探している」
「そして管理局よりコチラが即応の距離に居る、と」
いつもの事だけど、誰からの情報なんだろうか?
「そういう事だ。フェイトは先に行っている」
「・・・は?え?本当ですか?」
大人しい性格で口下手なフェイトを先行させた?確かに此の艦で最速ですが
「本当だ。フェイトは、その・・・仕事に真面目でな。この話をした瞬間、私が行くと言って聞かなくてな・・・」
「委細承知しました、直ぐ追います」
踵を返し自室へ早足で戻る
「あ、ヒカリ。お帰りなさい」
「緊急出動で、直ぐに出る事になりました」
肩掛けの小振りなボストンバッグへ必要な物だけ詰めて言う
「そうなの、気をつけて行ってらっしゃい」
「いってきます、あ、アリシアに説明をお願いします。十中八九、不機嫌になるでしょうから」
フェイトの姉のアリシアの事を口にする
「そうね、フェイトちゃんがいないとアリシアちゃん、拗ねちゃうし」
「ふふふ」
アリシアの妹愛は凄まじいですからね
プレシアさんの遺伝でしょう、うん
「あたしも、貴女がいないと寂しいからね。怪我しないて帰ってきてね?」
そう言い、お母様は私を抱きしめる
「善処します」
抱き締め返し頷く
「転移室まで送って行くわ。行きましょう?」
私とお母様は手を繋いで、転移室まで歩いていく
その途中、お父様に会う
「あ、お父様。今から任務に行ってきます」
「あぁ、気を付けてな」
チラッと、お父様は お母様を見る
「後で仕事について話が…」
「わかったわ。会議室で待ってて」
ニコリと笑う お母様の笑顔が、少し怖かった気がするのは何ででしょう?
まぁ触らぬ神のナントヤラとも言いますし、考えない事にしましょう
そんな訳で長距離転移用の魔法陣に乗り
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
長距離転移で、直ぐ地球に着く
「うっぷ・・・」
長距離転移は苦手だ、船酔いしたみたいになってしまう
「さてと・・・アチラですね」
ボストンバッグを掛け直しフェイトの根城へ向かう
ナツキside
あの子を笑顔で見送った後、あたしはため息をつく
まさか、あそこでシンクと会うとは
あたし、ちゃんと笑えていたかしら?
「はぁ・・・」
転送室から出ると、肩で息をしているアリシアちゃんがいた
「あれ? アリシアちゃん。どうかしたの?」
「ヒカリ、もう行っちゃった!?」
必死な目で、あたしを見つめるアリシアちゃんに、あたしは頷く
「えぇ」
「むーっ! 私も行きたかったのにー!!」
地団駄を踏む彼女へ、あたしは聞く
「艦長に許可とったの?」
「・・・とってない」
むすっとした顔で言うアリシアちゃんへ、諭すように言った
「無断での長距離転移装置使用は、厳罰に処される事、アリシアちゃん知ってるよね? なんでだかわかる?」
「わかんない・・・」
あたしは屈んで彼女を見つめる
「夢闇に使うと、敵対組織に位置を感づかれるから。あたし達は、言うなれば管理局と同位置に所属している。だけど、規模はあちらより小さい。アリシアちゃんはもう大人だから、意味はわかるよね?」
こくん、と今度は頷いてくれた
「じゃあ、フェイトちゃんが帰ってきた時。精一杯笑顔で出迎えましょう? そうすれば、フェイトちゃんも嬉しいから」
「うん。わかった、先生!」
アリシアちゃんは笑顔になり、走り出すとあたしに手を振ってくる
それへ振り返し、あたしは会議室に向かった
「シンク、来たわよ…って」
入った途端、壁ドンされてしまう
「ちょ、シンク?」
「ナツキ…」
熱い吐息で名前を呼ばれ、あたしは悟る
やばい、こいつ…溜まってやがる…
お尻を触られ、首筋に吸い付かれたところで、あたしは鳩尾に拳を叩き込んだ
「ぐはっ!?」
「盛んじゃないわよ、みっともない。今何時だと思ってんのよ」
バキバキと指を鳴らすと、あたしの旦那はマッタをかけて来る
「待て、落ち着け、話し合おう!」
「話す余地なし!」
取り敢えず、あたしの気が済むまで旦那をボコり続けた
ナツキside end
本作を御覧に頂き感謝致します
本作の本筋は劇場版を据える予定です
皆様の御期待に添える様、頑張ります