(・∀・)うー☆
パチュリーと別れたあとは、美鈴の所へ。
そしていつかのように、慰めてもらったりのんびりお話をしたりとゆったりした時間を過ごした。うむ、やはり美鈴は良い奴だ。俺の周りは暴力的な女の子ばかりだから、美鈴みたく優しい女の子は貴重なんです。
お嫁さんにするのなら、やはり美鈴みたく優しい女の子が一番か。
そうやってのんびりとした時を過ごしているうちに、太陽は西の空へと沈んでいった。また暗い世界がやって来る。それはつまり、吸血鬼の支配する時間の始まり。
暫くすればフランドールやレミリアも目を覚ますだろう。レミリアとの愛を育むことも大切なことだが、今はそれよりもフランドールをなんとかしないとだよなぁ。とは言っても何をすれば良いのかが全くわからん。
まぁ、例え記憶が戻らなくともそれはそれで良いのかな。フランドールがどう思っているのかはわからんが、俺に関する記憶が戻ったところで……
そんなことを考えてしまうのは俺の悪い性格のせいだろうか。
馬鹿なことばかりしかしないけれど、臆病者なんです。
――――――――
「どこへ行っていたの?」
あの薄暗い階段を下り、フランドールの部屋へ戻るとまずそんな声をかけられた。
あら、もう起きていたのか。随分と早起きなんだな。
「ちょっと上にいる奴らへ挨拶しに行ってたんだよ」
「……皆は青のこと覚えてた?」
そう言ってフランドールはまた不安そうな顔をした。
う~ん、やっぱり笑ってくれた方が俺的には嬉しんだが……それは難しいか。
「まぁ、そうだな。レミリアとはまだ会っていないけど、思い出してくれた奴もいたよ」
パチュリーは覚えていたわけではないらしいが、覚えていたのとほとんど変わらないだろう。
「そっか……」
ああ、もう。またそんな顔して……どうにかしてあげたいが、どうにもならない。なんだろうか、このもどかしい感情は。
これならまだ昔みたく、笑いながら殺されていた方が俺の気持ちは楽だ。まぁ、あの時もあの時で辛いものはあったんだけどさ。200年以上もかかったんだ、それは決して楽なことではなかった。
「なぁ、フランドール。お前の記憶が戻ろうが戻らなかろうが、俺は別にお前を嫌いになったりなんてしない。だからさ、そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だよ」
例えお前が記憶が戻らずまた壁を作ったとしても、心の底から愛すことくらいはできる。それくらいしかできないってだけかもしれんが。
「……どうして青は私にそこまでしてくれるの?」
んなもん決まってる。
――お前が可愛い女の子だったから。
フランドールの言葉にそう返そうとした時だった。
あの重苦しい扉が開いた。
「ちょっと良いかしら?」
そんな言葉を落とし、扉を開けて入ってきたのは此処紅魔館の主レミリアだった。そう言えば、結局異変の方はどうなったんだ?
「其処の人間と話をしたいから、借りていくわね」
また人のことを物みたいに言ってくれるじゃあないか。まぁ、レミリアにとっては人間なんてその程度の扱いなんだろう。妖怪最強種である吸血鬼と人間にはそれほどの差がある。
それほどの差があるからこそ燃えるのだが。一目見る前から好きでした。結婚してください。
「了解。んじゃあ、俺はちょっとレミリアとお話してくるわ」
さてさて、どんなお話なんだろうね? どの道、レミリアとは会っておきたかったのだしちょうど良い。ただ、あの時と違い今度はお茶のお誘いではなさそうだ。
デートのお誘いとかだったら嬉しいんだけどなぁ……
フランドールの部屋を出て、レミリアの後をついて行く。その間、レミリアと言葉を交わすことはなかった。何をお話するのかはわからないが、フランドールの前では話すことのできない内容なのだろう。
そして、俺が初めて紅魔館へ訪れた時に出てきたあの部屋へ辿り着いた。
「貴方は誰?」
俺にとっては違うが、レミリアにとって俺は初対面の相手。どうにもこの感覚は慣れない。
そして、どうにも雰囲気が重いじゃないか。これじゃあ、まるで俺が初めて此処へ訪れた時のようだ。
「青。人間」
本当は『君の婚約者だよ』とか言いたかったが、殺されそうだからやめておいた。自分の欲望を抑え、空気を読まなければいけない場面もあるのだ。
これでもレミリアよりは長い時を過ごしてきた。その時間の中で学んだこともある。人間とは学習するものだ。
「人間、ねぇ。……他に言うことはないの?」
