東方想拾記   作:puc119

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第3話~興奮します~

 

 

 美鈴と別れ、綺麗に手入れされた庭を抜け、紅魔館の中へ。

 

 う~ん、紅魔館の中へ入ることができたのは良いが……美鈴は記憶が戻ってくれたってことで良いのか? 流石にそれは違うか。ルーミアの時は10年近くかかったのだし。

 いや、でも“おかえり”って言ってくれたんだよなぁ。

 

 美鈴とは仲は良い方であったけれど、話しをする機会はそれほどなかった。その辺りのことが関係しているのか? 関わる機会が多ければ多いほど、記憶が戻るのに時間がかかるとか……

 まぁ、考えてもわからないか。それに、今日だけで戻ると思っていなかった物が戻ってきたのだ。それだけで充分だろう。

 

 重苦しい扉を開けた先。紅魔館の中は相変わらず目に悪い色をしていた。

 

「変わってないなぁ」

 

 そんな独り言とともに、小さく笑が溢れる。

 さて、次はどうしようか。久しぶりに帰ってきたんだ。できれば全員と会っておきたいところではあるが……

 ま、フラフラ歩いていれば咲夜くらいとなら会うことはできるだろう。咲夜には是非またあの蔑んだ目をしながら罵ってもらいたい。ナイフでチクチクしてもらえればなお良い。

 

 そしてフランドールのいる地下室を目指しフラフラ歩いていると、大量の妖精メイドが現れた。

 あら、随分と沢山いるじゃないか。きっと俺のいない間に雇ったんだな。何と言うか感慨深い物がある。まぁ、俺がいなくなったところで世界が止まるわけではないのだから、それもおかしなことではないが。

 

 さて、この大量の妖精たちが何の目的もなく現れたとは思わない。

 客観的に見て、明らかに俺は侵入者。

 

 つまり――

 

「まぁ、こうなるわな」

 

 妖精メイドたちが一斉に妖弾を放ってきた。それは数による暴力。たまったものじゃない。

 

 正直、流石の俺でも妖精ごときに負けるほど弱くないが……いくら妖精と言っても相手は可愛い女の子だ。そんな可愛い女の子に暴力なんてできるはずもなく、逃げることに。

 

 しかし、アレだな。

 こう……可愛い女の子たちに追いかけられると言うのも、なかなか良いじゃないか。今まで可愛い女の子を追いかけ回すことはあったが、追いかけられることは初めて。

 そんなんだから自然に顔がにやけてくる。

 ヤバい、超楽しい。

 

 そんなことを考えていたら、後頭部に妖弾が直撃した。

 

 あっ、これヤベーわ。なんて思ったが、身体は言うことを聞かず、見事にその場へ倒れ込んだ。

 そして放たれる大量の妖弾。マジ容赦ない。

 

 暫くの間そうやって妖精たちの妖弾を喰らっていたが、それも直ぐに止まった。顔を上げると俺を取り囲むように立っている妖精メイドたち。

 着ている服がロングスカートなせいでその中を見ることはできなかった。どうなってんだメイド長は、ミニスカートだったじゃねーか。見習えよ。

 

 うむ。やはりアレだ。こう……可愛い女の子に囲まれると――興奮する。

 

 流石は幻想郷だ。いくら妖精だろうがその容姿は抜群。超カワイイ。

 少しばかり幼いところもあるが、安心してくれ。そんな君たちだろうと、俺は心から愛してあげることができる。

 

 俺を囲むように立つ。沢山の妖精メイド。

 

 ……良い、よね。

 

 これだけ沢山いるのだし、一匹くらいもらっても……良いよね?

 

 うん……よし、決めた。一匹いただこう。

 

 霊力を強化。

 もう手加減はしない。

 

 そう俺が決めた瞬間、何かを感じ取ってしまったのか、妖精メイドたちは一斉に逃げ出した。まぁ、絶対に逃がさないが。

 

 

 さて……どの子を連れて帰ろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 今回の異変は――何かおかしい。

 

 いや、おかしいから異変なのだけどそうではなくて、こう……おかしいことが一つじゃないと言うか……

 真夏なのに凍りついてしまった湖も、結局その原因はわからなかった。

 

『あたいがやったんだよ!』

 

 とか言ってる奴がいたけれど、アイツではない。だって滅茶苦茶弱かったし。

 突然赤い霧が発生したからこの異変は起きた。でも、それだけじゃない。何かがある。たぶんその何かがあの湖を凍らせたんだと思うけど……う~ん、考えてもわからない。

 

