あの三人組と出会ってから一週間ぐらい経った、あれから俺は特に何かアクションを起こすでもなくタダタダ待ちの体勢で居た。その間に俺は少し音乃木坂について調べてみた、まぁ~ネットで出てくる範囲ではあるが・・・するとどうやら音乃木坂は廃校寸前の火の車状態の様だった、できれば現生徒会長が綾瀬さんかどうかも確認しておきたかったが、そこまでの情報は掲載されていなかった。ま、これは東條さんに聞いたらすぐに分かるだろうけどね。
ついでにあの子達の事も調べてみたが、分かったのはあの子たちの名前とグループ名とランキングでは最下位であるということだけだ・・・でも「μ′s」・・・何故かこの名前には引っかかるものを感じるんだが・・・なんだろうな?それと、俺がもう一つやっていることが・・・。
「・・・・・・・・・すぅ~~~~ふ~~~~~~・・・・」
力のコントロールの練習量をちょっと増やした事だ。黄昏時という現象が発動する条件は「それだけの器」があるかどうか・・・なら力を強化しておくことに越した事は無い筈だしな・・・とは言っても、この現象が起きて最初からこう思っていたわけじゃない、今まではその時間だけ少し感覚が鋭くなる程度だと思っていたんだが、こないだの一件であの時は東條さんの悪ふざけだったからよかったものの、あれが本当に悪質な人間であったら洒落にならない・・・そうなったら事前に感知できるようにしておいた方が良いと思うからな・・・しかしどうも感覚が掴めないだよな~
「黄昏時の時の感覚は分かってるから、できると思うんだけどな」
(ま、一朝一夕でできるようなもんじゃないじゃろうな)
「そうかもな、そもそも感覚を感じ取る器官自体が違うからな~」
(そうじゃな、『目』ではなく『肌』で感じるんじゃからな)
そう、この新しい感覚は言ってみるなら俗に言う「肌で感じ取る」と言った感覚に近い。でも、感覚は分かってはいるがやっぱりどうも掴めない・・・今はただ目を閉じて力を練り上げて集中してはいるが・・・感じるのは物理的に空気が皮膚の上をなでる感覚だけだ。
「くは~~~今日はこのくらいにしとこう~」
(うむ、根を詰め過ぎても良い事は無いからの)
「はぁ~~~・・・なんでできないんだろうな?」
(さぁの~しかし技術的にはもう至っていてもおかしくはないはずなんじゃがな・・・これはもう気持ちの問題だろうの~)
「気持ちか・・・はぁ~やっぱりこの力は分からんことが多すぎる・・・それに、どういう精神状態ならできるってんだ~?ほんとに~」
(・・・さぁの~)
「・・・・う~ん;」
(まぁ分からんもんは分からんのじゃ)
「はぁ~・・・ま、そうだろな~・・・・」
そこで俺は考えてみた、あの感覚を初めて感じた時の俺の気持ち・・・俺はあの時・・・何を思ってたんだ?・・・確かあの時は東條さんと綾瀬さんが合流出来て安心した気持ではいたが・・・そういう感情は今までにも何回かあったはずだなのに何であの時だけ・・・?
「あの時に成長・・・したのか?」
(そういう事になるんじゃろうな?お主には今までになかった感情があの時かその前に芽生えた・・・ということじゃろうな)
「・・・・何の感情だよ・・・あぁ!わからん!・・・コンビニで立ち読みでもするか~」
そうして俺は自室を後にした。
コンビニで適当に立ち読みをして、適当に食い物を買ってコンビニから出た・・・すると。
「「「あ」」」
「え?」
(ほうほう~)
あの三人組とばったり出くわした。
「こんにちは!」
「どうも~」
「ご無沙汰してます」
「あぁ、こんにちは日曜でも練習?」
「はい!時間もありませんから!一分一秒が惜しいくらいですから!」
「そっか・・・頑張るのもいいけど、怪我や体壊すのだけは気を付けなよ?」
「はい!ありがとうございます!」
「あ、君たちのグループ名見たよ?μ′s・・・良い名前だね」
「ありがとうございます!やったー!やっぱりあのアイディア良かったんだよ!」
「はぁ~それはあなたの功績じゃなくて、考えて入れてくれた人のセンスが良かったからですよ?」
「あ・・・あはは~」
「え?君たちが考えたんじゃないの?」
「あ~・・・私たちじゃ~良い名前思い付けなくて~・・・お笑い芸人みたいになったりもしちゃって~」
「穂乃果に至っては陸海空何て言った始末です」
「そうかな~インパクトがあっていいと思ったんだけどな~」
「いや・・・流石に自衛隊みたいなのはどうかとおもうよ;・・・確かにいろんな意味で衝撃がありそうだけど;」
「ほら見なさい!やっぱり穂乃果は考えが無さ過ぎです!」
「うぅ~海未ちゃん酷いよー!又木さ~ん!海未ちゃんがいじめて来ます~!」
「あぁ~ごめん、俺にはフォローしかねる;」
「そんなー!」
「穂乃果?」
「あ」
「だ・れ・が・・・いじめてるです?」
「う・・・海未ちゃん・・・顔怖いよ~~?」
「はい?(ギロ)」
「ひ!(シュバ!)」
海未の迫力にビビった穂乃果が突然俺の背中に隠れてガタガタ震えながら俺を見て「クゥ~ン」と言ってくる・・・こいつはワンコか?