「君の婚約者だよ」
ぶん殴られた。
洒落にならん威力で。流石は吸血鬼とでも言うべきか。
「また巫山戯たら、今度は全力で殴る」
ご褒美です。
まぁ、これ以上いちゃいちゃしていても話が進まないから真面目にやるが。それに、あまり嘘をつくのも良いことではない。
「もうずっと前……紅魔館が幻想郷へ来る前、数百年ほど此処に住んでいたんだよ」
あの頃はまだパチュリーもいなかったんだよなぁ。
ああ、そう言えば美鈴はどうだったのだろうか? もしかしたら、俺が此処へ訪れた時にはもう居たのかもしれない。
「そう……貴方がフランを?」
「壁を壊したのはフランドール自身。俺はそれを少し手伝っただけ」
威張れるようなことは何もしていない。俺はただ、200年ほど可愛い女の子と部屋の中、二人きりで過ごしていただけだ。まぁだからと言って、何もしなかったと言うことはしないが。
責任を取って結婚するくらいの覚悟はある。むしろ責任を取らせてくれ。一生大切にします。妹さんを俺にください。
「私は貴方のことなんて何も覚えていないわ。でも、貴方のしたことがどれほどのことかは理解できる。……ねぇ、青」
「うん?」
「どうして貴方はフランのために其処までしてくれたの?」
それはフランドールが聞いてきた問いと同じものだった。
やっぱり姉妹なんだなってレミリアに気づかれないよう静かに笑った。つまるところ、レミリアがフランドールのことをそれだけ考えていると言うことだろう。
うむ、良い姉妹じゃあないか。フランドールが壁を作ってしまったせいで離れてしまった時間は長いが、きっと大丈夫。それくらいなら直ぐに追いつける。
さてさて、どうやって応えたものか。
ぶっちゃけてしまえば課題のためだ。しかし、それだけなら無理矢理でもフランドールを外へ連れ出せば良かった。
じゃあ何故それをしなかったのか。
そうなるとやはり答えは一つしかない。
「フランドールが可愛い女の子だったから、かな」
それだけは確かなことだ。
「……巫山戯ているの?」
「大真面目だよ」
いつだって俺の物語の中心は君たち可愛い女の子だ。これからもそれを変えることはない。
いくら馬鹿だと罵られようが、いくら変態と蔑まれようがこの生き方を変えはしない。
俺の本心を探るかのように、此方を睨みつけるレミリア。ただ俺の背の方が高いため、上目遣いに見えなくもない。これは興奮する。
できればその視線のまま『お兄ちゃん』と呼んでくれないだろうか。そんなことを頼める雰囲気ではないが。
はぁ――とレミリアのため息が聞こえた。
「なるほどねぇ……貴方が何を考えているのか私にはわからないけれど、貴方がどう言う人間なのかはわかったわ。それで貴方はこれからどうするの?」
どうするか、か。
ん~……どうすりゃ良いんだろうな。一度家へ帰らなければいけないし、フランドールやレミリアの記憶だって戻したい。やりたいことや、やらなければいけないことが多過ぎる。何から手をつけて良いのかもわからない。
難しいよね。人生って。
「そうだなぁ……とりあえず一度家へ帰らないとかな」
ルーミアが俺の帰りを楽しみにしていてくれるはずだ。
こんなことになるとは思っていなかったからなぁ。本当は異変が終わったら帰るつもりだったんだ。時間ならまだ沢山ある。それに記憶の方は焦っても何かができるわけじゃない。
「また来てくれるかしら?」
「もちろん。今度はちゃんと約束できる。また帰ってくるって」
前回の約束だって結果的に守ることはできたが、正直守れるとは思っていなかった。でも今回は違う。今度は約束を守ることができる。
「そう。それならいつでも来なさいな。あと帰るときはちゃんとフランに声をかけて行きなさいよ」
「ああ、わかっているよ」
流石に何も言わずに出ていくことはしないさ。もしかしたらあの時みたく、キスをしてくれるかもしれないしな。
「……私は貴方のことを覚えていない」
レミリアに別れを告げ、フランドールの部屋を戻ろうとした時そんな言葉をかけられた。
いや、うん、それはさっき聞いたんだが……
「それでも、一応言っておくわ」
――おかえり。
……うん、ただいま。
そして、行ってきます。
レミリアさんの攻略はまた今度
と、言うことで第9話でした
これでこの作品も話数が二桁ですね
気にせずのんびりいかせていただきます
次話はそろそろ紅魔館から出てもらいたいところです
きっとルーミアさんだってお腹を空かせているはずですし
では、次話でお会いしましょう