「それで? この霧を出してる奴はあんた?」

「だから、私じゃないって言ってるじゃないですかぁ……」

 

 今し方倒した奴に聞いてみたが、まぁ、そうでしょうね。

 と、なると犯人はやっぱりこの赤い建物の中にいそうだ。

 

 全く、何を思ってこんなことをしているのか……

 ま、いっか。そんな理由もわからないけれど、やることは決まっている。いつものようにただ倒すだけだ。色々と引っかかることはあるけれど、うだうだ考えるのは性に合わない。私はいつも通りやらせてもらおう。

 

 

 

 門番らしき奴を倒してその赤い建物の中へ。

 

 そしてその建物へ入ると――

 

 涙目で逃げ回る妖精を追いかけ回す“アイツ”がいた。

 

 

「ふふっ、待て待てー」

 

 …………なんだろう。

 こんなこと初めてだからどうして良いのか全くわからない。異変が起きると、妖精たちはその空気に当てられて凶暴になる。だから妖精に襲われるのだけど……

 その妖精を襲っている奴は初めて見た。

 

 できれば何も見なかったことにして、この場から立ち去りたい。さっさと異変を解決して帰りたい。

 けれども、これはそうもいかなそうだ。博麗の巫女である前に、異変を解決する前に、やらなければいけないことが一つできてしまったから。

 人として外せないこともある。

 

 

「……霊符『夢想封印』」

 

 

 だから私は、全力でアイツへ打ち込んだ。

 

 

 霊弾が直撃、炸裂して倒れこんだアイツ。

 さて、コレはどうしようか。コレと妖精の間に何があったのかはわからないけれど、たぶんコイツがいけない。初めて会った時からおかしな奴だと思っていた。でも流石にコレはヤバい。

 こんなことならあの時、退治しておけば良かった。そっちの方が絶対に幻想郷のためになる。

 

 

「な、なにがあったんだよ……」

 

 

 むくりとアイツが起き上がった。全力で打ち込んだはずなのに何故動ける。

 コイツって人間じゃ、ないの?

 

「うん? ああ、なんだ霊夢だったのか。最初に言っておくけど、この霧を出しているのは俺じゃないぞ」

 

 うっわ、話しかけてきたよ。勘弁して欲しい。

 どうしようか……もう一度、夢想封印をぶち込んで倒しておいた方が良いのかしら?

 

「ああ、そうだ。なぁ霊夢」

「……なによ?」

 

 まぁ、流石にそれはやめておこう。ちょっと怪しいけどコイツは人間かもしれない。そんなやつ相手にポンポン放つことはできないのだから。いくら私でも抑えることくらいはできる。

 

「ちょっとさ、両手を上へ挙げてみてくれないか? こう、万歳するみたいに」

「?」

 

 何がしたいのか全くわからなかったけれど、とりあえずソイツに言われた通り、両腕を上へ挙げてみる。

 

 

「うむ! 良い脇だ!!」

 

 

 全力でぶん殴った。

 

 いや、流石にこれは許して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 ちょっとお願いをしたらぶん殴られた。

 でも良いさ。殴られた以上に価値のあるものを見ることができたのだから。それに霊夢みたく可愛い女の子に殴られるのはご褒美でしかない。其処に愛があれば嬉しいし、なくとも興奮する。

 

 それにしても随分とせっかちさんじゃないか。ほとんど初対面と言って良いのに、夢想封印され、ぶん殴られるとは……てか、見られるの嫌なら脇、隠せば良いじゃん。

 はぁ、好感度下がってなきゃ良いけど。霊夢に嫌われてしまったとなると泣ける。

 

 殴られた頬を抑えながら霊夢に尋ねる。

 

「霊夢はやっぱり異変を解決しに来たってことで良いのか?」

「うっさい、死ね」

 

 ああ、ダメだ。

 このパターン知ってるわ。話聞いてくれないやつだ。どうしてこうなってしまったのか、全く想像がつかない。

 明らかに霊夢の目の色がおかしい。これが噂のヤンデレってやつだろう。

 ヤンデレ、ねぇ……ま、俺にはそんなこと関係ないが。

 

「大丈夫、安心して欲しい。そんな霊夢でも心から愛してあげ――」

 

 ぶん殴られました。

 

 俺の周りには暴力系ヒロインが多すぎると思うんだ。

 

 

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