「あははは;まぁまぁ喧嘩しなさんなって・・・君もそんな怒りなさんなって」
「・・・・はい・・・穂乃果?今回は許してあげます」
「ほっ・・・ありがとうございます又木さ~ん」
「いや・・・俺は別に;(ガシ)ってちょ!」
「本当にありがとうございます!(ギュ~)」
何に感極まったのか、いきなり俺の手を両手で握ってきた。
「な!?・・・は・・・破廉恥です!穂乃果!」
「え?なんで?」
「そ・・・それは・・・」
「海未ちゃんももう少し男の人に慣れた方が良いのかもね~?」
「こ・・・ことり!?」
何やら大分脱線して女子トークが始まりそうだな。
「それで?グループ名って誰が考えたのかな?」
「あ~それは分からないんです」
「はい、投票箱に匿名で入っていたので・・・」
「あったのはこれ一枚だけだったんで」
そう言って穂乃果が取り出したのは一枚のかわいらしい色をした紙。・・・これは・・・
「ちょっと貸してもらえるかな?」
「あ、どうぞ」
「・・・うん、これを考えた人は君たちにかなりの思いを込めて送ってくれたのかもね?」
「そうかもしれません・・・だから私たち、絶対に成功させたいんです!学校の為にも・・・この人の為にも!」
良いオーラだ・・・それに前の時よりも希望のオーラが強くなっている。ほかの二人からも・・・まるでこの子に引っ張られるかのように希望のオーラが強くなってる。
「君たち・・・良いチームだね」
「はい!私もそう思います・・・えへへ」
「私もです」
「私も!」
本当に良いチームだ、と俺が思ったその時。
「あ、又木さん」
「ん?」
海未に呼ばれた。
「副会長が言っていたのですが、どうやら入校許可で少し問題があったそうです」
「え?そうなの?」
「はい、何でも生徒会長が「良く知らない男子を無暗に入校させることはできない」って言ってたらしくて、副会長はその事をあなたがたに伝えようとしてたみたいなんですが連絡が取れないと言っていました」
「あぁ~そういえば連絡先とか交換してないな」
「ですから、先ほど神田明神に居らしたので行ってもらえませんか?」
「うん、了解。それじゃ!」
「はい!じゃあまた!」
「さよなら~」
「またの機会に」
三人と別れ、そして神田明神に到着した俺は東條さんを探そうと思っていたが、ちょうど終わりごろだったのか、制服姿で階段の下で鉢合わせた。
「どうも」
「え?何でここに?」
「さっきあの子たちに会いましてね・・・そんで俺たちの事でトラブってるって聞いて、そんでここにいるって聞いたんで」
「あ、そうなんや・・・実はエリチがね、知らない男子に無条件で許可は出せないって」
「あぁ、一応その辺は聞きました・・・というより、やっぱり綾瀬さんが生徒会長だったんですね?」
「あれ?言ってなかったっけ?・・・そうだよ。そんでね?君にそのこと伝えようと思っても、連絡できないし」
「んじゃ・・・今交換しときます?」
「本当!?やった!それじゃ~はい!」
「はい」
「よし!これで完了!・・・でもごめんね本来なら申請と保証する生徒が居たら大丈夫なはずなんやけど」
「まぁ本来なら男子が女子校に入ること自体があれですからね」
「・・・だから誠一君!エリチと話してくれへん?」
「え?良いですけど?」
「よし!ならちょっと待っとって!!」
「え?ちょっと!?・・・行っちゃったよ、てかなんか最後の方すごいウキウキしたオーラだったぞ?」
(うむ・・・まるで悪戯を思いついた子供の様な・・・)
((まさか?))
