「そう言えば、青の隣にいるのは誰よ? 初めて見る顔だけど」
咲夜とレミリアが加わりパーティーは4人に。熊畜生と俺じゃあ目的地へなどたどり着ける気がしなかったから、この出会いはなかなかに助かる。それにコイツとずっと二人きりとか恐怖しか感じない。俺のメンタルは既にボロボロだ。まぁ、この二人と合流できたことで、そのメンタルも直ぐに回復してくれるが。
そして、4人で永遠亭を目指していると、レミリアがそんなことを聞いてきた。レミリアとこの畜生が会うのはこれが初めて。そりゃあ疑問にくらい思うだろう。
「ああ、コイツはただの居候だよ」
ホント、なんでコイツって復活したんだろうな? 俺は確かにコイツを殺したし、アレで全部終わったと思っていたんだが……映姫ならその理由も分かったりするだろうか。
いくらコイツの見た目が可愛らしい少女だとしても、その中身が中身のせいでどうしても色々と考えてしまう。だって、俺はコイツに何万回も殺されているんだ。好意を向けられる嬉しさよりも恐怖が勝る。熊怖いよ、熊。
「居候ねぇ……」
何かを言いたげな表情のレミリア。
……自分のことだが、コイツとの関係はそれなりに複雑だったりするせいで俺もよく分かっていない。どうして少女になったのかも分からんが、コイツが今此処にいるのは全て俺のせいだ。だから、まぁ……世話くらいはちゃんとするけれどさ。ただ、どう扱えば良いのか俺も分からない。
そもそもコイツはどうしたいのだろうか。以前ソレを聞いたときは、今のままで良いとかなんとか言っていたが。
そして、何より俺はコイツをどうしたいんだろうな?
答えはきっと簡単なはず。けれども、いろんなことが混ざり合ってしまっているせいで、そんな簡単な答えさえ出すことができない。
ホント、困ったものだよ。
その後も妖精やらの攻撃を躱しつつ、レミリアを先頭にして目的地を目指した。
しっかし、この竹林は広いな。景色も全然変わらないし、もしかして同じ場所をグルグル回っていたりするのか? なんて思い始めたとき、少し遠くの場所で光のような何かが見えた。多分だが、誰かが弾幕ごっこをしているのだろう。そうだとしたら、あの光っている場所に永遠亭があったりするのだろうか。
「誰かいるみたいですね」
「そうね。まぁ、誰だろうと倒すだけよ」
そんな紅魔コンビの会話。異変の解決ってことでなかなかに張り切っているらしい。
んで、俺は……どうしようか。弾幕ごっこをするつもりはないが、この畜生の弾幕ごっこと言うのも一度見てみたいんだよなぁ。てか、一回見ておかないと不安で仕方無い。
弾幕ごっこをしているらしき奴らを見つけてから、その場所へスピードを上げ一気に向かう。
はてさて、誰が戦っているのやら。
「ほらほら、妖夢。頑張らないと負けちゃうわよー」
「そ、そう言うのなら幽々子様も手伝っ……ああ、もう! 人符『現世斬』」
まず最初に見えたのは冥界コンビの幽々子と妖夢。それはこの異変で最初にであった二人だが、漸く追いついたらしい。
そして、妖夢が戦っている相手は……
「霊符『夢想妙珠』」
幻想郷の素敵な巫女。自由奔放な人間。俺のお嫁さん。八百万の代弁者。絶対的主人公――博麗霊夢だった。
さらに、よくよく見れば霊夢の後ろの方にスキマから身体を半分ほど出している紫の姿。
つまり、これで自機組全員と会ったことになる。正確に言うと詠唱組の姿は見ていないが、あの二人が動いているのは確か。なかなかに愉快な夜だ。
「……お嬢様、私たちはどうしますか?」
「そんなの決まっているでしょ。さっさと倒せば良いだけ。あの巫女には以前の借りもあるのだし」
そんな会話をすると、咲夜も妖夢と霊夢の弾幕ごっこの中へ飛び込んでいった。
それは可憐な少女たちの弾幕ごっこ。俺みたいな野郎には似合わない。だから、見守っているくらいしかできないが……今ならスカートの中身とか見えそうなんだよなぁ。それにあの少女たちは弾幕ごっこに夢中なはず。俺があの中へ飛び込んでいけば1対3となり、ボコボコにされるのは目に見えているが、それはそれで興奮するし、下着を見ることができればお釣りは十分。
うむ、これでやることは決まった。
目を閉じ一度、静かにゆっくりと呼吸。霊力を強化し、準備は完了。もう止まる必要なんてない。全力で行かせてもらおうか。
