東方想拾記   作:puc119

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閑話です
本編とは関係ありませんので飛ばしてもらっても問題ありません

また、メタい発言が非常に多いです
クマさんと主人公がおしゃべりしているだけのお話となります
それでもよろしければどうぞ




第閑話~クマさんとおしゃべり~

 

 

 季節は秋、真っ只中。色づいた葉々は見事で、4つある季節の中では今が一番色鮮やかな季節なんじゃないだろうか。

 

「……ごちそうさま」

 

 時刻は夜。秋空を見上げれば少しばかり欠けた月が浮かんでいた。あの偽物の月が浮かぶ異変も終え、これから暫くは異変のない平和な日々が続くことだろう。

 異変がないと言うことは、あの幻想郷の少女たちと会う理由が減ってしまうと言うことに繋がるが、まぁ、今ばかりはゆっくりさせてもらおう。それにこの狭い幻想郷、会いに行こうと思えばいくらでも会うことはできるのだから。

 

 さて、そろそろ今の状況を説明した方が良さそうだ。

 とは言え、別に特別なことはない。ただいつも通り俺が熊畜生にむしゃむしゃされただけだ。この熊畜生は冬の間眠ってしまう。そのため、この冬の前の季節である秋は、冬眠に向けてか畜生の食べる量も増える。食われる俺にとって堪ったものじゃないが。

 

 それにしても……

 

「なんで今日のお前、そんなに不機嫌なの?」

 

 コイツの表情変化は乏しい。昔よりは大分表情豊かになっている気もするが、だいたい何考えてるのか分からん奴だ。そうだと言うのに、今日は明らかに不機嫌です。と言った表情。

 どうして不機嫌なのかは知らんが、ソレの感情を向けられる俺としては勘弁してもらいたいところだ。

 

「……ぽっと出の神だかなんだか知らないけど、あのちんちくりんの作品、私の作品より人気が出てる」

「おいやめろバカ」

 

 えっ? なんですか? 今回はそう言うお話なんですか? また本編進まないんですか?

 

「お気に入り数は抜かれるし、平均評価は高いし、ランキングにも乗るし、神様可愛いとか言われて羨ましいし……私が活躍する東方拾憶録もよろしくね」

 

 お願い、ホント待って! それにほら、UA数や感想数なら勝ってるじゃん! あと前作もこの作品もお前はメインじゃないからね? お前は名前すらないただのモブキャラだからね?

 

「……じゃあ、青が私に名前つけてよ」

「なら、畜生で」

 

 ぶん殴られた。

 

 やだ、このクマさんホント容赦ない。

 

 

 

 

 

「決めた」

「何をだよ……」

 

 妹紅のことだったりとやらなきゃいけないこと沢山あるのになぁ。もう今回は無理なんだろうなぁ。

 ああ、今日も月が綺麗だ。

 

「次回から東方想拾記改め、クマのまにまに始まります。よろしくね」

「ただのパクリじゃねーか!」

 

 あと、それだと東方っぽさが全くない。そして何より、なんでお前がメインみたいな扱いになってるんだよ。この作品のメインは幻想郷の少女たちだ。

 

「私だって一応、神様」

「あの神様と違って全く仕事してないけどな」

 

 お前の場合、せっかく訪れた鹿を晩飯収穫とか言って狩りやがったじゃねーか。そんなことをしておいて、よく自分が神だなんて言えたものである。

 

「……流れには乗っておくべき」

 

 流されるだけだからやめとけ。

 

「じゃあ、クマへホームランにする」

「お前それ、ホームランを叩き込まれる側だけど良いのか?」

 

 俺は別にそれでも……いや、全然良くないわ。だいたい、クマへホームランとか意味が分からん。どんな作品だ。

 

「……それは困る」

 

 でしょうね。

 そして、コイツが何も考えていないことが良く分かった。きっとノリと勢いだけで会話をしているのだろう。それに付き合わされる俺の身にもなってもらいたい。

 

「じゃあ、どうすればいいの?」

「いや、このままで良いだろ……」

 

 別に人気がほしいわけではないのだから。俺は俺のペースで自分の物語を書き進めるだけだ。そりゃあ、色々と思うところもあるが、今の状態だって十分満足している。

 確かに、歩く速度は遅いかもしれない。2000年近くの時間をかけて攻略できたヒロインは皆無。せっかく拾い集めた記憶も無くしてしまうし、上手くいかないことばかりだ。それでも、確かに俺は前へ進んでいるはず。それだけで十分だろう。

 

「せめてメインヒロインくらいは決めた方がいいと思う」

「何言ってんだ。幻想郷の少女全員がメインヒロインだぞ」

 

 相手があの少女達なら分け隔てなく俺は愛情を注ぐ。その道は果てしなく険しいものだが、恋愛なぞ障害の多い方が燃えるのだ。

 

「……私も?」

「頭打ったか?」

 

 ぶん殴られた。

 

 もうね……なんだろうか、この気持ちは。

 