だとしたら、綾瀬さんの了解は良いのかよ;
そしてしばらく待つと。
「ほら、エリチこっちやで」
「ちょっと希・・・あ、あなたは・・・」
「・・・どうも、てか東條さんやっぱりこんな事企んでたんすね?」
「あれ?分かってたん?」
「まるでいたずらっ子の様な感じがしましたんで」
「ふふふ・・・流石やね♪」
「それより希?これはどういうこと?女子校である以上男子の意見は」
「あ~そう言うんはええから!今回は純粋に彼の事をちゃんと紹介しようと思ってやで?」
「・・・・・・」
どうもまだ警戒されているみたいだ、とげとげしいオーラがプスプス刺さるような感じがする。
「でもだからって男子と知り合いになって、何かしらのメリットがあるとは思えないんだけど?」
「だ~か~ら~!そういう損得とかじゃないってば!それともエリチは損得で人と交流をするかどうかを判断するん?」
「そ・・・それは・・・」
こりゃまた、これ遠回しに自分も損得勘定されてるのかって言ってるようなもんじゃ無ねえかよ;
「そんなら、ほら!(ポン」
「っ!・・・・・はぁ~・・・・・改めまして、絢瀬絵里です」
「こちらも改めまして、又木誠一です」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「ちょっと!二人とも!黙ってないでなんか話そうや!」
「いや;そう言われても・・・」
「知らないん人相手なんだからこうはなるでしょ?・・・もういいかしら?時間を無駄にしたくなんだけど?」
「あ~なら・・・ちょっと聞きますけど」
「なにかしら?」
「入校許可を出せない理由ってなんですか?」
「・・・そんなの貴方達がうちの学校で何をしでかすかわからないもの、許可が出せないのは当然よ」
「あぁ~・・・まぁ女子校ですから、そう考えるのも分からんでもないですけど;・・・俺たちは変な事なんてしませんよ?ただそちらの学校の生徒さんがライブ活動をするって言うんで、見に行きたいってだけです」
「・・・だったらなおさらね」
「え?」
「どうせ、よこしまな事しか考えてないんでしょ?だったらなおさらうちの生徒に近づけさせるわけにはいかないわ!」
「・・・はぁ?」
とげとげしいオーラが一段と膨らんできた・・・だが、表面が揺れ動いているので恐らくは罪悪感に駆られてもいるのだろう、心にもないことを自分でも言ってしまっているって所か・・・が、流石にこの言い草には少々イラっと来た。あ・・・しかし・・・そういう事をこれ以上言うのはやめといた方が~;
「ほら、そういう下卑た視線!それでうちの生徒を視姦しようとしてるっていう「エリチ?」何よりの証拠・・・!?」
「・・・(あらら);」
そこには、いままでの慈愛のオーラを纏っていたとは思えない程の怒気のオーラを纏った東條さんがいた。顔は笑顔だが・・・こりゃ・・・マジでこぇ~;・・・気のせいかオーラが背後に般若の形になっているようにも見える;てか、絢瀬さんのオーラが一瞬で縮こまったぞ;でも・・・慈愛のオーラは消えていないな、多分俺たちのために怒ってくれてるんだろうか?
