「いや、それよりも・・・」
俺はまだ遠くない綾瀬さんの後姿を見据えると、東條さんも向き
「行ってあげてください・・・」
「・・・うん、ありがと」
そう言い走り出していった。そこから俺たちは帰路につこうと振り返った時、東條さんと合流したのか、綾瀬さんのオーラのトゲが少し小さくなった感じがした・・・ま、遠くだったから正確には分からんが・・・でもやっぱり、仲が悪いって事ではなさそうだ。
「そんでどうよ?」
「東條さんには気を許してるな」
「ほぉ~」
「ん?」
とっさに話しかけられたからつい返事をしてしまったが、何故こいつはこんなににやついてんだ?
「お前にもついに春が来たか~」
「おい・・・何言ってんだお前;」
「ん?だってお前、東條さんは気を許せる相手って思ったんだろ?」
「まぁ思ったが・・・てか何でそんな話になってんだよ;」
「・・・・・・ちょっと待て、お前俺が何について話しかけたか解ってるか?」
「いや、ちょっとあの二人のオーラの気配を感じたからそれについて考えてたから正直聞いてなかったわ、わり」
「・・・・はぁ~~~」
なぜか盛大にため息をつかれた・・・
「何がっかりしてんだよ!」
「いや、だってよ~やっとお前も恋をするチャンスが来たんだと思ったてのによ~」
「何で勝手に俺がラブコメする体になってんだよ!」
「いや、コメディーまでは言ってないぞ?・・・それよりさっき気配って言ったか?てか見てないのになんで分かるんだよ?」
「あ・・・」
そう言えばそうだ、今までは「見る」ことで感じ取れていたのに、いきなりあのタイミングで「見なくても」感じ取れた・・・いったいどうして・・・
「あ」
翔は何かに思い至ったように携帯を取り出し、時間画面を開き空を見上げた、俺も見上げてみると綺麗な夕焼け空だ。
「そっか黄昏時か」
「黄昏時?」
(ふむ・・・黄昏時か)
「知ってるのか?」
「いや、俺は良く知らん」
「あ、わり、お前じゃなく」
俺はそう言いながら親指で「こっちだ」と言いながら後ろを指す。
「いや、今のタイミングはややこし過ぎるわ!」
「すまん、(それで、知ってんのか?)」
(うむ、黄昏時というのはな・・・)
黄昏時、昔の時代から妖怪や幽霊、はたまた異次元等の不思議な現象が起こりやすいと言われている夕暮れの時間帯であるようだ。そしてそれは俺の様な霊能者にとってもほんの一時ではあるが、力が増強される時間帯でもあるらしく、いつもは『見て』感じるオーラを『見なくても』感じることが出来る程度には強くなるらしい、だがそれはおよそ一分から長くて5分程度の時間らしい、しかし・・・
(今までは特にそんなのなかったよな?何で今なんだ?)
(お前自身に変化が起こったんじゃろうな)
(俺に変化?特にないぞそんなの?)
(まぁ~こればっかりは自分自身じゃ気付けないのかもしれんな、じゃが何時かわかるときは来るはずじゃ、それに力が強くなるというよりも、成れると言った方が良いじゃろうな)
(成れる?)
(うむ、たとえ黄昏時でも力の増強にはある条件があるんじゃ、それは資質・・・いや器があるかどうかじゃ)
(つまり・・・俺の器に変化が起きたと?)
(うむ、おそらくそれだけの器の余裕ができたということじゃろうな、オーラを見なくとも気配で感じ取れるぐらいには強くなれるということじゃろな)
(そうなのか・・・)
「終わったか?」
「あぁ」
「それでなんだって?」
「何でも俺に変化が起きたらしくてな、力がまだ強くなれる資質があるらしいわ、さっき気配を感じ取れたのがその証拠らしい」
「へぇ~」
「でも変化ってなんだろうな?リョウも自分じゃ気付けないとか言ってたし・・・お前解るか?」
「ん~無い事もないが~」
「マジか!?教えてくれよ!」
「あ、いや~」
「なんだよ、もったいぶらずに教えてくれよ!」
「いや・・・教えてやりたいとは思うんだが・・・こればっかりはお前自身が気づかないと意味が無い事だと俺は思うんだよな」
「・・・リョウも『何時か分かる』とか言ってたけどよ~そんなにダメな事なのか?」
「いや、駄目じゃねえよ・・・でもな~・・・あ、ならヒントやるよ」
「ヒント?」
「あぁ『昨日のお前と今日のお前』だ」
「は?なんだそれ??昨日も今日も俺は一緒だぞ?」
「まそういうと思ったわ、でも今の俺に言えるのはそれだけだ。しっかしまぁ~不思議だよな~東條さんと一緒の時に綾瀬さんに出会って、しかもその出会ったタイミングが黄昏時で、それでお前は綾瀬さんの心をまた知ることが出来たんだからな~すげぇよな~」
確かに言われてみればそうだ、たった2日の間にここまで色濃い出会いが普通あるだろうか?こういう事は、相当な繋がりが複雑に絡み合って無いと起こらないのではないだろうか?しかし、俺にそんな繋がりがある心当たりなんてない。
「お賽銭のおかげかね?」
「え?」
「だってお前ゲン担ぎで『十分なご縁』ってやってたじゃねえか?」
「確かにそうだけど・・・それでこんなことが起きるっておかし過ぎねえか?」
「お賽銭や占いよりも珍妙な存在であるお前がそれを言うか?」
「あ」
つい昨日の出来事での俺の発言をそのまま返されてしまった・・・そうだ、俺自身が一番珍妙なんだから、こんなこと言ってられないのかもしれない
「そんでどうするよ?東條さんたちは」
「・・・あ~何だ・・・正直お節介で余計なお世話かもしれねえけど、もう出会っちまったし、それなりの繋がりもできちまった・・・そして、綾瀬さんの心境も知っちまったからな、だから・・・」
「・・・」
「俺は、あの人達の力になりたいと思う」
「おう・・・俺もそう思ってた所だ」
「だろうな、お前からはずっと『助けてやれ』ってオーラが出っぱなしだったからな」
「ははは、やっぱ感じてたか」
「隣に居るんだ嫌でも感じる」
「にしし、でもよ彼女・・・なかなか手強そうだぜ?」
「あぁ・・・どうやら俺たちはとんでもない縁を結んじまったみたいだな」
「へへ!俺は最高で楽しそうな縁を結べたと思ってるぜ!」
「はぁ~そうかい、まぁ~とにかく・・・まだまだ終われなさそうだな?」
こんな短い文章にかなりの時間右往左往しました・・・恐らく次回もこれ位の時間が掛かるかもしれないです。