 

 

 

 

 

「差別はよくない」

 

 少しでもこの畜生の気に食わないことを言うと殺される。ちょっと酷過ぎやしませんか……

 てか、コイツは今までアレだけの数、俺を殺しておいてよくそんなことを言えたものだ。暴力系ヒロインは魅力的だがコイツは次元が違う。描写をすっ飛ばしているが、コイツ俺を殺した後は毎回ちゃんと美味しくいただいているんだぜ? いくらコイツが可愛らしい見た目をしていようが、流石にそんな奴をヒロインと言うのは無理がある。

 

「いや、だからな。それならもう少しヒロインらしい行動をしなさいって」

 

 なんで毎度毎度お前に殺されなきゃならんのだ。本当に勘弁してください。

 

「……ちゃんとツッコミとか頑張ってるもん」

 

 あのクマパンチ、ツッコミだったんだ……いや、まぁ、そう言われればそんな気もするが。

 頑張ろうとするのは良いことだと思う。しかし、その結果が酷すぎる。あと、コイツと会話をするときは俺の方がツッコミに回ることの方が多い。やるならもう少し頑張りなさいよ。

 

 てか、この畜生はそんなことを気にしていたのか……そう言うことは気にしない奴だと思っていたんだがなぁ。

 

「むぅ、私だって結構最初の方から出てたのに、扱いがひどい」

 

 いや、お前はそんなに古参キャラじゃないぞ? そもそも、お前が登場したのはこの作品になってからだ。前作でもいたが、あの時は本当に熊だったし。正直に言ってしまえばこの畜生が一番ぽっと出のキャラだと思う。

 

「……ほら、殺し合いの末に芽生える愛とか」

「ねーよ」

 

 聞いたことがないわ。あと、お前の場合、殺し合いじゃなくてただの虐殺だろうが。毎晩毎晩戦っているのに、未だ俺は手も足も出ない。

 俺だって弱くはないと思うんだけどなぁ……

 

 はぁ、なんだかなぁ……別に他人と比べるなとは言わないが、比べたって仕様が無いことなんていくらでもある。こちとら他人を気にしている余裕なんてないんだ。俺の頭の中は常に幻想郷の少女たちでいっぱいなわけですし。

 

「……せめて私も名前がほしい」

 

 名前、ねぇ。

 正直、今更名前をつけてもなぁって思うところだ。とは言え、此処でまた変なことを言うとまたぶん殴られる。それはなんとか避けたいところ。

 

「分かった、分かった。そんじゃ、ここぞって場面が来たらちゃんと名前をつけてやるよ。だからそれまで我慢しとけ」

 

 それがどんな場面なのか全く想像できないが。

 まぁ、これでこの畜生が納得してくれるのなら十分だろう。

 

「ん、わかった。それまで我慢する」

 

 そうしてくれ。

 名前をつけてやったところで、何が変わるのかなんて分からないが、きっとコイツなりに色々と思うところはあるのだろう。

 

「それじゃ、眠くなったから私は寝る」

 

 ホント、自由だよな。お前って……

 結局、最後までこの空気のままですか、そうですか……いや、まぁ、なんか最初からこうなるんだろうなぁって分かっていたけどさ。

 

 

「……別に」

「うん?」

 

 ポツリとお話の最後に畜生が言葉を落とした。空気が、変わった。

 どうやらギャグだけで終わらせるつもりはないらしい。

 

「別に、青がどんな道を選ぼうと私は構わない」

 

 秋夜の空気の中、畜生の言葉はやたらとよく響いた。

 

「青がどんな道を進もうが私はついていく。青が止まれば私も止まる。青が進めば私も進む。でも――青のいない道だけは認めない」

 

 ホント、厄介な奴に懐かれてしまったものだと思う。力で勝つことはできず、無理やり縛り付けられた鎖を解くことなどできやしない。底なしの沼で足掻く俺は下へ下へと沈んでいくばかり。

 

 ただ、その鎖を結び、沼の中へ飛び込んだのは他の誰でもない、俺自身なんだろう。言動と行動の矛盾。進んでいると自分に言い聞かせているものの、結局のところ俺は止まったままだ。

 そんな俺についてくる、か。

 

「勝手にすれば良いさ。決して歩きやすい道じゃないだろう。それでも良いと言うのならついてくれば良い」

 

 どうしてこの畜生が此処まで俺に懐いているのか。どうして此処まで俺に拘るのか。その答えを俺は未だに知らない。

 もし、その答えが分かってしまった時、俺はどうするんだろうな?

 

「うん、わかってる。おやすみ」

「ああ、ゆっくり休んどけ」

 

 ……物語、進めないとだな。

 

 

 







……次回から本編進めます

チラシの裏だし気にせず好き勝手やっちゃおうと思ったらこうなりました

そろそろ冬のお話となりそうですので次話からはクマさんの出番がなくなります
ちょいと休んでいてくださいな

では、次話でお会いしましょう

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