そして、下着を見るために激しい弾幕の中へ飛び込んでいこうとした時だった。
「……こんばんは。青」
遠くにいたはずの紫が目の前へ急に現れてから、そんな言葉を落とした。
なんですか? もう。俺も紫のことは大好きだし、結婚しても良いけれど、今はちょっと別の用事があるから告白をするのはもう少し後だと嬉しいんだが。
「ああ、こんばんは。んで、どうしたのさ」
あっ、マズイ。集中砲火されてる妖夢がもう落ちそうだ。多分霊夢はドロワだし、今までの経験的に咲夜はスカートの中身をなかなか見せてくれない。だから、下着を見ることのできるチャンスが一番あるのは妖夢なんだ。つまり、時間がない。
「ねぇ、青。私が言いたいこと……わかるわよね?」
「もちろん。俺も愛しているよ紫」
ぶん殴られた。
畜生、時間が、時間がない……あっ、妖夢が落ちた。1パンツ減ってしまった。
い、いや、まだだ。もしかしたら今日は霊夢もドロワじゃないかもしれないし、咲夜だってあの霊夢が相手ならスカートを気にしている余裕だってないはず。大丈夫、希望はまだ残っている。
光はまだ消えちゃいない。
「巫山戯ないで」
「俺は何時だって真剣だよ」
君たち可愛い女の子相手に真剣じゃなかった時など一度もない。常に全身全霊を持って君たちと接している。そうやって生きてきた。その考えを変えるつもりもない。これからもそうやって生きていく。
「はぁ……どうして連れてきたのよ。貴方が一番分かっているはずでしょ?」
チラリとあの畜生へ視線を移してから、紫はそう言った。
うん、まぁ、紫には何か言われるだろうと思っていた。紫は畜生がこの姿になる前のことも知っていて、その強さも理解しているのだから。
「悪いな。ただ、何かあっても俺が止め……るのはちょっと無理かもしれんが、まず大丈夫なはず。それに、コイツだって成長してもらわないとこれから困るだろ?」
そう言ってから畜生を見ると、こてりと首を傾げられた。頼むからおとなしくしていろよ。
「それはそうだけど、もう少し時期を選びなさいよ。異変に連れてくるって貴方……」
はい、おっしゃる通りで。何も言い返せません。
「……コイツとはさ。約束したんだ」
ポンっと畜生の頭へ手を置いてから言葉を落としてみる。
「コイツが色々と危ない奴だってことは嫌になるくらい分かっている。でも、コイツが約束を破るような奴でもないってことも分かっているよ」
信頼している……とはまた違うが、あの約束をコイツが破ることはないと信じている。
もう200年以上も前のこととなってしまったが、あの時だってコイツは俺の言ったことを守り続けた。
――きっと近い未来でちゃんとお前を殺してやる。だから、もう少しだけ此処でおとなしくしててくれ
そんなことを言ってからコイツの所へ行ったのは、それから200年も先のこと。しかし、コイツはずっとずっと俺を待ち続けた。その時、この畜生が何を考えていたのか知らん。
ただ、俺があの時そう言ったからコイツは待ち続けていたってことは確かだと思う。
信頼はしていない。けれども、コイツのことは信用している。
信頼と信用。どっちが大切かなんて知らない。でも、今はこんななんともあやふやな関係で良いと思っている。
「……そう。青がそう言うなら私もその言葉を信じるわ」
紫はそう言ってからスキマの中へ消えていった。
……それなりには信頼されているのかな? そうだと嬉しいが。
さて、それよりも今はパンツだ。これで邪魔する奴は……うん?
飛び立とうとした時、チリリと何だか嫌な予感がし、自分の後ろへ霊力を込めた氷の厚い壁を創造。その瞬間――眩しい光が広がった。
その眩しい光の正体は極太のレーザーで、そのレーザーが創り出した氷の壁へ直撃。数秒ほどレーザーは当たり続け、ソレによって砕けた氷が宙を舞い、光を反射して輝いた。
ふむ、どうやら詠唱組も到着したらしい。
これで物語を進めるための役者は全員揃った。
この異変の解決まであと少し。
登場人物が多くなかなか進みませんね
と、言うことで第37話でした
ようやっと役者が揃ったのでお話が進んでくれそうです
さてさて、そこへクマさんとアイツをどう絡ませましょうか
では、次話でお会いしましょう