「エリチ?・・・そこまで言う必要ってある?」
「え?・・・いや・・・その;(ダラダラ」
うわ~さっきまでの勢いはどこへやら;とげとげしいオーラもどっかへ行っちまったみたいに無くなってるし・・・いや、無くなったというよりも引っ込んだって所か?もう完全に呑まれて畏怖のオーラと後悔のオーラがひしひしと伝わってくるし・・・あ、やっぱり感じた通り罪悪感はあったのね。
「それに・・・誠一君達の事をそんな風に言うって事は、うちの人を見る目が無いって言ってるようなもんやで?・・・もしかして?最初からそんな風に思ってるから許可を出さんかったとか?」
・・・・・俺たちの為じゃないかも;
「いや・・・そういうわけじゃ・・・私はただ」
「ただ?」
「みんなを・・・思って」
「だ・と・しても!誠一君達をそんなに悪く言う必要性はある?」
「う・・・うぅぅぅ」
あ、オーラがますます縮こまってる・・・こりゃ泣きだす寸前だな;
「ポン)東條さん?」
「ん?」
あ、怒気が引っ込んだ。
「もう良いでしょう?絢瀬さんも学園の事を思っての事だったんでしょうし、確かに綾瀬さんの言葉には少しイラっと来ましたけど、絢瀬さんも本心では言ってないんでしょうし・・・それは貴女が一番わかっているでしょう?」
「・・・・・ん」
どうやら東條さんも冷静に成れたようだな、さて
「絢瀬さん?」
「・・・・はい」
「貴女がそこまで俺たち・・・というより男を入れたくないと言うのであれば、俺たちはあきらめます」
「え?」
「え!?」
俺の発言に東條さんは驚いたようだ、だが俺は東條さんに向けて無言で手を少し上下に動かし、絢瀬さんと対面しなおす。
「俺たちも正直言うと、そもそも女子校に入れるのかな?って思ってたぐらいなんで、少し残念ではありますけど、ライブを見に行くことはあきらめます・・・それに、後半の方はあなたも焦っているようでしたので、勢いで言ってしまった節もあるんでしょう?」
「・・・・」
「でも、言ってしまったら取り返しがつかないこともありますから・・・今後は気を付けてくださいね?」
「・・・はい」
ふぅ~後悔のオーラはまだ残ってるけど、畏怖のオーラはほぼ消えたな・・・それにとげとげしいオーラも今はそんなに感じない。
「ふぅ~・・・それじゃ、俺帰りますわ」
「え?」
「ええ!?」
「いや、だって、俺たちはもうライブを見に行くことはできないんですし、それが確定してしまった以上、もう話す事は無いですし」
「そ・・・そうかもしれんけど・・・もう少し話せばきっとエリチも」
「東條さん・・・物事には引き時ってものがあるんですよ・・・それじゃ」
「あ・・・」
(何でだ?)
(どうかしたかの?)
(いや、絢瀬さんが暴走し出したタイミングが気になってな)
(ふむ・・・)
(なんだか・・・あの子たちを目の敵にしてるような気がしてな)
(確かにの・・・あの子たちの話題を出した途端に膨れ上がったからの~)
(あぁ・・・だとしても、目の敵にする理由がピンと来なくてな~アイドル活動って事は学校の名前を宣伝しようって事なんだから、廃校を何とかしたいって事だと思うんだよな・・・だとしたらって思ってな?)
(ふむ、確かにの・・・理論的にはそうじゃが、人の「感情」はそういうわけにもいかんからの)
(感情ね・・・だとしたら頭ではわかっていても、気に入らないって事か?)
(じゃろうな・・・じゃが、何が気に入らないのか・・・そこが問題じゃな)
(あぁ・・・何でそこまでしてあの子たちが気に入らないのかだな)
(うむ)
かさっ
(ん?・・・あ)
(ん?それは)
(うっかり返し忘れた・・・てか、この紙に残ってるオーラ、これ入れたのって絶対東條さんだよな?)
(だろうの)
「帰っちゃった・・・か~」
「・・・・・・希」
「ん?」
「・・・・ごめんなさい・・・私」
「・・・ふん・・・もうええよ、うちもちょっとやりすぎたし」
「いえ・・・希が怒るのは当然だわ・・・本当なら彼も怒鳴るぐらい激怒してもおかしくないことを言ったんだもの・・・自分が情けないわ」
「そう思ってくれてるんなら、もうええよ、許す!」
「ありがとう・・・希」
「でも・・・ちゃんと」
「えぇ・・・彼にもちゃんと謝罪するわ」
「・・・・・・」
「だから・・・私が招待するわ」
「え?」
「あんな事まで言ったてしまったんだもの・・・彼の要望を叶えた上で私からちゃんと謝罪したいの・・・」
「・・・・~~~!うん!!招待しよう!うちらの学園に!」
「あ・・・でも・・・」
「ん?」
「あんなことを言ってしまったから・・・私からは言いずらいわ・・・それに連絡先も知らないし・・・だから希」
「はい♪」
「え?」
「これ・・・誠一君の連絡先♪」
「え?・・・ええ!?」
「招待するんなら、ちゃんと伝えんとね?」
「そ・・・それはそうだけど・・・言いずらいってさっき」
「今じゃなくてもいいから、それ!」
「あ!?私の携帯!」
「はい、入れといたで♪・・・ちゃんと伝えといてや♪」
「う・・・うぅぅぅ~~」
どうも俺の知らないところで、話が進んでいたようであった。