(お~い)
「ん~・・・」
(誠一~朝じゃぞ~)
「う、う~ん・・・(しょぼしょぼ)」
(おはよう誠一)
「あ~・・・おはようリョウ」
現在朝の7時・・・起床・・・あ、一応言っておく、幽霊は眠くならないらしいので目覚まし代わりになってもらっている。え?守護霊の扱いが雑?・・・いや、むしろこいつはノリノリで快諾したからね雑用係;あと俺は普段こいつの事を「リョウ」と呼んでいる・・・てか・・・(眠い・・・)
(ほれ!目を覚ませ!)
「へいへい・・・すぅ~・・・・・ふぅ~・・・・・よし」
(うむ、力の練り具合も大分上手くなったもんじゃの~)
「そりゃ毎日やってたら嫌でも身に付くよ」
(良い事じゃ)『ぐぅ~』
「(・・・)」
「飯食うか」
(じゃな)
布団から起き上がり、階段を下りて食卓へ向かう。・・・ん?・・・あいい匂い。
「おはよう」
「あ、おはよう誠くん」
「おはよう誠一」
「おはよう~兄貴」
上から俺、母、父、弟だ。
「珍しいね兄貴がこんな早くに」
「あぁまぁたまにはな・・・はぁ~眠い・・・」
「ふぅ~ん、まっいいけど」
こいつは俺の弟の剣二(けんじ)中学三年、剣道部に所属している。そして俺ほどではないが、若干の霊感体質である。つっても、気配がする・何かモヤモヤするといった具合の感覚ぐらいしかないらしい。
「そこに居る?」
「あぁ ここに居るぞ」
「おはよう霊介さん」
(うむ、おはよう・・・さんは要らんといつも言うとるのにの~)
「さんはいらねえだとよ」
「いやいや、人生の先輩にそんなこと;」
毎日のことながら霊に対して律儀な奴だ。ちなみに両親に力はないが、気味悪がることも無く俺たちを普通の人間として育ててくれた。そしてこの光景にも慣れてしまったようで、夏場の怪談話などでは「結構受けがいいネタ」ぐらいに捉えているらしい・・・わが親ながら肝が据わっている;
「「「ご馳走様でした」」」
「お粗末様」
朝飯を終えた俺たちは一旦部屋に戻り支度して玄関へ
「「「行ってきます」」」
「行ってらっしゃ~い♪」
俺は学校へと自転車を漕ぐ。季節は春の中旬、新学年に成り立てのこの時期は神社等の敷地内の木には桜が咲いている。そして不思議なオーラを纏っていた子とすれ違ってから2週間が経とうとしていた。
「う~ん・・・登下校のルート的には被ってると思うんだが、なかなか会えないもんだ
な~」
(そうじゃな~タイミングの問題なのか、はたまた縁の問題か?)
「縁って・・・そんな運命的な;」
(いや・・・案外バカにはできんもんじゃぞ?)
「幽霊の癖にロマンチストだなお前;」
(死んでから痛感しんじゃ「現実は小説より奇なり」とな)
「ふ~ん・・・ま、成るようになれだな」
(なんならわしがここら一帯を探してやってもいいんじゃが?)
「いや、それは何か反則っぽいからな」
(反則って何じゃ;いつも迷子の子供とかは探させるのにの~)
「俺にもわからん。だけど・・・その必要はない気がするんだ」
(お?予知能力でも会得したか?)
「いや;そんなんじゃ・・・わからねえ・・・」
最近は大分コントロール出来てきてはいるが、この力自体は謎が多いのである。科学では証明できない力ではあるが、意識してなくても、訓練をしなくても突発的に表れる力もある。もしかしたら俺が扱っているのはほんの一部の力なのかもしれない・・・と、ときおり不安になる時もある。
そして交差点に差し掛かり、角を曲がる。
「ん?」
(どうした?)
(いや落し物かな?これ・・・)
落ちていたのはまだ真新しい綺麗に折りたたまれたハンカチだった。ちなみに周りに人がいるので念話だ。
(踏まれたりしたら気の毒だし、もったいないから拾っとくか?)
(そうじゃな、しかし誰が落したのかの?)
そして俺は何の気なしに拾った。すると
(お?・・・・・・・・・・・・・・)
(ん?どうした?)
(ふふふふ、久々に来たぜ・・・透視能力だ!)
(おお!?)
(これはついさっき落とされたものだそして落とした人は・・・あの角をまがった!
)
そして俺は落とし主に返すために自転車を急ぎ気味に漕ぎ出し、無事に返還することができた。俺がその人を視界に入れた瞬間に落とした事に気付いた様で「あ!!!」っと叫んでいた。なんでも新婚で、奥さんから出勤祝いでもらったものらしく、渡したらすごくお礼を言われた・・・悪い気はしないな。
(情けは人の為ならずは本当のようだの!)
(へへへ、久々でテンション上がっちまったな~)
(わしも年甲斐もなく上がってしもうたわい・・・しかし良かったのかの?)
(何がだ?)
(透視の事じゃ、人も結構いたからの~・・・怪しまれたりとかせんか?)
(大丈夫だろう?見られたとしてもただハンカチを拾っただけだ、そしてそそくさと逃げて行った様に見えただろうから・・・タダの猫ばば野郎程度に思われてるよ)
(それもどうかと思うがな;・・・まぁ~本当にそれぐらいなら良いんじゃがな?)
(大丈夫だって、さて学校行こうぜ~てか・・・腹減ったな~)
(お前の~;)
俺は腹ペコの状態で再び自転車で学校へと向かう。だが・・・
「・・・・・・本物?・・・なんかな?」
俺の認識は思いのほか甘かったようである。
はい・・・○○は見た!でした。
皆さんも落とし物にはご注意を、ではまた。